相続税改正に向けた相続対策(小規模宅地の特例の活用の活かし方)・相続財産調査
相続紛争回避のための遺言書作成のアドバイスや提案を致します

小規模宅地の特例の改正(2世帯住宅・老人ホーム入所) −H26.1.1改正
●一棟の二世帯住宅
一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する分を特例の対象とする。
・同じ建物でも親子で一階と二階に分かれて住んでいて、入口が別々の場合、中でつながっていないと特例の適用が受けられなかったのですが、改正により中でつながっていなくても適用が受けられるようになります。
●老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する。
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
・同居していた被相続人が老人ホームに入っていた場合も特例の適用を受けるためには厳しい条件がつけられていましたがこれも緩和されました。
改正前は以下の4つが要件でしたが
1.介護が必要なために入所
2.入所後も自宅を他人に使わせていない
3.いつ戻ってきてもいいように自宅を維持管理している
4.ホームの所有権や終身利用権を取得していない
H27.1.1から対応の改正内容
・居住用宅地240uが330uに拡大(80%減額)
・事業用宅地400uと居住用宅地330u併用が可能となり730uに拡大(80%減額)
・貸付用地(不動産・駐車場)200u(50%減額)
居住用宅地との調整となる
例)居住用宅地が200uの場合
200u×(330u÷130u(330u-200u))=約78u
・相続税の基礎控除の改正
基礎控除が5,000万円から3,000万円に減額
相続人1人1,000万円が600万円に減額
・遺言書を作成した方がよい場合
子供がいない夫婦が配偶者に確実に遺産を残したい場合や、法定の相続分以外の割合により財産分けをしたい場合に、遺言の作成は有効です。
自分の財産を,法定の相続分以外の割合により承継させたい場合には、遺言の作成が必要になります。
1.親族間の事情から、法定相続分でない割合による財産分けをしたい場合
例1.子供のいない夫婦のケース
例えば,子供のいない夫婦のうち夫が先に死亡した場合、妻と夫の父母が相続人になります。一方、夫の父母が死亡していれば、残された妻と夫の兄弟姉妹が相続人となります。この場合において、遺言がなければ、夫の遺産は、遺産分割協議のうえ、原則的に妻が4分の3,兄弟姉妹が4分の1という法定相続割合で分けることになります。つまり,夫婦で築いた資産を、関係ない兄弟にも配分しなければならなくなります。また,兄弟のうち死亡している者がいれば甥や姪が代襲相続人となり,遺産分割する際には、甥や姪とも話合いをしなければならないことなります。
このような場合には、夫が遺言を書いて「全財産を妻に相続させる」と記載しておけば、すべて配偶者に相続させることができ、兄弟姉妹等との話合いも必要ありません。兄弟姉妹には遺留分がないからです。
例2.子供違の兄弟仲が悪いケース
子供達の兄弟仲が悪いと,相続が発生した場合も遺産分割協議がスムーズにまとまりません。遺言書を書いておくことにより、遺産分割協議を不要にすることができます(遺留分に留意)
なお、このような場合、遺言の中に,なぜそのような遺言の内容にしたか、また兄弟仲よく暮らすよう、書き加えておくことも可能です。
例3.行方不明の推定相続人がいるケース
行方不明で連絡が取れない相続人がいる場合には,家庭裁判所などで不在者の財産管理人を選任してもらわなければ遺産分割協議ができません。しかし、遺言を作成しておけば遺産分割協議が必要なく,財産の承継がスムーズにできます。
例4.特別な配慮が必要な相続人がいるケース
相続人のなかに,病弱であったり,障害のあるなど特別の配慮が必要な人がいる場合には、 遺言を書くことによって、法定相続分より多くの財産を相続させることができます。
2.特定の財産を特定の人に承継させたい場合
会社経営者の場合は、事業用資産(自社株・事業用資産)は後継者に相続させる必要があります。相続争いが起きたり事業用資産について遺産分割による分散が生じた場合は事業が継続できなくなることもあります。遺言を書くことで、後継者には事業用資産を中心に相続させ、その他の相続人には金融資産などを相続させるなどの工夫ができます。
3.相続人以外の人に財産を渡したい場合
例1.息子の妻に介護の世話になっているケース
いくら世話になっていても、養子縁組をしない限りは息子の妻には相続権はありません。このような場合には、遺言を書くことにより、世話になった息子の妻にも財産の一部を渡すことができます。特に息子が死亡し,孫がいないような場合は、遺言書を作成しておかないと、息子の妻には何も相続させられないことになってしまいます。
例2.内縁の配偶者がいるケース
婚姻届が出されていない事実婚の配偶者については、たとえ何年同居していても相続権はありません。このような場合には、遺言を書くことにより,妻に遺産を残すことができます。
※遺言者の気持ちを伝えるために付言事項を付けることをお勧めします。相続紛争回避の一手段となります。
※遺言書は下記のように公正証書遺言が増加していますので、公正証書遺言をお勧めします。
家庭裁判所での紛争件数(裁判所統計から)
項目 H24年度 H23年度 H22年度 H21年度 H20年度 H19年度
不在者の財産の管理に関する処分 8,358 8,233 8,769 9,504 8,944 9,220
相続の放棄 169,300 166,463 160,293 156,419 148,526 150,049
遺言書の検認(公正証書遺言はH22年で81,984件増加の傾向) 16,014 15,133 14,996 13,963 13,632 13,309
遺産の分割に関する処分 15,288 14,029 13,597 13,505 12,879 12,265