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商品取引員検査マニュアル(案)チェックリスト等

T.法令等遵守
(1) 法令等遵守体制の確認検査用チェックリスト
(2) 取引の公正確保に係る法令諸規則の遵守に関する検査用マニュアル
(3) 受託に係る財産の分離保管等に関する検査に係るチェックリスト及びマニュアル
(4) 取引証拠金等に関する検査に係るチェックリスト及びマニュアル
U.財務規制
(1) 純資産額規制比率に関する検査に係るチェックリスト及びマニュアル
(2) 純資産額検査用マニュアル
V.リスク管理
(1) リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
(2) 市場リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
(3) 取引先リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
(4) 流動性リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
W.電子商品取引
(1) 電子商品取引に関する法令等遵守体制の確認検査用チェックリスト
(2) 電子商品取引に関するリスク管理体制の確認検査用チェックリスト
(1) 法令等遵守体制の確認検査用チェックリスト
A. 本チェックリストは、 改めて取締役会等や監査役会等に求められている役割を記載しているほか、 法令等遵守(コンプライアンス)を実現するための施策等を記載し、総括管理責任者及び統括管理責任者を含む取締役等の法令等遵守に対する自覚を求め、 会社全体に法令等遵守重視の企業風土が醸成されることにより、商品取引員が商品先物市場の担い手としての社会的責任が発揮されることを促すとともに、その遵守体制の整備確立状況・運用状況を確認検査するために作成した。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
【注】
@ 総括管理責任者とは、法令等遵守を総括する責任者で登記された代表取締役又は代表執行役をいう。
A 統括管理責任者とは、総括管理責任者の職務の分担を受けた者で、法令等遵守に係る業務を所掌する部門を統括する取締役をいう。ただし、会社の規模、実態等に応じて当該部門の部長等 以上も任命することができる。
B 各チェック項目については、 字義どおりの対応が商品取引員においてなされていない場合であっても、商品取引員の業務の健全性及び妥当性の確保の観点からみて、商品取引員の行っている対応が合理的なものであり、更に、チェック項目に記述されているものと同様の効果がある、あるいは、商品取引員の規模、特性及び業務内容に応じた十分なものであると認められるものであれば、不適切とするものではない。 したがって、検査官は、各チェック項目を確認の上、その実効性を十分に検証する必要がある。
C チェック項目の語尾が「望ましい」とあるのは、特にことわりのない限り、商品取引員において最適な対応として望まれる項目である。
D 「取締役会」の役割とされている項目については、取締役会自身においてその実質的内容を決定することが求められているが、その原案の検討を常務会等で行うことを妨げるものではない。
E 「取締役会等」には、 取締役会のほか、常務会、経営会議等も含み、 また、「取締役会」、「取締役会等」には外国法人の本邦支店における最高意思決定機関等も含む。 なお、「取締役会等」の役割とされている項目についても、取締役会自身において決定することが望ましいが、常務会等に委任している場合には、 取締役会による明確な委任があること、 常務会等の議事録を整備すること等により事後的検証を可能としていることに加え、取締役会に結果を報告する、又は、監査役が常務会等に参加する等により、十分な内部牽制が確保されるような体制となっているかを確認する必要がある。
F 委員会設置会社である商品取引員については、取締役会、各委員会、執行役員等の機関等が、それぞれ与えられた権限等を適切に行使しているかどうかといった観点から、以下の点について留意して、検証を行う。
ア.業務執行を有するのは執行役であり、取締役には、原則として、業務執行権限がない。
イ.取締役会は、その決議により、業務の決定権限を執行役に委任することができる。
ウ.取締役会は、取締役及び執行役の職務の執行を監督する。
エ.監督権限は監査委員会にあり、監査委員個人に監査権限が認められるものではない。 (監査委員会が指名した監査委員が委員会の権限を行使する。)
G 非取締役会設置会社である商品取引員については、取締役等の機関等がそれぞれ与えられた権限等を適切に行使しているかどうかといった観点から、以下の点に留意して、検証を行う。
ア.原則として、各取締役が業務執行権を有する。
イ.取締役が複数存在する場合は、原則として、その業務の決定は取締役の過半数をもって決定する。
法令等遵守体制の確認検査用チェックリスト
項目 法令等遵守体制のチェック項目 法令等遵守体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.取締役会等による法令等遵守体制の整備状況 1.機関設計 (1) 商品取引員の機関設計は、 当該商品取引員に応じた機関を設置しているか。  
(2) 機関設計の変更を行った場合、法に定められた手続きを取っているか。  
2.業務執行の意思決定及び取締役に対する監督機関としての取締役会の機能 業務執行に当たる取締役の責任・義務  
(1) 取締役は、 業務執行に当たる代表取締役の独断専行を牽制し抑止するなど、 適切な業務執行を実現し、ひいては、商品取引員の信用の維持・向上を図る観点から、取締役会における業務執行の意思決定及び取締役の業務執行の監督に積極的に参加しているか。  
(2) 取締役は、 業務執行に当たり信頼の基礎を強固なものとする観点から、実質的議論に基づき善管注意義務・忠実義務を十分果たしているか。  
(3) 取締役会は、商品取引員が商品先物市場の担い手として、 重大な社会責任があることを柱とした企業倫理の構築を重大課題として位置付け、 それを具体的に担保するための体制を構築しているか。  
(4) 取締役会は、単に業務推進に係ることのみではなく、業務運営に際して、法令等遵守に関する重要な事項について議論しているか。  
(5) 法令等遵守体制、リスク管理体制及び財務報告体制等の内部管理体制いわゆる内部統制システム)を構築することは、取締役の善管注意義務及び忠実義務の内容を構成することを理解し、内部管理体制を適切に決定しているか。
(注)「法令等」とは、法令諸規則のほか、社内内部規程を含むものである。
 
3.株主総会、取締役会及び監査役会議事録等の整備【会社法318条、第371条、第393条及び第394条】 株主総会、取締役会及び監査役会議事録等の作成及び備置
(1) 株主総会、取締役会及び監査役会議事録を作成しているか。  
(2) 株主総会、取締役会及び監査役会議事録を法に定められた期間、 備え置いているか。  
(3) 株主総会、取締役会及び監査役会に付された議案の内容がわかる原資料を作成し、保存しているか。  
(4) 取締役会議事録及び原資料は、 法令等遵守、リスク管理及び商品取引事故等の報告が確認出来る内容となっているか。
(注)「商品取引事故等」とは、施行規則第80条第2項第1号に定める「事故等」をいう。
 
4.監査役及び監査役会による経営監視機能 (1) 監査役は、その職務を適切に遂行するため、 当該会社の取締役、 会計参与、使用人等その他監査役が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者と意思疎通を図り、 情報収集及び監査の環境の整備に努めているか。 ただし、監査役は、 当該意思疎通及び情報収集によって公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持をしてはならない。  
(2) 監査役は、取締役会に出席し、法令等遵守に関すること等について必要に応じて意見を述べているか。また、その場合、会社法第390条第3項が適用される商品取引員にあっては常勤監査役が望ましい。  
(3) 監査役会については、制度の趣旨に則り、その独立性を確保しているか。  
(4) 監査役及び監査役会は、 付与された広範な権限を適切に行使し、 業務監査及び会計監査(ただし、 会社法第389条第1項に該当する場合は、 会計監査に限る。)を実施しているか。  
(5) 監査役及び監査役会等の機能発揮の補完のために、会計監査人を活用しているか。また、必要に応じて法律事務所等も活用しているか。  
(6) 監査役会が組織される場合でも、 各監査役は、あくまでも独任制の機関であることを自覚し、自己の責務に基づき積極的な監査を実施しているか。また、監査役会の求めがあるときは、監査役はいつでもその職務の執行の状況を監査役会に報告しているか。  
(7) 監査役及び監査役会は、外部監査の結果自体が適正なものであるか否かをチェックしているか。  
(8) 監査役は業務監査の職責を担っていることから、 取締役が内部管理体制(いわゆる内部統制システム)の構築を行っているか否かを監査する職務を担っており、これが監査役としての善管注意義務の内容を構成することを解し、 その義務を適切に果たそうとしているか。  
5.法令等遵守に係る基本となる方針の存在チェック 基本となる方針等の存在チェック
(1) 「法令等遵守 」を経営の最重要課題の一つとして位置付けているか。また、その実践に係る基本となる方針は、取締役会において策定しているか。  
(2) 役職員に基本となる方針の内容を周知徹底しているか。 また、例えば下記[参考]に掲げる書類等を役職員に対して周知徹底しているか。  
(3) 基本となる方針は、単に倫理規程に止まらず、具体的な行動指針や行為規範として示しているか。  
(4) 基本となる方針の作成、変更に際しては、 法務担当部門や必要に応じて弁護士等のリ−ガルチェックを実施しているか。  
(5) 反社会的勢力への対応については、 警察等の機関とも連携して、 断固とした姿勢で臨んでいるか。
[参考]
「日本経済団体連合会・企業行動憲章」及び「実行の手引き」
「日本商品先物取引協会(以下「日商協」という。)・自主規制」
「日商協・受託等業務に関する規則」
「日商協・受託業務管理規則の制定に係るガイドライン」
「日商協・会員従業員に関する規則」
「日商協・会員の外務員の登録等に関する規則及び同細則」
「日商協・ 勧誘規制、適合性審査、説明義務の履行に関する受託業務管理規則の改正のためのマニュアル」
 
6.法令等遵守に対する「取締役としての具体的行動」のチェック 法令等遵守に関しては、 取締役が誠実に、 かつ率先垂範して取り組んでいるか。
(1) 取締役の法令等遵守に対する姿勢を職員に理解させるための具体的な施策が講じられているか。
@ 総括管理責任者は、 年頭所感や支店長会議等、様々な機会を捉えて、法令等遵守に対する取り組み姿勢を示しているか。  
A 取締役は、 法令等遵守担当部門を営業部門と同等に位置付け適切な人材と規模の確保に資するとともに、 関心を持って管理し、業績評価、人事考課等において適切な評価を与えているか。  
B 総括管理責任者自身が社内外の法令等遵守の問題に対し、規則に基づき、公平、公正に断固たる姿勢で対応しているか。  
C 定期的に法令等遵守のための施策の評価及びフォ ロ−アップが行われているか。  
(2) 「法令等遵守 」を図るための総括管理責任者に適切な人材を確保し、 総括管理責任者の責務である役職員に対する法令等遵守の意識の徹底と内部管理体制の整備について、十分その機能を発揮し得る体制 ・ チェック方策を講じているか。  
U.法令等遵守すべき事項の規程に係る整備状況 「法令等遵守・マニュアル」のチェック (1) 法令等遵守を実践していくための具体的な手引書 (遵守すべき法令等及びその解説、また、違法行為を発見した場合の対処方法等を具体的に示したもの。以下「法令等遵守・マニュアル」と称する。)があるか。  
(2) 「法令等遵守・マニュアル」は、 Z.に掲げる内容のうち各取引員の業務を踏まえた法規制等に準拠するものとなっているか。 また、「法令等遵守・マニュアル」は、 商品先物市場の担い手としての商品取引員の社会的責任を踏まえつつ、 企業風土、経営組織体制及び業務実態等を勘案した適切かつ具体的な内容となっているか。
 
(3) 「法令等遵守・マニュアル」の存在及びその内容は、役職員に周知徹底されているか。  
(4) 「法令等遵守・マニュアル」については、 適時、 適切にその内容の見直しを行っているか。  
V.法令等遵守体制が機能 しているか否かの社内チェック体制の整備状況 1.「法令等遵守にかかる問題を一元管理する部署 ・部門等」のチェック (1) 法令等遵守に係る問題を一元管理する体制等を構築し、内部規程等を整備しているか。
@ 法令等遵守に関する統括部署が設置され、統括管理責任者が配置されているか。また、統括部署の所掌事項を明確にしているか。  
A 各営業部門(本部各営業部門、各営業店等) ごとに、適切に管理担当責任者が配置され、営業部門から独立して職務を遂行する体制となっているか。
(注)「管理担当責任者」とは、営業単位ごとに法令等遵守の監視等の内部管理を行う者。
 
B 商品取引事故等の発生に際し、正確かつ機動的な対処が可能な体制を整備しているか。  
(2) 法令等遵守関連の情報を的確に収集・管理しているか。
@ 統括部署と各営業部門(営業店)との連絡、報告、協議等のル−ルを明確にしているか。  
A 統括部署と各営業部門(営業店)との連携を図っているか。また、問題点が発見された場合に担当者は直ちに統括部署に報告する体制にしているか。  
B 総括管理責任者又は統括管理責任者は、 常時、的確に法務関連の情報を掌握しているか。  
(3) 商品取引事故や苦情等に対処する体制を整備しているか。
@ 苦情等の顧客の申し出事項の記載簿を整備しているか。  
A 法令等遵守を統括する部署は、 適切に苦情等の事後確認を実施しているか。  
B 商品取引事故等の事実確認、 発生原因及び関係者の責任追及、監督責任の明確化等を図る体制が整備されているか。
また、商品取引事故等の調査解明は、商品取引事故等が発生した部署とは独立した別の部署で行われているか。
更に、取締役は商品取引事故等の再発防止策の策定に当たって積極的に関与し、具体的な再発防止策を策定し、その実効性の確保に努めているか。
また、監査役は取締役の当該業務の適正な遂行を監視しているか。
なお、刑事関係法令に抵触している事実については速やかに警察等関係機関等への通報を行っているか。
 
C 商品取引事故等を行政機関等に適切に報告しているか。  
D 事務処理ミス等による約定訂正処理は適切に行われているか。
また、その内容は後日確認できるようになっているか。
 
(4) 法令等遵守に関する研修体制の充実を図っているか。
@ 総括管理責任者又は統括管理責任者は自らが、研修に関与しているか。
また、講師等として積極的に参画しているか。
 
A 職務等に応じた法令等遵守のための研修体制等が確立されているか。  
B 各業務部門ごと、 あるいはブロックごとに最低限必要とされる法令等の研修が行われているか。  
C 日商協等の自主規制機関やその他の外部機関が開催する研修の受講を奨励しているか。  
(5) 営業責任者は、 事故防止の観点から法令等により顧客から徴求する必要書類等の受入れ及び内部監査部門等における指摘事項の改善は営業部店自身の責務であることを認識させ、その実行を担保する体制としているか。
(注)「営業責任者」とは、営業単位の長であり、営業単位に所属する役員又は従業員に対し法規則等を遵守する営業姿勢等の指導・監督をする。
 
(6) 管理者は、 例えば、連続休暇、研修等により、 職員(管理者を含む。)を職場から外すなど、事故防止の方策を採っているか。
(注)「管理者」とは、各業務を所掌している部門の管理職をいい、本項においては法令等遵守を所掌している部門の管理職又は統括管理責任者をいう。
 
(7) 管理者による顧客への訪問などを行うことにより、 事故防止等の観点を踏まえた実効性ある方策を講じているか。  
(8) 不正資金の流入の防止等に適切に対処するため、顧客の本人確認を行うなど、顧客管理体制を整備しているか。
@ 顧客管理に関する統括部門を設置するなど責任体制を確立しているか。
(注)「顧客等」とは、「現委託者以外に、元委託者及び勧誘を断った者」を含む。
 
A テロ資金供与又はマネー ・ ローンダリングに係る疑いのある取引に関する情報について、主務省に対し速やかに届け出ているか。 (また、届出漏れがないか事後的に検証する体制を確立しているか。)  
B 会社等の資金を横領した金や出所の不正な資金の流入を防止する等のため顧客管理の方法等に関し、例えば、マニュアルを作成するとともに、定期的に研修を実施するなど職員等に対し周知徹底を図っているか。  
C 顧客の本人確認に関する記録及び顧客との取引に係る記録が、速やかに作成され、法令に定められた期間、適切に保存されているか。  
D 顧客管理体制について定期的に内部監査を実施しているか。  
(9) 個人情報の保護等を適切に実施するため、 安全管理措置など顧客等の個人情報の管理体制を整備しているか。
@ 個人情報保護に係る基本方針の策定、公表を行っているか。  
A 個人情報保護に係る諸規程の作成など、社内諸規則を整備しているか。
また、個人情報管理に関する組織的な安全管理・責任体制を確保しているか。
 
B 個人情報の利用目的を特定及び公表・通知し適正に取得しているか。  
C 個人情報漏洩防止などのための安全管理措置を整備しているか。  
D 個人情報の管理の方法等に関し、例えばマニュアルを作成し定期的に研修を実施するなど、職員等に対して周知徹底を図っているか。  
E 開示及び訂正等の請求、苦情処理などに対応する個人情報保護対策組織を整備しているか。  
F 個人情報保護のための管理体制について定期的に内部監査を実施しているか。  
2.「法令等遵守・実施計画」のチェック (1) 法令等遵守を実践していくための具体的な実践計画(規程の整備 、内部統制の実施計画、役職員の研修計画など。 以下「法令等遵守・実施計画」と称する。)があるか。  
(2) 「法令等遵守・実施計画」が策定され、適時、適切に見直しが行われているか。  
(3) 「法令等遵守・実施計画」の進捗状況や達成状況がフォロ−アップされているか。  
(4) 「法令等遵守・実施計画」の担当部署の責任が明確になっているか。 また、取締役会は、 その進捗状況や達成状況を正確に把握し、 評価しているか。  
(5) 「法令等遵守・実施計画」の策定に当たっては、営業部店の規模や性格等に配慮するとともに、そのプログラムの実施状況及び効果を業績評価、人事考課等に公平に反映しているか。  
W.法令等遵守のための具体的施策の実施状況 1.管理部門の実効性のチェック (1) 法令等遵守管理関係の組織形態、権限、人員配置等は適切なものとなっているか。また、それらは適切に機能しているか。  
(2) 総括管理責任者は、法令等遵守の整備等その職務を果たしているか。  
(3) 総括管理責任者と取締役社長との連携、総括管理責任者と統括管理責任者、管理担当責任者及び営業責任者の関係を明確にし、それが適切に機能しているか。  
(4) 法令等遵守担当部門(監査(検査)、営業考査、売買審査等)が適切に配置され、各部門の所掌事項が明確にされるとともに、相互の連携が密接に保たれているか。  
(5) 各部門の調整等が必要な場合、適切に機能する体制となっているか。
例えば、営業店への指示内容が各部門で異なる場合等において、どの部門が調整部局となるか明確になっているか。
 
(6) 営業部門等(本店営業部門、営業店等)に法令等遵守担当者(管理担当責任者)及び営業責任者が適切に配置されているか。また、管理担当責任者の職務遂行に際し、同管理担当責任者が配置されている営業部門の長から独立して職務を遂行する体制、権限等となっているか。また、それが明確に規定されているか。  
(7) 営業部門等に配置された管理担当責任者が、 定期的に統括管理責任者に、また必要に応じて総括管理責任者に当該営業部門等の法令等遵守の状況について報告する体制となっているか。  
(8) 総括管理責任者は、常時、的確に法令等遵守関連の情報を収集し、掌握しているか。 また、掌握した情報の中で法令等の遵守に関する情報については、適切な手段、方法により、役職員に周知徹底させているか。また 、その状況を把握しているか。  
(9) 法令等遵守管理業務を適切に遂行していくための各種管理資料は、適正に作成され、有効に利用されているか。また、当該管理資料が適切に保管されているか。  
(10) 日商協、取引所等の自主規制機関からの注意事項、調査依頼等に対して適切に対応しているか。関係書類の作成、保管は的確になされているか。  
(11) 広告に係る社内管理責任者が設置されているか。  
2.法令担当部門の設置・社内規程の整備状況のチェック (1) 法令・社内規程等の指導解釈等を行う担当部署が明確となっているか。  
(2) 必要な社内規程が適切に整備されているか。例えば、日商協規則等において社内規程の制定が必要とされているものが整備されているか。  
(3) グル−プ企業内の既存の共通ル−ルがある場合等において、そのような社外のル−ルを導入する際に、我が国の商品取引関係法令等に照らして、当該ル−ルが妥当かあるいは十分かどうか (補充の規程の要否)等について検討を行っているか。  
(4) 営業部門等で法令・社内規程等の解釈等について疑義があった場合、法令等担当部署に確認がなされているか。 営業部門等での独自の解釈等で業務を行っていないか。  
3.外務員等の法令等の理解の促進及び法令等の遵守意識の徹底のための施策の実施状況のチェック (1) 法令等担当部署において、 外務員等に周知すべき法令通達 (日商協及び商品取引所からの注意文書等を含む。)が全て的確に把握されているか。
また、これらの法令通達を単に各営業部門等に配布しているだけでなく、制定の趣旨やその取扱いについて解説しているか。
 
(2) 当該商品取引員における新たな商品の販売に際しては、法令等の適合性の検討にとどまらず、新たな商品の特性等を十分検討し、役職員に対し周知徹底させているか。また、周知徹底されることを確保する体制が整備されているか。  
(3) 法令等担当部署は、外務員等に対し法令通達及び社内規程等を適切な方法で周知しているか。例えば、社内配布・回覧等により周知するほかに研修や会議等において理解を深める等その徹底を図っているか。  
(4) 営業部門等において、各外務員等に対し法令通達及び社内規程等を適切に周知しているか。また、法令等担当部署は、営業部門等に対し周知の方法等について指導等を行っているか。  
(5) 法令等について、それらの適切な理解がなされるような方法で周知されているか。例えば、具体的事例に則した教育を行っているか。  
(6) 外務員等研修、会議等において法令等遵守意識の徹底が図られているか。  
(7) 外務員等研修、会議等の結果、法令等の理解状況及び法令等遵守意識の徹底等の効果について、法令等担当部署が何らかの形で把握しているか。  
(8) 法令等の不知又は理解不足、法令等遵守意識の欠如が原因となる法令違反、事故、事務ミス等が生じた場合、法令等担当部署がその事実を把握する体制となっているか。  
(9) 社内監査において法令等遵守状況及び法令等の周知の徹底が、的確に検証されているか。  
(10) 外務員等に対する研修等の効果が不十分であること、 外務員等の法令等の不知又は理解不足、又は法令等遵守意識の欠如が把握された場合、その原因を究明し、それらを改善するための対応策を実施する体制となっているか。  
4.業務運営体制のチェック (1) 業務運営体制・方法は、法令等に適合した内容となっているか。  
(2) 管理部門等は、 新たな法令通達及び社内規程等が発出された場合において、既存の業務運営等がそれに適合しているかの検討を行っているか。
また、改善が必要な場合は対策がとられているか。
 
(3) 管理部門等は他の営業部門等がどのような業務運営を行っているかを把握・理解しているか。 また、管理部門等により、通常の業務運営方法によらない不適正な業務運営が行われていないか等の必要なチェックは行われているか。  
(4) 営業部門等の管理担当責任者により日常の業務運営の点検 ・指導がなされているか。  
(5) 問題点が把握された場合において、その原因を究明し、必要な対策を行っているか。  
(6) 業務運営において、管理者が承認をする又は報告を受けるなど、管理体制が的確に機能しているか。  
5.外務員管理体制及び顧客管理体制のチェック (1) 管理体制の整備
@ 顧客に対して商品取引の勧誘業務を行う外務員について適切な管理が行われているか。また、営業店における日常的なチェックシステムは十分か。また、それは有効に機能しているか。  
A 顧客管理体制は的確に整備され、機能しているか。  
B 外務員管理及び顧客管理について、管理担当責任者及び営業責任者が、その職責をもって適切に把握する体制となっているか。  
C 外務員管理及び顧客管理関係の社内規程は適切に整備されているか。  
D 外務員が商品取引の特性等を把握した上で顧客に対し十分な説明を行っていることについて確認する体制となっているか。  
E 顧客の商品取引の勧誘のための資料等について、適切な審査等を行う体制となっているか。  
F 商品取引が公正に行われ、商品取引市場の透明性や受託業務の信頼性を確保するために、不当な勧誘等の防止のための方策を講じているか。また、それは適切に機能しているか。  
(2) 営業店における営業実態の把握
@ 外務員の顧客に対する商品取引の勧誘行為は、顧客の属性等に配慮する等委託者保護の観点から適切なものとなっているか。  
A 外務員の勧誘について、管理担当責任者及び営業責任者がチェックする体制となっているか。  
B 不当な勧誘等の防止のための確認は適切に行っているか。  
C 管理担当責任者及び統括管理責任者は、注文伝票等のチェックに際し、適切な営業活動が行われているかという観点から検証を行っているか。  
D 市場仲介者として誠実かつ公正であるべき商品取引員の営業姿勢として不適切なものはないか。  
X.法令等に違反した場合の懲罰規程の整備 ・運用状況 法令等遵守状況の点検体制のチェック (1) 取締役等は、取締役等の法令等違反行為を発見した場合には、法律上要求される下記の権限を忠実に実行するとともに、業務の健全化に必要な対応策を迅速に講じているか。
@ 取締役
ア.取締役会の招集(会社法366条)
イ.株主(監査役又は監査役会)への報告(会社法第357条)
 
A 会計参与(任意設置機関)
ア.株主(監査役又は監査役会)への報告(会社法第375条)
イ.株主総会における意見陳述(会社法第377条)
 
B 監査役
ア.取締役の違法行為の差し止め(会社法第385条)
イ.取締役(取締役会)への報告(会社法第382条)
ウ.取締役会の招集(会社法第383条第2項)
エ.株主総会に対する意見報告(会社法第384条)
 
C 会計監査人(任意設置機関)
ア.監査人に対する報告(会社法第397条)
イ.株主総会における意見陳述(会社法第398条)
 
(2) 取締役は、取締役会の構成員として相互に監視義務を負っていることを自覚し、その遂行のために必要な行為を忠実に実施しているか。  
(3) 取締役等は、商取法第236条第1号に該当することとなっていないか。  
(4) 適切な人材が監査役として選任されているか。  
(5) 監査役による法令等の遵守状況についての監査が実施されているか。  
(6) 法令等に係る違反行為が発見された場合、特に、管理担当責任者等が違反行為と承知した場合に、総括管理責任者、統括管理責任者及び法令等遵守統括部署に対する報告体制が整っているか。  
(7) 社内において法令等遵守に関して重大な事項が発生した場合には、遅滞なく代表取締役及び取締役会に報告されているか。  
(8) 法令等に係る違反行為が発見された場合、特に、管理担当責任者等が違反行為と承知した場合に、総括管理責任者、統括管理責任者及び法令等遵守統括部署に対する報告体制が整っているか。  
(9) 懲罰規程が整備されているか。 また、法令等違反者に対する処分は、厳正かつ公正に行われているか。なお、違反者及び違反行為を隠蔽した者に対しては、 特に厳格に対処しているか。  
(10) 総括管理責任者に適切な人材を確保し、総括管理責任者の責務である役職員に対する法令等遵守の意識の徹底と内部管理体制の整備について、十分その機能を発揮し得る方策が講じられているか。  
Y.訴訟等 1.訴訟についての重要性の認識  取締役会は訴訟を提起すること及び提起されることの重要性を十分認識しているか。  
2.訴訟への対応 会社役職員の行為によって株主に不利益となるような行為を引き起こすことに対して十分な注意を払っているか。 例えば、役職員に対する啓発や後述する内部連絡体制の整備などによって、経営の健全性を確保するような努力を行っているか。  
3.内部連絡体制 相互牽制の実効性確保の観点から役職員の行為に対して法令上問題があると判断した他の役職員が、法律専門家等に相談 ・連絡できるような体制が採られているか。  
Z.商品取引員とその経営者等が遵守すべき具体的な法令等 1.法規制の概要  「商品取引員」に対する法規制等
(1) 法律
@ 商品取引所法  
A 民法、会社法、手形法、小切手法  
B 消費者契約法  
C 法人税法等の関係税法  
D 金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律  
E 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律  
F 個人情報の保護に関する法律  
G 公益通報者保護法  
H その他兼業業務及び特定業務に係る関係法  
(2) 各法律に関する政令省令等  
(3) 諸規則
各商品取引所、日商協、日本商品清算機構(以下清算機構という。 )及び日本商品委託者保護基金(以下委託者保護基金という。)の定める規則。
 
2.商取法の規制
(1)「受託業務」に関する法規制
@ 誠実かつ公正の原則(商取法第213条)  
A 不当な勧誘等の禁止(商取法第214条)
ア.断定的判断の提供(第1項第1号)  
イ.損失負担又は利益保証による委託の勧誘(第1項第2号)  
ウ.一任売買(第1項第3号)  
エ.フロントランニング(第1項第4号)  
オ.執拗な勧誘(第1項第5号)  
カ.迷惑勧誘(第1項第6号)  
キ.勧誘不告知・確認義務違反の勧誘(第1項第7号)  
ク.同一市場の同一商品で同一数量同一限月の両建勧誘(第1項第8号)  
ケ.その他主務省令で定めるもの(第1項第9号)
禁止行為(商取法施行規則第103条)
(ア)返還拒否・遅延(第1項第1号)
(イ)商品取引受託業務に係る取引と自己取引を対当させ、委託者の利益を害する取引(第1項第2号)
(ウ)無断売買(第1項第3号)
(エ)商品取引所に対する取引の虚偽報告(第1項第4号)
(オ)特別利益の提供を約しての勧誘(第1項第5号)
(カ)取引単位を告げない勧誘(第1項第6号)
(キ)委託者の決済を結了する意志を無視した勧誘(第1項第7号)
(ク)虚偽表示又は重要事項に誤解を生ぜしめるべき表示(第1項第8号)
(ケ)特定の商品の売付け又は買付けと対当する取引でこれらの取引と数量又は期限を同一にしないものの委託をその取引を理解していない顧客から受けること。(第1項第9号)
 
B 適合性の原則(商取法第215条)  
C 受託契約準則への準拠(商取法第216条)  
D 受託契約の締結前の書面の交付(商取法第217条)  
E 説明義務及び損害賠償責任(商取法第218条)  
F 取引方法の別の明示(商取法第219条)  
G 取引の成立の通知(商取法第220条)  
(2)「商品取引」に関する法規制 @ 商品市場類似施設の開設の禁止(商取法第6条)  
A 仮装取引、なれ合い取引等の禁止(商取法第116条)  
B のみ行為の禁止(商取法第212条)  
C 相場による賭博行為等の禁止(商取法第329条)  
D 委託の媒介等の禁止(商取法第330条)  
E 店頭商品先物取引(商取法第349条)  
(3)「委託者保護」に関する法規制 @ 委託者の占有する商品等の処分の制限(商取法第209条)  
A 受託に係る財産の分離保管等(商取法第210条)  
B 商品取引員の委託者保護基金の加入義務(商取法第299条)  
C 商品取引員の所属する委託者保護基金への負担金の納付商取法第314条)  
(4)帳簿の作成及び区分経理等 @帳簿の区分経理及び保存(商取法第115条)
法定帳簿(商品取引所法施行規則第50条別表第三)
ア.先物取引日記帳  
イ.先物取引勘定元帳  
ウ.先物取引建玉計算帳  
エ.先物取引受渡計算帳  
A帳簿の作成等(商取法第222条)
法定帳簿(商品取引所法施行規則第113条別表第五)
ア.注文伝票  
イ.先物取引計算帳  
ウ.委託者別先物取引勘定元帳  
エ.証拠金等出納帳  
オ.委託者別証拠金等現在高帳  
カ.預り有価証券差入明細帳  
キ.委託者総合管理表  
ク.委託者別資産管理・保全台帳  
B 帳簿の区分経理(商取法第223条)  
(5)「業務」に関する法規制 @ 商品取引受託業務の許可(商取法第190条)  
A 届出事項(商取法第195条)  
B 兼業業務等の届出等(商取法第196条)  
C 廃業の届出等(商取法197条)  
D 標識の掲示(商取法第198条)  
E 名義貸しの禁止(商取法第199条)  
F 報告書の提出(商取法第224条第2項)
業務又は財産状況に関する報告書(商取法施行規則第117条)
事故等の発生状況及びその処理状況報告(第1項第3号)
 
(6)「経理」に関する法規制 @ 許可の基準(商取法193条)  
A 純資産額規制比率(商取法第211条)  
B 商品取引責任準備金(商取法第221条)  
C 報告書の提出(商取法第224条)
ア.事業報告書(商取法施行規則第116条)  
イ.業務又は財産状況に関する報告書(商取法施行規則第117条)
(ア)純資産額に関する調書(第1項第1号)
(イ)財産の分離保管等に関する調書(第1項第2号)
(ウ)月計残高試算表及び定期業務報告書(第1項第4号)
 
(7)外務員に関する法規制 @ 外務員の登録及び届出(商取法第200条、203条)  
A 外務員の登録の取り消し等(商取法第204条)  
(8)監督に関する法規制 @ 合併、新設分割、吸収分割及び営業譲渡等の認可(商取法第225条〜第228条)  
A 報告徴収及び立入検査(商取法第231条)  
B 業務改善命令等(商取法第232条)  
C 勧告(商取法第233条)  
D 資産の国内保有(商取法第234条)  
E 純資産額規制比率についての命令(商取法第235条)  
F 監督上の処分(商取法第236条)  
G 委託者保護基金への通知(商取法第303条)  
H 商品先物取引協会員たる資格の加入制限(商取法第251条)  
I 協会員の制裁規程(商取法第253条)  
(9) 罰則 @ 風説の流布、偽計、暴行、脅迫(商取法第356条)  
A 検査拒否、妨害及び忌避(商取法第362条)  
B 報告徴収に係る虚偽報告等(商取法第362条)  
(2) 取引の公正確保に係る法令諸規則の遵守に関する検査用マニュアル
A. 本マニュアルは、取引の公正確保に係る法令諸規則の遵守状況を把握する際の検査官の着眼点についてとりまとめたものである。「取引の公正確保に係る法令諸規則」とは、商品取引所法の関係法令及び関連する諸規則をいう。
取引の公正確保に係る法令諸規則の遵守に関する検査用マニュアル
項目 検査の実施項目 検査における着眼点 チェック欄
商品取引受託業務(以下、「営業」という。)の状況 1.営業の基本的態度 (1) 目的
営業の状況の検査は、商品取引員の営業内容について、その特質、動向を明らかにするとともに、商品取引員が業務の公共性を認識して、法令諸規則を遵守し、商品先物市場の担い手にふさわしい営業を行っているかどうかを見極め、基本的な問題点とその発生原因を明確にすることに目標を置いて実態把握を行うものとする。
 
(2) 基本的態度に係る着眼事項前記の目的を達成するために、次の点を着眼点とする。
@ 法令・諸規則は正しく遵守されているか。  
A 営業体制、営業方針等からみて営業姿勢は適正か。  
B 営業上の問題点及びその発生原因は何か。このため、以下の事項等について検討を行う。
ア.営業の特徴、 動向を示す計数を把握し、これによりどのような営業姿勢がとられていると考えられるか。
イ.営業方針、 営業推進方策(営業上の具体的指令、 業績の考課等)は適正と考えられるか。 それらは営業内容の実態と乖離したものとなっていないか。また、それらが営業姿勢についての問題点の原因となっていないか。
ウ.顧客紛争、約定取消、商品取引事故等の発生状況はどうか。特定部店又は扱者に偏って発生していることはないか。
エ.勧誘資料、営業企画の資料、各種会議録等から、 どのような営業が行われていると考えられるか 。
オ.広告に係る社内管理責任者等のチェックを経ずに商品先物取引情報 に関する印刷物等の配付を行っていないか。
(注)広告に係る社内管理責任者とは、日本商品先物取引協会の受託等業務関する規則に基づく。
カ.定期的な研修等、外務員の社内教育は十分行われているか。
キ.顧客カード等の活用により、 顧客属性に応じた勧誘を行う体制となっ ているか。
ク.親法人等又は子法人等との取引は適正なものとなっているか。その他親法人等又は子法人等との関係で不適切なものはないか。
 
(3) 営業姿勢・勧誘姿勢
@ 適切な勧誘を行っているか。
顧客の属性に照らして不適切な勧誘をしていないか。
 
A 適切な説明がなされているか。
ア.取引の内容(基本的な性格、 リスクの内容等)を十分理解させるよう説明しているか。
イ.顧客の勧誘に際して、リスクの高い取引であることを十分説明しているか。
ウ.取引メリットのみを強調し、 リスク等のデメリットの説明が不足していないか。
エ.勧誘に際し、誤解を生ぜしめるべき表示をしているものはないか。
オ.個別商品の勧誘理由は客観的なものか、 恣意的又は主観的なものになっていないか。
カ.経済合理性に欠ける取引の勧誘はないか。
 
B 法令諸規則に違反する勧誘となっていないか。
ア.事前交付書面等をルール通り交付しているか。 誤解を与える説明をしていないか。
イ.勧誘資料の内容に不適切なものはないか。 例えばその内容が恣意的なものとなっていないか。 また、広告に係る社内管理責任者等は、 適切な審査を行っているか。
ウ.勧誘に際し、虚偽や断定的な表示となるようなものはないか。
エ.その他、重要な事項の説明不足はないか。
 
(4) 委託取引
@ 法令違反行為等や過当な売買取引等
社内管理資料や大口顧客等の資料を参考にし、 顧客の資力に照らして過当な数量や頻度の高い売買、資金性格及び顧客の属性等を勘案して特異な取引顧客を選定し、以下の項目等について検討する。
ア.顧客の資力又は資金性格等を無視した過当な勧誘を行っていないか。
イ.顧客の就業形態等からして不自然な受注となっているものはないか。
ウ.過当な取引により売買損(値洗損)が発生している場合、顧客が取引について了承しているか。 また、商品取引事故、顧客との紛争になっているものはないか。
エ.立替金や取引証拠金の預託不足がないか。
オ.同一外務員が、 複数顧客から同一時刻に受注していないか。 受注時刻に対し約定成立が不自然ではないか。また、同一外務員の複数顧客の取引において取引が同調的になっているものはないか。
カ.受注時刻と約定時刻が逆転しているものはないか。
キ.両建があった場合、両建の勧誘はあったか。 また、委託者は、両建を理解していたか。
ク.短期間に損失となる反対売買を行って、更に他の商品に乗り換えていないか。
ケ.約定訂正等がないか。
 
A 顧客からの委託取引の実情
不適正な取引実態の有無を把握するため、 以下の項目等について顧客取引の実情の検討を行う。
ア.売買の集中している商品はないか。 それについてどのような勧誘が行われているか。その勧誘資料は、どのようなものを作成しているか。
イ.特定の商品の売買状況に特異な点はないか。 作為的な価格形成がなされていないか。 ウ.営業店又は営業員の売買高のうち売買が頻繁に行われている顧客は存在しないか。 その場合売買高はどの程度の割合になるのか。 一任売買、無断売買、顧客取引に仮装した商品取引員自身の売買等はないか。
エ.約定訂正処理は、適正に行われているか。
オ.顧客の取引と営業員自身の売買の関係に問題はないか。
カ.入出庫あるいは入出金等受け渡しに不自然なものはないか。
 
(5) 自己取引(顧客の取引との関連も踏まえ、 不適正な自己取引の有無を把握するため、以下の項目等について検討を行う。)
@ 自己取引が法令諸規則に準拠しているか。  
A 顧客の委託取引との関係で顧客の利益を害する自己取引を行っているものはないか。  
B 自己取引を顧客に付け替えているものはないか。  
C 不適正な自己勘定への付け替えはないか。  
D 事務ミスとして自己に付け替えたものの中で不適正な取引を行っているものはないか。  
E 関係会社や系列・友好関係にある商品取引員等を利用して不適正な取引を行っていないか。  
F 顧客との利益相反を防止する観点から自己取引と委託取引を行う担当部署で情報隔離を行うなど適切な処置が取られているか。  
2.不当な勧誘等の禁止【商取法第214条第1号から第9号】主務省令に定める禁止事項【施行規則第103条】【商品先物取引の委託者保護に関するガイドライン】
勧誘に先立って顧客に対して自己の商号及び商品市場における取引等の勧誘である旨を伝え、勧誘を受ける意志の有無の確認をしているか。また、商品取引員が顧客の勧誘等に当たって法令に抵触する勧誘等を行っているか。
(注)「勧誘」とは、商品取引員が顧客に対して、商品先物取引の受託契約締結行為又は契約締結後の個々の取引の委託の意思形成に影響を与える程度に商品先物取引を勧める行為をいう。
(1) 不当な勧誘等の禁止(商取法第214条)
@ 断定的判断の提供による勧誘(第1項第1号)  
A 損失負担又は利益保証による委託の勧誘(第1項第2号)  
B 一任売買(第1項第3号)  
C フロントランニング(第1項第4号)  
D 執拗な勧誘(第1項第5号)  
E 迷惑勧誘(第1項第6号)  
F 勧誘不告知・確認義務違反の勧誘(第1項第7号)  
G 同一市場の同一商品で同一数量同一限月の両建勧誘(第1項第8号)  
H その他主務省令で定めるもの(第1項第9号)  
(2) 禁止行為(商取法施行規則第103条)
ア.委託者に対する債務の返還拒否等(第1項第1号)  
イ.商品取引受託業務に係る取引と自己取引を対当させ、委託者の利益を害する取引(第1項第2号)  
ウ.無断売買(第1項第3号)  
エ.商品取引所に対する取引の虚偽報告(第1項第4号)  
オ.特別利益の提供を約しての勧誘(第1項第5号)  
カ.取引単位を告げない勧誘(第1項第6号)  
キ.委託者の決済を結了する意思を無視した勧誘(第1項第7号)  
ク.虚偽表示又は重要事項に誤解を生ぜしめるべき表示(第1項第8号)  
ケ.特定の商品の売付け又は買付けと対当する取引でこれらの取引と数量又は期限を同一にしないものの委託を、その取引を理解していない顧客から受けること。(第1項第9号)  
3.適合性の原則遵守【商取法第215条】【商品先物取引の委託者の保護に関するガイドライン】 商品取引員が受託業務を行うに当たって十分に委託者保護に努めているか。
@ 勧誘に当たっての前提となる顧客の属性について十分把握しているか。  
A 顧客の知識、 経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っていないか。
ア.常に、不適当と認められる勧誘
(ア)未成年、成年被後見人、被保佐人、被補助人、精神障害者、知的障害者及び認知障害の認められる者に対する勧誘
(イ) 生活保護法による保護を受けている世帯に属する者に対する勧誘
(ウ) 破産者で復権を得ない者に対する勧誘
(エ) 商品取引をするための借入れの勧誘
イ.原則として、不適当と認められる勧誘
(ア)給与所得等の定期的所得以外の所得である年金、恩給、退職金、保険金等により生計をたてている者に対する勧誘
(注)「生計をたてている」とは、年金等の収入が収入全体の過半を占めている場合をいう。
(イ) 一定以上の収入を有しない者に対する勧誘
(注)「一定以上の収入」とは、年間500万円以上を目安とする。
(ウ) 投資可能資金額を超える取引証拠金等を必要とする取引に係る勧誘
(エ) 一定の高齢者に対する勧誘
(注)「一定の高齢者」とは、年齢75歳以上を目安とする。
 
B 顧客の適合性についての社内審査手続きにおいて、営業部とは独立した組織である管理部門において厳格な審査をし、統括管理責任者がこれを決裁しているか。また、この場合において審査過程と判断根拠を具体的に記載した書面を作成しているか。  
C 商品先物取引未経験者の保護措置。
過去一定期間以上にわたり商品先物取引の経験がない者に対し受託契約締結後の一定の期間において商品先物取引の経験がない者にふさわしい一定取引量を超える取引の勧誘を行っていないか。
(注)「過去一定期間以上」とは、直近3年以内に延べ90日間以上を目安とする。
(注)「一定の期間」とは、最初の取引を行う日から最低3ヶ月を経過する日までの期間を目安とする。
(注)「一定取引量」とは建て玉時に預託する取引証拠金等の額が顧客が申告した投資可能資金の1/3となる水準を目安とする。
 
4.説明義務の履行【商取法第217条】【施行令第11条】【施行規則第104条から第107条】【商取法第218条】【施行規則第108条】【受託契約準則】【商品先物取引の委託者の保護に関するガイドライン】 商品取引員は、受託契約を締結しようとする場合、あらかじめ「商品先物取引の仕組みとリスク等」を顧客に対して十分説明しているか。
@ 受託契約を締結しようとするときに、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、 顧客に対して必要事項を記載した書面を交付しているか、 又は電磁的方法で政令で定めるところにより提供しているか。  
A 受託契約を締結しようとするときに、顧客に対して必要事項を記載した書面の交付等をした後、必要事項を十分理解できるよう説明しているか。
また、これらの事項について、顧客が理解していることを書面等にて確認しているか。
 
(3) 受託に係る財産の分離保管等に関する検査に係るチェックリスト及びマニュアル
A.@ 委託者資産の分離保管等体制の確認検査用チェックリスト
本チェックリストは、商品取引所法第210条並びに商品取引所法施行規則第97条及び同第98条の保全措置に関する規定に基づき、委託者資産の安全性の確保の観点から、商品取引員に義務付けられる委託者から預託を受けた保全対象財産について、法令諸規則に則り保全措置が適正に実施されているか等について重点的に確認するために作成した。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
委託者資産の分離保管等体制の確認検査用チェックリスト
項目 委託者資産の分離保管等措置のチェック項目 委託者資産の分離保管等措置のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.分離保管等に対する取締役の認識等 1.取締役の委託者資産の分離保管等の措置に対する理解及び認識 取締役は、委託者資産の分離保管等の措置が委託者保護、ひいては商品市場の健全な発展に資するものであることを理解したうえで、受託に係る財産の分離保管の重要性を認識しているか。  
2.委託者資産の分離保管等の措置のための組織体制等の整備 (1) 取締役会は、委託者資産の分離保管等の措置の担当部署を明確に定める等、分離保管が適切に行われる体制を整備しているか。  
(2) 取締役会は、 委託者資産の保全を信託又は銀行等保証によって行う場合には、当該金融機関の信用状況を必要に応じチェックする体制を整備しているか。  
(3) 取締役会等において、委託者資産の分離保管等の措置に関する管理規程を明確に定めているか。  
(4) 取締役会等は、委託者資産の分離保管等の措置に関する管理規程において、管理方法、決裁権限及び管理者を定めているか。
(注)「管理者」とは、「分離保管業務を所掌する部門の管理職(取締役を含む。)等をいう。
 
3.取締役会に対する状況報告と組織全体の意思決定への活用 (1) 取締役会は、定期的に委託者資産の分離保管等措置の状況に係る報告を受けているか。  
(2) 代表取締役は、 定期的な状況報告のほかに、必要に応じて随時に 委託者資産の分離保管等措置の状況報告を受けているか。  
U.分離保管等の義務遵守体制 1.委託者資産の分離保管等措置の適切な実行 (1) 管理者は、法令諸規則及び管理規程を分離保管等措置担当者全員に周知徹底しているか。また、法令諸規則が変更され、あるいは管理規程を変更した場合にもその内容を周知しているか。  
(2) 担当者全員が、分離保管等措置に関する法令諸規則及び管理規程を適時確認できるよう備えているか。  
(3) 管理者は、管理規程に従い分離保管等措置を適切に実行するとともに、必要に応じて管理規程の見直しを行っているか。  
(4) 主務省の検査等の結果に基づく対応等について周知が図られているか。
また、具体的な指摘事項を確認し、指摘事項に対応 した措置が講じられているか。
 
(5) 管理者は、 分離保管等措置の実施状況について、統括管理責任者及び取締役会等へ報告しているか。また、報告体制について、社内規程等で明確にされているか。  
(6) 内部監査部門は、社内監査マニュアルに基づき分離保管等措置が適正に実行されていることを検証し、その結果を取締役会等に適切に報告しているか。  
(7) 分離保管等措置の計算及び管理等を行うことについて所要のシステムサポートの構築等が行われていることが望ましい。  
(8) システムサポートが行われている場合には、プログラムの内容が法令諸規則に準拠していることを検証するほか、必要に応じプログラムの見直し等を行っているか。  
(9) 法令諸規則の変更があった場合に適切にシステム対応ができているか。  
(10) 関係者(システム作成者、運用管理者及びこれを使用する現場責任者)の間でチェックが実施されているか。  
(11) システム障害があった場合の分離保管等措置について対策が講じられているか。  
2.委託者資産の分離保管等の措置の管理体制 (1) 保全対象財産の算出方法、算出対象が規定され、算出データの正確性についてのチェックが行われているか。  
(2) 分離保管等に関する調書の保全対象財産額について、 委託者別資産管理 ・保全台帳の保全対象財産額と日々照合を行っているか。
分離保管等に関する調書の委託者資産保全措置額について次の@からCの契約ごとに該当する金融機関又は委託者保護基金の残高又は契約額と日々照合を行っているか。
@ 信託契約
A 委託者保護基金への預託契約
B 保証委託契約
C 代位弁済委託契約
 
(3) 日々の照合を行った結果、 不一致が発生した場合には、その原因分析を行っているか。管理者はその不一致の発生原因を究明できない場合には、直ちに統括管理責任者に報告するとともに内部監査部門へ報告しているか。  
(4) 不一致が発生した場合の社内の対応等について適切な措置が講じられる体制ができているか。  
A 委託者資産の分離保管等検査用マニュアル
1.委託者資産の分離保管等に関する検査の目的
商品取引員における委託者資産の分離保管等措置は、 商品取引員が破綻した場合において委託者の資産が適切かつ迅速に返還されないこととなれば、委託者に予期せざる損失が生じる可能性があることから、商品取引員における委託者資産の分離保管等措置を徹底することにより、委託者資産が顧客に適切に返還されるための制度である。
検査に当たっては、 委託者から預託を受けた保全対象財産の保全措置が適正に実施されているか検証する。
2.委託者資産の分離保管等措置に関する検査の方法
@ 委託者資産の分離保管等措置については、法令諸規則により詳細に定められていることから、法令諸規則に従った適正な処理がなされているかを検証する。
A 委託者資産の分離保管等措置に係る検査は、検査対象期間の全般にわたり調査することを原則とするが、当該商品取引員の規模等に応じて検査対象期間における特定の日を抽出して部分確認を行うなど当該商品取引員の日常業務に支障がないよう配慮する。
A 委託者資産の分離保管等検査用マニュアル
項目 検査の実施項目 検査における留意点 チェック欄
T.分離保管等措置義務(保全措置業務) 1.保全対象財産【商取法第210条】【施行規則第97条】 (1) 委託者から預託を受けた金銭、有価証券その他の物及び委託者の計算に属する金銭、有価証券その他の物の価額に相当する財産については、その保全のため、商品取引員のその他の財産から分離して信託会社又は信託業務を営む金融機関に信託すること、委託者保護基金に預託することその他の主務省令で定める措置を講じているか。  
(2) 商品取引受託業務に係る預り金について、「受託契約準則第28条(商品取引受託業務に係る預り金についての取扱い)」 に従い適正に処理されているか。  
2.委託者資産保全措置【商取法第210条】【施行規則第98条】【委託者保護基金業務規程】【受託契約準則】 (1) 次の@からCのうち1以上の措置をしているか。
(注)( )内は、委託者保護基金業務規程(以下、「業務規程」という。)において定める「契約」である。
@ 信託契約(指定信託契約)  
A 委託者保護基金への預託契約(基金分離預託契約)  
B 保証委託契約(銀行等保証委託契約)  
C 代位弁済委託契約(基金代位弁済委託契約)  
(2) 契約は、施行規則第98条の規定に基づく法定要件及び業務規程に定める要件を満たしているか。  
(3) 上記(1)の契約を締結、 変更したときに、遅滞なく契約書の写しを主務大臣に提出しているか。また、信託契約を変更したときは、当該信託会社又は信託業務を営む金融機関が発行する残高証明書を添付しているか。  
(4) 上記(1)の契約を解除しようとするときは、その30日前にその旨を主務大臣に届け出ているか。  
(5) 有価証券を基金に預託し、又は施行規則第98条第4項の各号に掲げる金融機関に担保として提供し、若しくは信託する場合に、委託者の同意を得ているか。  
(6) 信託契約について
@ 信託管理人は、施行規則第98条第1項ロ、ハに定める者であるか。
(注)信託管理人として、指定される役職員は、統括管理責任者であることが望ましい。
 
A 複数の信託契約を締結する場合は、それらの契約に係る信託管理人が同一人とされているか。  
(7) 自社の商号・代表者・住所・届出印鑑及び信託管理人の住所・氏名・届出印鑑等に変更のあるときは、当該契約の定めに基づき所定の手続きがとられているか。  
(8) 分離保管弁済契約が業務規程に基づき適正に締結されているか。  
3.分離保管等に関する調書【施行規則第117条】 (1) 委託者資産保全措置額(信託契約額、委託者保護基金への預託額、保証委託契約額、代位弁済委託契約額)は、それぞれ関係する帳簿等に基づいて計算されたものであるか。  
(2) 適正に計算・記帳・保全されているか。  
(3) 委託者別資産管理 ・保全台帳及び月計残高試算表と数値は整合が取れているか。  
4.法定帳簿【施行規則第113条】 委託者別資産管理・保全台帳
(1) 適正に計算・記帳されているか。  
(2) 適正に保存されているか。  
5.経理処理 月計残高試算表等
(1) 各契約に係る経理処理について、統一経理基準に基づき正確に処理されているか。  
(2) 保証委託契約について、 担保設定が委託者保護基金に対する報告書類に正確に記載されているか。  
(3) 代位弁済委託契約について、担保設定が委託者保護基金に対する報告書類に正確に記載されているか。  
6.締め後入金 (1) 社内規程が整備され、それに基づいた取り扱いがなされているか。  
(2) 法定帳簿、分離保管等に関する調書及び月計残高試算表等において、適正に記帳・報告がなされているか。  
(4) 取引証拠金等に関する検査に係るチェックリスト及びマニュアル
@ 取引証拠金等の管理体制の確認検査用チェックリスト
商品取引員は、 商品取引所法第179条並びに商品取引所法施行規則第72条及び同第73条の規定に基づき、商品市場における取引の受託について、委託者が取引の担保として差し入れた取引証拠金を当該委託者の代理人として、清算機関に直接預託することが原則であるが、委託者の同意を得て委託証拠金の預託を受けた場合には、商品取引員が当該差し入れ又は預託を受けた額以上の金銭又は充用有価証券等を取引証拠金として差換預託をすることができる。
従って、 本チェックリストは商品取引員において委託者から差し入れられた取引証拠金等について管理が適正に実施され、法令等に則った取扱いがなされているか等について重点的に確認するために作成した。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
@ 取引証拠金等の管理体制の確認検査用チェックリスト
項目 取引証拠金等管理のチェック項目 取引証拠金等管理のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.取引証拠金等預託制度に対する取締役の認識等 1.取締役の取引証拠金等預託制度に対する理解及び認識 取締役は、取引証拠金等預託制度について十分理解し、取引証拠金等が保全措置の対象となる委託者資産として重要であることを認識しているか。  
2.取引証拠金等の管理のための組織体制等の整備 (1) 取締役会は、取引証拠金等の管理担当部署を明確に定める等、管理が適切に行われる体制を整備しているか。  
(2) 取締役会等において、取引証拠金等に関する管理規程を明確に定めているか。  
(3) 取締役会等は、 取引証拠金等に関する管理規程において、管理方法、決裁権限及び管理者を定めているか。  
3.取締役会に対する状況報告と組織全体の意思決定への活用 (1) 取締役会は、定期的に取引証拠金等の管理状況に係る報告を受けているか。  
(2) 代表取締役は、定期的な管理状況報告のほかに必要に応じて随時に、管理状況報告を受けているか。  
U.管理義務遵守体制等 取引証拠金等管理の適正な実行 (1) 管理者は、 法令諸規則及び管理規程を管理担当者全員で周知徹底しているか。また、法令が変更され、あるいは管理規程を変更した場合にもその内容を周知しているか。  
(2) 担当者全員が、管理に関する法令諸規則、管理規程等を適時確認できるよう備えているか。  
(3) 管理者は、管理規程に従い取引証拠金等管理を適正に実行するとともに、必要に応じて管理規程の見直しを行っているか。  
(4) 主務省の検査等の結果に基づく対応等について周知が図られているか。
また、具体的な指摘事項を確認し、指摘事項に対応した措置が講じられているか。
 
(5) 管理者は、取引証拠金等管理の実施状況について、統括管理責任者及び取締役会等へ報告しているか。また、報告体制について、社内規程等で明確にされているか。  
(6) 内部監査部門は社内監査マニュアルに基づき取引証拠金等の管理が適正に実行されていることを検証し、その結果を取締役会等に適切に報告しているか。  
A 取引証拠金等検査用マニュアル
取引証拠金等管理に関する検査について
商品市場における取引の受託について、商品取引員が委託者等から担保として差し入れを受けた取引証拠金を委託者等の代理人として、また委託者等からの委託証拠金に係る取引証拠金を清算機関に預託することにより、委託者等は清算機関に対して直接取引証拠金の返還請求権を有することとなり、委託者債権の保全が図られる。
したがって、検査官は、商品取引員において委託者等から差し入れられた取引証拠金が適正に処理されているか検証する。
A 取引証拠金等検査用マニュアル
検査実施項目 検査における着眼点 チェック欄
1.取引証拠金等の預託【商取法第179条】【施行規則第72条】【受託契約準則】【業務方法書】【取引証拠金等に関する規則】 (1) 商品取引員が清算参加者である場合、清算機関と清算参加者契約を締結しているか。また商品取引員が非清算参加者である場合、商品清算取引の受託する他社清算参加者と清算受託契約を締結しているか。  
(2) 商品市場における取引の受託について、委託者等から担保として差し入れを受けた取引証拠金を委託者等の代理人として、また委託者等の差換預託の承諾を得た委託証拠金に係る取引証拠金を清算機関に適正に預託しているか。 (注)「委託者等」とは、委託者、取次者若しくは取次委託者又は清算取次委託者、清算取次者若しくは清算取次者に対する委託者をいう。  
(3) 取引証拠金等に関する規則第20条及び規則第22条に基づき、正しく区分し清算機関に申告しているか。  
(4) 清算機関に預託した取引証拠金が、法定帳簿に正しく記載されているか。  
2.取引証拠金の預託猶予【商取法第179条】【施行規則第44条、第45条】 (1) 取引証拠金の預託に代わる契約は、主務大臣の承認を受けているか。その契約書の写しを主務大臣及び清算機関に提出しているか。  
(2) 契約を解除したときは、その事実を証する書面を主務大臣及び清算機関に提出しているか。  
3.取引証拠金の差換預託【商取法第179条】【施行規則第73条】【受託契約準則】 委託証拠金の預託に係る委託者等の承諾
(1) 取引証拠金の清算機関に差換預託を行うため、委託者等から委託証拠金を預託させる場合は、当該委託者等から委託証拠金を預託させることについて書面(電磁的方法でも可)による同意を得ているか。  
(2) 有価証券により委託証拠金の預託を受けた場合、当該有価証券の時価評価額以上の額を取引証拠金として清算機関に預託しているか。
この場合、 取引証拠金を有価証券で預託する際は、取引証拠金として預託する有価証券の充用価格は、当該委託証拠金として預託を受けた有価証券の充用価格以上であるか。
 
4.取引証拠金の金額等【受託契約準則】 委託者から差し入れ又は預託を受けた取引証拠金等について、 適正に処理が行われているか。  
5.預り証拠金余剰額の返還【受託契約準則】 委託者から預り証拠金余剰額の全部又は一部の返還請求があったときは、原則として請求のあった日から起算して4営業日以内に請求に係る額を返還しているか。  
6.取引証拠金預り証の発行【受託契約準則】 委託者から取引の担保として取引証拠金の差し入れ又は預託を受けたときは、原則として委託者に対して取引証拠金預り証を発行しているか。  
5.(1) 純資産額規制比率に関する検査に係るチェックリスト及びマニュアル
@ 純資産額規制比率の管理体制確認検査用チェックリスト
商品取引員における純資産額(商品取引所法第211条に定める純資産額をいう。 )に関する規制は、商品取引員の業務が市場環境の変化に影響されやすいことを踏まえ、市況の急激な変化に伴い、収入の減少や保有資産の価値の下落等に直面した場合においても、商品取引員の財務の健全性が保たれ、委託者保護に万全を期すことができることをその目的としている。
そのためには、商品取引員の各種の業務に伴う各リスクを総体的に把握・管理し、各種のリスクが顕在化した場合においても、それに伴い発生する損失等に十分耐え得るだけの資金的裏付けのある換金可能性の高い純資産額を保持するように規制の枠組みが作られている。
このため、本チェックリストは、商品取引所法第211条及び商品取引所法施行規則に基づき、法令等に則った正確な純資産額規制比率の算出が行われていることを確認することはもとより、純資産額規制比率が商品取引員の健全性の指標であることに鑑み、純資産額規制比率に対する取締役等の認識等を確認するために作成した。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
@ 純資産額規制比率の管理体制確認検査用チェックリスト
項目 純資産額規制比率のチェック項目 純資産額規制比率のチェック項目に係わる説明 チェック欄
T.純資産額規制比率に対する認識等 1.取締役会の純資産額規制比率に関する理解及び認識 (1) 取締役会は、純資産額規制比率が商品取引員の健全性を計る最も重要な指標であることを認識し、純資産額規制比率に係る下記の規制を理解しているか。
【純資産額規制比率に係る規程】
100%を下回った場合の受託業務停止命令、受託業務許可取消(商取法第235条第2、3項)  
120%の維持義務(商取法第211条第2項)  
120%を下回った場合の監督命令(商取法第235条第1項)  
140%を下回った場合等の届出(商取法第211条第1項、施行規則第100条第1項)  
公衆縦覧義務(商取法第211条第3項)  
(2) 取締役会は、純資産額規制比率の正確な算出が極めて重要であることを認識し、その適正な算出のための組織及び手続きを整備しているか。  
(3) 取締役会は、純資産額規制比率の市場リスク相当額及び取引先リスク相当額の算出方法を理解しているか。  
(4) 取締役会は、純資産額規制比率に大きな影響を及ぼすおそれのある無担保委託者未収金の解消について適切に対応しているか。  
(5) リスク管理を担当する取締役は、毎営業日計算される市場リスク相当額及び取引先リスク相当額より見込まれる純資産額規制比率が、監督当局への報告を要する水準に比していかなる水準にあるかについて、的確に把握しているか。  
2.純資産額規制比率の適正な算出 (1) 管理者は、法令等に基づき正確に記帳された委託者総合管理表、その他法定帳簿等に基づき純資産額規制比率が算出されていることを検証しているか。
(注)「管理者」とは、「純資産額規制比率の算出を所掌している部門の管理職(取締役を含む)又は管理担当責任者」をいう。
 
(2) 経理担当部門において正確に委託者総合管理表、その他法定帳簿等を記帳するため、経過勘定項目等のチェックが行われているか。  
(3) 管理者は毎月、純資産額規制比率の推移及び変動要因を把握し、これを取締役会等に報告しているか。  
(4) 経理部門を担当する取締役は、勘定科目の振替等による意図的な純資産額規制比率向上策が行われていないことに責任を負っているか。  
3.リスク相当額の管理 (1) 市場リスク相当額
市場リスク相当額の計算に当たっては、施行規則第99条に基づいた正確な算出が行われているか。
 
(2) 取引先リスク相当額
取引先リスク相当額の算出に当たっては、施行規則第99条に基づいた正確な算出が行われているか。
 
4.純資産額規制比率の管理 (1) 純資産額規制比率の計算
@ 純資産額規制比率の算出担当部門において、日々適切に市場リスク相当額及び取引先リスク相当額の計算を行っているか。  
A 純資産額規制比率の算出担当部門において、純資産額の計算に必要となる情報及び市場リスク相当額、取引先リスク相当額の計算に必要となる情報について、適切な把握が行われているか。  
(2) 純資産額規制比率の報告及びディスクローズ
@ 主務省への純資産額規制比率の報告については、商取法及び施行規則に基づいて定期的に又は必要に応じて随時に行われているか。  
A 商取法の規定に基づいた純資産額規制比率の開示が、定期的かつ適切に行われているか。  
(3) 純資産額規制比率の把握
施行規則に基づいて毎営業日ごとに、純資産額規制比率の状況を適切に把握しているか。
 
A 純資産額規制比率に関する検査用マニュアル
純資産額規制比率の正確性の検証
被検査商品取引員の純資産額規制比率について商品取引所法第211条及び商品取引所法施行規則の定めるところにより、純資産額及び各リスク相当額の算定が正確に行われているかを検証する。
検証に当たっては別紙「純資産額規制比率に関する管理体制の確認検査用チェックリスト」により、 実態が的確に把握されていることを検証し、 純資産額規制比率の管理体制に関する評価を行うものとする。 また、純資産額又は各リスク相当額の算定が正確に行われていないことを把握した場合には、その背景・原因等となる純資産額規制比率の管理体制の問題点を把握するものとする。
特に、商品取引所法施行規則のうち、以下の点について、純資産額規制比率が適正に算定されているかを重点的に検証するものとする。
【純資産額計算基準】
・ 流動資産に属する資産に係る一般貸倒引当金、商品取引責任準備金、短期劣後債務及び長期劣後債務の合計額が基本的項目の額を超えていないか。(施行規則第38条第1項19号、第2項)
・ 長期劣後債務については基本的項目の額の50%相当額が限度であり、残存期間が5年以内になったものは、毎年、残存期間が5年になった時点における額の20%に相当する額を累積的に減価しているか。(施行規則第38条第1項第20号、2項( )書き)
・ 短期劣後債務については、 基本的項目の額から控除資産の額(流動資産に属する資産に係る一般貸倒引当金を除く)を控除した額の200%に相当する額を限度としているか。(施行規則第38条第2項( )書き)
(注) 基本的項目とは、施行規則第38条第1項第19号に定めるものをいう。
【純資産額(短期劣後債権・長期劣後債権)】
・ 短期劣後債権・長期劣後債権は次に掲げる性質のすべてを有しているか。(施行規則第38条第5項、第6項)
@ 担保が供されていないこと。
A 契約時又は発行時における貸付期間又は償還期間が短期劣後債権については2年以上5年以内(長期劣後債権については 5年超)のものであること。
【純資産額(短期劣後債務・長期劣後債務)】
・ 劣後借入金及び劣後特約付社債ついて主務大臣に届出書の提出がなされているか。 (法第195条第1項第4号、 施行規則第82条第1項第8号、 第9号、第10号)
・ 短期劣後債務・長期劣後債務は次に掲げる性質のすべてを有しているか。(施行規則第38条第7項、第8項)
@ 担保が付されていないこと。
A 契約時又は発行時における借入期間又は償還期間が短期劣後債務については2年以上5年以内(長期劣後債務については5年超)のものであること。
B 期限前弁済等の特約が付されている場合には、当該期限前弁済等が債務者である商品取引員の任意によるものであり、かつ、当該商品取引員が当該期限前弁済等を行うことについて主務大臣の承認を受けたときに限り、当該期限前弁済等を行うことができるものであること。
C 商品取引員が短期劣後債務についてはその元利金(長期劣後債務についてはその利金)の支払を行うことにより純資産額規制比率が120%を下回ることとなる場合には、当該元利金又は利金の支払を行わない旨の特約が付されていること。
【純資産額(保証債務の評価)】
・ 負債のうちに保証債務があるときは、 当該保証債務の額の25%に相当する額(債務保証損失引当金を計上している場合にあっては、 当該それぞれの保証債務の額の25%に相当する額又は債務保証損失引当金のうちいずれか大きい額)を評価額としているか。(施行規則第38条第4項)
【リスク相当額】
・ 毎営業日ごとに、 純資産額規制比率の状況を適切に把握するため施行規則に定められた算定方法に基づき、 市場リスク相当額及び取引先リスク相当額(施行規則第100条第3項関係様式第15号)を正確に計算しているか。(施行規則第99条)
【届け出等】
・ 毎月末の純資産額規制比率を翌月20日までに主務大臣に届け出ているか。(商取法第211条第1項、施行規則第100条第2項)
・ 純資産額規制比率が140%を下回った場合には、直ちに、その旨を主務大臣に届け出、かつ、営業日ごとに、純資産額規制比率に関する届出書に純資産額規制比率の状況を維持するため自らとるべき具体的措置に関する計画書を添付し、遅滞なく、主務大臣に提出しているか。(商取法第211条第1項、施行規則第100条第1項第1号、第3項、第4項第1号)
・ 純資産額規制比率が140%以上に回復した場合には、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出ているか。(商取法第211条第1号、施行規則第100条第 1項第 2号、第5項)
・ 純資産額規制比率が120%を下回った場合には、直ちに、その旨を主務大臣に届け出、かつ、 営業日ごとに、純資産額規制比率に関する届出書に純資産額規制比率の状況を回復させるために自らとるべき具体的措置に関する計画書を添付し、遅滞なく主務大臣に提出しているか。(商取法第211条第1項、施行規則第100条第1項第1号、第3項、第4項第2号)
・ 毎年3月、6月、9月及び12月の末日における純資産額規制比率を記載した書面を作成し、 当該末日から1月を経過した日から3月間、すべての営業所に備え置き、公衆の縦覧に供しているか。(商取法第211条第3項)
・ 毎営業日ごとに、純資産額規制比率の状況を適切に把握しているか。(施行規則第100条第6項)
(2) 純資産額検査用マニュアル
A.(2) 純資産額検査用マニュアル
商品取引員の財務に係る規制は、主務省令で定めるところにより算出された純資産額が委託者の保護のため必要な額として定められた純資産額の基準額を下回っていないことが許可の基準とされ、また、いわゆる維持要件として、純資産額の危険に対応する額に対する比率(純資産額規制比率)、純資産額が資本金額を下回っていないかどうか(純資産額資本金比率)、負債の合計金額の純資産額に対する比率(負債比率)、流動資産の合計金額の流動負債の合計金額に対する比率(流動比率)の各々について一定基準の充足が要求されており、これらが商品取引受託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎の指標として規制の枠組みを構成している。
したがって、 検査官は、当該商品取引員における純資産額及びその水準の妥当性を検証することが重要であり 、特に 、純資産額に関する調書等に計上されている資産・負債の各項目について適正な経理処理が行われ、 加えて計上資産については適切な評価の下での資産性の価値の判断が行われているか検証する必要がある。
資産・負債の評価査定に関する検査の目的
資産・負債の評価査定とは、商品取引員の保有する資産を個別に検討して、価値の毀損の危険性又は回収の危険性の度合いにしたがって区分することであり、委託者の損害の拡大の防止の観点から資産の不良化により商品取引員の財務内容がどの程度危険にさらされているかを判定するものとして、当該商品取引員の財務内容を的確に検証し、把握することが目的である。
資産・負債の評価査定に関する検査の方法
検査官は、資産・負債の評価査定に当たり、 入手可能な資料や状況をできる限り収集し、各種の資料等について十分な検討を行ったうえで、諸条件を総合的に勘案しつつ適切な判断の下に資産・負債評価査定を行うものとする。
また、検査の際に把握した問題点等について、 被検査商品取引員に対して主務省としての考え方を示し、 これに対する被検査商品取引員の考え方を十分確認するとともに、意見交換を行うものとする。
純資産額の算出に関する検査の方法
検査官は、 純資産額の算出に当たり、基準日(みなし決算日)における純資産額に関する調書に被検査商品取引員が計上している資産の実在性・回収可能性、負債の網羅性、損益の期間帰属の適正性について、 その内容が妥当なものかを検証し、計上漏れの資産・負債勘定はないか、簿外の勘定がないかなどに留意したうえ資産・負債評価査定等の方法により、基準日における実態を反映した純資産額を算出するものとする。
1.科目補正
財務書類の各勘定項目について検証を行い、 経理誤謬の是正、 両建相殺処理の補正等の被検査商品取引員の経理を正当に修正するものを科目補正として処理する。
2.評価査定
資産・負債の評価査定による金銭債権の分類、有価証券の評価査定及びその他資産の評価査定を行い、 資産・負債の網羅性のないことが明らかであるもの及び諸条件から総合的に判断して資産性が極度に乏しいものを確定し、純資産額から控除する。
3.その他補正の確定処理を行う。
財務書類の各勘定項目について検証を行い、資産あるいは負債が増加又は減少することにより、 あるいは費用及び収益の増加又は減少することにより自己資本が減少するものは、その他補正として処理を行う。
4.純資産額の算出
評価査定及びその他補正の処理を行った後にその結果を純資産額に加減調整を行うことにより、純資産額(査定額)を確定させる。
財務比率の検証
純資産額を確定させた後、純資産額の基準額に対する比率、 純資産資本金比率、負債比率並びに流動比率のそれぞれについて一定基準を満たしているかについて検証する。
なお、純資産額規制比率については「純資産額規制比率に関する検査用マニュアル」を参照のこと。
(注)基準日とは、純資産額の検証を行う基準となる日をいい、検査実施日の直前月末日とする。
純資産額検査用マニュアル
項目 検査の実施項目 検査における留意点 チェック欄
T 純資産額の検証 1.純資産額に関する調書 純資産額の算出に当たっては、一般に公正妥当と認められる会計基準、会社法及び商品取引所法施行規則に基づいて、また、「商品先物取引業統一経理基準」を参考として、適正な経理処理が行われているか確認し、適切な経理処理に基づいていない場合には所要の修正を行う。
(注)「商品先物取引業統一経理基準」とは、日本商品先物取引協会が制定した商品取引員における会計処理の基準を定めたものである
 
2.資産・負債の評価の査定 (1) 商品取引責任準備金
商品取引責任準備金の積立のため、銀行等に開設した専用口座に適正に積み立てているか。
また、 日本商品先物取引協会に対して「商品取引責任準備金の積立て等に関する規則」に基づき適正に報告がなされているか。
 
(2) 金銭債権
未収入金、 貸付金等の金銭債権については、 収集可能な資料・情報を基に、顧客の財政状態及び経営成績等に応じて債権区分を行い、金銭債権から控除する貸倒引当金については、発生の可能性の高い将来の損失額を合理的に見積り計上しているか。
具体的には、「金融商品に係る会計基準」(企業会計審議会)等にしたがい一般債権、貸倒懸念債権、破産更生債権等に区分し、各債権区分に応じた引当方法により貸倒引当金を算出し、金銭債権を確定する。
無担保委託者未収金については、 委託者の資力、 返済状況及び返済意思等を勘案し、個別に取立不能見込額を合理的に算出する。 係争中であることや少額の返済があることなどを理由に、貸倒引当金の対象外とすることは適当ではない。
連結対象子会社及び持分法適用会社に対する債権等については、貸借対照表上の純資産額によることなく、保有資産の含み損益も加味した実質的な純資産額をもって判断することとし、資産状態が悪化し、当該債権等について回収不能のおそれがある場合には、回収不能と見込まれる額を適正な判断により算出しているか。
 
(3) 有価証券
有価証券については、「金融商品に係る会計基準」等にしたがって、売買有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式、その他有価証券に区分し、それぞれの区分に応じて評価額及び評価差額等を算定しているか。
@ 売買目的有価証券
時価をもって評価額とする。評価差額は当期の損益として処理する。
(注)時価とは、公正な評価額であり、取引を実行するために必要な知識をもつ自発的な独立第三者の当事者が取引を行うと想定した場合の取引価額である。
有価証券が市場で取引され、そこで成立している価格がある場合の「市場価格に基づく価額」と、当該有価証券に市場価格がない場合の「合理的に算定された価額」とがある。ただし、株式の時価とは「市場価格に基づく価額」である。
 
A 満期保有目的の債券
取得原価をもって評価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって評価額とする。
 
B 子会社株式及び関連会社株式
原則として、取得原価をもって評価額とする。
 
C その他有価証券
時価をもって評価額とする。評価差額は洗い替え方式に基づき、次のいずれかの方法により処理する。
ア.評価差額の合計額を純資産の部に計上する。
イ.時価が原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部に計上し、取得原価を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として処理する。
なお、評価差額について税効果会計を適用し、純資産の部に計上される評価差額については株式等評価差額金に計上する。
(注)商品取引清算機関に預託する保管有価証券の評価は「商品先物取引業統一経理基準」に準拠して適切に行うことに留意する。
 
D 時価のない有価証券
ア.債券の評価額は債権の評価額に準じ、取得原価又は償却原価法に基づいて算定された評価額とする。
イ.債券以外の有価証券は、取得原価をもって評価額とする。
 
有価証券の時価が著しく下落した場合等における減損処理については、次のとおり取り扱っているか。
E 売買目的有価証券以外の有価証券 (子会社株式及び関連会社株式を含む。 )のうち市場価格又は合理的に算定された価格(すなわち時価)のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認めれる場合を除き、当該時価をもって評価額とし、差額を当期の損失として処理する。  
F 市場価格のない株式(子会社及び関連会社株式を含む。 )については、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、評価差額は当期の損失として処理する。  
G 時価のない債券については、 債権の評価額に準じるため、当該債権にいては、償却原価法を適用した上で、債権の貸倒見積高の算定方法に準じて減損額を算定する。  
(4) デリバティブ取引(その他流動資産)
商品先物取引を含むデリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務について、「金融商品に係る会計基準」等に従い、原則として時価をもって評価額とし、評価差額は、ヘッジ会計適用による損益の繰延べが認められる場合を除き、当期の損益としているか。
@ 取引所に上場しているデリバティブ取引により生じる債権及び債務については、計算を行う日における当該取引所の最終価格又はこれに準ずるものとして合理的に算定された価額が得られればその価額とする。  
A 取引所の相場がない非上場デリバティブ取引については、市場価格に準ずるものとして合理的に算定された価額が得られればその価額とする。  
B 公正な評価額を算定することが極めて困難と認められるデリバティブ取引については、取得価額をもって評価額とする。  
(5) 前払金、前払費用
基準日において既経過期間に対応する費用化されるべき金額については、純資産額から控除しているか。
 
(6) 未収入金、未収収益
資産性を勘案し、 価値の毀損の危険性又は回収の危険性の度合いに応じて、評価しているか。
 
(7) その他の流動資産
前述以外の流動資産については、原則として帳簿価額をもって評価額とする。ただし、当該流動資産の時価が帳簿価額より著しく低い場合であって、その価額が帳簿価額まで回復することが困難と見られる場合は、当該時価をもって評価額とし、その差額を純資産額から控除しているか。
 
(8) 固定資産(上記のものは除く)
 @ 有形固定資産、無形固定資産
原則として帳簿価額をもって評価額とする。
ただし、償却不足があり、又は予測することのできない減損が生じた場合には、当該償却不足額を控除し、又は相当の減額をした額をもって評価額とし、当該評価額と帳簿価額との差額を純資産額から控除しているか。
 
A ゴルフ会員権
原則として帳簿価額をもって評価額とする。
ただし、時価があるものについて著しい時価の下落が生じた場合には、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって評価額とし、当該評価額と帳簿価額との差額を純資産額から控除しているか。
また、 時価を有しないものについて当該発行会社の財政状態が著しく下落した場合には、相当の減額をした価額をもって評価額とし、当該評価額と帳簿価額との差額を純資産額から控除しているか。
 
B 長期前払費用
基準日において既経過期間に対応する費用化されるべき金額については、純資産額から控除しているか。
 
C 出資金
出資に係る出資法人又は団体等の純資産額が、当該出資金を毀損している場合にあっては、毀損の割合に応じた出資金額を純資産額から控除しているか。
 
(9) 繰延資産
原則として帳簿価額をもって評価額とする。
ただし、当該繰延資産について、償却不足がある場合、当該償却不足額を控除した額をもって評価額とし、当該償却不足額を純資産額から控除しているか。
 
(10) 固定資産の減損会計の処理
一般に公正妥当と認められる会計基準に従った会計処理となっているか。
(注)固定資産の減損会計は、「固定資産の減損に係る会計基準」(平成14年8月9日企業会計審議会)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(平成15年10月31日企業会計基準委員会基準適用指針第6号)に基づき平成17年4月1日以降開始する事業年度から適用が開始される。
 
(11)退職給付引当金
退職給付引当金について、「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)ついて」及び「退職給付会計に関するQ&Aについて」に基づき適正に会計処理がなされているか。
 
(12) 商品取引責任準備金
商品取引所法第221条及び施行規則第111条の規定に基づき算出しているか。
 
(13) 引当金(貸倒引当金を除く。)
一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき算出しているか。
 
(14) 負債の網羅性
未払費用、前受収益、賞与引当金などのすべての負債が網羅されているか。
 
(15) 繰延税金資産
「税効果会計に係る会計基準」(企業会計審議会)等に従い適正に計上されているか。
(参考)監査委員会報告第66号に基づく会社分類
@将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を経常的に計上している会社
A業績は安定しているが、将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社
B業績が不安定であり、将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社
C税務上の繰越欠損金に重要性がある会社
D過去(おおむね3年以上)連続して重要な税務上の繰越欠損金を計上している会社
 
3.純資産額の算出【施行規則第38条第1項】 純資産額は、資産及び負債についての「2.資産・負債の評価査定」等により評価した後、施行規則第38条により作成した純資産額に関する調書の資産の部に計上されるべき金額の合計額から負債の部に計上されるべき金額の合計額(商品取引責任準備金を除く)を控除して計算する。  
U純資産額の基準額に対する比率 純資産額の基準額に対する比率の算出【商取法第193条第2項】【商取法第232条第2項第4号】【施行規則第124条第1項第1号】【商取法第236条第1項第5号】 確定した純資産額が委託者の保護のために必要な額として主務省令で定める額(「施行規則第81条」により1億円)を下回っていないか、又は下回るおそれがないか。
当該商品取引員が清算参加者の場合、業務方法書に定める額を考慮して必要とする純資産の額を検証する。
また、当該商品取引員が商品取引所の会員であって、当該商品取引所が会員にかかる純資産額を定めている場合、当該商品取引所の定款に定める額も考慮して必要とする純資産の額を検証する。
 
V純資産額資本金比率 純資産額資本金比率の算出【商取法第232条第2項第4号】【施行規則第124条第1項第2号】 確定した純資産額が資本金額を下回っていないか。  
W負債比率 負債比率の算出【商取法第232条第2項第1号】 負債の合計金額の確定した純資産額に対する比率が主務省令で定める率(「商品取引所法施行規則第123条」により10倍)を超えていないか。  
X流動比率 流動比率の算出【商取法第232条第2項第2号】 流動資産の合計金額の流動負債の合計金額に対する比率が主務省令で定める率(「商品取引所法施行規則第123条」により1倍)を下っていないか。  
(1) リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
(1)リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
・ 本チェックリストは、検査官が検査を行うに際して全てのリスクに共通しているチェック項目を整理したものである。
・ 本チェックリストの各項目は、商品取引員が経営を行うに当たって、リスク管理の基本となるものであり、特に、商品取引員の取締役自身が認識し、実施していくことが求められているものである。仮にその認識が欠けている場合には、当該商品取引員は、重大な経営リスクにさらされていることとなり、取締役の資質も問われることとなる。なお、本チェックリストの各項目は、管理者及び監査役においても認識されているべきものである。
・ 検査官は、本チェックリストと各リスク管理体制の確認検査用チェックリストにより、各リスク管理体制の検査を行うものとする。
 (事務リスク管理体制の確認検査用チェックリスト)
・ 事務リスクとは、役職員(登録外務員を含む)が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより商品取引員が損失を被るリスクである。
・ 検査官は、事務リスクの管理体制の検査を行う場合には、本チェックリストにより確認検査を行うものとする。
(システムリスク管理体制の確認検査用チェックリスト)
・ システムリスクとは、 コンピューターシステムのダウン又は誤作動等、システムの不備等に伴い商品取引員が損失を被るリスク、更にコンピュータが不正に使用されることにより商品取引員が損失を被るリスクである。
・ 検査官は、本チェックリストにより、システムリスクの管理体制の確認検査を行うものとする。
・ なお、検査官は企業が保持する保護すべき情報が役職員又は部外者等により、改ざん、削除又は外部に漏洩するリスクについて本チェックリストに基づき、検証を行うこととする。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
項目 リスク管理体制のチェック項目 リスク管理体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.リスク管理に対する認識
(T)代表取締役等のリスクに対する理解
1.代表取締役のリスクに対する理解 代表取締役は、自社の負っている各種リスクの特性を理解し、自社の経営戦略に沿って適切な資源配分を行い、かつ、それらの状況を機動的に管理し得る体制を整備しているか。  
2.取締役会の実効性の確保 (1) 取締役は、 業務執行に当たり代表取締役の独断専行を牽制し抑止する等、適切な業務執行を実現し、ひいては、商品取引員の信用の維持・向上を図る観点から、取締役会における業務執行の意思決定及び監督に積極的に参加しているか。  
(2) 取締役は業務執行に当たり、信用の基礎を強固なものとする観点から、実質的議論に基づき善管注意義務・忠実義務を十分果たしているか。  
(3) 取締役会においては、商品取引員が商品先物市場の担い手として、重大な社会的責任があることを柱とした企業倫理の構築を重要な課題として位置付け、それを具体的に担保するための体制を構築しているか。  
(4) 取締役会は、単に業務推進に係ることのみでなく、業務運営に際し、内在する各種リスクに関する重要な事項について議論しているか。  
(5) 法令等遵守体制、リスク管理体制及び財務報告体制等の内部管理体制(いわゆる内部統制システム)を構築することは、取締役の善管注意義務及び忠実義務の内容を構成することを理解し、内部管理体制を適切に決定しているか。  
3.株主総会、取締役会及び監査役会議事録等の整備(会社法318条、第371条、第393条及び第394条) 株主総会、取締役会及び監査役会議事録等の作成及び備置
(1) 株主総会、取締役会及び監査役会議事録を作成しているか。  
(2) 株主総会、取締役会及び監査役会議事録を法に定められた期間、備え置いているか。  
(3) 株主総会、取締役会及び監査役会に付された議案の内容がわかる原資料を作成し、保存しているか。  
(4) 取締役会議事録及び原資料は、法令等遵守リスク管理及び商品取引事故等の報告が確認出来る内容となっているか。  
4.経営方針等の策定 取締役会において、商品取引員が目指すべき全体像等に基づいた経営方針等を定めているか。  
5.リスク管理の重要性の認識 取締役は、リスクの所在及びリスクの種類を理解したうえで、管理手法等を理解し、リスク管理の重要性を認識しているか。  
6.リスク管理の方針等の策定 取締役会等において、リスク管理の方針等を定めているか。  
7.リスク管理のための組織の整備 取締役会は、規模、特性及び業務内容に応じ、各種リスクを管理するリスク管理部門を整備し、その全体のリスクの種類と程度を適時 ・適切に把握・管理できる体制となっているか。必要に応じて随時見直され、改善等が図られているか。  
8.リスク管理状況の報告 取締役会等は、定期的にリスクの状況について報告を受け、必要な意思決定を行うとともに、必要な指示を行うなど、把握されたリスク情報を業務の執行及び管理体制の整備等に活用しているか。  
9.監査役及び監査役会の関与 (1) 監査役は、その職務を適切に遂行するため、当該会社の取締役、会計参与、使用人等その他監査役が適切に職務を遂行するに当たり意思疎通を図るべき者と意思疎通を図り、情報収集及び監査の環境の整備を努めているか。
ただし、監査役は、当該意思疎通及び情報収集によって公正不偏の態度及び独立の立場を保持することができなくなるおそれのある関係の創設及び維持をしてはならない。
 
(2) 監査役は、取締役会に出席し、法令等遵守に関すること等について必要に応じて意見を述べているか。また、その場合、会社法第390条第3項が適用される商品取引員にあっては常勤監査役が望ましい。  
(3) 監査役会については、制度の趣旨に則り、その独立性を確保しているか。  
(4) 監査役及び監査役会は、 付与された広範な権限を適切に行使し、業務監査及び会計監査(ただし、会社法第389条第1項に該当する場合は、会計監査に限る。)を実施しているか。  
(U)管理者の認識及び役割 1.管理者の理解及び認識 管理者は、リスクの所在及びリスクの種類を理解したうえで、リスク管理の手法等を十分に理解し、リスク管理の重要性を認識し、かつ、各部門の担当者に当該内容を理解・認識させるように努めているか。また、リスク管理の方針及びリスク管理のための規程を適時適切に改善するように努めているか。  
2.リスク管理のための規程の整備 管理者は、リスク管理の方針に従って、各種リスクごとに管理手法等を構築し、適切なリスク管理のための規程を取締役会等の承認を得たうえで整備しているか。  
3.リスク管理のための組織の整備 管理者は、リスク管理の方針及びリスク管理のための規程に従って、適切なリスク管理を行うための組織の整備等を行っているか。  
4.リスク管理の適切な実行  管理者は、リスク管理の方針及びリスク管理のための規程に従い、適切なリスク管理の実行について責任を負っているか。また、リスク管理手法や組織の有効性を適時適切に検証するとともに、必要に応じて見直しをしているか。  
5.リスク管理を行うための適切な人員配置 管理者は、リスク管理を行うための組織が有効な機能を発揮できるよう、適切に人員の配置を行っているか。  
6.人材育成のための研修体制の整備 管理者は、取締役会等で定められた方針に基づいた人材育成及び各部門の担当者のリスク管理能力の向上のための研修体制を整備し、専門性を持った人材の育成を行っているか。  
7.管理者による事故防止策 (1) 管理者は、例えば、連続休暇、研修等により、職員(管理者を含む。)を職場から外すなど、事故防止の方策を採っているか。  
(2) 管理者による顧客への訪問などを行うことにより 、事故防止等の観点を踏まえた実効性ある方策を講じているか。  
(V)企業風土の醸成 全社的な企業風土の醸成 (1) 代表取締役及び取締役会は、リスク管理部門を収益を生まない部門であるとして軽視することが、企業収益に重大な影響を与え得ることを十分に認識し、収益部門のみならず、リスク管理部門を重視しているか。  
(2) 適切なリスク管理を行わないまま、短期的な収益確保を過度に重視した目標の設定や当該目標を反映した報酬体系の設定を避けているか。  
(3) 管理者においても、リスク管理を重視し、各部門においてもその考え方が浸透するように努めているか。  
U.リスク管理体制の確立
(T)リスクの認識と評価
管理すべきリスクの特定 (1) 各部門がどのような種類の業務を行い、どのような商品を取り扱うのか、また、その場合にどのようなリスクを管理しなければならないのか等について特定し、管理に必要なインフラを整備し、管理が適切に行われるように検討を行っているか。特定されたリスクに基づき、関連する業務の見直し等を判断し、実行しているか。  
(U)管理業務 1.リスク管理の手法及び規程の適切性 (1) リスク管理の手法及び規程等の内容は、各商品取引員の取り扱っている業務や商品の内容からみて、適切なものとなっているか。  
(2) リスク管理業務が、商品取引員の日常業務の一部となっているか。  
2.リスク管理の規程の整備及び見直し リスク管理のための規程には、各業務ごとに手続き、権限、必要書類、緊急時の対応策など、各業務の遂行方法を定めているか。また、管理者は職員が定められた規程に従い、かつ、手続きの遵守状況を検証しているか。
管理者は、これらの規程を適時、適切に見直しているか。
 
3.全社的なリスク管理の状況 所在する各種リスクを管理するとともに、それらのリスクの種類と程度について自社への影響を勘案し、適時適切に把握・管理できるものとなっているか。  
(V)職責の分離 相互牽制体制の構築 (1) リスク管理部門の役職員が、収益部門に従事することにより、利益相反が発生していないか。  
(2) 利益相反について、内部監査及び外部監査において不断に検証しているか。  
(W)情報伝達 代表取締役及び取締役会等に対する報告 リスク管理部門は、収益部門からの影響を受けることなく、組織全体のリスク管理体制の構築 ・管理も含めて、代表取締役及び取締役会等に対して、直接、必要に応じて随時に経営に重大な影響を与えるリスク情報を網羅し、正確に報告しているか。  
V.内部監査
(T)代表取締役及び取締役会の内部監査に対する認識及び方針等
1.内部監査の重要性の認識 代表取締役及び取締役会は、リスクの種類・程度に応じた実効性ある内部監査体制を構築することが、企業収益の獲得及び適切なリスク管理に不可欠であることを十分認識し、内部監査規程等により内部監査の目的を適切に設定しているか。 (注)内部監査とは、各業務部門等の本部部門及び営業店等(以下、「被監査部門等」という。)から独立した内部監査部門(検査部、業務監査部等)が、被監査部門等における内部管理体制(リスク管理体制を含む。)等の適切性、有効性を検証するプロセスである。このプロセスは、被監査部門等における内部事務処理等の問題点の発見・指摘にとどまらず、内部管理体制等の評価及び問題点の改善方法の提言等まで行うものであり、原則として、内部管理の一環として被監査部門等の実施する自店検査等を含まない。  
2.内部監査体制を果たすための組織構造の構築 (1) 取締役会は、内部監査部門が内部管理体制(リスク管理体制を含む。)の適切性 ・有効性等を検証する部門であることを認識し、この機能を十分発揮できる体制を構築しているか。  
(2) 取締役会は、専ら内部監査部門を担当する取締役を選任することが望ましい。取締役会は、内部監査部門を担当する取締役に被監査部門等を兼坦させる場合、内部監査部門の独立性を確保するための措置を講じているか。  
(3) 取締役会は、通常の監査とは別に、重要なリスクにさらされている業務、部門又はシステム等について、内部監査部門が特別な監査を実施できる体制を構築しているか。  
(4) 取締役会は、現行の内部監査体制で十分な監査業務を遂行し得ないと判断した業務等について、外部の専門家を活用することにより内部監査機能を補強・補完している場合においても、その内容、結果等に引き続き責任を負っているか。  
3.内部監査部門の管理 (1) 取締役会等は、内部監査が有効に機能するよう、内部監査部門に対して各業務に精通した人材を適切な規模で配置しているか。  
(2) 海外支店等には、支店長等から独立し、内部監査部門等に直結した内部監査担当者を設置しているか。  
(3) 取締役会は、内部監査が有効に機能しているかを定期的に確認しているか。  
(U)内部監査の独立性 1.内部監査部門の独立性 (1) 内部監査部門は、 被監査部門等に対して十分な牽制機能が働く独立した体制となっているか。  
(2) 内部監査部門は、被監査部門等から不当な制約を受けることなく監査業務を実施しているか。  
(3) 内部監査部門は、業務活動そのものや、財務情報その他業務情報の作成等、被監査部門が行うべき業務に従事していないか。  
2.内部監査部門の権限及び責任の範囲等 (1) 代表取締役及び取締役会は、内部監査部門の業務、権限及び責任の範囲等を商品取引員の全ての役職員に周知徹底しているか。  
(2) 内部監査は全ての業務を監査対象としているか。  
(3) 子会社等の業務については、法令等に抵触しない範囲で監査対象としているか。  
(4) 内部監査の対象とできない子会社等の業務並びに外部に委託した業務については、当該業務の所管部門等による管理状況等を監査対象としているか。  
3.情報等の入手体制の整備 (1) 内部監査の従事者は、 職務遂行上必要とされる全ての資料等を入手できる権限を有しているか。また、職務遂行上必要とされる全ての役職員を対象に、面接・質問等できる権限を有しているか。  
(2) 内部監査部門長は、必要に応じて、内部管理(リスク管理を含む)等に関する会議に出席しているか。
(注)「内部監査部門長」とは、同部門を統括する上級管理職(検査部長、業務の監査部長等)をいう。
 
(3) 被監査部門等による自店検査等で内部管理上の問題やリスク管理上の不備等の問題点が発見された場合、被監査部門等の役職員は、速やかに内部監査部門長に報告しているか。  
(V)内部監査従事者の専門性 内部監査従事者の専門性 (1) 内部監査の従事者は、各業務等を十分検証できるだけの専門性を有しているか。  
(2) 内部監査部門においては、内外の研修を活用するなど、内部監査の従事者の専門性を高めるための各種方策を講じているか。その際、内部監査部門に継続的な研修制度を設け、内部監査の従事者が、これを定期的に利用していることが望ましい。  
(W)内部監査規程等 内部監査規程等 (1) 内部監査規程等には、以下の項目等が規定されているか。
@ 内部監査の目的  
A 内部監査部門の組織上の独立性  
B 内部監査部門の業務、権限及び責任の範囲  
C 内部監査部門の情報等の入手体制  
D 内部監査の実施体制  
E 内部監査部門の報告体制  
(2) 内部監査規程等は、取締役会による承認を受けているか。  
(3) 内部監査規程等は、経営環境の変化に応じて見直されているか。  
(4) 内部監査部門は、内部監査業務の実施要領等は、必要に応じて適宜見直されているか。  
(X)内部監査計画 内部監査計画 (1) 内部監査部門は、被監査部門等におけるリスクの管理状況を把握し、リスクの種類 ・程度に応じて、頻度及び深度等に配慮した効率的かつ実効性ある内部監査計画を立案しているか。  
(2) 取締役会は、 被監査部門等におけるリスクの管理状況及びリスクの種類 ・程度を理解し、監査方針、重点項目等の内部監査計画の基本事項を承認しているか。  
(3) 経営管理上の重要な問題が発生した場合又は経営環境が変化した場合、取締役会は、必要に応じて、内部監査部門長に監査方針等の変更を指示しているか。  
(Y)内部監査の実施 内部監査の実施状況 (1) 内部監査部門は、内部監査計画に基づき、各被監査部門等に対し、頻度及び深度等に配慮した効率的かつ実効性ある内部監査を実施しているか。  
(2) 内部監査部門は、例えば同一の内部監査の従事者が連続して同一の被監査部門等の同一業務の監査に従事することを回避するなど、公正な内部監査が実現できるように努めているか。  
(3) 内部監査部門は、内部監査を実施するに際し、被監査部門等が実施した自店検査等の結果を活用しているか。  
(4) 内部監査の従事者は、内部監査で実施した手続、 把握した問題点等を正確に記録しているか。  
(Z)内部監査結果の報告及び問題点の是正 1.内部監査結果等の報告 (1) 内部監査の従事者は、内部監査で発見 ・指摘した問題点等を正確に反映した内部監査報告書を、遅滞なく作成しているか。  
(2) 内部監査部門長は、 内部監査報告書の内容を確認し、そこで指摘された重要な事項について、遅滞なく代表取締役及び取締役会に報告しているか。また、内部監査及び日常のチェックにより発見された問題点のうち、経営に重大な影響を与えると認められる問題点については、速やかに代表取締役及び取締役会に報告しているか。  
2.問題点の是正 (1) 被監査部門等は、内部監査報告書等で指摘された問題点について、その重要度等を勘案し、遅滞なく改善しているか。  
(2) 内部監査部門は、被監査部門等の改善状況を適切に管理し、その後の内部監査計画に反映させているか。  
(3) 代表取締役及び取締役会は、内部監査の結果等を受け、経営に重大な影響を与えると認められる問題点、被監査部門等のみで対応できないと認められる問題点等について適切な措置を講じているか。  
W.外部監査 1.会計監査法人等による外部監査の実施 (1) 代表取締役及び取締役会は、会計監査人等(外部監査人による業務監査を実施している商品取引員においては、当該外部監査人を含む。以下同じ。)による実効性ある外部監査が、企業収益の獲得及び適切なリスク管理に不可欠であることを十分認識しているか。  
(2) 内部管理体制(リスク管理体制を含む。)の有効性等について、年1回以上会計監査人等による外部監査を受けているか (なお、一部の商品取引員にあっては、会計監査人等の選任を義務付けられていない場合があるので、その点に留意する必要がある。)。また、海外に支店等を有する商品取引員においては、海外の拠点ごとに各国の事情に応じた外部監査を実施しているか。  
(3) 外部監査の結果は、監査の内容に応じて、取締役会又は監査役会に直接、正確に報告され、また、監査役監査等の実効性の確保に資するものとなっているか。  
(4) 取締役会は、 外部監査が有効に機能しているかを定期的に確認しているか。
(注)ここでいう外部監査は、会計監査人による財務諸表監査に限定するものではないが、現状では、制度上義務付けられている財務諸表監査及び同監査の枠内で実施される内部管理体制の有効性等の検証以外の外部監査を義務付けるものではないことに留意する必要がある。ただし、各商品取引員が、内部管理体制の有効性等を確保するため、財務諸表監査と別に外部監査を受けている場合は、財務諸表監査の結果と併せて、内部管理体制の有効性等を総合的に検証することとなる。
 
2.会計監査人等の外部監査人と内部監査部門との関係 取締役会は、必要に応じて、 内部監査部門と会計監査人等の外部監査人との協力関係に配慮しているか。  
3.問題点の是正 (1) 被監査部門等は、会計監査人等の外部監査人により指摘された問題点について、その重要度を勘案し、遅滞なく改善しているか。  
(2) 内部監査部門は、その改善状況を適切に管理しているか。  
(事務リスク管理体制の確認検査用チェックリスト)
項目 リスク管理体制のチェック項目 リスク管理体制のチェック項目に係わる説明 チェック欄
T.リスク管理に対する認識
(T)取締役の認識及び役割等
取締役のリスク管理の理解及び認識等 (1) 取締役は、全ての業務に事務リスクが存在していることを理解し、事務リスクを軽減することの重要性を認識し適切な方策を講じているか。
また、外部委託業務について、委託業務に関する事故であっても顧客に対しては、責任を免れない可能性があることを十分認識し適切な方策を講じているか。
 
(2) 取締役は、事務処理ミスや商品取引事故その他の不適切な業務運営により、訴訟が提起され、もしくは好ましくない評判や社会的批判を招き、信用失墜等の不利益を被るおそれがあることを認識し適切な方策を講じているか。  
(U)管理者の認識及び役割等 管理者のリスク管理の理解及び認識 管理者は、事務リスクを軽減することの重要性を自覚し、各部門の担当者に事務リスク軽減の重要性及び軽減のための方策を認識させ適切な方策を講じているか。また、事務リスクを把握するに当たっては、業務上の損失の潜在的規模と業務上の損失の発生可能性との観点等から分析し、例えば、予想損失額を計量化するなど、リスクを適切に評価していることが望ましい。  
U.自店検査及び問題点の是正 1.自店検査等の実施等 (1) 各業務部門又は営業店等においては、自身による内部管理の一環としての自店検査等を行うことが望ましい。  
(2) 内部監査部門は、各業務部門又は営業店等が作成した自店検査等の内部監査の実施要領等を確認しているか。  
(3) 各業務部門又は営業店等自身による自店検査等は、内部監査の実施要領等に基づき、実効性ある検査を実施しているか。  
2.問題点の是正等 各業務部門又は営業店等は、自店検査等の結果等(事務処理ミスの頻度、重要度、原因、改善策、改善結果等を含む。)について、管理者及び内部監査部門に対して、定期的(必要に応じ随時)に報告しているか。経営に重大な影響を与えるような問題については、必要に応じ、取締役会に報告しているか。  
V.商品取引事故等 1.商品取引事故等 (1) 商品取引事故等については、法令諸規則に基づき主務大臣及び日商協への報告を行い、更に法令等に従い適切に処理しているか。なお、刑事関係法令に抵触している事実については速やかに警察等関係機関等への通報を行っているか。
(注)「商品取引事故等」とは、商品取引所法第221条第2項に基づく施行規則第112条に定める商品取引事故並びに同第80条第2項第1号及び同第117条第1項第3号に基づく様式第10号に定める苦情及び紛争をいう。
(注)「法令諸規則」には、社内内部規程を含む。
 
(2) 商品取引事故が発生又は発見された場合には、速やかに管理者及び内部監査部門等へ報告するとともに、 経営に重大な影響を与えるような問題については、取締役会に報告しているか。  
(3) 商品取引事故の調査・解明は、商品取引事故の発生部署から独立した部署(内部監査部門等)で行っているか。また、商品取引事故の発生の原因を分析し、未然防止の観点から各業務部門及び営業店等に分析した結果を還元するとともに、再発防止のための措置を速やかに講じているか。  
(4) 商品取引事故の事実関係の調査、関係者の責任の追求(外務員の処分等を含む。)、監督責任の明確化等を図る体制を整備しているか。  
2.苦情 (1) 苦情については、その処理の手続きを定めているか。また、その原因等に商品取引事故に該当する問題があると認められるときは、商品取引事故による処理が適切に行われているか。
(注)「苦情」とは、委託者等(委託者の親族及び委託者の代理人を含む。)から商品取引員に対して異議、不平、不満等が表明され、又は日商協等にその解決の申出があったことをいう。(ただし、商品取引事故に該当するものを除く。)
 
(2) 苦情は、処理の手続きに従い管理者及び関係業務部門と連携のうえ、速やかに処理を行っているか。  
(3) 経営に重大な影響を与えるような問題については、速やかに管理者、内部監査部門等及び取締役会に報告しているか。  
(4) 苦情の内容は、記録簿等により記録・保存するとともに、処理状況等について、定期的に(又は随時に)管理者及び内部監査部門等に報告しているか。  
3.紛争 (1) 紛争について、その処理の手続きを定めているか。また、その原因等に商品取引事故に該当する問題があると認められるときは、商品取引事故として適切に処理されているか。
(注)「紛争」とは、委託者等の異議、不平、不満等に起因する商品取引員と顧客との間の主張の相違や対立が具現化し、委託者等から商品取引所に紛争仲介の申出があり、日商協にあっせん若しくは調停の申し出があり、又は裁判所に委託者等又は商品取引員から提訴があったものをいう。(ただし、商品取引事故に該当するものを除く。)
 
(2) 紛争が発生した場合には、速やかに管理者及び内部監査部門等へ報告するとともに、経営に重大な影響を与えるような問題については、取締役会に報告しているか。  
(3) 紛争の内容は、記録簿等により記録・保存するとともに、対応状況等について、定期的に(又は随時に)管理者、内部監査部門等及び取締役会に報告しているか。  
V.事務リスク管理体制
(T)事務部門の役割等
1.事務処理組織の整備 (1) 事務規程等を整備する部門を明確化しているか。  
(2) 事務指導及び研修を行う部門を明確化し、その機能を十分に発揮できる体制を整備しているか。  
(3) 事務部門では、事務処理に係る各業務部門及び営業店等からの問い合わせ等に迅速かつ正確に対応できる体制を整備し、重要な問い合わせ等及び回答についての事跡を記録に残しているか。
(注)「事務部門」とは、事務リスク管理の一環として、各部門における各種事務取扱いに係る規程(事務規程等)の制定・改廃を行い、その遵守につき周知徹底を図る部門をいう。
 
(4) 事務部門は、例えば営業部門から独立するなど、十分に牽制機能が発揮される体制を整備しているか。  
2.事務処理規程の整備状況 (1) 事務規程は、網羅的でかつ法令等に則ったものとなっているか。
また、規程外の取扱い及び規程の解釈に意見の相違があった場合の処理手続(管理者への報告等を含む)を明確化しているか。
 
(2) 事務部門は、業務内容についての分析を行い、事務リスクの所在を確定し、そのリスクが生じないような規程を整備しているか。  
(3) 事務規程を、内部監査結果、商品取引事故等で把握した問題点を踏まえ、必要に応じて見直し、改善しているか。  
(4) 事務規程を法令等の外部環境が変化した場合等についても、必要に応じて見直し改善しているか。  
(5) 事務規程は、特に、現金、小切手、現物、重要書類の取扱い等について明確に定めるとともに、紛失等の問題が発生した場合には、その経緯を明確に記録し保存するよう定めているか。  
3.事務管理 (1) 事務部門は、各業務部門及び営業店等の事務管理体制を常時確認する措置を講じているか。  
(2) 事務部門は、各業務部門及び営業店等の役職員が不適正な事務処理を隠蔽できないような体制を整備しているか。  
(3) 事務部門は、内部監査部門等と連携して各業務部門及び営業店等の事務水準の向上を図っているか。  
(U)外部委託業務 1.外部委託業務の管理 (1) 外部に委託している業務を適切に管理する管理者を設置しているか。  
(2) 外部に委託している業務についてリスク管理が十分できるような体制(リスクの認識・評価体制、是正等)を契約等によって構築しているか。  
(3) 外部委託した業務及び業者について、定期的に評価を行っているか。  
2.問題点の是正 認識された問題点について速やかに是正しているか。  
(V)営業部店の役割等 1.営業部店長の役割 (1) 営業部店長は、事務処理について生ずるリスクを常に把握しているか。  
(2) 営業部店長は、適正な事務処理 ・規程等の遵守状況、各種リスクが内在する事項について確認を行っているか。  
(3) 営業部店長は、精査・検印を行う担当者による精査・検印の本来の機能が発揮できるよう確認しているか。  
(4) 営業部店長は、規程外の取扱いを行う場合においては、事務部門及び関係業務部門と連携のうえ責任をもって処理をしているか。  
2.事務管理 (1) 事務処理を、厳正に行っているか。  
(2) 精査・検印は、形式的、表面的であってはならず、実質的で厳正に行っているか。  
(3) 現金事故等 (費消、流用等)は、発生後直ちに営業部店長及び管理担当責任者等へ連絡され、かつ内部監査部門等必要な部門に報告しているか。  
(4) 規程外の取扱いを行う場合には、事務部門及び関係業務部門と連携のうえ、必ず営業部店長又は管理担当責任者等の指示に基づき処理をしているか。  
3.顧客管理 (1) 顧客の本人確認を行うなど、顧客管理体制を整備しているか。  
(2) 顧客管理に関する責任者を置くなど責任体制を確立しているか。  
(3) テロ資金供与又はマネー ・ ローンダリングに係る疑いのある取引に関する情報について、事務リスク管理を所掌する部門に対し速やかに報告しているか。  
(4) 会社等の資金を横領した金や出所の不正な資金の流入を防止する等のため顧客管理の方法等に関し、例えば、マニュアルを各職員に配布するとともに、定期的に研修を実施するなど職員等に対し周知徹底を図っているか。  
(5) 顧客の本人確認に関する記録及び顧客との取引に係る記録を速やかに作成し、法令に定められた期間、適切に保存しているか。
なお、事務リスク管理を所掌する部門において、各営業店で作成された顧客の本人確認に関する記録及び顧客との取引に関する記録が保存されている場合には、各営業店から事務リスク管理を所掌する部門にそれらの記録が確実に移送され、事務リスク管理を所掌する部門において適切に保存されているかを検証する。
 
4.本来業務に係る事務処理の状況 (1) 商品市場における取引等に係る事務管理部門 (バックオフィス)において、各取引の処理等について規程・マニュアル等に従った取扱いを行っているか。
例えば
@ すべての取引の内容を正確に記録しているか (例えば、取引番号、取引記録時刻、取引実行者の確認、注文伝票の刻印や連続番号による確認等)。  
A 取引の修正・取り消し等については、管理者によって承認されていることを確認しているか。  
B 取引所取引においては、取引所の取引データと自社の取引データとの照合を日々行う仕組みとなっているか。また、店頭商品先物取引においては、自社の取引データと取引相手から入手した約定データを照合し、誤差等がある場合には、速やかにその原因究明を行い、あらかじめ定められた方法に基づき修正しているか。  
C 委託者の指示、決済、委託者資産の返還の履行の手続きは、相互牽制を考慮して、適切に行われているか。  
D 預金や保管を委託している有価証券については、 第三者機関との照合を適切に実施しているか。  
E 注文伝票等の保存・保管は適切に行っているか。未完扱いの注文伝票等についても、確実に記録・保管しているか。  
(2) 個々の取引記録等の証拠書類については、内部監査部門等のチェックを受けることとし、規程に定められている保存年限に基づいて保存しているか。  
5.法定帳簿等の作成・保存等 法定帳簿等の作成、保存又は提出は、法令等に基づき適切に行われているか。
(注)法定帳簿等とは、法第115条に基づく施行規則第50条及び法第222条に基づく施行規則第113条の法定帳簿の他、法令諸規則により作成、保存又は提出が求められる書類をいう。
 
6.外務員の登録等 (1) 未登録者の外務行為の禁止を徹底し、登録前の勧誘、受託行為等を防止する方策を講じているか。  
(2) 外務員の登録、変更又は抹消の手続きは、 法令等に基づき適切に行われているか。  
7.兼業業務の管理状況 商品取引員は、兼業業務を行う場合においては、法令等に基づき、届出の手続きを適切に行っているか。  
W.事務取扱等 1.内部事務 内部事務の取扱いについて、例えば以下の点に留意しているか。
@ 現金、商品及び有価証券の管理
ア.毎日の管理者による残高管理
イ.現金事故の連絡
 
A 規程外の取扱いによる取引
ア.規程外の取扱いの記録
イ.営業部店長(あるいは管理担当責任者等)の承認等
ウ.補完処理
エ.多発先、常習先及びその担当者等のチェック
 
B 口座開設の際の本人確認  
C 書損証票等の取扱い  
D 店頭預り物件の管理  
E 重要書類(預り証等)の管理  
F 約定訂正等の記録  
G 手形、小切手、送金等の取扱い  
2.受渡し業務 受渡し業務の取扱いについて、例えば以下の点に留意しているか。
@ 店頭での受渡しの際の本人確認  
A 預り証の発行・回収  
B 受渡し担当者と内部事務部門との間の現金、商品及び有価証券の接受  
C 現金、商品及び有価証券、重要書類の長期預り  
D 客先での受渡しに係る事故防止  
システムリスク管理体制の確認検査用チェックリスト
項目 リスク管理体制のチェック項目 リスク管理体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.リスク管理に対する認識
(T)取締役の認識及び取締役会等の役割
1.経営方針に沿った戦略目標の明確化 (1) 取締役会は、戦略目標を定めているか。戦略目標には、情報技術革新を踏まえ、経営戦略の一環としてシステムを捉えるシステム戦略方針を含んでいるか。  
(2) システム戦略方針には、@システム開発の優先順位、A情報化推進計画、Bシステムに対する投資計画等を定めているか。  
2.システムリスク管理の方針の策定 (1) 取締役会は、リスク管理の基本方針を定めているか。  
(2) リスク管理の基本方針には、セキュリティポリシー(組織の情報資産を適切に保護するための基本方針) 及び外部委託に関する方針を含んでいるか。
(注)「セキュリティポリシー」の対象範囲は、コンピューターシステムや記録媒体等に保存されている情報のみならず紙に印刷された情報等を含む。
 
(3) セキュリティポリシーには、@保護されるべき情報資産、A保護を行うべき理由、Bそれらについての責任の所在等を定めているか。  
(4) 外部委託に関する方針は、 委託業務に関する事故であっても顧客に対しては、責任を免れない可能性があることが十分認識されたうえで定められているか。  
U.リスク管理体制の確立
(T)リスクの認識と評価
管理すべきリスクの所在、種類の特定 (1) 業務系・情報系 ・その他のシステムといった業務機能別システムのリスクの評価を含め、システム全般に通じるリスクを認識・評価しているか。  
(2) システム部門以外において独自にシステムを構築する場合においても該当システムのリスクを認識・評価しているか。  
(3) ネットワークの拡充(インターネット、電子メール等)及びPC(パソコン)の普及等によりリスクが多様化・増加していることを認識・評価しているか。  
(U)職責の分離 相互牽制機能の構築 個人のミス及び悪意を持った行為を排除するため、システム開発部門と運用部門の分離分担を行っているか。
ただし、 要員数の制約から開発部門と運用部門に明確に分離することが困難な場合、開発担当と運用担当を定期的にローテーションすること等により相互牽制を図っているか。
なお、上記に関わらずEUC(エンドユーザーコンピューティング)等開発と運用の組織的分離が困難なシステムについては、法令等遵守部門等により牽制を図っているか。
 
V.監査及び問題点の是正
(T)内部監査
1.内部監査部門の体制整備 (1) 内部監査部門は、システム関係に精通した要員を確保しているか。  
(2) 必要に応じてシステム監査とシステム監査以外の監査が連携して監査ができる体制となっていることが望ましい。  
2.内部監査部門の監査の手法及び内容 (1) 監査対象は、システムリスクに関する業務全体をカバーしているか。  
(2) 内部監査を行うにあたっては、監査証跡(処理内容の履歴を跡付けることができるジャーナル等の記録)の確認等、システムの稼働内容について裏付けをとっておくことが望ましい。  
(U)外部監査 外部監査の活用 システムリスクについては、定期的に会計監査人等による外部監査を受けていることが望ましい。  
W.企画・開発体制のあり方 1.企画・開発体制 (1) 信頼性が高く 、かつ、効率的なシステム導入を図る企画・開発のための規程を整備しているか。  
(2) 機械化委員会等の横断的な審議機関を設置していることが望ましい。  
(3) 中長期の開発計画を策定しているか。  
(4) システムへの投資効果を検討し、システムの重要度及び性格を踏まえ、必要に応じ(システム部門全体の投資効果については必ず)、取締役会に報告しているか。  
(5) 開発案件の検討・承認ルールが明確になっているか。  
(6) システムの変更案件も承認のうえ実施しているか。  
2.開発管理 (1) 開発に関わる書類やプログラムの作成方式は、標準化されているか。  
(2) 開発プロジェクトごとに責任者を定め、システムの重要度及び性格を踏まえ取締役会等が進捗状況をチェックしているか。  
(3) 開発に当たっては、監査証跡を残すようなシステムとすることが望ましい。  
3.規程・マニュアルの整備 (1) 設計、開発、運用に関する規程・マニュアルが存在しているか。  
(2) 業務実態に即した見直しを実施しているか。  
(3) 設計書等は開発に関わる書類作成の標準規約を制定し、それに準拠して作成していることが望ましい。  
(4) マニュアル及び開発に係る書類等は、専門知識のある第三者に分かりやすいものとなっているか。  
4.テスト等 (1) テストは適切かつ十分に行われているか。  
(2) テストやレビュー不足が原因で、長期間顧客に影響が及ぶような障害や経営判断に利用されるリスク管理用資料等に重大な誤りが発生しないようなテスト実施体制を整備しているか。  
(3) テスト計画を作成しているか。  
(4) 総合テストには、ユーザー部署も参加していることが望ましい。  
(5) 検収に当たっては、内容を十分理解できる役職員により行われているか。  
5.人材養成 (1) 人材の養成に当たっては、開発技術の養成だけではなく、開発対象とする業務に精通した人材の養成を行っているか。  
(2) デリバティブ業務、電子決済、電子取引等、専門性の高い業務分野や新技術について、精通した開発要員を養成していることが望ましい。  
X.体制の整備
(T)管理体制
1.セキュリティ管理体制 (1) 定められた方針、基準、及び手順に従ってセキュリティが守られているかを適正に管理するセキュリティ管理者を設置しているか。
(注)セキュリティは、例えば以下の観点から確保しているか。
@ フィジカルセキュリティ
・ 物理的侵入防止策
・ 防犯設備
・ コンピュータ稼働環境の整備
・ 機器の保守・点検体制等
 
A ロジカルセキュリティ
・ 開発・運用の各組織間・組織内の相互牽制体制
・ 開発管理体制
・ 電子的侵入防止策
・ プログラムの管理
・ 障害発生時の対応策
・ 外部ソフトウェアパッケージ導入時の評価・管理
・ オペレーション面の安全管理等
 
(2) セキュリティ管理者は、システム、データ、ネットワーク管理体制を統括しているか。  
2.システム管理体制 (1) システムの安全かつ円滑な運用と不正防止のため、システムの管理手順を定め、適正に管理するシステム管理者を設置しているか。  
(2) システム管理者は、システム単位あるいは業務単位で設置しているか。  
(3) それぞれシステムの評価を定期的に行い、必要に応じてスクラップアンドビルドを含め所要の改善を行っているか。  
(4) 営業部店等について、設備・機器も適切かつ十分に管理する体制を整備しているか。  
(5) 社外に持ち出すコンピュータ ・記録媒体等に対する適切かつ十分な管理体制を整備しているか。  
(6) システム部門以外で独自にシステムを構築しているシステムについても 、システム管理者を定めているか。  
3.データ管理体制 (1) データについて機密性、完全性、可用性の確保を行うためにデータ管理者を設置しているか。  
(2) データの管理手順及び利用承認手続等を規程・マニュアルとして定め、関係者に周知徹底させることにより、データの安全で円滑な運用を行っているか。  
(3) データ保護、データ不正使用防止、不正プログラム防止策について適切かつ十分な管理体制を整備しているか。  
4.ネットワーク管理体制 (1) ネットワーク稼働状況の管理、アクセスコントロール及びモニタリング等を適切に管理するために、ネットワーク管理者を設置しているか。  
(2) ネットワークの管理手順及び利用承認手続等を規程・マニュアルとして定め、関係者に周知徹底させることにより、ネットワークの適切かつ効率的で安全な運用を行っているか。  
(3) ネットワークが機能停止した際の代替手段を考慮しているか。  
(U)システム運用体制 1.職務分担の明確化 (1) データ等受付、 オペレーション、作業結果確認、データやプログラム保管の職務分担は明確になっているか。  
(2) 上記職務分担の運用担当者が担当外のデータやプログラムにアクセスすることを禁じているか。  
2.システムオペレーション管理 (1) 所定の作業は、スケジュール表、指示表などに基づいてオペレーションを実施しているか。  
(2) 承認を受けた作業スケジュール表、作業指示書に基づいてオペレーションを実施しているか。  
(3) オペレーションは、全て記録され、かつ、管理者はチェック項目を定め点検しているか。  
(4) 重要なオペレーションは、複数名による実施が可能となることが望ましく、また、可能な限り自動化することが望ましい。  
(5) オペレーションの処理結果を管理者がチェックするためのレポート出力機能や、作業履歴を取得し、保存する機能を備えているか。  
(6) 開発担当者によるオペレーションへのアクセスを原則として禁じているか。
障害発生時等でやむを得ず開発担当者がアクセスする場合には、当該オペレーションの管理者による開発担当者の本人確認及びアクセス内容の事後点検を行っているか。
 
3.トラブル管理 (1) 運用担当者及び運用責任者は、トラブル発生時に記録簿等に記入し、必要に応じセキュリティー管理者に報告が行われる体制を整備しているか。  
(2) セキュリティー管理者は、トラブル内容の定期的な分析を行い、それに応じた対応策をとっているか。  
(3) セキュリティー管理者は、経営に重大な影響を与えるようなトラブルの場合には、速やかに非リスク管理部門と連携し、問題の解決を図るとともに、取締役会等に報告しているか。  
4.顧客等のデータ保護 (1) 法的に許される場合及び顧客自身の同意がある場合を除き、原則として顧客データを第三者に開示することを禁止しているか。  
(2) 顧客データの取扱については、管理責任者、管理方法及び取扱方法を定め、適切に管理しているか。  
(3) 顧客データへの不正なアクセス又は顧客データの紛失、破壊、改ざん、漏洩等の危険に対して、適切な安全措置を講じているか。  
(4) 顧客データ以外の重要な情報についても管理責任者、管理方法等を定め、適切に管理しているか。  
5.不正使用防止 (1) システムの不正使用防止のため、業務内容や接続方法に応じ、接続相手先が本人若しくは正当な端末であることを確認する体制を整備しているか。  
(2) 不正アクセス状況を監視するため、システムの操作履歴を監査証跡として取得し、事後の監査を可能とするとともに、定期的にチェックしているか。  
(3) 端末機の使用及びデータやファイルのアクセス等の権限については、その重要度に応じた設定・管理方法を明確にしているか。  
6.コンピュータウィルス等の対策 次に例示した、コンピュータウィルス等の不正なプログラムの侵入を防止する方策を取っているとともに、万が一侵入があった場合速やかに発見・除去する体制を整備しているか。
@ コンピュータウィルスへの感染  
A 正規の手続を経ていないプログラムのインストール  
B 正規プログラムの意図的な改ざん等  
Y.外部委託管理 1.外部委託の計画・実行 システムに係る外部委託業務の計画・実行に当たっては、外部委託を行う範囲の決定及びリスク管理の具体策を策定しているか。  
2.外部委託業務のリスク管理の体制 (1) 外部に委託しているシステム及び業務を適切に管理する管理者を設置しているか。  
(2) 外部に委託している業務について、リスク管理が十分できるような体制(リスクの認識・評価体制、是正等)を契約等によって構築しているか。  
(3) 委託先と守秘義務契約を締結しているか。  
(4) 委託先社員等が接することができるデータには、必要に応じて一定の制限を設けているか。  
(5) 外部委託した業務及び業者について、定期的に評価を行っているか。
なお、外部委託した業務について、業務の内容等に応じ、定期的に第三者機関の評価を受けていることが望ましい。
 
3.問題点の是正 認識された問題点について速やかに是正しているか。  
Z.防犯・防災・バックアップ 1.防犯対策 (1) 犯罪を防止するため、防犯組織を整備し、責任者を明確にしているか。  
(2) コンピュータシステムの安全性を脅かす行為を防止するため、入退室管理・重要鍵管理等、適切かつ十分な管理を行っているか。  
2.コンピュータ犯罪 ・事故等 コンピュータ犯罪及びコンピュータ事故 (ウィルス等不正プログラムの侵入、外部者による情報の盗難、内部者による情報の漏洩、ハードウェアのトラブル、ソフトウェアのトラブル、オペレーションミス、通信回線の故障、停電 、外部コンピュータの故障等)に対して、十分に留意した体制を整備し、点検等の事後チェック体制を整備しているか。  
3.防災対策 (1) 災害時に備え、被災軽減及び業務の継続のための防災組織を整備し 、責任者を明確にしているか。  
(2) 防災組織の整備に際しては、業務組織に即した組織とし、役割分担毎に責任者を明確にしているか。  
(3) 防火・地震・出水に対する対策を確保しているか。  
(4) 重要データ等の避難場所をあらかじめ確保しているか。  
4.バックアップ (1) 重要なデータファイル、プログラムの破損、障害等への対応のため、バックアップを取得し、管理方法を明確にしているか。  
(2) バックアップを取得するに当たっては、分散保管、隔地保管を行う等保管方法・保管場所に留意しているか。  
(3) 自社の管理する重要なシステムについては、オフサイトバックアップシステムを保有しているか。
(注)オフサイトバックアップとは、主要サイトと距離をおいて異なる場所に構えたバックアップサイト。
 
(4) バックアップ取得の周期を文書化しているか。  
5.緊急時対応計画の策定 (1) 災害等によりコンピュータシステムが正常に機能しなくなった場合に備えた緊急時対応計画を整備しているか。  
(2) 緊急時対応計画の策定及び重要な見直しを行うに当たっては 、取締役会による承認を受けているか。(上記以外の見直しを行うに当たっては、取締役会等の承認を受けているか。)  
(3) 緊急時対応計画の整備に当たっては、災害による緊急事態を想定するだけではなく、商品取引員の内部に起因するものや商品取引員の外部に起因するものも想定しているか。  
(4) 緊急時対応計画の整備に当たっては、 顧客に与える被害等を分析しているか。  
(5) 緊急時対応計画を使用した訓練を定期的に行っていることが望ましい。  
(2) 市場リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
・ 「市場リスク」とは、商品市場における自己の計算による取引であって決裁を決了していないものについての価格の変動その他の理由により発生し得るリスクである。
このリスクに相当する額は、上場商品又は上場商品指数の種類ごと、かつ取引の限月毎に算出される。
商品取引員は、自社の財務の健全性を確保するため、当該リスクを軽減する努力と管理体制を構築することが必要である。
・ 検査官は、「リスク管理体制の確認検査用チェックリスト」及び本チェックリストにより、市場リスクの管理体制の確認検査を行うものとする。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
市場リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
項目 リスク管理体制のチェック項目 リスク管理体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.適切なリスク管理体制の確立 1.リスク管理体制の確立 市場リスク管理について、商品取引員の財政状態に応じた自己取引を行う体制が確立されているか。  
2.リスク管理のための組織の整備 (1) 自己取引部門とリスク管理部門を分離するなど、自己取引部門の影響を受けないリスク管理体制を構築し、市場リスクを適切に管理する体制を整備しているか。
(注)「リスク管理部門」とは、「市場リスクについて、自己取引部門に対して審査、管理及び指導を行う部署」をいう。
 
(2) 市場リスクに関する管理規程(以下「市場リスク管理規程」という。) を定めているか。  
3.リスク管理部門の役割 (1) リスク管理部門は、自己取引部門においてリスク管理部門の指示が適切に実行されているか否かの検証を行っているか。  
(2) リスク管理部門は、自己取引部門において自己玉の建玉状況が財産規模等から妥当なものであるかなどの検証を行っているか。  
U.リスクに対する認識
(T)取締役の認識及び取締役会の役割
商品取引員の事業計画等の妥当性 事業計画等を策定するに当たっては、市場リスクの発生を回避するなど、自らの財政状態に応じた内容となっているか。  
1.取締役のリスク管理の理解及び認識 (1) 取締役は、市場リスクを回避するため、自己玉の建て玉状況について、十分チェックすることの必要性について理解及び認識をしているか。  
(2) 取締役は、市場リスクの増加が及ぼす純資産額規制比率への影響を十分認識しているか。  
(3) 取締役は、 省令で定める市場リスク相当額の算出について理解しているか。
特に、売建玉及び買建玉の合計数量 (グロス)と売建玉及び買建玉の差引数量(ネット)とを区別して計算を行い、グロス部分に比べネット部分の市場リスクが大きいことから計算式で用いる係数が高くなっていることを理解しているか。
 
2.市場リスク管理の方針等の確立 (1) 取締役会は、 自社の財政状態に応じた事業計画等を踏まえた市場リスク管理の方針を定めているか。  
(2) 取締役会等は、 市場リスク管理規程において、管理方法、決裁権限及び管理者を定めているか。  
3.取締役会等に対するリスク状況の報告と組織全体の意思決定への活用 取締役会等は、定期的に市場リスクの状況の報告を受け、把握されたリスク情報をもとに市場リスク管理の方針の遵守状況を検証しているか。
また、代表取締役は、定期的報告の外、必要に応じ随時市場リスクの状況報告を受け、取締役会で定められたリスク管理方針に従って、必要な意思決定を行い、リスク軽減の指示を行うなど、市場リスク情報をリスク管理のために活用しているか。
 
(U)管理者の認識及び役割 1.リスク管理のための役割と権限 市場リスク管理規程は、自己取引部門及びリスク管理部門、各部門の管理者のそれぞれの役割と権限を明確にしているか。  
2.リスク管理の適切な実行 (1) 管理者は、市場リスク管理の方針及び市場リスク管理規程に従い、適切に市場リスク管理を実行するとともに、リスク管理について責任を負っているか。  
(2) 管理者は、必要に応じ市場リスク管理規程の見直しを検討し、取締役会等に提言しているか。  
(3) 管理者は、市場リスク管理規程を担当者全員が適時確認できるよう備え置いているか。  
(4) 管理者は、市場リスク管理規程を管理担当部門に周知徹底しているか。  
(5) 管理者は、市場リスク管理状況を適宜、 総括管理責任者及び取締役会等に報告しているか。  
(3) 取引先リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
・ 「取引先リスク」とは、商品市場における取引の相手方の契約不履行その他の理由により発生し得るリスクであり、委託玉において発生する可能性のある損失(ある営業日において現に発生している損失と、その営業日の翌日以降に発生する可能性のある損失に区分する。)及び委託者がその義務を履行しない可能性(委託者の信用リスクに応じた係数)の双方を勘案して、委託者毎に算出される。
商品取引員は、自社の財務の健全性を確保するため、当該リスクを軽減する努力と管理体制を構築することが必要である。
・ 検査官は、「リスク管理体制の確認検査用チェックリスト」及び本チェックリストにより、取引先リスクの管理体制の確認検査を行うものとする。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
取引先リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
項目 リスク管理体制のチェック項目 リスク管理体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.適切なリスク管理体制の確立 1.リスク管理体制の確立 取引先リスク管理について、個別委託者の投資可能資金額及び取引証拠金と商品取引員の受託取引総額及び保有純資産額とを一体として管理する体制が確立されているか。  
2.リスク管理のための組織の整備 (1) 営業部門とリスク管理部門を分離など、営業部門等の影響を受けないリスク管理体制を構築し、取引先リスクを適切に管理する体制を整備しているか。  
(2) 取引先リスクに関する管理規程(以下「取引先リスク管理規程」という。)を定めているか。  
3.リスク管理部門の役割 (1) リスク管理部門は、営業部門等においてリスク管理部門の指示が適切に実行され、健全な営業態度が確立されていることを検証しているか。  
(2) リスク管理部門は、営業部門において、委託者の属性把握、取引証拠金等の管理及び追証発生後の事務処理などが法令諸規則に基づいて適切に処理されていることを確認するとともに管理・指導しているか。  
U.リスクに対する認識
(T)取締役の認識及び取締役会の役割
商品取引員の営業計画等の妥当性 営業計画等を策定するに当たっては、取引先リスクの発生を回避するなど、自らの財務状況に応じた妥当なものとなっているか。  
1.取締役のリスク管理の理解及び認識 (1) 取締役は、取引先リスクを回避するため、委託者の属性、取引内容(建玉状況と投資可能資金額との適合性)、取引証拠金等の管理について、十分チェックすることの必要性について理解及び認識しているか。  
(2) 取締役は、取引先リスクの増加が及ぼす純資産額規制比率への影響を十分認識しているか。  
(3) 取締役は、省令で定める取引先リスク相当額の算出について理解しているか。  
2.取引先リスク管理の方針の確立 (1)取締役会は、自社の財政状態に応じた営業計画等を踏まえた取引先リク管理の方針を定めているか。  
(2) 取締役会等は、取引先リスク管理規程において、管理方法、決裁権限及び管理者を定めているか。  
3.取締役会等に対するリスク状況の報告と組織全体の意思決定への活用 取締役会等は、定期的に取引先リスクの状況の報告を受け、把握されたリスク情報をもとに取引先リスク管理の方針の遵守状況を検証しているか。
また、代表取締役は、定期的報告の外、必要に応じ随時取引先リスクの状況報告を受け、取締役会で定められたリスク管理方針にしたがって、必要な意思決定を行い、リスク軽減の指示を行うなど、取引先リスク情報をリスク管理のために活用しているか。
 
(U)管理者の認識及び役割 1.リスク管理のための役割と権限 取引先リスク管理規程は、営業部門及びリスク管理部門、各部門の者のそれぞれの役割と権限を明確にしているか。  
2.リスク管理の適切な実行 (1) 管理者は、取引先リスク管理の方針及び取引先リスク管理規程にしたがい 、適切に取引先リスク管理を実行するとともに、リスク管理について責任を負っているか。  
(2) 管理者は、必要に応じて取引先リスク管理規程の見直しを検討し、取締役会等に提言しているか。  
(3) 管理者は、取引先リスク管理規程を担当者全員が適時確認できるよう備え置いているか。  
(4) 管理者は、取引先リスク管理規程を管理担当部門に周知徹底しているか。  
(5) 管理者は、取引先リスク管理状況を適宜、統括管理責任者及び取締役会等に報告しているか。  
(4) 流動性リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
・ 「流動性リスク」とは、市況の低迷等に伴う商品取引員の業績の悪化等により必要な資金が確保できなくなり、資金繰りがつかなくなる場合や、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク(資金繰りリスク)と、 市場の混乱等により市場において取引ができなかったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスク等(市場流動性リスク)からなる。
・ また、市場流動性リスクには、有価証券、保有不動産等の価格、金利等の変動により自己の保有する資産の価格が変動し損失を被るリスク(保有資産リスク)が含まれる。(前出の「市場リスク」でいう自己玉の価格変動リスクを除く。)。
・ 検査官は、流動性リスクの管理体制の検査を行う場合には、「リスク管理体制の確認検査用チェックリスト」及び本チェックリストにより確認検査を行うものとする。
・ 本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
流動性リスク管理体制の確認検査用チェックリスト
項目 リスク管理体制のチェック項目 リスク管理体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.リスク管理に対する認識等
(T)取締役の認識及び取締役会等の役割
1.取締役の理解 取締役は、流動性リスクが存在することを理解し、これらのリスクを軽減することの重要性を認識し、適切な方策を講じているか。  
2.管理方針の策定と管理体制の整備 取締役会は、流動性リスク管理の方針を定め、適切な流動性リスクの管理体制を整備しているか。  
3.資産運用の限度設定等と見直し (1) 担当取締役は、適切な資金管理を行うため、業務内容や調達の状況等を踏まえ、必要に応じ、資産の運用限度額等の設定及び見直しを行い取締役会等に対して報告を行っているか。また、取締役会等は、報告を受けた内容が流動性リスク管理方針を遵守したものであったかを検証しているか。  
(2) 担当取締役は、適切な市場流動性リスクの管理を行うため、資産内容等を踏まえ、必要に応じ、資産の運用限度額等の設定及び見直しを行い、取締役会等に対して報告を行っているか。また、取締役会等は、報告を受けた内容が流動性リスク管理方針を遵守したものであったかを検証しているか。  
(U)管理者の認識及び役割 1.資金繰りに関する規程の整備 管理者は、流動性リスク管理の方針に従って、責任者の権限の範囲内や報告体制等を明確にした流動性リスク管理のための規程を取締役会等の承認を得た上で整備しているか。また、緊急時対応計画は業務内容等を踏まえた適切なものになっているか。  
2.適切な資金繰り管理の実行 管理者は、リスク管理の方針及びリスク管理規定に従い、適切に流動性リスク管理を実行するとともに、リスク管理について責任を負っているか。  
(V)適切なリスク管理体制の確立 1.資金繰りリスク等の要因分析と対応策の策定 (1) 資金繰り管理部門は、資金調達に影響を及ぼすと思われる自社の株価、風評等の情報を収集、分析し、対応策を策定しているか。  
(2) 保有資産リスク管理部門は、有価証券、不動産等の価格に影響を及ぼすと思われる取引価格、金利、風評等の情報を収集、分析し、対応策を策定しているか。  
2.子会社等の流動性の状況把握 資金繰りリスクの管理に当たっては、子会社等の業務内容を踏まえ、子会社の資金繰りの悪化が当該商品取引員に影響を与える可能性に応じ、その状況を把握・考慮した対応を行っているか。  
(W)資金繰りリスク管理 1.資金繰り管理の適切性等 (1) 資金繰り管理部門は、営業部店等の報告等をもとに、資金使用予定額、調達可能額等資金繰りの状況を正確に把握しているか。  
(2) 資金繰り管理部門は、下記の項目について必要に応じ管理し、資金繰りに対する影響を早期に把握した上で、日次の資金繰り表、週次の資金繰り見通しを作成しているか。なお、日中の資金繰りについても適切にモニタリングしていることが望ましい。
(イ) 決済期日・金額の集中管理
(ロ) キャッシュの管理等
また、月次、四半期等の中長期の資金繰り見通しを作成していることが望ましい。
 
(3) 資金繰りリスクの管理に当たっては、市場環境の変動等に対応した資金繰りについて必要に応じ管理し、資金繰りに対する影響を早期に把握した上で、取締役会等に情報を提供するとともに、資金繰り管理において牽制機能を果たしているか。
なお、資金繰りリスクの管理に当たっては、随時情報を入手できる体制なっていることが望ましい。
 
(4) 資金繰り管理部門は、定期的又は状況に応じ随時、資金繰りの状況及び予測について取締役会等に報告しているか。  
2.資金繰りリスクを考慮した業務運営等 営業部店等は、資金繰り管理部門が把握した資金繰りの状況に応じて、資金繰りリスクを考慮した業務運営を行っているか。  
3.支払い準備資産及び資金調達手段の確保等 (1) 資金繰り管理部門は、資金繰りの逼迫度(例えば、平常時、懸念時、危機時等)に応じた調達手段を確保しておくとともに、決済等に対する支払準備資産を確保しているか。  
(2) 国内外において即時売却可能あるいは担保として利用可能な資産の保有や金融機関等から調達が行えるよう借入枠を設定するなど、危機時を想定した調達手段を確保しているか。  
(X)市場流動性リスクの管理 1.市場流動性の適切な管理 リスク管理部門は、市場流動性の状況を正確に把握(又は報告を受け)しているか。
また、必要に応じ、市場流動性の状況を代表取締役及び取締役会等へ報告しているか。
 
2.運用限度枠の設定及び見直しの実施 市場の状況により、企図した価格で取引ができないことがある。
特に、一度に多量の商品を売買する時には、大きな市場流動性リスクが生じることがある。
したがって、リスク管理部門は、市場流動性の状況を勘案し、必要に応じ適切に取締役会等の承認を得た上で(緊急の場合には担当取締役が決定し、事後的に取締役会等に報告し検証を受ける。)、運用限度枠を設定しているか。
また、市場環境の変化等により定期的(最低限半期に1回)あるいは状況に応じて随時、運用限度枠を見直しているか。
 
3.市場流動性リスクを勘案した運用 商品毎(銘柄、取引所、限月、期間等が異なる場合には、それぞれ個別の商品)に市場規模・厚み、流動性を把握し、これらを勘案した取引を行っているか。
また、一度に多量の同一銘柄の商品を売買する時には、大きな市場流動性リスクが生じることがあることを認識し、その環境を勘案したうえで取引を行っていることが望ましい。
 
4.モニタリングの実施 リスク管理部門は、商品毎の日々の運用の状況を把握するとともに、市場規模の変化、信用状況の変化をモニタリングしているか。  
5.報告の実施 リスク管理部門は、把握された運用の状況等について、規程に基づき正確に担当取締役(必要に応じて代表取締役及び取締役会)に報告しているか。
また、商品の売買自体によって流動性リスクが生じる可能性が認識される場合、運用限度枠を超過した場合や懸念時・危機時の場合には、極力、頻繁に代表取締役又は取締役会に報告を行うとともに、適切な対応策をとっていることが望ましい。
 
(1) 電子商品取引に関する法令等遵守体制の確認検査用チェックリスト
本チェックリストにおいて電子商品取引とは、顧客が、電子機器(コンピュータ、携帯情報端末等)によりインターネット又は他の商用オープンネットワークを利用して商品先物の売買その他の取引を行うものをいう。
電子商品取引においても、通常の対面取引と同様に法令等遵守が求められる。
本チェックリストは、商品取引員の検査において適用するものである。
(1)電子商品取引に関する法令等遵守体制の確認検査用チェックリスト
項目 法令等遵守体制のチェック項目 法令等遵守体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.電子商品取引に係る取組方針等 1.電子商品取引に係る取組方針 (1) 電子商品取引に係る取組方針が明確になっているか。  
(2) 取組方針は、提供するサービス内容が電子商品取引の機械環境(システムの規模)を勘案したものとなっているか。  
(3) 取組方針において、電子商品取引の有する特性を勘案した内部管理及び法令等遵守が必要なことが認識されているか。  
2.代表取締役等の電子商品取引に対する認識 代表取締役等は、電子商品取引の特性を理解した上で、電子商品取引に取り組む場合において対処することが必要な事項について十分認識しているか。  
3.管理者の理解及び認識 電子商品取引を担当する管理者は、電子商品取引の特性を理解した上で、その特性に応じた管理等の必要性を認識し、かつ、各部門の担当者に当該内容を理解・認識させるよう、適切な方策を講じているか。また、そのために必要な規程の改善を行っているか。
また、 システム障害等が発生した場合のバックアップ体制や対応策を講じているか。
 
U.内部管理体制の整備及び法令等遵守のための体制の取組状況 1.電子商品取引に係る内部管理体制の整備 ・確立状況 (1) 社内規程の整備状況等
@ 電子商品取引における非対面性及び非書面性等の特性に留意した内容の社内規程となっているか。  
A 役職員、 特に、電子商品取引の事務に携わる者に社内規程の内容を周知徹底しているか。  
B システム障害等が発生した場合の対応策に関する社内規程・マニュアルが整備されているか。  
(2) 社内管理体制の整備状況
@ 電子商品取引業務の運営において、 電子商品取引に精通した者及び管理担当責任者等の法令等遵守担当者が適切に配置されているか。  
A システム障害等が発生した場合に、迅速かつ的確な対応が可能となる体制を構築しているか。  
B 苦情等の顧客の申出事項の記録簿を整備しているか。また、こうした申出について、システム上の問題により、顧客の取引に重大な影響を与えるものが含まれていないかの検討を行っているか。  
C 電子商品取引に関して重大な影響を与える情報を、迅速かつ正確に顧客に連絡できる体制となっているか。  
(3) 役職員に対する研修体制
@ 役職員に電子商品取引に関する特有の事務、システム、トラブル及び法令等についての研修等を行う体制となっているか。  
A 業務精通者(管理部門を含む。)の養成のための研修体系等を確立しているか。  
B 電子商品取引業務に係わるコールセンターの職員に対して、法令等や電子商品取引に関する知識の習得や研鑽のための研修等を実施しているか。  
2.取引の開始及び受託の状況【商取法第217条第2項】【施行令第11条】【施行規則第104条から第107条】 (1) 口座開設の審査基準が適切か。また、審査は適切に行われているか。  
(2) 非対面取引であることを留意した上で、顧客の本人確認を適切に行うことのできる体制となっているか。本人確認書類の徴求等は適切に行われているか。  
(3) 顧客カード等の整備により、顧客の職業、経験、知識、財産状況等の顧客の属性を適切に把握しているか。顧客属性に関する必要な情報を十分把握しないまま口座開設を認めていることはないか。  
(4) 取引の開始に当たって、法令諸規則上求められている書面・説明書の交付又は電磁的方法で政令で定めるところによる提供及び顧客からの確認書の徴求等が適切に行われているか。  
(5) 取引の安全性の確保の観点から、取引に当たっての本人の確認は適正に行われているか。例えば、 顧客の暗証番号を登録し、暗証番号が入力されない限り発注されないシステムとなっているか。  
(6) 個人顧客等との取引においては、 顧客が発注する際に誤入力の有無を容易に再確認できるようなシステムとしているか。例えば、顧客が「確認画面」を操作しない限り、注文が発注されないシステムとなっているか。  
(7) 顧客属性及び取扱商品の性格に応じて、取引の頻度や取引高が過度にわたらないためのチェックシステムは構築されているか。例えば、売買枚数について取引上限が設けられ、これを超過した場合、事前にそれを確認できるシステムになっているか。  
3.顧客管理及び管理体制 (1) 電子商品取引と電話等による情報提供や対面取引が併用されている場合には、通常の対面取引の顧客管理システムを併せて採用しているか。  
(2) 電子商品取引を通じた不公正取引の防止のための取引審査が適正に行われる体制が整備されているか。  
4.顧客に提供する情報の管理 (1) 提供される情報の内容が適正であるかについて、社内(売買監査部等)の審査体制が構築されているか。例えば、ホームペ―ジや電子メールにより提供する各種情報、勧誘資料が広告に係る社内管理責任者等の審査を経たものであるか。  
(2) 広告に係る社内管理責任者等は、これらの情報や資料が、法令等に照らし問題がないか検討を行っているか。  
(3) システム上の不備等に起因する誤った情報が継続して提供されているようなことがないか。また、こうした問題を防止するための定期的なチェック(テスト等 )が行われているか。  
(4) 過去に提供した情報が、後日検証できるような形で保存されているか。
保存がなされていないものは、後日、検証が必要となることや紛争が起こること等の不都合が生じるおそれはないか。例えば、ホームペ―ジや電子メールにより交信した内容について、適切に保存されているか。
 
(5) 取引報告書は、適正なものが作成・交付されているか。  
5.システム障害等に対する対応 (1) システム障害等に対するバックアップ体制及び対策が整備されているか。  
(2) システム障害等の発生を監視する体制が整備されているか。  
(3) システム障害等のトラブルに起因する商品取引事故等について迅速かつ適切に対応しているか。  
(4) システム障害等が生じた場合、電子商品取引の有する特性等を十分配慮した対応をとっているか。  
(2) 電子商品取引に関するリスク管理体制の確認検査用チェックリスト
  本チェックリストにおいて電子商品取引とは、顧客が、電子機器(コンピュータ、携帯情報端末等)によりインターネット又は他の商用オープンネットワークを利用して行う商品先物の売買その他の取引を行うものをいう。
検査官は、「リスク管理体制の確認検査用チェックリスト」及び「システムリスク管理体制の確認検査用チェックリスト」と本チェックリストにより、電子商品取引の管理体制の確認検査を行うものとする。なお、通常の対面取引と同様な項目については各「チェックリスト」「マニュアル」を活用する必要がある。
本チェックリストは、商品取引員に係る検査において適用するものである。
(2)電子商品取引に関するリスク管理体制の確認検査用チェックリスト
項目 リスク管理体制のチェック項目 リスク管理体制のチェック項目に係る説明 チェック欄
T.リスク管理に対する認識等
(T)取締役の認識及び取締役会の役割
1.取締役のリスク管理の理解及び認識 取締役は、 非対面による販売・勧誘時の説明・情報提供やトラブル対応、第三者の関与等の問題が、電子商品取引において特に顕在化する可能性があるなど、電子商品取引のリスクの所在を理解し、当該リスク管理の重要性を認識しているか。特に担当取締役は深い理解と認識を有しているか。  
2.リスク管理の方針の確立 取締役会は、リスク管理の方針を明確に定めているか。加えて取締役会において、リスク管理の方針が組織内で周知されるよう、適切な方策を講じているか。  
3.リスク管理のための組織の整備 取締役会は、電子商品取引に係るリスクの管理部門を整備しているか。
また、組織体制については必要に応じ随時見直し、戦略目標の変更やリスク管理手法の発達にあわせて改善を図っているか。
 
(U)管理者の認識及び役割 1.管理者のリスク管理の理解及び認識 管理者は、例えば、電子商品取引の関連業務を外部委託した場合、委託先の責任によるシステムダウン等により顧客サービスに支障が生じた場合においても、当該サービスについて委託者としての責任を免れ得ない可能性があるなどリスクの所在等を理解した上で、リスク管理の重要性を認識し、かつ、各部門の担当者に当該内容を理解・認識させるよう、適切な方策を講じているか。  
2.リスク管理のための規定の整備 管理者は、リスク管理の方針に沿ったリスク管理等の手法を構築し、適切なリスク管理のための規定を取締役会等の承認を得た上で整備しているか。  
3.リスク管理のための組織の整備 管理者は、リスク管理の方針及びリスク管理のための規定に沿って、適切なリスク管理を行うための組織を整備しているか。  
U.適切なリスク管理体制の確立
(T)システムリスク管理体制び情報管理
1.セキュリティーの確保 外部委託先を含めセキュリティーは十分なレベルを確保しているか。 その際、ネットワーク不正侵入やコンピュータウィルス等外部からの侵入対策に加え職員等による不正利用等内部からの侵入も考慮しているか。  
2.本人確認 非対面取引であることに鑑み、マネー・ローンダリング防止や不正利用防止の観点から顧客の本人確認を行っているか。  
3.顧客情報の管理 顧客の取引に関する情報の管理は十分にされているか。  
4.顧客自身による使用状況の確認機能 利用者を不正使用から守るため、利用者自身が使用状態を確認する機能を設けることが望ましい。  
5.記録の保存 電子商品取引が非対面取引ということに鑑み、顧客との取引履歴等について改ざん・削除等されることなく、内容の重要性等必要に応じ一定期間保存することが望ましい。  
(U)情報提供 1.ディスクロージャー 自社の業務の状況等(例えば、会社の概況及び組織に関する事項、財産の状況等)をホームページに掲載することが望ましい。  
2.販売・勧誘時の説明・情報提供等 (1) 顧客の契約判断の適正を確保する観点から、画面上に問合せ窓口(メールアドレス)及びその他の連絡方法を明示するとともに、提供した情報の内容について、顧客に質問をする機会を与えているか。  
(2) リンクによって生じうるサービス提供主体についての誤認を防止するための対策を講じているか。  
(3) 取引に関する情報提供に止まらず、他の取引形態とは異なるリスクが存在することに関して利用者の注意喚起を図るとともに、トラブルの発生をできる限り回避する観点から、システムダウンが生じた場合の責任分担のあり方(商品取引員の免責事項を含む。 )を定め、取引開始に先立ち、利用者に対して明確な情報提供を行っているか。  
(4) システムの機能停止又は不具合に備え、インターネット以外の媒体による連絡方法を利用者に周知しているか。その場合、取引が行われている画面に表示されていることが望ましい。  
(5) 顧客からの苦情・相談を受付ける体制を構築しているか。  
V.緊急事態への対応策 緊急事態対応体制 システム障害等に対する体制及び対策が顧客対応を含め適切に整備され、緊急時対応計画が作成されているか。  
W.監査及び問題点の是正
(T)内部監査
1.内部監査部門の体制整備 内部監査部門は、 業務及びシステム関係に精通した要員を確保しているか。  
2.内部監査部門の監査の手法及び内容 (1) 監査対象は、電子商品取引業務全体を監査対象としているか。内部監査の対象とできない外部に委託した業務については、当該業務の所管部門等における管理状況等を監査対象としているか。  
(2) 内部監査等により発見された問題点については、必要に応じ、速やかに原因を究明し、対処できる体制となっているか。  
(U)外部監査 外部監査等の活用 外部委託業務を含め、定期的に外部監査人等の評価を受けていることが望ましい。  
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