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消滅時効一覧表
 消滅時効期間、権利の行使期間の一覧表(期間は初日を算入しない)
期間 消滅する格利または行使できなくなる権利 条文
  所有権は永久に存続する 民167条2項
20年 債権・所有権以外の財産権
・地上権、永小作権、地役権など
民167条2項
10年 民事債権
・商人でない者同士の債権。市民間の貸借など
民167条1項
確定判決またはこれと同一の効力を有するものにより確定した債権
・裁判上の和解調書、調停調書、確定した支払督促、仲裁判断
民174条の2
金属造等の土地の工作物についての請負人の担保責任 民638条
新築住宅の基本構造部分の請負人の担保責任 住宅品確87条
新築住宅の基本構造部分の売主の担保責任 住宅品確88条
5年 商事債権
・商人同士の債権または商人・消費者間の債権一般
・クレジットやローンの返済金(各弁済期から起算)
・銀行預金(普通預金は最後の預入れ払い戻しから、定期預金は期間満了から起算)
商522条
商行為による契約の解除椿・債務不履行による損害賠償請求権 商522条
民法の取消権
(追認ができる時から起算、行為の時から20年が上限)
民126条
定期金債権 民168条
定期給付債権
・地代、家賃、利息、公的年金
民169条
国の金銭債権または国に対する金銭債権 会計30条
地方自治体の金銭債権または地方自治体に対する金銭債権 地方自236条
国税 国税通則72条
地方税 地方税18条
民間企業労働者の退職金請求権 労基115条
一般の土地の工作物・地盤についての請負人の担保責任 民638条
3年 不法行為による損害賠償請求権
(損害と加害者を知ってから起算、不法行為から20年が上限)
民724条
製造物責任法による損害賠償請求権
(損害と加害者を知ってから起算、出荷から10年が上限)
製造物責5条
医師・助産師または薬剤師の治療・助産・調剤に関する債権 民170条1号
工事の設計者・施工業者・監理業者の工事に閥する債権
・請負工事、自動車の修理(工事終了の時から起算)
民170条2号
弁護士・弁護士法人・公証人の書類返還義務 民171条
2年 弁護士法人・公証人の職務に関する債権
・弁護士費用(事件終了の時から起算)
民172条
生産者・卸売店・小売店が売却した商品代金
・商品代金、電気料金、ガス料金
・自社割賦の返済金(各弁済期から起算)
民173条1号
自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作しまたは自己の仕事
場で他人のために仕事をする業者の仕事に関する債権 ・洋裁、和裁、パーマ、理髪、クリーニング、印刷
民173条2号
授業や寄宿に関する学芸または技能の教育を行う者の債権
・学校、学習塾、家庭教師、お稽古事の授業料・教材費
民173条3号
民間企業労働者の賃金・災害補償の請求権 労基115条
保険会社に対する保険金支払請求権・保険料返還請求権 商663条
保険会社に対する積立金払戻請求権 商682条
1年 月またはこれより短い期間をもって定めた使用人の給料
・家事使用人の給料
民174条1号
自己の労力の提供または演芸を業とする者の賃金や供給物の代価 民174条2号
運送賃
・タクシー、パス、電車、貨物運送、引越し、宅配便
民174条3号
旅館・料理店・飲食店・貸席・娯楽場の宿泊料・飲食料・席料・木戸銭・消費物の代価・立替金
・劇場、映画館、ボーリング場、遊園地などの入場料
・飲食店のつけ
民174条4号
動産の損料
・レンタカー、ビデオ等のレンタル料。リース料
民174条5号
売主の瑕疵担保責任による損害賠償請求権・契約解除権
(知ってから起算)
民570条等
請負人の瑕疵担保責任による修補請求・損害賠償請求権・契約解除権
(目的物引渡し時から起算)
民637条
運送人の責任
(荷受人の運送品受取り時から起算)
商589条等
客の来集を目的とする場屋の主人の寄託物に関する責任 商596条
倉庫営業者の寄託物に関する責任 商626条
保険会社の保険料支払請求権 商663条
6月 消費者契約法の取消権
(追認ができる時から起算、締結の時から5年が上限)
消費者契7条
特定商取引法の取消権
(追認ができる時から起算、締結の時から5年が上限)
特商9条の2
3月 相続に関する限定承認・相続放棄
(知ってから起算。利害関係人の請求により伸長できる)
民915条
少額訴訟制度とは
@ 対象は、金銭の支払いに限定されます。「土地を明け渡せ。」、「境界線を決定してもらいたい。」などのトラブルは、対象となりません。
A 請求額は60万円までに限定されます。
B 申立ては、簡易裁判所に行います。
C 同じ簡易裁判所で、年に10回まで利用できます。
D 相手方(被告)が通常手続きの裁判を希望するときは、利用できません。
E 相手方(被告)の住所が不明のときは、利用できません。
F 審理は、1日で終わります。
G 費用が安く、手続きが簡単です。手続き簡素化のために、控訴ができないこと、本人の出頭を命ずることができること、証人や証拠はその場で調べられるものに限定されること、反訴手続きを禁止することなどの工夫がなされています。
H 円卓形式を利用するなど、「開かれた、親しみやすい裁判」となるよう工夫されています。
支払督促とは
 支払督促とは、正式な裁判手続をしなくても、裁判所から債務者に対して金銭などの支払を命じる督促状(支払督促)が送られる制度です。この制度は、実際には、債権回収の有効な手段として利用されています(民訴382条)。申立ては、金銭債権の額にかかわらず、簡易裁判所で行います。消費者などが、支払督促を受けて、2週間以内に異議を述ベずに経過すれば、支払督促が確定して債権者は消費者などの財産に強制執行するこども可能になります。支払督促は、簡単に手続きができます。まず、申立人(債権者)の申立書を受理した裁判所は、書面審査のみを行い、申立書に問題がなければ債務者(事例では、消費者)に支払督促を送付します。少額訴訟のような請求金額の制限はありません。また、訴訟のように証拠調べなどは行われませんので、非常に迅速に進行します。債務者が、異議を申立てた場合には、通常訴訟(裁判)ヘ移行します。支払督促を申立て、2週間以内に債務者からの支払いも異議もなければ、30日以内に仮執行宣言の申立てがなされます。これに対しても、2週間以内に異議申立てがなければ、仮執行宣言が認められ、支払督促は、裁判の判決と同様の効力を持つことになります。なお、期日内に、債務者からの異議中立てがあった場合には、支払督促事件は通常訴訟に移行します。
支払停止の抗弁
 購入者は、割賦販売法による割賦購入あっせんなどで購入した指定商品に欠陥などがあって販売店とトラブルになっているのに、クレジット会社から支払請求を受けた場合には、販売店との間で生じている事由をもって割賦購入あっせん業者などに対して、支払請求を拒むことができます。これを「支払停止の抗弁」といいます(割賦販売30条の4)。
抗弁できる事由としては、次のものがあります。
@ 売買契約などの不成立
A 販売事業者等の債務不履行
B 契約の取消し、解除による債権・債務の消滅
C 特定継続的役務提供の中途解約
◎ 割賦販売法における支払停止の抗弁の要件(割賦販売30条の4・30条の5・29条の4、割賦販売令13条の6)
@ 割賦購入あっせん、またはローン提携販売に関する購入であること。
A 指定商品・指定権利・指定役務の販売であること。
B 割賦購入あっせん関係の販売業者、またはローン提携販売業者に対して生じている一定の事由があること。
C 割賦販売法施行令で定める金額以上の支払総額であること。
D その購入が購入者のために商行為とならないこと
電話で申し出た口頭のクーリング・オフが認められた判例
 特定商取引法のクーリング・オフに関する規定では、1項で「書面により」その売買契約の申込みの撤回等ができると定められており(9条)、その旨をクーリング・オフの告知の書面にも記載しなければならないとしています(省令)。
福岡高裁の平成6年8月31日の判決は、袋帯の訪問販売で契約直後に解約する旨を口頭で伝えたという場合に、クーリング・オフの成立を認めました。その理由として、@クーリング・オフ制度は消費者保護に重点を置いた規定であること、A書面を要する理由は、後日紛争が生じないよう明確にしておく趣旨であり、それと同等の明確な証拠がある場合には保護を与えるのが相当であること、をあげています。解約の意思を伝える方法にはファックス、電子メールなどがあります。いずれにしても明確に証拠に残る方法で通知するのが安全です。
地方自治体の苦情処理委員会である東京都消費者被害救済委員会による、昭和54年12月の「布団・カセット教材(訪問販売)購入契約の解除に関する紛争事件」があります。布団、カセット教材の両側とも、訪問販売で商品の購入契約をし、4日以内(昭和54年当時のクーリング・オフは4日間)に電話で解約を申し出て了承されたのに、後日無条件解約には応じられないと言われたというものです。センターに相談し、その後に内容証明郵便を出して話し合ったが、あっせん不調となり、東京都消費者被害救済委員会にかけられ、その結果無条件で解約されています。同委員会の結論は「解約の申し出は、口頭によることもできるものであり、書面による方が好ましいけれども、必ずしも必要なことではないと考える」とし、その理由として、@訪問販売法(特定商取引法の旧称)の立法趣旨からみて、書面による申し出に限定する必然性は全くない。A法律の趣旨は解約申し出が書面によらなければ効力がないとするものではない。B取引に書面を用いる慣行が一般消費者にあまり普及していないし、口頭の契約の申し出を有効と認めても、事業者に不当な不利益を与えるものではない。Cただし、解約申し出の立証は消費者がしなければならないのであり、単に口頭で申し出れば足りるというのではなく、後日証拠となりやすい書面によってするのが間違いないところであろう、としています。
クーリング・オフ経過後の解約と違約金
 民法では、契約が解除された場合、あらかじめ契約内容として、損害賠償額が予定されているときは、裁判所はその額を増減することはできません(民法420条)。
 消費者契約法は、損害賠償額や違約金が定められていても、当該事業者に生ずる平均的な損害の額を超えるときは、超えた部分について契約条項を無効としました(9条1号)。
 特定商取引法10条は、そのような場合でも、販売業者は1号から4号までの各号に掲げた額に、法定利率による遅延損害金を加算した金額を超える支払いを請求することができないとしています。
※契約を解除する場合、販売業者が請求できる損害賠償または違約金の最高限度を法で定め、それを超える額は無効として損害賠償額を制限しているわけです。
特定商取引法10条の規定は具体的には以下のとおりです。
@その商品が返還された場合は、その商品の通常の使用料の額(商品の販売価格からその商品の返還された時の価額を控除した額が通常の使用料の額を超えるときは、その額)。
Aその商品が返還されない場合は、その商品の販売価格。
Bその役務の提供の開始後である場合は、提供されたその役務の対価に相当する額。
Cその契約の解除がその商品の引渡し前であるときは、契約の締結およぴ履行のために通常要する費用の額。(割賦販売法6条にも同様の規定があります)。
Cの契約の締結のために要する費用とは、締結に際しての書面の作成費や印紙代などです。実際にかかった費用ではなくて通常要する費用です。販売員の歩合や日当、交通費等の経費や、在庫にない商品の仕入れ費用や資材の調達費用は含まれません。なお、合意解約の場合でもこのルールに準じて取り扱うとされています(施行通達)。 業界が標準使用損料を定めている場合がありますが、これに拘束されるものではなく、あくまで参考にして、同条の趣旨に従って個別に判断されるべきです。
(参考判例)業界の標準使用損料の適用を排除したものに、大阪高判昭和55年2月29日がある。使用料の額は「公正な機関による評価に従い合理的に算定すぺきものであって、予め売主側で使用料算定のための料率表による旨を約款に定めても、合理的算出根拠が認められない限り同表によらねばならないものではない」とした。
消費者に不利なクーリング・オフの特約
 商品の使用については、一度使用または消費してしまうと全く価値がなくなってしまう健康食品や化粧品などの消耗品は別として、これら以外の商品については、使用してもクーリング・オフによる解約ができ、使用損料などの損害賠償を支払う必要はありません。次に特約についてですが、特定商取引法は、法律上のクーリング・オフの規定に反するような「特約で申込者等に不利なものは、無効とする」と定めています(9条8項)。
クーリング・オフの告知を隠した
 「クーリング・オフ隠し」が行われた場合は、クーリング・オフ制度が消費者に正しく告知されなかったと判断されるので、クーリング・オフ不告知として、8日経過後もクーリング・オフできます。クーリング・オフにより契約が解除できるので、販売業者に書面でクーリング・オフの通知をすればよいです。
クーリング・オフ妨害とは
@ 事業者が勧誘に際して、または契約解除を妨げるため、クーリング・オフについて不実を告げ、消費者が誤認をしてクーリング・オフをしなかったとき
A 事業者が契約解除を妨げるため、威迫したことにより消費者が困惑してクーリング・オフをしなかったとき(不実告知や威迫を受けた時点は、勧誘時でも契約時でもクーリング・オフを申し出た時でもかまいません)。
 事業者が省令で定める様式の「クーリング・オフ妨害の解消のための書面」を消費者に交付して、消費者がその書面を見ていることを確認したうえで、(aXb)についで説明した場合は、その日から起算して8日を経過するとクーリング・オフはできなくなります。
(a) 今日から8日間はクーリング・オフができること
(b) 損害賠償を請求しない等のクーリング・オフの効力
く参考>
クーリング.オフは通知を発した時に成立する。クーリング・オフ成立後に、ウソをつかれたり、おどかされたり、説得されたりして契約を続けることになった場合は、契約解除後に再契約したことになるので、事業者は新しい契約についての書面を交付する必要があり、新しい契約のクーリング・オフ期間はその書面受領後8日間と考えられます。
<参考>
 鞄本訪問販売協会の団体会員である家庭訪販振興協会が販売倫理規定を作っている。同協会は消費者相談窓口を設け、主に会員業者のトラブルの解決を行っているが、非会員事業者のトラブルに対しても対応をしている。
クーリング・オフができる取引とは
取引内容 クーリング・オフ期間 適用の条件 関係法令
訪問販売 法定の契約書面の受領日から起算して8日間 指定商品・権利・役務の契約(現金取引のときは3,000円以上) 特定商取引に関する法律9条
電話勧誘販売 法定の契約書面の受領日から起算して8日間 指定商品・権利・役務の契約(現金取引のときは3,000円以上) 特定商取引に関する法律24条
連鎖販売取引 法定の契約書面の受領日から起算して20日間 全ての商品・権利・役務 特定商取引に関する法律40条
特定継続的役務提供 法定の契約書面の受領日から起算して8日間 エステ、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービス(店舗での契約を含みます。) 特定商取引に関する法律48条
業務提供誘引販売取引 法定の契約書面の受領日から起算して20日間 全ての商品・権利・役務(店舗での契約を含みます。) 特定商取引に関する法律58条
割賦販売クレジット契約 クーリング・オフ制度の告知(法定書面の交付)の日から起算して8日間 店舗外での、指定商品・権利・役務の契約 割賦販売法4条の4・29条の4・30条の6
宅地建物取引 クーリング・オフ制度の告知書面受領の日から起算して8日間 店舗外での、宅地建物取引業者が売り主である宅地建物の取引 宅地建物取引業法37条の2
海外商品先物取引 海外先物契約(基本契約)締結日から14日を経過するまで(締結日の翌日から14日間) 指定取引所における指定商品の取引(事業所以外での取引であること) 海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律8条
預託等取引契約 法定の契約書面の受領日から起算して14日間 特定商品3か月以上の預託取引 特定商品等の預託等取引契約に関する法律8条
投資顧問契約 法定の契約書面の受領日から起算して10日間 投資顧問業者(登録業者)との契約(精算義務があります。) 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律17条
商品ファンド契約 法定の契約書面の受領日から起算して10日間 商品投資契約 商品投資に係る事業の規制に関する法律19条
ゴルフ会員権契約 法定の契約書面の受領日から起算して8日間 50万円以上のゴルフ会員権(オープン前の新規募集であること。) ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律12条
不動産特定共同投資契約 法定の契約書面の受領日から起算して8日間 不動産特定共同投資契約 不動産特定共同事業法26条
生命・損害保険契約 法定の契約書面の受領日から起算して8日間 店舗外での、契約期間1年を超える契約 保険業法309条
小口債券販売契約 法定の契約書面の受領日から起算して8日間 小口債券販売契約 特定債権等に係る事業の規制に関する法律59条
(注1)クーリング・オフ期間の起算日は、海外商品先物取引を除き、いずれも初日を算入します。
(注2)「告知の日」とは、販売業者からクーリング・オフ制度の適用があることを記載している法定書面を渡された日のことです。
(注3)「法定の契約書面の受領日から」とは、消費者が申込みをしたり、契約を締結した場合に、販売業者が消費者に交付しなければならない、法律で定めた記載事項のすべてが記載された書面(いわゆる「契約書の控」)の交付を受けた日のことです。
(注4)クーリング・オフに関する事項の記載については、赤枠内に8ポイント以上の大きさの赤字で記載されていること。
〔架空請求〕代金未納の裁判を取り下げるための相談に応じるとのハガキがきた
 「未納料金について契約会社から民事訴訟が起こされたことを通知します。裁判の取下げなどの相談に応じますので連絡ください。個人情報保護の関連で、必ず本人から連絡してください」と書かれたハガキが「法務局認定・督促管理センター」というところからきた。でも契約などの代金を末納にしたことはなく心当たりがない。連絡して聞いたほうがよいか。
● このような架空請求のハガキが多くの人に届いて被害が増えています。発信先をもう一度確認してください。「法務局認定の○○セン夕ー」「訴訟通達管理局」などと、訴訟(裁判)に関連するようなそれらしい名前を使っていますが、法務局とは関係がなく、もちろん、公的機関でもありません。実際には存在しない場合もあります。また、架空請求のハガキの内容は、「未納の消費料金」「民法指定消費料金」などと、どこかで聞いたような言葉を使い、詳しく知らない人を驚かせ、おまけに提訴されるなどと不安がらせるものもあります。
裁判を取り下げないと訴訟が始まると不安がらせ、あなたに連絡するように仕向けています。
このように言われるとつい連絡をしたくなるのですが、法務局の関係機関が「提訴された」とのハガキを出すことはいっさいありませんし、請求の具体的内容が何も示されていません。ですからこのようなハガキは、無視してよいのです。
● 個人情報を得るための手段に使われる架空請求
悪質業者は、あなたからの連絡によって、電話番号や個人情報を得ようとしているのです。ハガキは無作為に出されている場合が多く、電話をかけたことによって、あなたの個人情報を聞きだされ、結局、高額な請求をされ、支払わされる羽目になった例も増えています。
どうしても気になって確認したいときには、直接ハガキに書かれた業者の電話番号には電話をせず、近くの法務局、または消費生活相談窓口に、@ハガキに書いてある○〇センターなど法務局認定団体があるかどうか、Aこんなハガキが出されることがあるかどうかを確認してください。
※ 根拠のない架空請求のハガキは無視する。個人情報を得るための手段に使われる架空請求。
〔振リ込め詐欺〕高齢の母が騙されて払い込んだお金を返してほしい
 突然、高齢の母のところに私の息子からだという電話があり、「僕だけど、借りたお金をいま返せと脅されている。何とかしてほしい。返さないと警察に突き出すと言われている」と泣き声で言われ、そのうえ、電話に別の男が出て「借りたものは返すのが当たり前だろう。どんな教育をしているのだ。」とどなられ、「何とかしてノーという悲鳴まで聞こえてきたので、母は確かめる暇もなく、五〇万円を銀行から下ろして、指示された口座に振り込んだ。
その後、私のところに母が連絡してきたので私の息子に確かめたところ、お金など借りていないし、電話もかけていないことがわかって騙されたと知った。それで「支払ったのは間違いだから返金してほしい」と銀行に言ったがだめだった。
警察にも行ったが無理だと言われた。何とかならないか。
● 振り込め詐欺は相手の特定ができにくいため解決が困難
あなたのお母さんは、「振り込め詐欺」によって騙されて支払ってしまったのですから、お金を支払った行為は錯誤によって無効となり、当然、相手方に返金するように要求することができます。しかし、相手を特定するのは難しく、また、警察の力で相手を見つけ出し、お金の返還請求をしたとしても、返済能力がなければ返金させることはできないのです。それだけに返金させることは期待できません。
このような被害が多発したので、振込口座として利用されている銀行の責任を問う裁判も起こされています。最近では、銀行などのATMを使った振込みについては、原則として10万円を限度とすることになりましたが、基本的には、個人が騙されないように注意をすることが第一なのです。
● 本人確認法の改正
平成一六年一二月三○日、本人確認法(金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律)の改正法が施行されました。この改正は、他人名義の銀行口座等を悪用した、いわゆる「オレオレ詐欺」と呼ばれる振り込め詐欺や架空請求等の犯罪が大きな社会問題となっていることが背景にあります。改正のポイン卜は次のとおりです。
@ 法律の題名を「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」に変更した。
A 成りすまし目的や正当な理由のない、有償での預貯金通帳等の譲り受けや譲り渡しなどを処罰する。違反した場合には、五〇万円以下の罰金とする。
B これらの行為を業として行った場合は、ニ年以下の懲役もしくは三〇○万円以下の罰金または、これらを併科する
〔モニター商法〕モニターだから無料と言われて買わされた着物を解約返品したい
 友人の奥さんから着物のモニターにならないかと誘われた。「着物が夕ダで手に入るし、あなたの自由になるお金もできる」、「皆から感謝される仕事だし、空き時間でできる」と勧められ、それならできるかと思い説明を聞きに行った。ところが、モニターになるには着物を買う契約をしなければならなかった。このとき「これはあなたのユニフォームだから、契約は形だけで代金は会社が支払う」と言われた。少し不安だったが「形だけだ」と言うので八○万円のクレジット契約をし、その控えだけをもらった。その後、頑張って友人や近所の人に声をかけて展示会に来てもらった。
初めのうちはモニター料も振り込まれ、着物の代金を払わなくてもよかったのだが、八カ月くらいたって、モニター料が振り込まれなくなり、クレジット会社から請求がきた。すぐに会社に連絡を入れたが、「少し待ってほしい」と言うだけで、そのうちに連絡がつかなくなった。このことをクレジット会社に説明しても聞いてもらえず、しかたなくニ回ほど自分で支払った。現在のクレジット残額は、二ヶ月ほど前に五○万円の帯も契約したので一三○万円にもなってしまい、もう払えない。もらったものはクレジットの契約書だけで、帯はまだ受け取っていないのでこれだけでも解約したい。何とかならないか。
● モニター商法にはニ〇日間のクーリング・オフ期間がある
あなたが誘われたのは、「モニター商法」といわれるものです。モニターになることで得た収入で商品代金が払えて、しかも、無料で目的の商品が手に入ると勧められると、つい契約してしまう。着物以外にも浄水器や化粧品などの販売方法にも使われます。
こうしたモニターのように収入のある仕事を勧めながら、その実は商品を買わせる販売方法について、特定商取引法では「業務提供誘引販売取引」として規制をしています。その規制内容は、@収入を期待させる説明をする場合には、収入の根拠などを記載した概要書面を契約書とは別に渡すことAクーリング・オフ期間が二○日間であることを知らせること、B勧誘にあたって嘘をついたり、不利な事実を隠したりしてはならないこととしています。
あなたに渡された契約書にはクーリング・オフの記載がありましたので、これに従ってクーリング・オフができるかどうかを考えてみます。しかし残念ながら、最も新しい帯の契約でも二カ月が経過していますので、クーリング・オフによる解約はできません。ただし、帯に関しては商品を受け取っていませんし、事業者が倒産状態なのですから、これから先も受け取れる可能性がないので、債務不履行を理由に解約をすることができます。
● 業務提供誘引販売では契約書と業務の内容を説明する概要書面が必要
次に着物の契約についてですが、問題となるのは渡されるはずの概要圭書面が渡されていないことで、これは特定商取引法違反となります。しかしこの規制は行政規制なので、違反しているからすぐに解約とはなりませんので、契約上の問題点を指摘して交渉することになります。具体的には、契約するに至った重要な部分であるモニター料が、いつまで支払われるのか、支払われなくなったときに契約がどうなるのかについて明らかな説明がされておらず、着物の代金が無料と誤認をさせています。こうした勧誘方法が契約の重要事項について「故意に買い手に不利益となる事実を告げないで、嘘のことを告げた場合」にあたるとすれば、特定商取引法、消費者契約法によって取り消すことが可能になります。
こうした問題点をあげて、販売業者と交渉にあたっては、契約当時の状況を内容証明郵便の形にするなどして相手方に伝えることから始めます。ただ、着物に関してはすでに受け取って使用していますし、モニター料も得ているため解約はかなり難しくなります。交渉が難しい場合には、早急に最寄りの消費生活相談窓口や、弁護士に相談することをお勧めします。
● 特定商取引法の規制
特定商取引法では、モニター商法、内職商法を「業務提供誘引販売取引」として規制強化しています。勧誘に先立つ氏名等の明示義務やクーリング・オフ、クーリング・オフ妨害、契約取消権、解除に伴う損害賠償の制限等が規定されています。
〔リース契約〕電話機のリース契約をしたが高額なのでやめたい
 牛一頭と自分が食べるだけの畑をつくっている母のところに訪ねてきた販売員から「電話回線がデジタル化されるので、今の電話は使えなくなる」とIP電話機を勧められた。リースというのが何かわからないまま、クレジットと同じで名前が違うだけと言われたので、何となくそうかと思い、六○万円もしたが長期のリースにすれば電話代が安くなると言われて契約した。契約書に「あなたは牛を飼っているから職業は牧場主」と書いておくと言われたので、そんなものかと思っていたという。その後、母が友人に聞いたら今の電話も使えるとわかったので解約したいと私に連絡がきた。七日目だったからすぐに、クーリング・オフをしなけれぱと思って母といっしょに販売会社に電話した。ところが、販売会社は「事業者だからクーリング・オフの対象にはならない。それに、リース契約だから、もともと解約などはない。解約したければ全額支払ってもらう」と言われた。
リースだから解約できないなんて知らなかったし、騙された。何とか解約させたい。
● 電話機を自宅用と事業用のどちらのために契約したのか
通常の契約であれば、勧誘方法が突然の訪問販売ですし、電話機は特定商取引法の対象品目で、契約書面を受け取ってから(受け取った日を含め)八日目までに申し出ていれば、特定商取引法におけるクーリング・オフができます。しかし、@契約者が「消費者」ではなく、「事業者」であれば、営業のために日常的に契約をするので十分知識があると考えられ、消費者保護のための法律、たとえば特定商取引法の適用はありません。また、A契約がリース契約のときは、もともと事業者のする契約なので、消費者保護のための法律が適用できない場合があります。そのため、まず、あなたのお母さんが、事業者であるかどうか、電話機が事業用なのか自宅用なのかが問題となります。事業用であることがはっきりしていれば、消費者保護関連法の適用が難しいですから、自主交渉をすることになります。
● 「事業者」のする契約に消費者保護関連法は適用できないが悪用の場合は適用できる
事業者とは営業行為として事業を行う人のことです。あなたのお母さんの場合は牧場を営んでいるわけではなく、事業をしているわけではありませんね。牛を飼っていても自家用に一頭だけ飼っているのですから事業者とみなすことはできないでしょう。となると、この契約は事業のための契約とはいえません。
なお、経済産業省の通達では、事業者であっても「実質的に廃業していたり、事業実態がほとんどない零細事業者の場合には、特定商取引法が適用される可能性が高い」としています。
● セールストークに問題があった場合は法の規制が及ぶと考えられる
事例では、次のような問題点がありますので、解約が可能になります。つまり、@営業員が訪問の際に「電話回線がデジタル化されるので今の電話機は使えなくなる」と欺いて勧誘していますし、A「リース契約とクレジット契約が同じであり、事業者だからクーリング・オフができない」と言っており、セールス卜ークに問題があります。また、B職業欄に、販売員が「牧場主」と書く行為も問題です。
そこで、@契約書に牧場主とあるが、高齢夫婦のみの世帯で、一頭の牛を自家用に飼っているだけであり、事業主ではないこと、A契約書の職業欄に「牧場主」と書いたのは販売員であることB現在の電話機が使えなくなると言われたために契約したが、使えるとわかったので、解約返品することを書いて、販売業者とクレジット会社あてに出します。また、クーリング・オフの制限期間である八日目なので、急いでクーリング・オフをすることの申出をします。このような事例では、事業者が解約を拒否することが予想されますので、早急に消費生活相談窓口に相談することをお勧めします。
〔儲かります商法〕儲かると勧められた未公開株が上場されず返金もしてくれない
 投資勧誘のダイレクトメールが届き、その後、同じ会社から「近々上場され、値上がりする株があるからこれを買うと確実に儲かる」と勧める電話があった。
訪ねてきた販売眞の話では、「必ず儲かるシステムで損はさせない」と言うので、未公開株を購入することにした。ところがいつまでたっても、その会社の株は上場されず、どうしてなのか販売員に聞いても、「もうすぐです」と言うばかりなので、この未公開株の発行会社に問い合わせたところ、「上場の予定はない」と言われた。騙されたと思い、すぐに払ったお金を返せと担当者に言った。担当者は返金すると約束してくれたが、催促しても返してくれず、そのうち連絡がつかなくなった。返してもらえないものか。
● 未公開株の販売が行えるのは登録を受けた証券会社のみ
本来、営業として未公開株の販売等が行えるのは、登録を受けた証券会社に限られています。そのうえ、日本証券業協会自主ルールによって取り扱うことが指定されているグリーンシート銘柄以外の未公開株の取扱いは禁止されています。
しかし、その一方で、会社を通さない個人間の取引の場合は登録の必要がないのです。とかく業者はトラブルになると、個人間の取引だから会社は知らないと主張します。しかし、現実にはダイレクトメールが送付され、販売員は会社の名刺を持って訪ねていますし、営利目的で繰り返し行われていますので、相対の個人間取引とは思えません。当然、会社に責任があるはずです。
ですが実際には、取引が対業者であることの明確な基準がないために個人間の取引ではないことの判別が難しく、詐欺的な業者の入り込む余地がかなりあります。業者の中には、代金を支払った途端に連絡がとれなくなったという例もあり、業者が返金に応じるといってもどこまで信用できるかわかりません°返金される保証もないのです。
● 一般的には無登録業者のため解決困難
あなたの場合はどうでしょうか。購入した会社は、証券業としての登録を受けた会社ですか。
そうであれぱ証券業協会に住所を確認し、住所地に会社が存在しているのを確かめたうえで、再度、今度は文書で会社に対して約束が実行されないことを理由として解約返金の請求をします。
しかし、連絡がとれなくなってしまっているとすれぱ、登録のない業者と考えられます。そうなると返還請求しようとしても相手がみつからないのですから、お金を取り戻す手段はないといえます。
販売員の「値上がり確実」といった言葉に惑わされず、こうした手口に乗らないように注意しなければなりません。うまい禰には危険がつきものですからきっぱり断ることをお勧めします。
また、詐欺的な要素が強いと思われる場合は、被害を拡大させないためにも早急に被害届を出し、警察に捜査をしてもらう必要があります。
〔レンタル商法〕絵をレンタルすれぱ収入になると言われたが約束が守られない
 突然、友人から絵の購入を勧められたが、こんなに高いものは買えないと断った。ところが、また会社の人と来て「購入した絵を喫茶店などにレンタルすればレンタル料が収入になり、これで支払える」、「レンタル相手は会社が探して運用するから心配はいらない」と説得された。絵は好きなので、クレジットが終われぱ自分で楽しめると思うとうれしくなり、クレジット契約書にサインをした。ほかに書類はもらっていない。
初めのニカ月は入金があったが、それ以後、入金額が分割返済額に不足していたり、全く入らなかったりしたので、会社に連絡したが電話も通じない。その後、倒産したとわかったから、しかたなくクレジット代金は支払っているが、絵ももらっていないのに支払わなければならないのか。
● クレジット会社との交渉が必要
レンタル料という特定の利益を得るために絵の購入が必要であると勧めるこの手口は、「業務提供誘引販売」として特定商取引法の対象となります。
絵や植木鉢などインテリアとして使われるものをレンタルする事業は、確かに営業としては成立していますが、常時顧客を開拓し、レンタル品の品質を維持しながら収益を上げて購入者に分配していくことは難しく、その収入を始めから約束などできるものではありません。
会社が倒産して約束の収入が得られなくなったとき、絵が手もとにある場合はまだ納得できるでしょう。しかし、絵がレンタルの対象であるため、絵を会社に渡してしまい、手もとに何も残っていないのに代金だけ支払わされる結果となっています。
解決の方法としては、販売会社は倒産して行方がわからなくなっていますので、代金の支払先であるクレジット会社と交渉することになります。販売業者との契約は「詐欺を理由として取り消す」、「錯誤による契約だったので無効である」こと等を主張して、クレジット会社と交渉をします。また、クレジット会社の加盟店の管理に問題はなかったのかと主張することも可能です。
● 業務提供誘引販売の場合は契約書のほかに概要書面を渡さなければならない
合意解約のための交渉にあたっては、レンタル業務を委託することで収入が得られるという条件で絵の購入契約をしたのですから、会社の倒産によってレンタル事業の収益が得られないなら、絵も解約するとクレジット会社に主張します。こうした収入を目的として物を買わせる契約の場合には、その仕事の内容、収入の状況などを示す概要書面を渡すことが義務づけられています。
ところが、あなたに渡されていたのは絵の購入契約書のみで、あなたにとって基本契約であるレンタル業務の内容を示す概要書面が渡されていません。口頭による約束だけというのが現状ですから、あなたが理解をした販売員の説明内容を思い出し、これを文書にして主張することから始めなければなりません。
この交渉にあたって、@特定商取引法に基づいて渡されるベき概要書面が渡されていないこと、A実際にレンタル事業が行われても、約束どおりの収益が配分されるとは考えにくいこと等を主張し交渉します。また、この事例のように、倒産が絡んでいる場合には、一時に多数の被害者が出ますので、集団で-訟をお起こすことも考えられます。
〔ネット上のトラブル〕知らない間にネット上に書き込みされた
 最近、いたずら電話がひんぱんにかかってくる。それで、おかしいと思っていたら、自分の知らない間にインターネット上の掲示板に、自分の氏名・住所・電話番号などが書き込まれていた。どうすれはよいか。
● 勝手に個人情報を掲載されたときは損害賠償請求ができる
インターネットの普及とともに、自分の知らない間に、ネット上に自分の個人情報が流れたなどのトラブルが増えています。このような場合に、プライバシーの侵害(民法七○九条)として、損害賠償の請求ができますし、場合によっては刑事告発することも可能ですが、なかなか加害者が特定できないのが実情です。
そこで、被害にあった場合には、その日時や状況の記録、通信履歴等を自分で保存します。そのうえで、プロバイダにデータの保管を依頼します。それを基に、警察に被害届を出します。
現実には、ネット上の個人情報の漏えい、公開や個人に対する誹謗・中傷を事前に防ぐことは難しいことです。インターネットは、自由で自己責任の世界とされており、これにより成長してきた側面があります。しかし、個人情報の漏えいやネットを利用した誹謗・中傷などに対しては、無防備なシステムでもあります。ですから、解決の決め手はありません。インターネット社会における最大の課題といってよいでしょう。
〔不当請求〕使ってもいないアダルトサイトの利用料を請求された
 私の携帯に変な電子メールかいろいろと入ってくる。先日、使ってもいないアダルトサイトの利用代金の請求がきた。支払わなければならないか。
● 通信販売の広告では「未承認店告※」と表示することが必要
電子メールを使って広告されるものの多くがアダルトサイトの情報提供サービスですが、受信した側にとっても、受信料がかかりますし、削除するにも手間と時間がかかり迷惑します。そのうえこの迷惑メールは、使ってもいない利用代金の請求につながり、不当請求トラブルが非常に多く発生しました。
そこで、特定商取引法の通信販売の広告規制では、電子商取引の場合で、相手の承諾なしに一方的に電子メール広告を送るときには、広告メールの表題に、「未承認広告※」と表示することが義務づけられました°また、虚偽の広告表示や消費者の意に反して契約の申込みをさせようとすること自体が禁止されました。
● 架空請求は錯娯無効も主張できる
また、平成一七年には、通信の観点から「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」も同じような規制を行い、「送信者の情報を偽って送信する」ことについても刑事罰の対象となりました。
したがって、使ってもいない利用代金の請求は、全く根拠がないのですから支払う必要はありません。無視してよいのです。また、誤ってクリックした場合であっても、あなたの意思で契約したわけではありませんので、錯誤による契約の無効を主張することができます。ただし、電子消費者契約法三条では、確認の画面が表示され、その確認のボタンをクリックした場合は錯誤無効を主張できないとしていることに注意が必要です。
● 電子消費者契約法
「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」という長い名前を省略したものです。この法律が対象としている電子消費者契約とは、@消費者と事業者との間の契約であること、A契約がパソコンの映像画面を通して行われること、B事業者が作成した画面に従ってパソコンを消費者が操作し、申し込み、注文を行うものであることとされています。そして、パソコン上での契約であるために、ニつの民法の特例を定めています。
一つは、うっかりミスに関するものです。電子消費者契約では、画面に商品や取引条件が書いていなかったり、消費者が見落としたリ、消費者がパソコンのボタン操作の間違いから、うっかりミスを起こしやすく、トラブル発生につながりやすいものです。そこで、注文画面を躍意する事業者側が、消費者がミスを犯さないように、画面上で、確認できるような画面を出すなどの措置を講じていないときは、民法」における錯誤無効の主張ができるとしています。うっかりミスはミスを起こさせるような画面を作成した事業者にも責任があるとしたわけです。
もう一つの特例が、契約の成立時期の問題です。民法上は、承諾という意思を発信した時(発信主義、民法五二六条)に契約は成立するとなっていますが、電子商取引の場合は、承諾の意思表示が相手に到達したときに成立するとしています(到達主義)。これは電子メール、ホームページ上でのデータ入力、ファクシミリの場合も含まれます。
〔フィッシング詐欺〕使った覚えのない請求がきた
  電子メールで、カード内容の確認をしたいと連絡が入ったので返信をした。電子メールに添付されているフォームに名前や、カードの番号を記入した。その後、一カ月ぐらいして、カードの明細を見たら使った覚えのないものが含まれていたので、カード会社に連絡したら、あなたが使ったのだろうと取り合ってくれない。どうしたらよいか。
● フィッシンク詐欺はネット上の振り込め詐欺
あなたが使ったのではないことを証明するのはとても難しいことです°でも、カード会社に申し出ると同時に、販売店にも自分が使ったのではないことを証明してもらうなど、カードの情報を盗まれたことを主張します。同時に、警察にも被害届を出します。もし、同じような被害が出ている場合には、あなたが使ったものではないことが証明できるかもしれません。
これは、インターネット上の「振り込め詐欺」と同じことで、銀行やクレジットカード会社、オンラインショッピングの業者に成りすまして、電子メールを送り、そこに銀行口座番号やカード番号、暗証番号などの個人情報を書かせて盗み出すもので、この情報を新しいカードにプリントし、このカードでお金を引き出します。これをフィッシング詐欺といいます。電子メール以外にも、偽のホームページに誘導して記入させる方法も使われています。スキミングはカード情報を本人の知らない間に盗むのですから、盗難の被害にあったことで主張できる部分がありますが、このフィッシング詐欺は本人を錯覚に陥らせることで自ら記入させますので、被害の救済が難しくなります。
● 個人情報の管理は厳重に
個人情報の管理、特に財産に関する管理は厳重にする必要があります。暗証番号についても、生年月日など他人にわかりやすいものは使わないことです。一般に、クレジット会社は、個人情報を簡単に記入させることはないはずですから十分注意する必要があります。
〔迷惑メール〕迷惑メールを取り締まる方法はないのか
 最近、いろいろな業者から電話や霞子メールがきてうるさくて困っている。個人情報保護法ができたことで、電話や電子メールはこなくなるだろうか。
● 個人情報保護法の活用から外れるものに被害が集中
残念ながら、現状では完全にこなくなるとはいえないでしょう。
個人情報保護法では、個人情報を取り扱う業者には、次のような種々の義務が課せられることになりました。@利用目的を限定して扱わなければならない、A不正な手段で取得してはならない、B本人から情報を得る場合には、利用目的を明示しなければならないし、間接的に得た場合は利用目的を知らせなくてはならない、C個人情報を本人の承諾なしに他に提供してはならない、D取扱いについて、本人から申出があれば開示、訂正、停止をしなければならない等です。そのため、消費者が自分の個人情報を管理することでかなりの効果が期待できます。
● 迷惑メールには撃退の工夫と注意が必要
しかし、問題はこの法律の対象とならない、取り扱う個人情報が五○○○件以下の業者で、とかく卜ラブルとなる例が多いので、要注意です。かけてきた業者に電話番号を何で知ったかを確かめたり、ハガキやダイレクトメールの情報をどこで手に入れたか確認し、そのうえでさっぱりと個人情報の利用を断ることが大切です。
最近では、電話だけでなく広告メールやネズミ講の勧誘メール、いたずらメールなど、迷惑メールーか増えています。迷惑メールの中では、商品を売り込むダイレクトメールが特に多く、どこかで業者が名簿を人手し、送ってくるものと思われます。郵便であれば、だいたいは外観でダイレクトメールとわかります。しかし、電子メールの場合は、件名欄には一行のタイトルだけしかなく、それだけでダイレクトメールであると判断できません。そのため、内容を確認しなければならず、無用の時間や費用がかかり迷惑を被るわけです。
迷惑メールに対しては、経済産業省では特定商取引法の省令を改正(平成一四年)して、広告表示と連絡先の表示を義務づけました。つまり、電子メールで広告をするときには、通信販売事業者に義務づけられている住所・電話番号などとともに、一定の表示が義務づけられています。
省令では、次の項目の表示が義務づけられています。
@ 通信販売事業者等の電子メールアドレスを表示すること
A 電子メールの件名欄に「未承諾広告※」と表示するとともに、本文にも広告である旨を表示すること
B 消費者が電子メールの受取りを希望しない場合は、その連絡を行う方法を表示すること
本文の最前部に、「事業者」との表示に続けて、a事業者の氏名または名称、b受信拒否の通知をするための電子メールアドレスを表示しなければなりません。連絡方法を設定しないことは認められません。特定商取引法では、消費者が送信の拒否を通信販売事業者に伝えたときは、電子メールの再送信を禁止しています。
 もし、表示義務に違反した電子メールを受け取った場合は、(財)日本産業協会のホームぺージ内にある「迷惑メール情報提供受付ページ転送し、情報提供したほうがよいと思われます。
〔高額なキャンセル料〕契約した新車を翌日断ったら高額な違約金を請求された
 お金の必要なことが予想されたので迷ったのだが、販売会社の人に急がされて、ボーナスをあてにしてローンを組み新車を注文した。ところが、やはりお金が必要になり、翌日、キャンセルすると連絡したところ、販売会社は「もうメーカーヘ注文したので、キャンセルはできない」、「キャンセルするならニ〇%の違約金を払ってもらう」と言われた。ニ○%の違約金は高すぎるし払えない。まだクレジット会社からの確認電話もきていないので、何とかならないか。
● 車にはクーリング・オフの適用がなく、契約の成立に関して業界に基準がある
車の契約については、多くの場合、注文書といわれる車の販売内容を書いたもの(現金購入の場合は売買契約書となる)と、クレジット契約書を書くことになります。車は、高額な商品であり、メーカーから取り寄せ、装備など手を加えたり、登録するなど手間をかけてから引き渡されるのが通常なので、どの時点で契約が成立するのか問題となります。特に、契約責任が発生する時期について、販売店と購入者の間で認識が異なっていたりするとトラブルになります。
そのために、業界団体である(社)日本自動車販売協会連合会は、自動車注文書標準約款を定めて、契約の成立時期を、@自動車の登録日、A注文により販売店が車両の改造・架装・修理に着手した日、B自動車の引渡しがなされた日のいずれか早い日に成立すると定めています。なお、店舗以外の契約であっても車の場合はクーリング・オフできないので、気をつける必要があります。
● 契約不成立の場合でも実費については支払義務が生まれる場合もある
今回の例は@〜Bのいずれでもありませんから、約款によれば、まだ契約が成立していないとみられます。したがって費用は発生しませんが、車庫証明代などの実費がすでにあるときは、その分は支払う必要があります。なお、クレジット契約の場合の契約成立時期は、クレジット会社が承諾の通知をした時になります。通常は、クレジット会社から顧客に対して確認の電話、信用調査が行われ、その後、承諾がなされますから、それらがないこの事例の場合は、まだクレジット契約も成立していないことになります。
● 自動車公正競争規約
「自動車公正競争規約」は、業界が自主的に設定した自動車を販売する際の表示と景品提供に関するルールで、業界が自主的に設定したものです。これは不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)一〇条に基づき公正取引委員会から認定を受けたルールです。
ちなみに、不動産、銀行、旅行、家電製品、タイヤ等の業界にも「公正競争規約」があります。
同規約によれぱ、新車の場合、@販売価格等の表示、A広告宣伝における表示基準、B不当表示の禁止等が定められています。
〔債務の履行〕不要になった取寄せをやめると言ったら断られた
 一週間前、お店で見たハンドパックが気に入ったので、昨日、買いに行った。
ところが、前日に売れてしまったと言われたので、店の人に相談して取り寄せることにした。しかし、今日、別のお店でもっと気に入ったパックを見つけたので、取寄せを頼んだバックを断ったところ、買い取ってもらうと言われた。買わなけれぱならないものか。
● 依頼時の購入意思の程度により買取り責任が発生する
店で、パックの取寄せを頼んだときにどのように店の人に頼んだかが問題となります。「どうしても欲しい」などと、買うことを前提にして取寄せを頼んだ場合には、契約も成立しているとみられます。この場合には、購入の約束が前提にありますので、いらなくなったからといって、そのまま断るというわけにはいきません。お店の人が、あなたの購入を前提としていたことによって発生した損害の部分を賠償しなければならないのです。ただ、金額相当の別商品の購入することで、これにあてるなどの方法もありますので、店の人と具体的に話し合うことをお勧めします。
また、取り寄せる場合に、店もキャンセルされると損失につながるので、代金の一部を「前金として入れてください」と店から言われることがあります。この場合は一般的に解約手付けとみられますので、解約したいときには、支払った手付金を放棄することで解約できます。
〔債務不履行〕成人式に間に合わなかった着物の代金を払いたくない
 三週間ほど前、娘の成人式に着せようと、呉服店を回って気に入ったものがあったので、成人式に着ることを伝えて購入することにした。このとき、店ではニ週間あればできるので成人式に十分間に合う、大丈夫だと約束してくれた。それで、信用して納品日を成人式の一週間前にし、代金はクレジット契約をした。
ところが、納品日を過ぎても届かず、電話をすると明日届けると言うので待っていたが届かず、これでは間に合いそうもない。娘にはしかたなく貸衣装を借りて成人式に参加させた。借りるだけで五万円もかかった。それなのに、成人式の三日後にお店の人が来て、いらないと言ったのに着物を強引に置いていった。着物はもう解約返品したい。貸衣装代も払ってほしい。
● 債務不履行の場合には契約解除と損害賠償を求めることができる
この契約は、成人式に間に合うように着物が渡されなければ意味のない契約、期日に着物を渡す特約付きの契約ということができます。ところがこれに間に合わなかったのですから、「債務不履行」ということになります。特に期日に完成品の着物が渡されることが重要な契約ですから、単に履行が遅れた場合に比べてお店の責任はより重大になります。
当然、契約が実行されなかったことによって受けた損害について賠償してもらぅことができますので、かかった貸衣装代五万円の請求もできます。
具体的な方法としては、まず、@成人式用の着物であることを伝えているのに約束が実行されなかったこと、A何度も催促したこと、B貸衣装を借りて成人式を終えたため不要となったので解約すること、C支払った貸衣装代金の賠償を求めること等を内容とした文書を書き、これを内容証明郵便にしてお店に出し、交渉を始めます。
交渉が難しいときにはもう一つの手段として、あなたの契約はクレジット契約となっていますので、クレジット契約に適用される割賦販売法の抗弁の接続規定(割賦販売法三○条の四)を活用することができます。そのために、クレジット会社にも前記内容証明郵便の写しを送り、販売店の状況を伝えることで解決に対する協力を求めます。というのも、クレジット会社には、その加盟店(販売業者)に対する管理責任があるからです。
〔違約金〕結婚式場のキャンセルをしたら高額な違約金を請求された
 結婚が決まったので、一年先の大安の日に総額一五○万円で結婚式場の予約をした。しかし、予約をして三カ月後、事情があり結婚をとりやめることにしたので、予約を取り消したところ、結婚式塙では、キャンセル料は契約したときに渡した約款に従い一〇〇万円を支払ってもらうと言われた。あまりにも高すぎる。こんな高額な解約料を支払わなければならないのか。
● 約款は消費者の利益を一方的に害さない範囲で認められる
この契約は会場予約の契約ですから、基本的には、契約したときの約款に従わなけれぱなりません。しかし、こうした約款が、式場によって一方的につくられたものであるだけに、事業者は自分に有利な内容を約款とする場合がほとんどです。このため、消費者にとっては不当と思えるような約款がみられます。しかし消費者は、会場を利用したいために気づかずに契約をしてしまう場合が多々あります。このような場合に、消費者が一方的に不利益を被ることのないように、消費者契約法では違約金の限度額について規定を設けています。
● 消費者契約法を活用する
この法律では、消費者が一方的に不利益を受ける契約条項、消費者にとって不当な条項は無効と定めていますので、これを根拠として式場側の請求を拒否することができます。しかし、予約をキャンセルするのですから、全くキャンセル料を払わなくてもよいわけではありません。一般的にいえぱ、通常の平均的な損害額は支払わなければなりません。したがって、平均的な額を超えた部分は支払わなくてもよいことになります。あなたの契約した式場と同程度の式場における違約金の額を何カ所か調べてみて、その平均額を支払うことで、交渉するのがよいでしよう。
〔無権代理・日常家事債務〕妻の買った着物の代金を支払わなければならないか
 突然、クレジット会社から買った覚えのない着物の代金請求がきた。クレジット会社に確認すると、妻が買ったものだという。そのうえ、与信調査との買ったことの確認電話)にOKが出ているという。私は着物の購入を了解した覚えはない。
自宅にいた妻が答えたのだと思うが、契約上の名義人である本人が了解していないのだから、支払う必要はないと思う。妻が勝手にしたことだから妻に請求してほしい。
● 日常家事債務の範囲であれば夫にも責任がある
確かに契約は双方の合意がなければ成立しません。その意味で、あなたは着物を買うことに合意していないのですから、あなたと販売店の間では直接の契約は成立していません。また、奥さんがあなたの代理人として契約したとみることも、あなたは代理して契約をすることを承諾していないのですから無理でしょう。この場合、事業者側は、奥さんは代理をする権限がないのに代理人であるかのようにみせかけて契約した(「無権代理」といいます)と主張することがあります。
このような場合、すべてが無効となるわけではありません。無権代理であっても、あなたが後から有効であると認めた場合(「追認」といいます)や、他人がみたときに、代理権があるとみなせるような場合(「表見代理」といいます)は、責任が発生します。表見代理の場合に問題となるのは、夫婦の代理権の問題です。夫婦は第三者からみると、家計が一つの経済単位なのですから、さまざまな日常的な契約ごとに関してお互いに代理権を与え合うことで成り立っています。そのため、日常の家事債務については連帯して責任を負います(民法七六一条)。事業者は、これを根拠として、あなたに表見代理による責任を求める場合があります。
● 高価な着物は日常家事債務には入らない
一般的にみて、呉服店が妻に夫の代理権があるとみることができるか、夫が妻に特別な承諾を与えていなくても一般的に認められる代理権の範囲内かどうかが問題となります。これは、その商品と価格の範囲が、「日常家事債務にあたるかどうか」によって分かれ、夫の給料にもよりますが、一般的に一○○万円の着物は日常家事債務には入らないと思われ、表見代理の成立はなく、責任を拒否することができるでしょう。この場合は妻が購入代金の請求を受けることになります。
いずれにしても、着物の契約自体は正当に成立しているとみられ、夫か妻に支払責任があります。
〔名義貸し〕販売員に名前を貸しただけなのに支払わなければならないか
 布団の販売員から「お金は自分が返済するので、絶対に迷惑はかけない。名前だけ使わせて」と言われて、それなら問題がないと思って布団の購入に関するクレジット契約書に名前を書いた。その後のクレジット会社からの確認電話にも話をあわせてほしいと言われて、「はい」と答えた。販売員が処理をしたと思っていたら、クレジット会社から請求書がきた。すぐに販売員に言うと、「ごめん、今、払うから」と言うだけで払ってくれない。クレジット会社には事情を話したが、私に払う責任があると言う。品物ももらっていないのに、私が支払わなければならなぃのか。
● 名前を貸しただけでも契約上の責任はある
あなたは、名前を貸しただけと考えているようですが、契約書にはあなたが契約の当事者として名前を書いたのですから、原則として契約上の責任はあなたにあるのです。ですから、あなたは契約書に書かれている布団を購入した当事者ということにされ、支払責任を追うことがあります。
しかし、この事例のように販売員に頼まれて名前を書いた結果がどうなるかを全く知らなかったし、騙されて名前を書かされたということになれば販売業者のほうに問題がありますので、契約上の責任を免れることもできます。ただし、これを立証することはかなり難しくなります。
● 騙されて名前を書いたば合は錯誤の主張も可能
また、名前を書かせるにあたって、明らかに騙す行為があったとみられる場合は、販売業者に詐欺や錯誤を主張することもできます。その場合でも、クレジット会社に対して支払いを拒否できるかどうかが問題となります。クレジット会社の入る三者間の契約は立替払契約であり、割賦販売法の対象なので、割賦販売法の抗弁の接続規定(三○条の四)を基に交渉することになります。消費者からみて販売業者とクレジット会社は一体の関係にあるとみられますし、割賦販売法を所管しでいる経済産業省も通達によって、クレジット会社は加盟店に対する管理責任を負うといっていますので、クレジット会社にも、消費者を騙すような行為、具体的にこの場合は名義貸しをさせた販売業者を加盟店として認めていたことに対して責任を求めることができます。ということは、加盟店である販売業者が、消費者を騙して、販売業者に加担させてクレジット会社を騙したということになるからです。
そこで、あなたから名義を使わせるに至った状況と、布団の購入契約に関して承諾した覚えのないこと、商品ももらっていないことを文書にして販売業者とクレジット会社に申し出、交渉をします。
〔名義の部分冒用〕車の登録だけに名前を貸したのに支払請求がきた
 以前自動車を買ったときに知り合った販売員から「仕入れた自動車を転売するのにディーラー名義のままでは値引きを要求されてしまうので、登録の名義をあなたの名義にさせてもらいたい。名義に関することでクレジット会社から連絡がいくが、はいと言っておいてください」と頼まれた。その後、クレジット会社から電話があったので「はい」と答えた。あとで知ったが、販売員は勝手に私の印鑑を作り口座を開設して支払っていたらしい。しかし、しばらくして販売員が払えなくなり、クレジット会社から私に請求がきて、初めて自分が契約当事者にされていることがわかった。私が買うなどという話は聞いていない。どうすればよいのか。
● 名義を勝手に使われたときの支払責任は免れる
あなたは車の登録に名前を使うことを承諾しただけで、買うことを承諾していませんし、知っていたわけでもないのですから、車の購入に対しての名義貸しとは違います。全く買うことについて知らなかったのですから、購入意思のないものの名義を勝手に使ったことになり、名義冒用ということになりますので、支払責任を免れることができます。
したがって、販売会社に名前を勝手に使われただけだから支払わないことを伝えます。しかし、クレジット会社に対しては、「はい」と答えていますので、このままでは支払責任が発生してしまいます。そこで、割賦販売法における抗弁の接続規定を適用して、クレジット会社に、販売店の行った名義冒用について知らせる必要あります。
そのために、あなたは当時のやりとりやメモなどをまとめて、販売店とクレジット会社あてに、@販売員が勝手に印鑑を使いクレジット契約を締結してしまったこと、A契約する意思がなかったことから名義冒用であることを伝えます。そのうえで、Bクレジット会社の確認電話に「はい」と言ったのは、登録に名義を使うことであり、売買契約やクレジット契約については全く知らないこと、また、名義を使うことを許していないことを説明します。これは内容証明の文書にして出すのがよいでしょう。
名義冒用が明らかであれば、名義人とクレジット会社の間のクレジット契約は成立していないことになります。
〔名義冒用〕勝手に名前を使われた契約なのに払わなければならないか
 突然クレジット会社から、呉服の請求書がきた。全く買った覚えはなく、その業者とは友人が勤めている会社とだけしか知らない。どうすればよいだろうか。
● 販売員に勝手に名前を使われたときには支払責任はない
あなたが全く買った覚えのない契約であれば、契約自体成立していませんので、代金を支払う必要はありません。まず、代金の請求をされたクレジット会社に「請求の根拠を知りたい」と伝え、契約書の写しをもらい、「何を契約したことになっているのか」を調べてもらいます。@何を、Aいつ、B販売担当者は誰かなどを調べます。
次に、クレジット会社は契約成立にあたって、契約確認調査、いわゆる与信調査をほとんどの場合しますので、どのような形で、いつどこで確認調査をしたかを尋ねます。そのうえで、与信調査を受けたのがあなたの友人であるかどうかを推定します。この状況を踏まえて、あなたから文書の形で販売業者とクレジット会社に、@買った覚えのないこと、A名前を勝手に使われたこと、B契約が自分の意思ではないことを伝えます。クレジット会社には、抗弁の接続規定に従って支払う根拠がないことを申し出ます。その際に書き込める形になった支払停止の抗弁書がクレジット会社に備えてありますので、これに記入し提出します。
〔未成年者契約〕高校生の息子が買った高額なバイクを返品したい
 息子は以前からバイクが欲しいと言っており、最近も一○日ほど前に買いたいと言うので、まだ早いと反対していた。ところが、私に内緒で買ってしまった。
息子に聞くと、年齢については黙っていて、貯めていた五万円を頭金に残りの三〇万円をクレジット契約にしたという。その一週間後に転倒事故を起こし、足にけがをしたことでバイクを買ったことを知った。バイクは親に知られると困るので、店に頼んで預かってもらっていたという。そこで、私からバイク店に「親が許していない契約だから、バイクを引き取ってほしい」と言ったが、「親の了解があったと嘘を言ったのだから、もう取り消せない」と言う。返せないものか。
● 当事者の積極的な意思がなければ未成年者による詐術とはいえない
確かに未成年者が「詐術」を用いたときには取消しができません(民法二一条)。
たとえば、一八歳なのに「自分は二○歳だから安心して取引してほしい」、あるいは「親の同意があるから大丈夫だ」と言って取引をしようとして、事業者がそれを信じてしまったという場合は詐術にあたるとみられます。しかし、この場合は年齢について黙っていただけなので、積極的に販売店を騙す意思があったかどうか、業者が信じるほどの積極的な詐術があったかどうかが問題になります。
「バイクを買ったことが親に知れたら困るので預かってほしい」とわざわざ業者に預けていますので、業者には疑ってみる余地があったとみられます。それに、本来、許された契約であれば、購入後は喜んで持ち帰り親にも見せるものだと思われます。したがって、この場合は詐術をもってとまでは言えないと判断されますので、親権者による取消しが可能でしょう。
そこで、親から「承諾のない未成年者の契約なので取り消す」との文書を業者とクレジット会社あてに出し、業者に確認すべき落ち度があったことを指摘し交渉します。もし、業者に対応してもらえないときは、割賦販売法の抗弁の接続規定(三○条の四)に従ってクレジット会社に、加盟店指導の責任を果たすよう協力を求めます。
● 有効な未成年者の契約
次の場合には、未成年者の契約としての契約の取消しができません。
@ ニ〇歳を超えていると思わせるような「詐術」を用いた場合(民法ニ一条)
A 未成年者が結婚している場合(民法七五三条)
 また、次の場合には、未成年者が単独で契約でき、取り消すことはできません。
@ 単に権利を得たり義務を免れる行為(民法五条)
A 処分を許された財産の処分行為(民法五条)
B 営業の許可を得ている場合(民法六条)
〔未成年者契約〕20歳と書くように指示された契約の取消しを認めてくれない
 1週間ほど前、街を歩いていたときに、呉服店の前で声をかけられ、「アンケートに答えれぱ粗品をあげる」と言われた。成人式のための振袖が欲しいとは思っていたが、母親といっしょでないと買えないと断った。でも、単にアンケートだからと強引に連れていかれ、何種類かの振袖を見た後、さらに奧ヘと案内された。
そこでは、有無を言わせない感じで、三人が寄ってきて着物を肩にかけたり、帯を合わせてくれた。だんだん楽しくなってきたら「これに決めよう、月ニ万円」と一方的に言われた。断ったが、何回も言われ、嫌になって早く帰りたかったので、指示されるままにクレジット契約書にサインした。このとき、「20歳だよね」と聞かれたので、「一九歳です」と答えると、「一九歳だと、何かと面倒だから、20歳と書いてね」と言われ、親には黙っているようにとも言われた。なぜ20歳と書くのかわからなかったが、言われるとおりに書いた。帰ってから母に相談して、呉服店に取り消すと言ったが、呉服店はニ〇歳と自分で書いたのだから取り消せないと取り合ってくれない。
● 未成年者による「詐術」は厳格に解釈されるべき
契約書に二○歳と書いたことが詐術であるかどうかによって取消しできない場合もあります。
あなたが「二○歳」と書いたのは店員の指示で書いたものであり、実際にあなたは一九歳と伝えていますので、あなたには呉服店を騙す意思はなかったのですから、詐術にはあたらず契約の取消しができます。一九歳であることを証明する書類とともに、「親の承諾を得ないでした契約なので、取り消す」と書いて、内容証明郵便で呉服店とクレジット会社に送るのがよいでしよう。
このときに、店に連れ込まれた状況や、書面にニ○歳と記入した経過を書くことも必要です。
● 店舗の奧は店舗の一部とはみなせず特定商取引法の対象となる
なお、もう一つの解決方法として、あなたは、店の前で店内に連れ込まれています。この点では店舗の前の道路は店の一部分とみなされますので、特定商取引法の対象であるキャッチセールスにあたりませんが、そこからさらに奥の「人が自由に出入りできない場所」に案内されています。そこで、三人の販売員に囲まれていろいろ説明されたということですから、もうそこでは、自由に商品を選ベる状態ではなかったことになります。そうなると店舗とはみなせない場所での契約ということになるので、特定商取引法の対象となり、着物は対象品目でもありますので、クーリング・オフ制度の適用ができます。まだ契約してから八日以内ですので、解約することを文書またはハガキでもよいので、内容証明郵便(配達証明か簡易書留)で、販売店とクレジット会社あてに出します。また、クレジット会社からの与信調査がきていない場合は、この調査段階で断ることによって立替払契約が不成立となりますので、支払いは発生しません。
未成年者による取消し、または、クーリング・オフ、立替払契約の不成立などの方法によって、あなたのした着物の契約は解約、ないしはなかったことにすることができます。
〔未成年者・通信販売〕高校生に買わせた高額なダイエット食品を返品したい
 ニ週間ほど前、高校生の娘が勝手に通信販売で、ニ○万円もするダイエット用の健康食品を買った。雑誌の広告に無理なく痩せられると書いてあり、支払いも月五〇〇○円だったので、小遣いで払えると思って契約をしたという。健康食品は、すでに飲み始めている。飲んでしまったものはしかたがないが、残っているものは返品してお金を返してほしい。健康食品は育ち盛りの子どもにはよくないと思う。娘は申込みのハガキにちゃんと一七歳と書いたといっているのに、健康食品を売るのはどうかと思う。
● 「処分を許された小遣いの範囲」とは契約総額で判断する
高校生のする契約ですから、当然、親権者である親の承諾が必要になります。
この契約は、親であるあなたが承諾していない契約なのですから、未成年者の契約として取消しができます。
問題となるのは、月に五○○○円という支払額が、高校生にとって親から処分を許された小遣いの範囲内だと販売店が主張した場合です。小遣いの範囲であれば、親の同意を得なくても契約は成立します。そのため、親権者である親も取り消せないことにもなります(民法五条)。しかし、月五○○○円とはいえ、支払えなくなったときには残金一括払いとなり、二○万円近い金額を支払わなければならなくなります。この額は処分を許された小遣いの範囲とはいえず、高校生に払える金額ではありません。したがって、契約の支払総額で処分を許された小遣いの範囲かどうかを判断します。同時に、商品がダイエット食品なのですから、通常、日常的に購入するものとは考えにくく、一般的に認められない範囲と思われます。
そこで、親か本人から「親の許しもなく未成年者が勝手にした契約なので取り消す」という文書を出し、契約の取消しをします。この場合には、すでに食べた健康食品分についても支払義務はなく、現在、残っているままの状態で返品すればよいのです。
〔未成年者・レンタル〕紛失カードによる延滞料は払わなければならないか
 中学生の息子あてにレンタルビデオ店から、「半年前に貸したビデオがニ本戻されていない。延滞料として一五万円を請求する」というハガキがきた。息子は借りた覚えがない、カードはなくしたと言っている。他人がカードを使って借りたのだと思うが、支払わなければならないのか。支払義務があるのなら法外な金額すぎる。こんな額を払いたくない。
● カードの管理責任は未成年者にも求められる
レンタルビデオのトラブルは、延滞金をめぐるものが大半です。その原因は、返し忘れという場合もありますが、カードをなくしてそのまま気づかずにいたという例が多くあります。そのほとんどが、かなりの時間を経過しているために高額な請求をされています。もともと、カードを紛失したのに気がつかなかった、気がついてもすぐに連絡をしなかったことがトラブルの原因ですから、第一の責任は息子さんの側にあります。しかし、だからといって、事業者が延滞金をいくらでも請求できるわけではありません。本来、返還期日を過ぎて返還がなければ、たびたび返還請求が本人あてにされるはずです。それが、半年後になって急に請求してくるのは‐レンタルビデオ店にも信義則上の責任があると思われます。
● レンタル店業界における延滞金に関する標準的基準を参考にする
そこで、お店と交渉することになるのですが、こうした問題は、法的というよりも、実質的な解決方法がとられることが多くなります。ビデオが返還されない場合には、貸しビデオ店としては、一定期間経過後に同等のものを購入しさえすれば営業上の損失は発生しないことになりますので、息子さんが借りたといわれている中古品のビデオの購入価格が延滞金としての範囲と考えられます。レンタルビデオの業界には標準的墓準がありますので、これを確認することをお勧めします。
〔瑕疵担保責任〕購入時にすでに故障していたと思えるのに引き取ってくれない
 一週間ほど前に買った中古車が突然動かなくなった。修理業者に調べてもらったところ、エンジン部分の故障で一週間ほどの間に起きたものとは考えられないと言われた。当然、購入前から故障の原因があって、これが遠出したことによって現れてきたのだと思われたので、中古車の販売店に、こんな車は使えないから引き取ってほしいと言った。ところが販売店は、「契約書に『いかなる理由があってもいっさい責任は負わない』と書かれているはずだ。だから責任を負わない」と言われた。どうしたらよいか。
● 約款の中に責任はないとあったとしても瑕疵担保責任は免れない
購入した車(売買の目的物)に欠陥(法律的には「瑕疵(かし)」といいます)があったことがわかったのですから、その責任を売主である販売店に求めることはできます。一般的に法律では、売主(販売店)に瑕疵担保責任があり、購入者が契約したときには気づかなかった商品などの欠点については、売主がその責任を負うとしています。気がつかなかったという範囲は、一般に求められる程度の注意でもわからなかった範囲です。
● 消費者契約法上「消費者を不当に害する条項は無効」
売主である販売店に瑕疵担保責任がある場合には、@契約そのものの解除、A代金の減額請求、B損害賠償請求が認められます。ところが、あなたの場合は、販売店側が契約書の中に「いかなる理由があってもいっさい責任は負わない」という条項があるので責任はないと主張しています。
確かに瑕疵担保の規定は任意規定で、双方が納得しているのだから問題はないという部分がありますが、たとえそうであったとしても、「いっさい責任は負わない」などのように消費者の利益を不当に害する条項は消費者契約法によって無効とされますので、この部分の条項は無効で、販売店の責任を求めることができます。もし交渉が難しいときは、樺古自動車公正取引協議会に申し出て相談するのがよいでしょう。
〔不実告知〕板金跡があるのに修復歴なしとして解約に応じてくれない
 欲しい中古車があって、中古車販売店でようやくみつけた。車の状態を聞いたところ、社員は「事故歴もなく、いい車だ」と説明したし、車に付けられている表示にも事故歴なしと書かれていた。五○万円と安かったので少し気になったが、「現状渡し」というので承諾をして、代金はニ○日俊に支払う約束をした。しかし、どうも気になって、翌日もう一度車をよく調べてみると、車体に板金した跡があり、やはり事故車ではないかと気になったので、すぐに解約を申し出た。まだ契約して間もないから大丈夫だろうと思っていたのに、事業者は、「事故車ではないし、もう契約は成立している」と主張して解約を認めない。もうこの車には乗りたくないのでどうすればよいか。
● 嘘をついて販売した場合は公正競争規約に従った解決が可能
現状渡しの中古車の契約では、現物をその場で引き取って帰る場合が多く、解約はかなり難しくなります。ただあなたの場合は、車が事故車ではないことを確認して契約をしていますから、これが嘘であれば解約を主張できます。事業者が、(社)自動車公正取引協議会(公取協)の会員事業者であれば、この協議会が定める自動車公正競争規約に基づいた解決ができます。
自動車公正競争規約によると、板金跡があっても、車体の骨格部分が修復されていなけれぱ「事故車」に該当しない場合もありますので、まず、この中古車を査定に出すことをお勧めします。地域には車の査定をする協会がありますので、そこに持ち込んでみてもらうか、信用のおける修理工場で調べてもらい、その結果を添えて自動車公正取引協議会に申し出ます。そのうえで、修復歴があった場合には「修復歴無」という表示自体が嘘ということになりますので、中古車販売業者の責任においてあなたの車を引き取り、返金するなどの対応がとられることになります。
● 消費者契約法における不実を告げて勧誘する行為にもあたる
また、消費者契約法による、不実(嘘)を告げて勧誘する行為にもあたりますので、消費者契約法による取消しも可能になります。
● 自動車公正競争規約における修復歴と表示
規約では、「修復歴車」(いわゆる「事故車」)についての定義を、「事故・災害などにより、車体の骨格に当たる部位(ピラーやルーフパネルなど)を損傷し、修復・交換により復元したもの」としています。また、同規約で、会員事業者は、展示販売車の外部から見やすい場所に修復歴の有無を表示し、修復歴がある車の販売に際しては「特定の車両状態を表示した書面」を交付しなければならないことになっています。
中古車の表示では、@店頭展示車、新聞・チラシ・インターネット等の広告の表示内容、A特定の車両状態の表示、B不当表示の禁止等が規約内容となっています。
〔慰謝料〕リサイクル品でけがをして休んだアルバイト代はもらえるか
  ニ週間前にリサイクル店で買った洗濯機を使って洗濯をしていたとき、突然、洗濯槽のふたが飛んで頭にあたり、脳震盪を起こして、救急車で病院に運ばれた。
幸い傷は軽く、五日ほどで退院できたが、この間、アルバイトを休んだ。病院の治療費や休んだ五日分のアルバイト代はもらえるか。
● 製造物責任法の適用によって治療費やアルバイト代の請求が可能
病院の治療費や休んだときのアルバイト代がもらえるかどうかは、事故の原因になった洗濯槽のふたの飛んだ原因が何であるかによって違ってきます。そこで問題となるのは、ふたが飛んだのは、@洗濯機自体の故障または欠陥が原因なのか、A洗濯方法が間違っていたから起きたのか、Bその洗濯方法のミスがあなたの誤使用か、C注意書きがなかったことによるミスなのかによって違ってきます。洗濯機自体の問題と考えられる場合は、メーカーに事情を伝えて調査をしてもらうか、またはテストのできる設備のある消費生活相談窓口などの機関に原因究明を含めた調査を依頼します。
● 製品自体に安全を欠く要素があるかどうかが問題点となる
また、洗濯方法に問題があったと思える場合は、取扱説明書などに書かれた注意書きが守られているかどうかなどの検討が必要になります。たとえば、@洗濯槽に洗濯物を詰めすぎていないか、A洗濯物の入れ方が偏っていないか、B洗濯物の材質が水を通さないものやコーティングされたものでないかなどです。それは、製造物責任法によって損害賠償を求める場合、製品自体の欠陥による、すなわちあなたの誤使用ではなく、「普通に使っていたのに事故が起きた」ということを証明する必要があるからです。
製品には、取扱いについての注意表示がされているはずなので、これを守っていたかどうかも重要です。でも、その注意表示があなたにわからなかったという場合であれば、表示上の欠陥ということにもなります。こうした欠陥が原因で事故が起きたとしたら損害賠償してもらえますので、メーカーか、消費生活相談窓口に申し出ることから始めてください。損害賠償の中には治療費のような直接的な費用のほかに、休んだ間に得られるべき利益(アルバイト代も含む)や慰謝料も含まれます。
● 製造物責任法(PL法)
製品の欠陥によって、人の生命身体、財産に被害を受けたときや、拡大損害を受けたときには、消費者は製品を製造した企業などに損害賠償を求めることができ、一定の場合に事業者は損害賠償の責任を負わなければならないとする法律です。同法では、「個々の製品の持つ特性と、その製品に予想される使い方などを総合的に考えて、その製品が通常備えているべき安全性にかけていること」を製品の欠陥としてあげています。
ですから、消費者としては、「ご<普通の使い方をしたのに、被害をもたらすような製品の安全性にかかわる不具合」と考えるとよいでしょう。したがって、安全性にかかわらないような単なる品質や性能の不良は「欠陥」ではないので、区別をする必要があります。
設計上、構造上に問題があった場合や、使う人の年齢や使い方に配慮が欠けていることも製品の欠陥といえます。また、その製品に必要な注意表示がなかったり、その説明書どおりに使ったのに事故が起きた場合も欠陥と判断されます。つまり、製品の欠陥だけではな<、表示や取扱説明書の不備も製造物責任法の欠陥となります。
〔製造物責任〕調理されたもので食中毒になった
 店で魚料理などの食事をした後、帰宅してから激しい下痢、嘔吐、発疹が出てきて、救急車で病院に行った。原因は店で食ペた料理によるものらしい。翌日は仕事も休んだし、医者の費用もかなりかかったので、損害賠償してもらいたい。
● 製品自体の原因で被害にあったことを立証しなければならない
まず、あなたが損害賠償を求める根拠となる医者の診断書が必要になります。
そこには食中毒・治療に要する日数なども書かれているはずなので、これが損害賠償額を決める基準になります。同時に、あなたが食べた当日のメニューをメモしておくことも必要です。
というのは、あなたに被害を及ぽすことになった原因の究明に、現れた症状とメニューによって特定される可能性が大きいからです。通常、製造物責任法では、販売されている魚、野菜、肉などの未加工の食品は対象とされていません。しかし、本事例のように調理をして販売されたものの場合は、判例では、同法の対象となるとしています。したがって、店に製造物責任が認められれぱ、あなたに料理を提供した店に対して、かかった費用と仕事を休んだことで生まれた損失、慰謝料を含めて損害賠償の請求をすることができます。
なお、食品を提供する店については、食品衛生法による規制もありますので、保健所ヘの通報も必要になります。
〔損害賠償・クリーニング事故〕クリーニングでコートがぼろぼろになった
 昨年の暮れに買った、フードと前たてに合成皮革が使われた半コートをクリーニングに出したところ、合成皮革の部分の表面がざらざらになりぼろぼろはがれて戻ってきた。あらためて洗濯表示を見るとすべて「x」だった。こんなことになるなら、教えてくれれば、クリーニングには出さなかった。メーカーにも聞いたら、「もともと洗えない素材だ」と言われた。弁償してほしい。
● クリーニング業界には事故の損害賠償基準がある
洗濯できない素材を洗濯したことによって起きた事故ですから、洗濯表示の見落としによる事故と思われますので、明らかにクリーニング業者のミスといえるでしょう。そこで、あなたが依頼したクリーニング業者が全国クリーニング生活衛生同業組合連合会に加入しているかどうかを確かめます。組合に加盟している業者であった場合には、クリーニング事故の損害賠償額についての基準である「クリーニング事故賠償基準」を算定していますので、これを参考にすることになります。
組合員ではない場合には、組合の損害賠償額の基準に従って損害賠償をするように求めて交渉します。この基準は衣料品の使用年数や使用頻度、価格などを基に損害賠償額を算定するためのもので、具体的な額は、あなたから購入時の価格、使用目的や頻度などを伝えることで算出されます。
● 事故原因が製品によるものであることを証明する必要がある
もし、クリーニング事故が起きた原因を明らかにすることができなかった場合には、業界のクリーニング研究所で調査をし、鑑定もしていますので依頼することをお勧めします。新しい繊維が次々と出て、同時に加工の種類も増え、それが組み合わされた形で衣服になる場合も多く、一部に洗えない素材や、加工が使われていると、全体が洗濯不適合になってしまうことがあります。
それを洗濯した場合、素材が硬くなったり、溶けたり、変色したりします。そこで頼りになるのが、洗濯表示です。
特に最近では異なった素材を組み合わせた商品や、ファッション性を重視する商品が増える傾向にあります。あなたのように知らなかったために洗濯を間違えてしまう場合もありますので、できるだけ店員に聞いたり、洗濯表示を探して確かめることが必要です。洗濯できない場合の手入れは、専門のクリーニング業者に現物を見せて相談してみるのも一つの方法です。
〔製品の不具合〕店頭で買ったパソコンが一週間でCDの再生ができなくなった
 購入して使い始め、一週間ほどしたら、CDの再生ができなくなった。すぐにお店に持っていったら、メーカーに送られて、落としたのではないかと言われた。
落とした記憶はないのに、「落とさなければこのようにはならないので、部品交換の費用は支払ってもらう」とも言われた。買ってから落としたことなどないから、製品が悪いと自分では思っている。それに保証書で補償する範囲だし、すぐに動かなくなる製品をつくった責任もあるはず。無償で修理してほしい。
● まずは保証書の内容を確認して原因を確かめる
通常は、商品を購入したときに受取った保証書に従ってメーカーは修理してくれます。しかし、あなたの場合には費用の一部が請求されています。これは、メーカーが製品自体の問題、いわゆる不具合で起きたことではないと判断したためであると思われます。保証書の中にも、メーカーの責任でない場合は、購入者が負担すると書かれているかと思われます。
修理代金の支払いや損害賠償を求める場合には、その故障がどうして発生したのか、その原因を突き止めることが必要です。あなたに落とした覚えがないのであれば、それをわかってもらうように販売店とメーカーに説明をします。それでも解決がつかない場合には、消費生活相談窓口やテスト機関に申し出て、再調査をしてもらうことをお勧めします。普通の状態で使っていて、このようになることはなく、何らかの製造上のミスが考えられるからです。その場合には、当然に保証の対象となりますので、無償修理や交換がなされるはずです。
● 製造物責任法に基づく責任追及は難しい
製造物の欠陥が原因で損害が発生した場合には「製造物責任」が問題となります。しかし、製造物責任法は、安全が侵されたときの損害賠償を対象としていますので、あなたの場合には製品そのものの品質、不具合の問題であり、安全がかかわっていませんので、活用できません。そこで、瑕疵担保責任や債務不履行に基づいて請求をすることになります。瑕疵担保責任は、購入したときに、すでに「隠れた瑕疵」があった場合の事業者の責任ですから、「隠れた瑕疵」の立証が問題となります。また、債務不履行であれば、渡された商品が完全なものではなかったのですから「不完全履行」が問題となります。
〔敷金の返還〕アパートの退去時に原状回復費用だと言って敷金を返してくれない
 四年間アパートに住んで、今度引越すことになった。部屋には寝に帰るだけなのできれいに使っていた。出るときもきれいに掃除をして出れば敷金は戻ると思っていたのに、大家は、「契約書には『賃借人は、原状回復をして明渡しをしなければならない』と書いてあるから、敷金は内装を新しくするための費用に使う、これでも足りないくらいだ」と言う。家賃を払っていたのに入居当時と同じにしなければならないのか。敷金は返してもらえないものか。
● 通常使用による汚れは負担しなくてもよい
あなたが、特別に壊したり、壁を汚したりしていない場合には、そのままの状態で明け渡せぱよいのです。入居したときと同じようにきれいな状態にして返す必要はありません。契約書に書かれている「原状回復」というのは、借りたときの部屋の構造、状況に戻すという意味なのです。家賃を払ってその部屋を使っているのですから、通常の使用状態で汚れるのは当たり前です。このことは当然予想されることですから、使用料、家賃の中に含まれています。また、敷金というのは、保証金としての性格のものですから原則として返される性質のものです。
ところがあなたの場合のように、返さないための理由として原状回復義務が使われ、それも、修繕の必要性が問題となるのを避けるために、すぐに修繕がされてしまう例が多くみられます。
こうしたトラブルを避けるために、入居時に部屋の状態を写真に撮っておき、出るときにも写真を撮り交渉の際の証拠にするのがよいでしょう。ただ、退去の際の修繕費用の請求は、請求する側が立証するのが原則です。また、退去のときや立会いのときにするチェック項目がありますので、双方で確認することをお勧めします。
あなたの事例では、まず、大家にいろいろかかったという見積書を見せてもらい、内訳を聞き、自分の出たときの状況と照らし合わせたうえで、あなたがやむを得ないと思う部分だけを支払い、納得できない部分については支払わないことを主張します。本来、あなたに費用を請求するのであれば、見積もりの段階であなたに示して納得を得たうえで修繕をするのがルールなのです。もし、敷金を返してもらえない場合には、簡易裁判所の調停や少額訴訟に申し立てる方法もあります。
● 国土交通省の原状回復に関するガイドラインが参考となる
また、どの程度までが、通常使用の範囲なのか、どこから構造、状況を変えたことになるのかが問題となります。洗濯機の排水の水が飛んだという程度の汚れは問題がないにしても、故意に壊したり、汚したとき、棚をつったり、構造を変えたときには元に戻して出る必要があります。
国土交通省から、この原状回復についてガイドライン(国土交通省・住宅局・住宅総合整備課・マンション管理対策室「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」)が出ていますので参考にしてください。
なお、基本的には、退去するときに大家があなたの立会いの下に部屋の点検をして、汚れなどをチェックし、あなたの責任で修繕する必要のある部分を確認しますので、必ず立ち会うことが必要です。このときに、あなたの責任で修理する必要のある場合であっても経過年数によって負担割合が示されていますので、全額を負担する必要はありません。
● 借地借家法
私たちが、土地や家を借り、暮らしていくうえでのさまざまな権利関係を定めている法律が借地借家法です。同法は、それまでの借地法、借家法、建物保護に関する法律を一本化するとともに、新しい規定を定め、平成四年八月一日から新しく「借地借家法」として施行されました。借地や借家に関しては、民法より優先して借地借家法が適用されますので、この法律の内容を知ることは大切です。特に同法は、借地権の存続期間や更新のしくみなどの見直しを図リ、「定期借地権」制度を導入しています。また、その後の改正(良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法)で、契約で定めた期間がくると契約が必ず終了する借家契約である「定期借家権」も導入されました。
〔原状回復義務〕壁のクロスを傷つけたら退去時に部屋全体の張替えを要求された
 不注意で壁のクロスに五〇センチほどの傷をつけてしまった。退去するときに大家から部晨全体のクロスの張替費用を請求された。わずか五○センチの傷なのに、一○畳全体の壁の張替える必要があるので、一五万円はかかると言う。これを全部負担しなければならないのか。こんな高額を支払いたくない。
● 修理回復の範囲は経過年数を考慮して最低限必要な施工単位まで
不注意で壁のクロスを傷つけてしまったのですから、その修理費用は負担しなければなりません。問題は、どのような範囲でクロスの張替義務があるかという点ですが、一般的には、各部分ごとの経過年数を考慮したうえで、最低限必要な施工単位で修理するのが妥当と考えられています。その範囲については、汚した箇所を含む一面分の張替えの費用までが妥当な範囲でしよう。つまり、部屋全体の張替費用を請求できるとすると、家主は原状回復をする以上の利益を得ることになりますから、貸し手と借り手のバランスがとれる範囲と考えればよいでしよう。また、六年以上入居している場合では、途中に改築などあった場合は異なりますが、原状回復義務のある部分であっても一割程度の負担を目安としています。
〔連帯保征人〕部屋を借りる際に連帯保証人が必要と言われた
  今住んでいる部屋を借りたときは、単なる形式的なもので緊急時の連絡先として、保証人をつけてほしいと言われたのでつけたが、今回は、連帯保証人をつけるようにと言われた。連帯保証人の場合は他人には頼みにくいし、身内では無理なので、どうしてもつけないといけないものか。法律で義務づけられているのか。
● 法的には連帯保証人をつける義務はない
契約するにあたって、連帯保証人を頼むことができずに苦労しているのですね。まず、法律には賃貸借契約に連帯保証人をつけなけれぱならないという規定はありません。保証人は家主との保証契約に基づいてつけるものなので拒否できます。しかし、契約するときの条件になっている場合がありますので、その場合は家主との話合いが必要になります。
部屋を借りる契約は、売買契約と違って長期間にわたって契約が続きますので、その間に家賃の未払いや借主による部屋の破損などが起きる可能性も予想されますし、未払いや損害賠償の問題から解約、明渡しとなって、これが裁判にでもなると長期間かかってしまうことにもなります。
そこで、家主の意向で、貸借人と同じ責任をもつ連帯保証人をつけることが一般化してきたのです。
● 保証人がつけにくいば合は保証委託会社に依頼する方法もある
ただ、その一方で連帯保証人の責任が非常に重いため、「迷惑をかけないから」と頼んでもなかなか引き受けてもらえない事情があります。支払能力を担保するためなら、支払能力のある人なら連帯保証人は不要といいたいところですが、将来にわたっての支払能力をどう保証するかということは問題になります。そこで頼みにくい連帯保証人の役割をお金で引き受ける保証会社に、割り切って頼むこともできますので、考えてみてはどうでしようか。
● 保証人と連帯保証人の違い
賃貸契約の保証人は、借主が貸主に対して債務を履行しないとき、履行する責任があります(民法四四六条)。保証人は、貸主から保証債務の履行を求められたら、まず借主に催告をするように請求できます(催告の抗弁権)。また、借主の財産から執行するように請求することができます(検索の抗弁権)。連帯保証人は、借主と連帯して債務を負担します。しかし、催告の抗弁権、検索の抗弁権は認められず、貸主から請求があれば直ちに弁済の責任を負います。このように、連帯保証人の責任は、一般の保証人に比べて重くなっています。
〔家主の変更〕住んでいるアパートが売却された場合、敷金は返してもらえるか
 今住んでいるアパートの家主がアパートを売却してしまった。敷金として一○万円を渡しているので、前の家主に返してほしいと言ったら、「そんなお金はない」と言われた。退去するときに新しい家主から返してもらえるものか。
● 敷金は新しい家主に引き継がれる
敷金は、家賃や修繕費などの担保として家主が預かるものなので、敷金は新しい家主に対して返還請求できます。家主がアパートを第三者に売ってしまった場合でも、敷金は新しい家主に引き継がれていますので、敷金を返還する義務は、当然に新しい家主に引き継がれると考えられますから、新しい家主に請求できますし、新しい家主は返す義務があります。
〔約束不履行〕業者が境界の協定を無視したので建てられなくなった
 両親と同居するために家の建替えを計画して建築業者と打ち合わせた。このとき、この地域には、隣との境界に関して「地域協定」があった。それで建築業者に、そのことを伝えて検討をしてもらった。その結果、建築業者は協定には若干違反しているが「他の家でも必ずしも守られているわけではないから大丈夫だ」と説明されたので、隣家と話し合ってくれたと信じて、請負契約を結び建築確認もとった。ところが、建築確認をとった時点になって、隣家からクレームがついて、結局、工事ができなくなってしまった。業者は代替プランを示して、これでどうかと言ってきたが、信じられなくなったので、解約したい。どうすればよいか。
● 必要な事実の不告知を理由として契約の取消しが可能
あなたはこの契約を結ぶにあたって、境界の協定を含めて工事ができるようにすることを業者に確認して契約をしたのですから、建てられない事態になったというのであれば、責任は業者にあります。本来、業者は工事に入る前に「隣家との協定を無視することの危険性」をあなたに知らせて工事に入るかどうかの判断をする必要があったのですが、全く知らせなかったことによって、あなたはこの工事内容で契約しても大丈夫との誤認をしたことになります。この誤認に幕づいて契約を結んでいますので、消費者契約法における「重要な事実の不告知」を原因として契約の取消しが可能になります。
また、建築業者は「協定に違反する建物を建築すれば、隣家からのクレームによって工事中止の危険性がある」ことを知っていたにもかかわらず、境界の協定を無視して工事に着手したのですから、信義誠実の原則からいっても問題となります。
● 専門家として建築業者には重要な情報の提供義務がある
業者が契約の交渉段階で情報の提供や説明をすることは、専門家としての義務ともいえます。
情報の量や質に格差のある消費者取引では、特に重要なことと思われます。
〔付属契約〕絨毯の敷込み依頼時に傷つけられたタンスの弁償をしてくれない
 部屋の絨毯を買い換えたときにタンスがニつ置いてあるので、絨毯の敷込みもいっしょに頼んだ。作業にきた人がタンスを動かし、敷込作業をしていた途中で昼休みになった。誰もいなくなったときに、タンスが傾いてもう一つのタンスにぷつかり、ニつとも修理が必要になった。それなのに、業者は「サービスでタンスを動かしてあげただけだし、何もミスを犯していないから、責任はない」と言う。私は一人で隣室にいたから何もしていない。修理代を弁償してもらえないものか。
● 契約の内容に従って責任が生まれる
日常生活でトラブルを想定することばほとんどないので、つい簡単に口頭で「お願いします」とだけ言って済ませがちですが、「絨毯の購入と敷込み」という契約をしたことになります。そして、今回の契約の目的は絨毯の敷込みですが、その作業に関連してタンスが傷ついたのですから、その関連性が問題になります。これは、見積書や契約書をみることによってわかるのですが、タンスの移動は「サービス」ということですから、口頭でどのように頼んだかということになります。作業のメモにタンスのある部屋と人員二人と書かれていました。ということは、タンスを動かすことを前提にして二人の派遣がされていることになりますので、タンスの移動は関連していると考えられます。となると、作業はタンスを移動し、絨毯を敷きこみ、またタンスを戻すという作業が、契約の内容とみられます。そうなると、事業者がその場にいないから、ミスを犯していないと主張しても責任は免れません。業者に修理代を請求できます。
● 契約に付髄するとみられる内容は損害賠償の対象となる
もし、業者が安定するように気をつけて置いていたのに、さらにあなたが動かして不安定な状態にした場合は別ですが、家が古くて傾いたとか、地震でもない限り、業者が安定した状態に置いたタンスが自然に倒れるはずがないので、業者の責任が推定されます。
したがって、契約に含まれる場合はもちろん、仮に含まれない場合であっても、現実に業者が移動させているのですから、業者のミスと考えてよいので、損害は賠償してもらえます。作業もいっしょに頼むときには、曖昧にしないで、見積はもちろんですが、その内容を確認して契約書に書き入れることをお勧めします。
● 不完全履行は、履行はあったか、その給付が不完全であった場合をいいます。
不完全な給付とは、次のような場合をいいます。
@ 給付した目的物や給付の内容に瑕疵があるとき
たとえば、病気の鶏を給付したときや、不完全な調査報告書を渡したときです。
A 履行の方法が不完全なとき
たとえば、荷造りの方法がいいかげんだったために荷物が壊れたような場合です。
B 給付する際に必要な付随的注意義務を怠ったとき
たとえば、本事例のような場合です。
不完全履行があれぱ、契約解除や損害賠償の請求などができます。
〔不利益事実の不告知〕眺望のよさで買ったのに実際は眺望が悪く騙された
 「上階からは街の眺望が広がります」というパンフレットをみてマンションを見にいった。そこでは担当社員からも同じ説明を受けた。ここなら眺望もよいと思い建築前だったが契約をした。しかし、でき上がった実際のマンションの前側には、同じ会社が自分の購入したマンションよりも高いマンションの建設に入っており、これができると全く眺望が悪くなる。こんなマンションなら欲しくないので、まだ入居前だから解約したいと言ったら高額な違約金を請求された。約束が違うのにこんなに高額を支払わなければならないのか。
● 売主の説明義務違反といえる
新築マンションの分譲では、マンションの完成前に販売され契約することが珍しくありません。そのため、契約を結んだときの物件の状況に関する説明と完成後の状況との間にズレが生ずることがあります。あなたの場合も「眺望が広がります」というパンフレットの記載や担当社員からの説明によってマンションの購入契約をしたのですね。
最近では、その物件自体の性状(床面積や天井高など)だけではなく、眺望等の状況についても説明義務があると考えられるようになってきました。そこで、あなたの場合ですが、@パンフレットに眺望のよさが記載されていること、A担当社員に確認したところ、それを認めていること、B眺望を妨げるマンションは同じ会社が建築していること等の点を考えると、明らかに説明義務に違反しています。それどころか、同じ会社の建築するマンションが前側に建ったのですから、眺望が妨害されるのを会社は知っていたと考えられます。このような場合に「眺望がよい」と強調することは、詐欺的な言動となります。事例によっては契約の解除ができます。
契約の重要な部分に説明義務違反があり、あなたは契約を維持しても契約の目的を達成できないのですから、その契約を解除できると考えられます。つまり、売主が提供した情報に大きな誤りがあり、かつ、売主が正確な情報を提供していれば購入しなかっただろうという事情がある場合には、説明義務違反を理由として契約を解除できるでしょう。
● 「不利益事実の不告知」によって消費者契約法の適用可能性もある
売主は消費者にとって眺望がよいという利益となる部分だけを知らせて、近くに同社のマンションが建つ計画があり、眺望が損なわれることを知らせなかったのですから、これは消費者契約法の不利益事実の不告知にあたり、契約を取り消すことも可能でしょう(消費者契約法四条二項)。
入居前なの‐で、できるだけ早く取消しの申出をし、交渉を始められることをお勧めします。なお、交渉が難しい場合には(社)宅地建物取引業協会が各地に設けられ、相談できる体制ができていますので、相談されるとよいでしょう。
〔瑕疵担保責任〕購入した築三年のマンションに欠陥があるので解約したい
 新築後三年経ったマンションを購入して、入居したのだが、すぐに雨漏りや水道管の水漏れなどが発生した。おまけに、外壁にも割れ目(クラック)が目立ち始めた。また、床も何か斜めに感じられ、沈みもある。これでは、安心して生活ができないので、何とか解約をして、別のマンションを買いたい。できないだろうか。
● 欠陥原因を確かめ瑕疵担保責任を求める
まず、原因が何かを突き止めることが必要です。新築後三年しか経っていないマンションですから、欠陥工事の可能性が強く、特に、外壁のクラック、雨漏りなどがいっしょに発生するような場合は、防水工事の不完全さや不適切が原因であることが多いのです。それであれば、売買契約前に存在した瑕疵といえます。また、水道管の水漏れも、売買契約当時は気づかないのが普通ですから、これも「隠れた欠点」にあたります。このように考えてくると、本事例の場合は、設計・施工上の欠陥による隠れた瑕疵があるので契約解除が認められる事例です(東京高判平成六年五月二五日)。
〔近隣問題〕マンション上階の人の騒音を何とかできないか
 マンションの上の階から「ドスンドスン」という大人の歩く音や子どもたちが飛び跳ねる音、歩き回る音が毎日のように夜までしている。そのため、身体の具合の思い母が眠れずさらに具合が悪くなった。管理会社に言ったが、伝えたというだけで対応してくれない。しかたがないので点検にきた業者に音を確認してもらい、伝えてもらったところ、ようやくドスンドスンという音はなくなったが、まだ、子どもの飛び跳ねる音、扉の開閉の音は夜一一時頃まで響く。管理会社は「頻度は減ったでしょう」と言うだけだ。どうにがてきないものか。
● 騒音は暮らし方だけによるのではない
生活騒音は暮らし方だけではなく、一部建物の構造にもかかわります。そこで、マンションの全体点検の際に業者に申し出て騒音の程度を確認してもらうのも方法ですし、市町村にある住宅相談窓口に申し出て、騒音の測定を含めて建物の構造にも問題がないか、どうすれぱよいか助言を受けるのも方法です。管理組合の連合会である全国マンション管理組合連合会もありますので、そちらに協力を求めることも可能でしょう。
コンクリート住宅は思いのほか音が響くものです。室内の物音は壁を通して左右の住宅へ、天井と床を通して上下へ、さらには窓を通して向かいの棟へも聞こえます。それだけにトラブルが多く、住んでいる人がお互いにルールを守る必要があるのです。建築基準法では、隣の住戸からの音に対して一定の遮音性能をもたせることとあるだけで、他には何も規定がありません。 ☆当事者に騒音を自覚してもらうことからはじめる そこで具体的な解決方法ですが、生活騒音に対する感覚は人さまざまで、嫌な音と感じる種類 も、音の不快さの程度も異なるため、苦情として本人に伝えられても、一般的に加害者意識が小 さく、対応が遅れ、これが感情的なもつれになって、解決を長引かせることもあります°生活騒 音を不快に感じる度合いは日頃の人間関係にも思いのほか影響されますので‐管理人を介して申 し出るほうがよいでしょう。このときにできるだけ客観的な数字や第三者による評価を示すこと で、ことの重大さを認識してもらう必要があります°
● 騒音も受忍限度を越えると補償を請求できる
ただ、生活していくらえで堪えられない、いわゆる受忍限度を超えた場合には、民法を根拠として、受けた被害、たとえぱ騒音が原因で病気になったときなどは、補償の請求や防音床に変えるよう要求することもできます。
〔家庭訪問販売〕強引に契約させられた新聞を解約したい
 昨夜、宅配便と名乗って男性がきたので玄関を開けると、五○○円もする洗剤を押しつけるように渡して、「景品をあげるから、〇○新聞を一カ月分だけでもとってください」と言う。「助けると思って」とも頼まれたが、強引でイヤだったので「もう他の新聞をとっているから」と断った。すると「そちらを断ってあげるからここに判を押して」と強く言われ、断り切れずに判を渡した。後でもらった購読票をみたら半年分も押してあった。こんな約束はしていないので、やめたい。
● 新聞も訪問販売であればクーリング・オフが可能
訪問販売での契約であり、新聞は指定商品にあたりますので、特定商取引法の対象となり、クーリング・オフ制度の適用が考えられます。そこで、あなたが契約に至った経過をみると、宅配便と偽って玄関を開けさせていますので、販売目的を告げていませんし、景品には制限があるのに、いきなり景品を手渡しています。会社名、名前なども名乗っていませんから、特定商取引法違反にあたります。また、クーリング・オフ(八日間の無条件解約のできる期間)があることの説明がされてはいませんね。ただ、あなたに渡された購読票にはこのクーリング・オフ制度の記載があるとすれぱ、法的には知らされたことになります。このクーリング・オフ制度の活用ができれぱ、解約は最も簡便になります。幸い、あなたは契約して二日目なので、渡されている購読票に書かれているクーリング・オフの手続をすることで解約可能です。ハガキに解約の内容を書き、新聞店あてに配達記録または簡易書留にして出します。そのとき、ハガキのコピーを忘れずにとり、発送した日付と内容を証拠として残しましょう。
● クーリング・オフ期間後の場合はセールストークの問題点を指摘
もし、クーリング・オフ期間が過ぎてしまっていたときには、@業者が会社や名前を乗らなかったこと、A宅配と嘘をついて販売目的を告げなかったこと、B景品に釣られてしまい、仕方なく承諾したこと、C一カ月の約束なのに勝手に半年分になっていたことなど、勧誘時の問題点を指摘して、ねぱり強く販売店と交渉します。交渉が難しいときには、新聞社の販売部や、新聞公正取引協議会に設けられている相談窓口に申し出ることをお勧めします。
とかく、学生や社会人の多くが移動する季節には、新聞の勧誘トラブルも増加します。新聞の勧誘は勧誘専門の業者によってなされる場合が多く、この事例のように宅配業者を装ってドアを開けさせたり、いらないと断っているのになかなか帰ってくれない、などの強引な販売方法がみられます。女性の一人住まいとわかると玄関に足を人れてドアを閉めさせないとか、断ったのに勧誘員に勝手に契約書をつくられたという例まであります。
● 訪問販売とみなされる販売方法
突然、自宅へ突然訪問してくるのは典型的な訪問販売ですが、特定商取引法では、次のような場合も訪問販売として規定しています。
@ 突然街中で声を掛けられ、喫茶店など営業所以外のところに連れていかれた場合
A 突然街中で声を掛けられ、販売目的を告げられずまたは特別有利と誘われて同行し営業所に連れていかれた場合
B 突然、電話やハガキ、チラシなどで販売目的を告げられず、または特別有利と誘われて呼び出された場合(営業所、営業所以外にかかわらず訪問販売とみなされる)
〔キャッチセールス〕サロンでした化粧品のクーリング・オフを断られた
 街を歩いていたときに「美容に興味はありませんか」と声をかけられ、「説明だけでも聞いて」とサロンに連れていかれた。そこで、肌診断を受けた後、美顔器を使えぱスべスぺの肌になると体験を勧められ、さらに痩身効果もあるからと、お腹のあたりに器具を当て三○分ぐらい施術を受けた。痩せたと褒められたのでついうれしくなり、美顔器を契約し、サービスといわれて化粧品をもらった。
家に帰ってよくみると、商品内訳欄に「美顔器」のほかに「化粧品」と書いてあり、化粧品はサービスではなかった。騙されたと思うと、腹が立って、もう使いたくない。翌々日、クーリング・オフすると電話で言うと、美顔器は引き取るが、開封した化粧品の代金は支払ってもらうと言われた。化粧品のキャップシールをはがして開けたのはサロンの人なのに。
● 消耗品でも販売員が開けたものはクーリング・オフできる
街中で声を掛けられて連れていかれた先で契約していますので、キャッチャールスにあたります。これは訪問販売の一方法ですから特定商取引法の対象であり、美顔器や化粧品は対象品目なので、クーリング・オフ制度の適用があります。あなたは契約して三日目なので、クーリング・オフができます。
美顔器はクーリング・オフの対象としてサロンも認めていますが、問題は消耗品である化粧品についてです。サロンはキャップのシールをはがしたので消耗品を使用したとしてあなたに買取りを要求してきます。ただ、あなたの場合のように、このシールをはがしたのが販売員であったり、販売員の指示であった場合には、試用のために開けたとみなせますから、化粧品のクーリング・オフも可能になります。
● 嘘をついて契約させられた点を指摘することもできる
また、申出が、クーリング・オフできる期間が過ぎていた場合には、化粧品が「無料サービスでついてくる」と説明しながら、実際は販売対象の商品だったこと、嘘をつかれたことを指摘することで交渉をします。とかく販売員の説明の内容よりも契約書面に書かれた内容が、契約した内容と判断されてしまいがちですが、契約書の内容が自分の受けた説明と異なるときはきちんと主張します。
〔家庭肪間販売〕環境にやさしいと言われて買ったディスポーザーを返品したい
  一週間ほど前、自宅に「環境に優しい台所用品を紹介しています。自治体が認可したものです」と販売員が尋ねてきた。台所の生ゴミを破砕し、下水道に流すディスポーザーだと言うので、便利だし環境にもよいならと思って高額だったが、クレジットで購入した。このことを夫に話すと、「生ごみの量は減るだろうが、認められないのではないか」と言うので、役所に確かめると「認可などしていない、使われては困る」と言われたので返品したい。
● 嘘をつかれてした契約は消費者契約法によって取り消せる
ディスポーザーは、生ゴミを細かく砕いて水といっしょに下水管に流す機器で、台所の排水口に取り付けるものです。砕かれてはいますが生ごみをそのまま流すためこの処理に費用がかかり、川に流されると環境を汚染することにもなります。そのため、台所の排水口に取り付けるタイプのものは自治体も使用自粛を求めています。となると、あなたは販売員から嘘を告げられて契約をしたことになりますので、その点を主張して返品交渉をします。
まず、家庭ヘの訪問販売であり、ディスポーザーは対象品目ですから、特定商取引法の対象になり、契約して八日以内ですから、クーリング・オフ制度の適用ができます。なお、使っていたとしても、デイスポーザーは消耗品ではありませんから大丈夫です。そのまま返せばよいのです。
● クーリング・オフの期間が過ぎてしまっている場合
次に、八日を経過したときですが、今回のセールス卜ークのように不実、つまり嘘をついての勧誘行為は特定商取引法で禁止していますし、消費者契約法でも取消しの対象としていますので、契約したときの状況を書いて、騙されてした契約だから取り消すとの主張を書いて、それに基づいて交渉します。販売会社との交渉が難しい場合には、支払方法がクレジットで、商品がディスポーザーなので、割賦販売法の適用が可能になります。そこで、割賦販売法における抗弁の接続規定と、経済産業省による信販業界への通達がありますので、これらを活用して加盟店に対する指導責任を負っているクレジット会社に解約処理の交渉の手伝いを求めます。
〔アンケート商法・キャッチセールス〕アンケートで買わされた商品を解約したい
 一○日ほど前、街で「アンケートに協力してほしい」と言われて行った先の喫茶店で、体型で気になるところはないかと聞かれたので「痩せたい」と答えた。すると「今会員になれぱ痩せるエステが半額になる」とエステを受ける会ヘの入会を誘われた。入るだけなら問題ないと思っていたら、いつのまにか脂肪をとる効果があり、痩せられるという健康食品を三五万円でクレジット契約していた。購入したからしかたなく飲み始めたら、効果があるどころかかえって気分が悪くなった。私には合わないので、解約したい。
● 販売目的を告げられずに連れて行かれたときは特定商取引法の対象となる
あなたは突然呼び止められて、販売目的を告げられずに店舗以外のところに連れて行かれたわけですから、キャッチセールスにあたり、特定商取引法の対象になります。また、健康食品は対象品目なので、契約してからその日を含め八日以内であればクーリング・オフ制度の適用が可能です。しかし、あなたの場合は一○日目と、クーリング・オフ期間を過ぎていますので、クーリング・オフ以外の方法を考えます。
● 効果を強調して勧誘された場合は業者に立証責任がある
販売員の説明内容を思い出してください。あなたは「脂肪を取り痩せる効果がある」と効果を強調されて信じていますが、健康食品は薬ではなく食品なので、医薬品のような効能効果を期待することはできません。効果を強調する説明は薬事法でも、特定商取引法でも禁じていますから、業者に効果についての立証責任を求め、立証できない場合は効果がないと判断できます。また、法を所管している行政庁に行政処分を求めることもできます。過大な広告やセールストークには十分注意し、利用する場合には摂取量や説明書きを守ることが大切です。
また、この事例では嘘をついて買わせていますので、消費者契約法における「不実告知」(重要事項について事実と異なったことを告げること)にもあたり、契約を取り消すこともできます。
〔電話勧誘販売〕資料だけ送ってもらうはずの資格講座をやめさせてくれない
 一○日ほど前、突然職場に電話で「講座を受購するだけで、誰でも簡単に資格がとれ、毎月五万から一○万円ぐらいの収入がある」との勧誘があり、断ったのだが少し気持が動いて、資料だけ送ってほしいと言った。その後四日ほどして届いたのは契約書と教材で、教材を読むと難しくてできそうもないものだったので、やめようと思い、送り返さないでいた。すると三日前に電話がきて「口頭でも契約は成立しているから、早く契約書を出すように」とどなられた。もう断れないのかと思いしかたなく書いて出した。でも、やはりやめたいと業者に電話をすると、業者は契約書を受け取ったし、クーリング・オフ期間も過ぎているからやめられないと言われた。契約書を書いていなくても契約は成立するのか、今思うと納得できない。やめるにはどうしたらよいか。
● 口頭でも契約は成立するが契約意思の合致が必要
口頭でも契約が成立するとして、業者は一方的に契約の成立を主張していますが本当に成立していたのでしょうか。契約そのものが成立するためには双方の意思の合致が必要です。そこで、電話のやり取りを思い出してください。「簡単に誰でも資格がとれて、月五万から一○万円の収入になる」と資格取得の簡単さと収入の確実さを強調していますが、あなたは断っていますね。そして、資料の送付だけを承諾したのですから、初めの電話の時点で、あなたには契約する意思がなかったといえます。だから、契約書が送られてきたときにも、送り返さずにいたわけですから、契約の意思はなかったことになり、契約は不成立となります。
その後の書面ヘの記入は、怒鳴られ、脅かされたことによって正確な判断ができずに、もう記入して出すしかないと思い込んだ結果といえます。
● 電話勧誘販売は特定商取引法の対象になる
このように電話で誘い、後日、送られた契約書に記入して送り返すことで、契約させる販売方法を電話勧誘販売といい、特定商取引法の対象になります。また、この事例では販売商品も資格を取るための教材が主なのですから、クーリング・オフの適用が可能です。次に、クーリング・オフ可能期間かどうかですが、クーリング・オフの書かれた契約書面が送り届けられた日である、ポストに入っていた日から教えて六日目にあたりますので、クーリング・オフ可能期間内であり、クーリング・オフができます。ただ、何時クーリング・オフの書かれた契約書が届いたかがトラブルの原因となりますので、いつ受け取ったかをメモとして残しておきます。そして契約書面にある業者あてに、解約通知を書いて、書留にして出すことによって無条件解約できます。
● 特定商取引法では再勧誘は禁止している
このほか、クーリング・オフ期間経過後の場合は、電話を受けた説明の内容と、再勧誘されたときに脅かされたことを文書にして出すことで、交渉をします。そのとき、特定商取引法では「契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止」(再勧誘の禁止、特定商取引法一七条)および不実を告げて勧誘することを禁止する条文(同法二一条)があり、これらにも該当しますので、勧誘時の問題点を指摘する文書を販売業者、クレジット業者あてに出します。このときには勧誘の経過説明が重要になりますので、業者から言われたことを思い出してメモなどをつくっておくとよいでしょう。
〔電話勧誘販売〕「顧客(かも)リスト」から外す契約が実は講座の契約だった
 数年前に資格講座の契約をしたことがある。その講座は難しく資格はとれなかったが、講座料は支払い終えた。ところが、一〇日ほど前「まだ資格をとっていないので、生涯教育を受ける対象者として名前が登録されている。再度、受講するか、名前を消すための費用が必要だ」との電話がきた。そんな約束をした覚えはないと断った。しかし、再々電話がくるので「名前を消してほしい」と言うと、「ニ五万円かかる。書類を送るから記入して送り返せ」と言われた。ところが三日前に送られてきた書類はどう考えても新しい講座の契約と思える。それなのに、業者は「名前を外してほしいと頼んだから送った。断るなら出るところに出る」などと脅かされて怖くなり送り返した。でも、こんなお金は払いたくない。
● 契約した覚えのないものに契約責任はない
まず、あなたは前の講座を受講したときに、業者が言うような約束をした覚えがないのですから、契約責任を負う必要はありません。断ったのに、再々電話がきて、怖くなったために、不本意な契約だけど書面を送ったということですから、送った契約書について考えてみます。問題はありますが形のうえでは、あなたが書いたのは「名前を消してもらう契約」。ところが実際には業者は「新しい講座を受講するための契約書」を送って、あなたに記入して返送するように迫っています。契約の内容が全く異なる契約なのに嘘をついてさせたことになります。これは錯誤による無効を主張できます。
また、業者の言う「二五万円もかかる名前を消すための契約」が存在するかどうかの点でも、あなたの承諾のない特定の名簿への登録自体が問題なのに、その名簿から名前を削除するために費用がかかるなど、あってはならないことです。それだけに、交渉の過程では、業者に名前の登録された名簿を示してもらう必要があります。
● 電話勧誘販売では再勧誘を禁じている
このような事例は、資格商法における二次被害といわれ、特定商取引法の電話勧誘販売にあたります。過去の資格講座の契約者に対して、突然、電話で誘いかけるもので、受講し終わった何年も前のことなど思い出せない消費者に、威圧的・断定的に言うことによって動揺させて、新しい資格講座を契約させようとする手口なのです。
講座を契約するときに、「資格が取れるまで、新たな講座を受講し続ける」という契約をするでしょうか。また、契約では、支払いを請求する側に、その請求の根拠を示す義務がありますので、その根拠が示せなければ請求に応じる必要はないのです。
また、特定商取引法では、断った人に対して、その後の再勧誘を禁じています。あなたは、再々の電話に怖くなって、書面を返送していますので、契約書の記入は自分の本意ではなかったことを主張します。
● クーリング・オフは送られてきた書面を受け取った日から始まる
以上のような問題点がありますので、事業者が契約成立を主張したたとしても、交渉することで解約は可能になりますが、最も簡便な方法としては、クーリング・オフ制度の適用があります。
この場合は、まず、送られた書類をあなたが受け取った日からクーリング・オフ期間が始まりますので、まだ三日目、クーリング・オフの可能期間内です。そこで、解約通知のハガキを出します。
また、クーリング・オフのできる期間を過ぎてしまった場合には、先にあげた契約時の問題点を指摘して交渉にあたります。
● 消費者契約法の適用も考える
消費者が契約をするかどうかの判断に影響するような重要なことについて「不実(嘘)を告げる行為(不実告知)」や「故意に事実を告げない行為(不告知)」があった場合は、その契約の申込み、または承諾の意思表示を取り消すことができると消費者契約法や特定商取引法で規定しています。(特定商取引法二四条の二、消費者契約法四条)。
また、クレジット契約をしている場合には信販会社に事情を申し出て、割賦販売法における抗弁の接続規定を活用し、自力で交渉することも可能です。
〔複合契約〕自己啓発セミナーに必要と言われたCD教材を返品したい
 ニカ月ほど前に、街で声をかけられアンケートに答えて、名前と電話番号を伝えた。数日後に電話があり、「自分を変えてみないか。話だけでも聞いてほしい。それに会員になると特典もある」と、説明会に誘われた。会場では、自分を変えることができたらこんなに楽しいことはないという自己啓発セミナーの話がニ時間ほどあって、自分が変われるならと思い、入会することにした。ところが、セミナーに参加するには月ニ万円のCD教材が必要で、高いものとは思わずにクレジットの申込書に名前を記入した。その後、よくみると総額一○○万円とあり、CDだけでなく、パソコンも含まれていた。パソコンは持っていると言うと、セミナーの費用を仮に教材とパソコンとしただけだという。今さらやめるとは言えず、入会金を現金で支払い、三回ほどセミナーに参加したが、就職したばかりで通う時間もなく、支払いもできないのでやめると伝えた。業者は「セミナーはいつ辞めてもよいが、教材は別の契約だから支払え」と言う。パソコンは届いてすぐに送り返した。セミナーに参加しないのにこんな高額は払えない。教材は一度も使用していない。どうすればよいか。
● アポイントメントセールスは特定商取引法の対象
あなたは、一○○万円をセミナー参加費と思っていたのですね。教材の販売であることを告げられずに、電話で呼び出されて契約していますので、アポイントメントセールスにあたり、特定商取引法の対象になります。ただ、契約して約二カ月が経過していますので交渉によって合意解約する必要があります。
● 勧誘時の説明に嘘や不実がある場合は取消しも可能
まず、勧誘時の説明を詳しく思い出してください。自分を変えるためのセミナーだから契約する気にもなったし、二万円で受講できると思いサインしたこと、総額一○○万円と後から気が付いたが、いまさら断れなかったこと、パソコンはあるから不要と送り返したことなど、経過を追って書き出してみます。この経過から、業者の主張する内容との違いを明確にし、問題点を整理するかたちであなたの主張を書いて業者あてに送ります。特定商取引法や消費者契約法では「契約の重要事項について不実を告げる行為」があった場合には契約の取消しも認めています。
● セット契約では主契約が解約になればもう一方も解約可能
そこで業者に、@セミナーの説明のみだったで、セミナーへの勧誘であると理解していた、A契約時にセミナーの費用を「仮にパソコンと教材とした」と説明しているので、契約書における主契約は当然セミナーの内容と理解した、Bパソコンは不要と送り返したが、それを業者は受け取りたままにしていること、契約目的がセミナーであると理解していたのに、訂正をしなかったことは、あえて知らせない不告知があったと推定される、Cセミナー入会金の領収書があり、セミナー受講の別契約がないので、この契約がセミナー受講契約と理解したとしてもやむを得ず、教材とパソコンのみの契約とは思えない、D)主たる契約であるセミナー契約がいつでも解約できるものであるならば、当然セミナーとセットである教材・パソコンの解約も可能である。以上これらの問題点を指摘する文書を内容証明郵便にして販売業者に出すことで交渉を始めます。
こうした問題点を踏まえて交渉しますが、代金の支払方法としてクレジットが組まれていますので、抗弁の接続規定を活用して、クレジット会社に加盟店指導の責任を求めて協力を依頼します。
〔おとり広告〕チラシをみて注文したものよりも高額なので解約したい
 一○日ほど前、新聞の折込みチラシをみて一万円くらいの電動ミシンを注文した。ところが、翌日、届けにきた販売員は「このミシンは使うたびに油差しの必要があるので手間がかかる」などと散々性能の悪さを言い、「評判がよくないので、持ってきていない。別の性能のよいミシンを持ってきた」とニ○万円もするものを勧められた。高すぎると断ったところ、値引きするからと粘られ、根負けしてクレジットで契約をした。しかし、手数料がかかりさらに高くなったので支払えない。なんとか返品できないか。
● 注文品を届けるための訪問時の販売は特定商取引法の対象となる
買う目的で販売員を呼ぶ場合は、目的を告げずに販売するという特定商取引法の規定する訪問販売の一種とみなすことはできません。しかし、安いミシンや無償修理のチラシ広告を出しておきながら、実際には注文品を持参せず初めから広告品の販売をする気がない場合、広告はおとりにすぎず、高額な他のミシンを買わせる目的であったと推定され、特定商取引法における訪問販売にあたります。形のうえでは業者に商品を届けにきてもらっていますが、注文品を受け取るためであり、販売員を招いたわけではありません。
ミシンは特定商取引法の対象商品ですから、契約して八日以内であれぱクーリング・オフできるのですが、あなたの場合一○日を超えていますので、合意解約のための交渉をすることになります。交渉は、契約に至った経過を内容証明郵便にして、販売業者と支払先であるクレジット会社あてに出すことから始めます。このとき出した書面はコピーとして自分の手もとに証拠として残しておいてください。なお、おとり広告については、景品表示法違反となりますので、公正取引委員会に通報し、「おとり広告」の判断と指導を求めます。
〔展示会商法〕見るだけと言われた展示会で高額な着物を買わされた
 昨日、隣の奥さんから「目の保養に着物の展示会を見にいこう」と誘われた。会場では、ニ、三人の人が駆け寄ってきて着物を肩に着せかけ、「とても似合う」とか「こんな商品めったに出ない」などと次々と声をかけられた。見るだけのつもりだったので、断ってこのまま帰ろうとした。けれども、引き止められてしかたなく相槌だけ打っていたら、承諾したことにされてしまい、断れなくなってクレジット契約書にサインをした。このとき、初めて隣の奥さんが販売員であることを知った。帰ってから夫にも言えず、翌日すぐに解約を申し出たが、店は「展示会はお店と同じだからクーリング・オフなどできない」と言われた。本当にもう解約できないのか。
● 展示会であっても商品が自由に選べなければ店鋪とはみなされない
これは、「展示会商法」といわれるもので、展示会場が店舗または営業所(出入り自由で商品が並ベられていて比較して選ぶことができる状態)とみなされる場所かどうかが問題になります。
まず営業所というためには、@最低二、三日以上の期間にわたって、A商品を陳列して消費者が自由に商品を選択できる状況にあることが必要なのです。しかし、連れて行かれた展示会場は商品が陳列され、販売のための施設とみることはできますが、二、三人があなたを取り囲み、商品を自由に選択できる雰囲気ではなかったということであれぱ、「店舗に類する場所」とはみなせないでしょう。となると、店舗以外での契約となりますので、特定商取引法の対象となり、クーリング・オフが可能で、二日目なのですから手続をすることで解約できます。
販売店とクレジット会社にクーリング・オフの文書を出し、誘われた経過を書き添えます(書留郵便ないしは配達証明付き郵便で)。そのほか、「契約するまで展示会場から帰してもらえなかった」という点を消費者契約法でいう「退去妨害」にあたるとの主張も可能と思われます。
他に誘い方としては、「見るだけで買わなくてもいいから」とか「キャンペーン期間中で特別割引価格です」と言って誘う場合にも、目的を告げずに誘っていますので特定商取引法の対象になります(特定商取引法二条一項二号、政令一条一号・二号)。
〔無料商法〕無料の着付教室で高額な着物を買わされた
 一週間ほど前、無料の一日着付教室に参加を勧めるチラシが入っていたので、自分で着物が着られるようになればと思い参加した。そこには、着物を売るとは書いていなかったので安心して参加した。ところが、着付講習の終わり頃、繊維問屋ヘの見学につれていかれた。そこで、実習といいながら着物を勧められたので、断るとニ人の販売員が寄ってきて離れず、「他の人たちも買った」と言うので、私もしかたなく契約したが、やはり三〇万円は高すぎる。一週間目に解約を伝えた。すると、「講習会が着物を販売するところだと承知で受講したのだから、クーリング・オフなどできない。契約書にも書いてある」と言う。契約書をみたら確かに書かれていた。でも、私は講習会が販売するところだとは知らなかったし、買うことになるのなら行かなかった。それに、そのようなことが書いてあるのは知らなかった。着物も受け取っていないし、解約できないのか。
● 書面に解約できないと書かれていても法の対象であればできる
無料で講習が受けられるとうたっていながら、結果的に何かを買わせる商法を「無料商法」といいます。そして、契約のきっかけとなった「チラシ広告」には着物を販売するとは書かれていませんでしたし、申込みのときにも聞いていないということですから、あなたの場合は、販売目的を告げられずに販売されています。また、商品は着物ですから、特定商取引法の適用があります。そのため、契約書に「クーリング・オフは対象外」と書かれていたとしても、クーリング・オフができます。ところで、会社は「着物を買うことを承知で参加しているから、法律の対象外だ」と言っていますが、それであれ-ば、始めから「買わせるのが目的で無料の講習会という広告を利用した」と、自ら認めたことになりますので、これは明らかな販売目的を告げていないことであり、法の対象となります。
また、書面に対象外と書かれていたことによって、クーリング・オフができないと思い込んだ買い手は、クーリング・オフができることを知らされていないのと同じ状態だといえます。そのため、あなたは、あらためてクーリング・オフができることを知らされた時から八日が過ぎるまでは、クーリング・オフができます。
そこで、あなたの場合ですが、契約してからまだ一週間しか経過していないので、クーリング・オフの通知を販売業者と、クレジット会社あてに出します。クーリング・オフは、法律で認められた消費者の権利なのですから、業者が認めないときには、所管官庁からの指導を求めます。
〔アポイントメントセールス〕会員契約で高額なパソコンを買わされた
 三週間ほど前、職場に突然電話があり、「旅行、家電製品、結婚式が安くなる会員サーピスについて説明したい」と言われた。説明を聞くだけと約束して、退社後に女性販売員と会った。旅行の話や結婚式の語など楽しかったが、断って帰ろうとしたがなかなか帰してくれず、三時間も過ぎた。それから、「入会すれぱ特典の権利は一生涯ついてくる」、「月一万円だけ、おまけに海外旅行のためのDVDセットを差し上げる」と言われたので、得した気持になって、五○万円のクレジットを組み、会員になる申込みをした。その後、口座を確認すると、クレジット代金のほかに三〇〇○円が引き落とされていた。何の代金か聞くと、おまけに付けてもらったはずのDVD代で、三○○〇円は会費だという。話が違うので解約すると販売会社にいうと、もう一カ月近く経っているからできないと言われた。納得がいかない。
 販売目的を告げずに呼び出していますのでアポイントメントセールスにあたります。契約対象であるDVDも、あなたが理解していた会員権も特定商取引法の対象になります。しかし‐クーリング・オフ期間である八日を経過していますし、妨害もなかったと思われますので、交渉による解決を考えます。
● 嘘を信じてした契約は取り消すことができる
あなたがした契約は、書面上からすると、DVDの購入契約と会員契約の二本です。そして、会員契約のほうは申し出さえすればいつでも退会できると書かれていました。あなたは会員サービス契約と理解し、他はおまけと信じていたのですから、契約時の説明に問題があったと推定されます。そこで、受けた説明の内容と経過を書いて販売会社とクレジット契約をした信販会社に送ることから始めます。
指摘する問題点としては、@嘘をつかれて会員権の契約と思い込まされたこと、A)特定商取引法が禁じている「不実告知」があったと思えること、B三時間にも及ぶ長時間勧誘で、「帰りたい」と言っても帰してくれず、消費者契約法における「退去妨害」にもあたると思えることとなります。こうした契約の問題点を中心に契約時の状況、特に説明内容を中心に経過を書いて、解約の意思を伝えます。同時に、クレジット契約なので割賦販売法における抗弁の接続規定を活用して、クレジット会社に、加盟店である販売会社の販売方法について調査をしたうえで、指導するように求めます。クレジット会社には経済産業省の指導もあり、加盟店の指導、管理をする責任がありますから、販売店との交渉にあたって協力してもらえるでしょう。
〔恋人商法・デート商法〕デートと思っていたのに宝石を購入させられた
 インターネットのサイトで仲良くなった女性から、会ってほしいと言われて、うれしくなって喫茶店で会った。彼女から自分のデザインした宝石を見てほしいと誘われたので行くと、さまざまな宝石を見せられて購入を勧められた。でも、アルバイト生活だから高いものは買えないと断った。しかし、「払える額でクレジットを組めばよい」、「私を助けると思って」と頼まれて、ニ○万円は高いと思ったが、付き合ってもらうためだと思い、買うことにした。
だが、その後も、会うたびに指輪やピアスなどを次々と買うことになって、ニ○〇万円にもなった。もう買えないと言った頃から連絡がとれず、店も辞めたという。彼女のために高額な買い物をしたのに。月に六万円は支払えないので、なんとか返品したい。商品は開けてもいない。
● 恋人商法の場合は解決が難しい
このような商法を、「恋人商法」または「デート商法」といいます。宝石を販売するという本来の目的を隠して友達になり、恋人関係と錯覚させて高額な商品を売りつける商法です。
恋人商法は、デートを重ねたうえで、店頭で契約させる場合が多いのでアポイントメントセールスにも該当せず、解決が難しくなります。あなたの場合も、一回目の契約は販売目的を告げずに呼び出していますので、アポイントメントセールスといえるのですが、他の場合は店に行けば買うことになることを承知していて、対象とはならないでしょう。初めの契約もすでに、クーリング・オフ期間は過ぎていますし、自分の意思に反して買わされたと主張するには無理がありそうです。
そうなると、こうした恋愛感情を利用して消費者の自由な判断ができない状態にしたうえで契約させた点を問題として、公序良俗違反を主張するということになるのですが(民法九○条)、これを立証するのはかなり難しくなります。でもまず、あなたからそれぞれの購入契約に至った経過を書面にして、販売業者とクレジット会社に出し、引取りや値引交渉をすることをお勧めします。最近では‐こうしたインターネットの出会い系サイトが、さまざまな商法に利用される機会が多くなっていますので十分気を付けてください
〔資格商法・電話勧誘販売〕勧められた資格が難しすぎるので解約したい
 定年を前に、次の仕事のために国家資格をとろうとしていたとき、簡単にとれて収入になるという講座の広告があったので、資料だけ請求した。しかし、届いた資料の内容から受講する気が起きなかったので断ったのに、半月ほど前、突然会社から講演会ヘの誘いの電話がきた。それで講演会だけという約束で会場に行った。ところが、そこは講座の説明会場で「資格をとって優雅な暮らしをしよう」と繰り返し講師から話があった。講師の話は信じられる気はしたが、受講料の四○万円は高すぎるので断って帰ろうとすると、「資格は簡単にとれる」、「すぐにも収入になる」、「月に一万円」と言われ、何とかなる気がしてきて、クレジット契約をし、書面をもらった。しかし、スクーリングを受けたが、教材の内容も難しく資格などとれそうもないと感じた。それで、やめるなら早いほうがよいと思い、解約すると伝えたのに受けてくれない。何とかやめたい。
● 資格商法はクーリング・オフの対象
こうした販売方法を「資格商法」といいます。また、あなたは、電話で講演会に誘われて会場に行き、そこで契約していますので、アポイントメントセールスにあたります。この契約の前に、業者から資料を取り寄せていますが、契約していませんので特定商取引法の対象となることに問題はありません。ただ、書面を受取った日からすでに八日間が過ぎていますので、クーリング・オフは、内容的に問題がなければできません。
クーリング・オフができない場合は、合意解約のための交渉を始めます。この場合は、問題点の整理が必要です。そこで、契約したときの状況をしっかり思い出してください。
● 説明と実際が異なることを主張し解約交渉する
まず、あなたが契約した講座は国家資格をとるための講座なのですから、普通に考えても、業者の説明ほどに簡単に資格がとれるとは思えません。また、頑張ってとれたとしても、その資格ですぐに収入につながるとも思えないので、関連業界に確認する必要があります。たとえば、一般旅行業務取扱主任者であれば鞄本旅行業協会に、宅地建物取引主任者であれば各都道府県の宅地建物取引業協会もしくは兜s動産適正取引推進機構などに、合格率や資格がとれるとすぐに収入につながるのかなどの情報を確認します。そのうえで、@講演会と思って行ったのに講座受講の説明会であったこと、A受講さえすれば合格できる特別な講座だと説明されたが内容が難しすぎて無理であること、B説明されたほどの収入が期待できないこと等から、事業者の説明を信じたために誤ってした契約なので、解約することを業者に申し出ます。
● クレジット契約には抗弁の接続規定がある
また、支払方法としてクレジット契約を結んでいますので、割賦販売法の「販売業者に言える抗弁はクレジット会社にも言える」という抗弁の接続規定を活用して、この内容をクレジット会社にも連絡します(クレジット会社には加盟店である販売業者を指導管理する責任があります)。
交渉にあたっては、不当な勧誘行為を禁止する特定商取引法や消費者契約法を活用します。ただ、解約にあたっては、講座も一部受けていますので、受講した分の費用や違約金も考慮する必要があります。
〔ネットワークビジネス〕夢が叶い収入が得られると買わされた高額な化粧品
 一カ月ほど前、アルバイト先の上司の紹介で「収入があり、夢が叶うから」と誘われていった会場で、連鎖販売取引に参加しないかと勧誘された。上司は「マルチ商法ではないから心配しないように」、「夢が叶うネットワークビジネスだ。すぐには参加しなくてもいいので、今は人を勧誘する必要もない」と何度も言われた。上司なので仕事上で問題が起きては困るし、上司が言うことに逆らえないとも思って断り切れなかった。夢の実現はしたかったが、他の人を勧誘できるかどうか不安だった。でも、そのうち誘える人がいれば実現しようと、とりあえず化粧品一式、約三○万円を一○日ほど前に支払って領収書をもらった。でも、よく考えると、あまりに高額だし、上司から「親には内緒にして、収入が入るようになってから話すように」と言われたことで逆に不安になった。収入の話も信じられない。化粧品は使っていないので、返品したい。お金は返してほしい。
● マルチ商法にはニ○日間のクーリング・オフが認められる
マルチ商法である連鎖販売取引の基本的なシステムは、買い手を紹介したときの販売手数料が収入となります。さらにあなたが紹介した人が会員となって販売したときには、その人の手数料の一部を収入とできますので、会員を増やせば自分が買い手を見つけなくても手数料が入るというシステムです。
あなたが誘われたときに、勧誘員はマルチ商法ではないと言っていますが、買い手を紹介することでマージン収入が大きい(「特定利益しことが説明されていますし、そのビジネスをする条件として化粧品の購入(「特定負担」)が示されていますので、特定商取引法でいう連鎖販売取引(マルチ商法)にあたり、二〇日間のクーリング・オフが認められています。
また、あなたには領収書が渡されているだけで、連鎖販売取引の場合に渡されなければならない概要書面が渡されていませんのでこの点も問題となります。ただ、クーリング・オフは領収書に二○日間と記載がありますので、この記載に従って手続をしてください。
そこで、二○日以内に書面に書かれている事業者あてに、クーリング・オフのハガキを出してください。なお、ハガキには商品の引取方法と、返金の仕方を書いてください°連鎖販売取引の場合は、店舗で契約しても法の対象になります。また、この取引はわかりにくいため、「ネットワークビジネス」や「コミニケーシコンビジネス」と名づけて別のものであるかのように装い、簡単にマルチ商法であることを理解できないようにしている場合が多くあります。そこで、ビジネスの内容を書いた「概要書面」が法律上渡されることになっていますので、この内容をよく読む必要があります。また、嘘をつかれた、故意に不利なことが知らされなかったなどの問題があるときには、消費者契約法の適用も考えられます。
なお、あなたの上司はあなたに購入させることで、手数料が入るのですから、熱心になるのもうなずけます。しかし、通常、会社には就業規則があって、会社の中でこのようなビジネスをしてはいけないはずです。会社の中でこのビジネスが広がり、中心になった人が辞めさせられたという例もあります。ですから、断ったからといってあなたの仕事に影響すると思わずにはっきりと返品を伝えます。
● クーリング・オフ期間後も返品可能な場合がある
また、クーリング・オフ期間が経過している場合でも、一定の場合には将来に向かって解約できます(特定商取引法四○条の二第一項。)。また、勧誘時や契約時に、業者から不実告知があって(嘘をつかれて)、消費者が誤解をしてしまった場合や、故意に事実を知らされなかったために誤認した場合には、契約の取消しが認められます(同法四○条の三)。
● 連鎖販売取引(マルチ商法)
連鎖販売取引であるかどうかを判断するキーワードは、特定利益と特定負担です。特定利益とは、「あなたが勧誘して組織に加入する人が購入する商品代金の〇〇パーセントがあなたのものになる」、「あなたが勧誘して組織に加入する人があった場合、統括者から一定の金銭を得られる」等の場合をいいます。また特定負担とは、組織に加入するときや加入後に取引条件を変更するときに条件とされる商品の購入、役務の対価の支払い、取引料(入会金、リクルート料、登録料、保証金など)の提供等の金銭的負担のことをいいます。入会時は負担がなくても、入会後の活動に伴って商品購入等の何らかの金銭負担をすることが条件となっている契約である場合、その負担が特定負担になります。
また、再販売とは、販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいい、受託販売とは、販売の委託を受けて商品を販売することをいいます。また販売(役務の提供)のあっせんとは、販売(役務の提供)の相手方をみつけて販売の仲立ちをすることです。
〔ホームパーティ商法・マルチ商法〕ホームパーティで買った補正下着を返品したい
 ニカ月ほど前、近所の奥さんから、お茶に議われて行くと、六、七人が集まっていて、きれいな補正下着が紹介されていた。補正下着はニO万円で、肉や脂肪を移動させて固定するのでスタイルがよくなり、人生がバラ色になると言われた。
一セット購入すれば会員になれ、新会員を加入させれば手数料も入るからと勧められたので、付き合いもあって断りきれずに、クレジットで契約して会員になった。でも、いざ自宅で販売しようと友人たちをニ度ほどお茶などに誘ってみたが誰も相手にしてくれず、一人も紹介できず、一〇%の手数料も入らない。しかたなくまた一セット買ったが、出費がかさむだけなのでやめたい。商品はもともと自分で着ようと思つたわけではないから使っていない。何とか返したい。
● ホームパーティによるマルチも解約できる
このような販売方法はホームパーティの形式をとることで、顔見知りで断りにくい状況の中で、「マルチ商法」を勧めるものです。二○万円を支払い、新会員を紹介するだけで一○%の手数料が入るといわれていますので、特定商取引法の連鎖販売取引にあたります。しかし、あなたの場合はすでに二○日間のクーリング・オフ期間を経過していますので、他の方法による解約を求めることになります。
● マルチ商法には「返品ルール」がある
そこで、特定商取引法の返品ルールを活用します(特定商取引法四○条の二第二項。)。これは‐連鎖販売組織に加入して一年を経過しない会員が退会するときには、「引渡しを受けてから九〇日を経過しない未使用の商品」を返品し、適正な返金が受けられるようにしたものです。あなたの場合は会員になって一年以内ですし、商品を受け取ってからまだ九○日以内なので、返品できる期間にあたります。また、下着は未使用ですから返品できます。そこで、あなたから販売会社に、文書で契約したときのことと解約に至った経過を伝え、解約を申し出ます。
その際に、違約金の制限を参考に交渉します。
また、交渉の過程で契約のときに強引な勧誘があったり、騙されたりしたときには、特定商取引法による取消し(特定商取引法四○条の三)や、消費者契約法の困惑類型(不退去によって困惑させられた、退去妨害をされて困惑した)または誤認類型(重要事項について嘘を告知されて間違った判断をした、不確実なことなのに断定的に言われたことで間違って判断した、利益となる事実を告げて不利益な事実をあえて知らされず、間違って判断した)による取消しも確認します。また、民法の詐欺・錯誤・公序良俗違反、不法行為などによる解決も考えられます。
● 連鎖販売契約の解約と違約金制限
連鎖販売加入者は、クーリング・オフ期間の経過後も、連鎖販売契約を将来に向かって解除できます(特定商取引法四〇条一のニ第一項)。この場合の違約金の上限も定められています(同条三項)。また、入会後一年以内の連鎖販売加入者は、連鎖販売契約の解除に伴い、@商品受領後九〇日以内のもの、A転売していないもの、B使用、消費していないもの、C消費者の責めに帰すべき事由により滅失・毀損していないものであれば、商品販売契約を解除し返品することができます(同条ニ項、政令一〇条のニ)。この場合の違約金の上限は、解約返品する商品価格の一〇%以内(返品されないときは販売価格)とされています(同条四項)。商品販売契約の解除に伴う代金返還義務は、連鎖販売業の統括者も連帯責任を負います(同条五項)。
また、勧誘時や契約時に、業者から不実告知があって(嘘をつかれて)、消費者が誤解をしてしまった場合や、故意に事実を知らされなかったために誤認した場合には、契約の取消しが認められます(特定商取引法四〇条の三)。
〔ネットショッピング〕ネット注文で重複したものは返品できるか
 インターネットでブランドのスニーカーを注文した。一足しか頼んでいないのにニ足も送られてきた。高いものなので返品したいのだがどうすればよいか。
● ネットショピングではクリックした後に確認画面のチェックを
ネットショッピングは、パソコンや携帯電話の機能を使ってイン夕ーネットに接続し、ネット上に仮想店舗を出している事業者からそこに紹介されている商品やサービスを購入するものです。これは、特定商取引法では通信販売として規制しています。
あなたの場合、注文より多くの商品が送られてきたのが業者のミスならば返品はすぐできます。
ところが、あなたのミスクリックの場合には、簡単に返品は受けてくれないかもしれません。まず業者に確認してください。特定商取引法において規制されている通信販売の場合と同様に、商品の注文に際して、必ず条件が示されることになっています。クーリング・オフ制度の適用がない代わりに、商品の返品可能期間を明示することになっています。返品できない場合はそのことを書かなくてはなりません。書かれていないときは返品を受けるとみなされます。そのうえ、ネット上での注文の場合は、ミスクリックによるトラブルを避けるために注文内容の再確認ができるように画面上に「確認画面」が表示されることになっています。
そこで、あなたの場合もこれにあてはめて考えてみてください。@「確認画面」はありましたか、Aその確認画面に返品を受けないことが書かれていた場合には、十分に内容のチェックをしないで確認ボタンをクリックしてしまったことになりますので返品は難しいでしょう。
● ネットシヨピンクは必ず情報をプリントアウトしておく
ネット上の取引は、マウスのボタンの押し間違いによる注文間違いのほかに、匿名性が高いことから、注文してお金も払ったのに商品が届かない、また逆に、商品を渡したのに代金を請求しようとしても、もうサイトが閉じられていて連絡のしようがないなどのトラブルが多くあります。
画面をそのつど、プリントアウトし、証拠を残すことをお勧めします。
〔成りすまし〕ネットオークションで見たものと違っていたのに返品できない
 ネットオークションで、出品者は五種類の車のホイールを出していた。そのうちの一つを一〇万円で買った。届いたものは画面表示と違っていたので出品者にクレームをつけたところ、この取引は消費者同士の取引であって、自分は事業者ではないから「特定商取引法の表示義務の規制は受けない。違っていても法的に問題はない」という。一回に何品もの出品をしているのに、事業者でないから返品はないというのはおかしいのではないか。
● ネットオークションは個人取引が前提のため法の規制が及ばない
ネットオークションは出品者からすると、自分の不要なものを他の人に売ることができるうえ、自分の出品物がどの程度に評価されるのかという楽しみもあります。一方、購入者からすると、自宅にいながら必要なものを低価格で入手できるメリットがあります。しかし、オークションは、原則として個人と個人の売買で、事業者との取引ではありません。ですから、原則として、消費者の利益を守る目的で制定されている消費者関連法の適用がないのです。このため、事業者であるのに個人を装ってオークションに出品して、特定商取引法の規制を逃れるなどの脱法的な行為を行う事業者もいます。
● 事業者の成りすましに注意
事業者が消費者に成りすまして法の規制を逃れるのを防止するために、経済産業省は、ネットオークションにおいて事業者(販売業者)とみられる範囲をガイドライン(通達)によって明確にしています(経済産業省「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」平成一八年一月三〇日付け)ので、これが参考になります。
● ガイドラインの主な内容
@ すべてのカテゴリー・商品について、たとえば、a過去一カ月に二○〇点以上、または、一時点において一○○点以上の商品を新規出品している場合、b落札額の合計が過去一カ月に一○○万円以上である場合、c落札額の合計が過去一年間に一○○○万円以上である場合などでは、営利の意思をもって反復継続して取引を行う者として販売業者に該当します。
A また、a家電製品等について、同一の商品を一時点において五点以上出品している場合、b自動車・二輪車の部品等について、同一の商品を一時点において三点以上出品している場合、c CDやDVD、パソコンソフトについて、同一の商品を一時点において三点以上出品している場合、dブランド品やインクカートリッジ、健康食品、チケット等に該当する商品を一時点において二○点以上出品している場合は、通常、販売業者にあたるとされています。
  本事例の場合には、出品者は、Aのbに該当するとみられますから、販売業者となります。このため、ネットオークションによって「指定商品」等を販売する事業者に課される、特定商取引法の必要的広告表示事項の表示義務や誇大広告等の禁止などの規制を受け、違反した場合には、同法によって行政処分や罰則の適用があります。なお、ガイドラインでは、オークション事業者は、出品者の銀行口座番号、クレジットカード番号、電子メールアドレス、携帯電話契約者情報等の管理を通じて、同一人が複数のIDを取得することを排除することを求めています。
〔瑕疵担保責任〕通信販売で買ったベットが届いて一週間で死んでしまった
 ペットを扱った雑誌を見ていたら、「生後ニカ月の子犬をお分けします」という広告が掲載されていた。とてもかわいらしかったので、ぜひ欲しいと思い注文した。宅配で届いた子犬を、大切に部屋の中で飼っていたのに、一週間足らずで、ぐったりしたので医者に診せたがとうとう死んでしまった。一○万円もしたし、治療費もかかったので、返金してほしい。注文書には、生き物だから責任は負わないと書いてあったか、納得いかない。
● ベットであっても瑕疵担保責任は問える
ペットの病気については、購入したときから病気に感染していたかどうかが問題となります°病名が獣医の診断によってわかった場合には、通常の潜伏期間がどの程度のものであるかをまず確認します。その潜伏期間からどこで感染したか判断します。もし、自宅に連れてきてから感染した場合には、あなたの責任になり、ペットショップの瑕疵担保責任・債務不履行責任を問えなくなります。たとえば、死んだ原因が犬を侵す急性伝染病の一種である感染症で、その病気の潜伏期間が約一週間から一○日程度だとすると、ペットショップにいたときに感染した可能性が高いと思われます。通常、病気の予防にはワクチン接種が行われるのですが、まだ幼犬であるために接種がされておらず伝染病にかかっている場合あります。このような場合は、犬に隠れた欠点があったことによる瑕疵担保責任、いわゆる完全な商品を引き渡す義務があるのに病気の犬を渡したことによる責任を問うことができるでしょう。
● 責任を負わないとあっても消費者の利益を一方的に害するものは無効
しかし、このような場合でも、犬が生き物であることから飼い方のせいにして責任をとらない業者もいます。特に、売買契約書の中に「いっさいの責任を負わない」と明記されているから責任はないと主張します。しかし、消費者契約法では、損害賠償責任や瑕疵担保責任をいっさい負わないとする条項は無効としていますので、条項がなかったと同様に責任を追及できます。ただ、現実の解決として返金がよいのか、別の健康な子犬をもらうほうがよいのかはあこなたの気持次第なので、話合いの中で選択するのがよいでしょう。
〔ネガティブ・オプション〕突然送られてきたビデオを勝手に処分してよいか
 ある日実然、宅配便で自宅にビデオテープが送られてきた。全く申し込んだ覚えがない。その中には、九○○〇円の振込用紙が入っていて「不要の場合は一週間以内に返送し、返送されない場合は購入したものとみなす」と書かれていた。
注文したわけでもなく、勝手に送ってきたものなのに返送費用をかけて送り返さなければならないのか。おまけにアダルトビデオであったことから、中を見た家族に誤解をされて迷惑だ。すぐにも処分してしまいたいが、どうすればよいか。
● 一方的に送りつけられたものは一定期間保管した後に処分してよい
この販売方法は、特定商取引法における「ネガティブ・オプション(送りつけ商法)」にあたります。これは注文をしたわけではないのに、一方的に商品が送りつけられてきたのですから、あなたに購入の意思があったわけではありません。したがって、契約は成立していませんので、支払う義務はありません。送られてきたビデオテープといっしょに入っていた書面に、「返送されない場合は購入とみなす」と書かれていたとしても、契約が成立していないのですから、書かれた内容に従う必要はありません。
ただ、特定商取引法の規定では、ネガティブ・オプションで送りつけられた商品は、一四日間、または、消費者が事業者に引取りを請求した場合は七日間の保管義務があるとしています。そのため、もしその間に保管せずに勝手に処分したり、ビデオの包装を開けて視聴した場合など、一般的に購入(同意)したとみなされるような行為をした場合には、契約が成立したものとみられて、支払義務が生まれますので注意する必要があります。
このほかネガティブ・オプションとして送られてくる商品には書籍、雑誌、歯ブラシ、グリップなどがあり、それ以外にも「福祉に協力してください」とか、寄付を募る形で購入を求める場合が多いので、慌てずに発送元を確かめること、そして、自分で送り返すときには着払いを利用するのがよいでしょう。
● ネガティブ・オプション
ネガティブ‐オプション(送りつけ商法)とは、書籍や雑誌、新聞、名簿、紳士録、なかには念仏の書かれたカードなどを郵便や宅配便で一方的に送りつけ、その中に請求書や振込用紙が入れられているものです。福祉団体やボランティア活動の一環として寄付を求める形で送られてくる場合もあります。
ネガティブ・オプションは一方的な送りつけ商法ですから、契約の申込みにすぎず、契約に関しては「合意」がなく成立しません。しかし、消費者の手もとには事業者が送ってきた商品があるので処分が問題となります。特定商取引法では、こうした商品の保管に関しても規定しています。
〔ネガティブ・オプション〕不要とチェックして出した雑誌の代金を請求された
 ダイレクトメールがきて、中に申込用紙が入っていた。それには、必要かどうか、要・不要のチェック欄があったので、不要にチェックをして返送したところ、業者から「次回から不要は了解した。今回の代金ニ万円を支払うよう」にと書かれた用紙と私が返送したハガキのコピーが入った雑誌が送られてきた。私の返信したコピーをよくみると、回答欄の不要の下に小さな文字で「不必要な部分は、抹消してください。今回も次回も購読の意思がない場合はこの用紙を破棄してください」と書かれていた。確かに今回の分は買うと読めなくはないが、私には全く買う意思はなかった。法的にこれが認められるなら支払うが、しかし、払いたくない。
● 双方の合意がない契約は不成立となる。契約の申込みは明確に
本来‐「要・不要の返事」をするようにと書かれていれぱ常識としては返信しなけれぱならないと思い込みますし、その心理を狙った事例といえます。というのも、回答の欄の下に、気づかないほどの小さな字で、すべて不要の場合は破棄するようにとあったということですから、私たちの常識を逆に利用されたことになります。
では、あなたが請求されている根拠となる契約は成立しているのでしょうか。契約は双方の合意によって成立するのですから、@契約内容に沿った申込みはあったか、A消費者はこの契約の目的をどのように理解したか、B目的にそった合意があったか、C気づかなかったことにミスがなかったか、という点について考えてみます。
まず、@「継続するかどうか」を尋ねる文面があったわけですから、Aあなたは、今後について要・不要の意思確認と理解した。そして、届いた雑誌そのものが初めてなのですから、あなたにはB雑誌を購入する意思は全くなかった。そして、通常の注意を払っていたのに、C見落とすほどの文字の小ささであった。以上のことから、契約の目的について合意はなかったとして契約の不成立が主張できます。
● 錯誤による無効の主張も可能
また、このような消費者の思込みや注意力に付け込む形で支払わせるやり方は紳士録商法などでもみられます。この雑誌はあなたが申し込んだことのないものなのに、文面では「継続かどうか」を問われたために不要・買う気はないと返信したはずであり、遡って買うかどうかを聞かれるなどとは思いもよらないという心理をつかれたわけです。そのうえ、気づかないような小さい文字となると、一般的にも、不要に○をつければ終わると錯覚してしまいますので、業者のいうように契約が成立していたとしても、錯誤による取消しで無効を主張できるでしょう。
具体的な方法としては「不要」の文字のみを強調し、消費者に誤解をさせるための表示方法といえますので、誤解をさせられた状況と申し込む意思のないことを文書で伝え、その後に電話でもはっきりと断ります。
〔代引郵便〕間違えて支払った代引郵便の書籍代を返金してほしい
 昨日、代引郵便で書籍が届けられたので、妻が申し込んだものかと思い、代金を支払って受け取った。夜になって、誰も注文していないことがわかったので、返品したいが、よくみると差出人は私書箱となっていて住所がわからない。何とかならないか。
● 代引き郵便での代金支払いは慎重に
代引郵便によるトラブルは「家族の誰かが頼んだかもしれない」と思って、代金を支払ってしまうケースで、払ってしまうと返金はとても難しくなります。
発送元がわかる場合は「申し込んでいない。間違って代金を支払ったので返金してほしい」と発送元に通知することで返品交渉ができますが、住所がなく、私書箱の記載だけの場合は、私書箱あてに返金要求してもほとんど返信さえないのがほとんどです。
郵便局では、一度お金を受け取ってしまうと返品・返金に応じないのが原則で、受け取ったお金の送金先も明らかにしてはくれません。トラブルを防ぐためには、@発送元が明確に書かれているか確かめる、A家族間でよく連絡をし、本人不在時に届いた小包は、受取りをいったん保留して配達員に持ち帰ってもらう、B受取りが保留された郵便物は郵便局で一週間保管されますから、その間に本人に確認をし、心当たりがあれぱ郵便局に連絡をして再度配達をしてもらいます。
心当たりがない場合は‐受取りを拒否することを連絡すれぱ、郵便物は配送元に返送されます。
● 代金引換郵便
代金引換郵便によるトラブルに対応するため、(旧)郵政省は、平成一〇年九月から、依頼業者の連絡先や電話番号を記載させることとし、配達前に受取人宅に電話で金額・配達時間等の事前連絡を行うこと、受取人に対して十分な確認をしてから受け取るように注意することを伝えるとともに、注文していなければ受取りを拒絶できることを記載した文書を示して確認してから郵便物を渡すこと等を指示しています。
〔雲隠れ〕前払いしたブランドパックが届かない
 雑誌の広告を見ていたら、以前から欲しかったパックが通信販売されているのをみた。早速、指定されたとおりに私書箱あてに申込みをしたところ、「代金の振込みがあり次第送る」と書かれた手紙と振込用紙が送られてきた。これを使って代金三万円の振込みをしたが、いくら待っても届かないので電話をしたところ誰も出ず、連絡がとれない。広告が掲載されていた雑誌社に連絡をとったが、申出のあった住所以外はわからないと言われてしまった。何とかお金を返してほしい。
● トラブルが多発する前払式通信販売は解決が困難
通信販売は特定商取引法の規制対象で、あなたの場合のように先に代金を払わせる方式をとる前払式通信販売では、遅滞なく(一週間程度の間)申込みを承諾するか、応じられないかなど一定のことが記入された書面を、申込人に送ることが義務づけられています(特定商取引法一三条)。ところがあなたにはこのような書面も送られておらず、通販会社の所在すらわからないのであれぱ手の打ちようがありません。前払式の場合には、トラブルが非常に多くなっていますし、特に、インターネット上の通信販売取引が増えるにつれて、その数も増えています。消費者としてはこのようなりスクを考えて広告の内容をよく確認し、利用は慎重にする必要があります。なお、信頼のおける会社選びが、通信販売を上手に利用することにつながりますので、情報を集めて、確認してから始めることをお勧めします。
● 通信販売は信用できる業者とする
まず、@必ず住所や連絡方法が明らかにされている会社、A商品の先渡しもしくは代金の後払いを通常としていること、これは商品を確認してから支払うことです。また、B商品の確認にあたって、クーリング・オフは通信販売には適用がありませんので、返品可能期間が七日から一○日間ぐらいあるところを選びます。中には、いつでも返品に応じるという会社もあります。そして、C鞄本通信販売協会に登録された会社を選ぶことをお勧めします。通信販売協会では、自主規制を設けていますのでトラブルが起きた場合にも、これに沿った解決を求めることができます。前払式の通販会社の場合には、ほとんど協会ヘの加入はありませんので注意が必要です。
〔お試し商法〕一○○○円のはずが、高額な契約になったエステを解約したい
 チラシに一○〇○円でお試しエステとあったので、サロンに行ってみた。とても気持よく、美しくなった気がしたが、帰りに肌チェックの結果を知らされ、「このままにしておくと、後でしみになり取り返しがつかなくなる」と言われた。いろいろ説明されて不安になり、エステを受けようかと思ったが、五○万円だとい言うので断った。だが、無料でエステを受けたという後ろめたさがあり、断りきれずに契約した。しかし、やはり支払いが不安になり、三日後にやめると伝えにサロンヘ行った。サロンは「払えなくなったときに考えよう」と言うぱかりで解約してくれない。契約したことが悔やまれてサロンにも行けず、夫にも知られて叱られたので、どうしてもやめたいともう一度行った。こんどは、「前のときならできたけど、今日はもう九日目だから、クーリング・オフはできないと」断られた。なんとかやめたい。
● エステの場合はサロンでの契約でもクーリンク・オフができる
あなたの契約したエステは特定商取引法の中の特定継続的役務提供契約にあたります。規定では契約にあたって、@サロンで契約してもクーリング・オフ制度の適用があること(特定商取引法四八条、政令一四条)、A中途解約権があることを説明し、あわせて、B契約内容を示す「概要書面」が渡されることになっています。
契約にあたっては概要書面と契約書、または一体になったものをもらっているはずなのでよく読んでみてください。そこで、あなたの場合を考えると、契約して三日目にサロンへ行って断りているのですから、あなたの解約の意思は実行されたとみられます。ただし、法律的にいうと解約を記した書面を出す必要がありますが、あなたの場合、サロンに直接話しており、そのときに相手方(サロン)はあなたが断りにきたことを「前のときならできた」という形で認めています。
クーリング・オフは理由が何であれ、解約の意思を尊重しなければなりませんし、消費者に与えられた権利なので、強引な再説得は認められず、クーリング・オフ妨害にあたると推定できます。
● クーリング・オフ妨害の場合は期間経過後もクーリング・オフが可能
クーリング・オフの規定は強行規定であり、特定商取引法では文書による申出が必要であるとしています。しかし、口頭であっても相手業者が申出を聞いた、または受けたとわかる状態であればよいのです。したがって、業者の妨害によってクーリング・オフができなかったときは、あらためて書面によって「クーリング・オフできること」を知らされるまでの間はクーリング・オフが知らされていないのと同じ状態なので、クーリング・オフできます。文書によってあらためて知らされた時から、その日を第一日としてクーリング・オフ期間が始まります。
あなたの場合も、サロンによって解約が拒否された後、クーリング・オフできることがサロンからまだ知らされていないので、クーリング・オフの期間は始まっていません。ですから、再度サロンに文書で解約を伝えることで、無条件解約が可能です。
エステの契約では思ったより高額な契約をさせられたとか、やめようとしてもさまざまな理由を付けてやめさせてくれないとか、解約したらかえって高額な解約料を請求された、などというトラブルが多く発生していますので、継続的にサービスを提供する業者に対して公正な取引が行われるように規定を設けているのです。
● 特定商取引法が規制対象としているサービス
特定商取引法でいう特定継続的役務提供契約とは、@有償で継続的に提供される役務・サービスであり、A役務・サービスを受ける人の身体の美化、または知識・技能の向上、その他、心身または心情に関する目的を実現させるために勧誘が行われるものであって、その目的が不確実なものであるという特徴があります。政令では六業種を指定し、契約の総額が五万円を超えるもので、期間がニ力月を超えるものを対象としています(工ステのみ一力月)。具体的な業種は、@工ステティックサロン、A外国語会話教室、B家庭教師派遣、C学習塾、Dパソコン教室、E結婚相手紹介サービスです(政令一一条・一二条)。
〔特定継続的役務提供〕結婚相手紹介サービスをやめても代金を請求された
  新聞の広告に出ていた結婚相手紹介サービスについて、ホームページから資料を取り書せたところ、相手を紹介し、デートの場をセッティングしてくれるシステムと思った。店鋪に行き、システムの説明をしたパンフレットなどをみせてほしいと頼むと、「有利なシステムに毎回変わっていくので、書面はつくっていない」と言われた。それで、登録料とサービスの利用代金合わせてニ○万円は、デートをセットしてくれる費用も含むと理解して、五○〇〇円を頭金に、後日、残金を支払う約束をした。このときにクーリング・オフのことが書かれた書面をもらった。しかし、内容をきちんと確認してこなかったことが気になって、一○日ほど経っていたが、業者ヘシステムについて確かめる電話をしたところ、出会うきっかけをつくるだけで、デートのセッティングはしないことがわかった。自分が理解していた内容と違うのですぐに解約したいと言ったら、業者は「解約はいつでも受けるが、残金は全額支払え」と言う。まだ、紹介もされていないのに全額を支払わなけれぱならないのか。納得いかない。
● 結婚紹介サービスの契約時には概要書面が義務づけられている
結婚紹介サービスは、特定商取引法における「特定継続的役務提供」として法の対象となっていますので、法に規定されている内容を守らなければなりません。
あなたの場合は、まず、クーリング・オフのことは契約書面が渡されてそれに書かれていますから、通知がされていることになります。しかし、中途解約した場合の違約金の制限などについては、この契約書には書かれていないということなので、契約の内容を表示する概要書面とはなっていません。またホームページからプリントアウトした資料は、あくまでも勧誘のための広告とみられますので、契約時に渡されるはずの概要書面とはなりません。したがって、あなたには法律が定める概要書面は渡されていないとみられます。
結婚相手紹介サービスでは、自分の希望の相手がみつかるかどうかが確実ではないため、サービスを受けている途中で解約したいという申出が少なくありません。こうしたトラブルをスムーズに解決するために、中途解約の場合の条件や違約金の額、契約の内容として提供される具体的なサービスの内容が、概要書面に書かれることになっています。その重要な役割をもつ概要書面が渡されないということは、そもそも契約自体に問題のある契約といえます。
● 中途解約による違約金交渉は問題点を指摘する形で
あなたの場合は、契約して一○日目に解約を伝えていますが、業者は「解約は受けるが全額を支払え」と言っていますので、解約の意思は受けられたとみることができます。したがって違約金の交渉となるわけですが、特定商取引法によってその額には制限があります。通常の問題のない契約の場合の違約金としては、役務提供開始前であれば三万円、開始後であれば、契約残額の二〇%か二万円のいずれか低い額+提供された役務の対価に相当する額が上限となります。しかし、あなたの場合は、概要書面が渡されていませんので、「あこなたの理解と実際の契約」が異なっていたことにすぐには気がつかず、このため錯誤による無効を主張することも考えられます。違約金の交渉は、こうした問題点を指摘する方法行います。
● 特定継続的役務提供に関する特定商取引法の主な規制内容
特定商取引法では、特定継続的役務提供に関し、次のような規制がなされています。
@ 書面の交付義務(四二条)
A 誇大広告の禁止(四三条)。主務大臣の合理的資料の提出要求(四三条のニ)
B 禁止行為(四四条) 不実の告知や故意の事実不告知等は禁止されます。
C 書類の備付けおよび閲覧等(四五条)
D 指示(四六条)
E 業務の停止等(四七条)
F 契約の解除等(四八条)。中途解約、クーリング・オフ妨害(四九条)。
G 特定継続的役務提供契約の申込み、またはその承諾の意思表示の取消し(四九条のニ)。
〔次々販売〕次々と契約させられ、四○万円にもなったエステを解約したい
 三カ月ほど前、自宅に入ったチラシに「無理なく、サイズダウン」、「リバウンドもないやせ方」と書かれていたので、そのエステサロンで健康状態などのチェックを受けた。すると、「肝臓の機能が低下している」、「このままでは成人病になる」、「体質改善が必要だ」と言われた。それで心配になって五○万円のコースをクレジットで契約した。その後、一カ月ほどして施術の最中に、「まだ脂肪が溶けない」と別の本格的コースを勧められた。「お金がない」と断ると、それではいま行っている施術も無駄になるし、いつでもやめられるからとにかく始めようと再三勧められ、仕方なく三○万円のコースを契約した。そしてニカ月経った三日前、また、他のコースを加えるように言われたが断った。ところがこのままでは効果が出ない、最後だからとニ○万円のコースと補正下着(四○万円)を契約させられた。施術中で断りきれなかった。おまけに渡された補正下着はサイズが合わないので返品すると申し出たらエステに直接聞係ないと言われて断られた。
いつでもやめられると言ったのに信用できなくなったからすべてやめたい。契約書はもらったが、他の書類はもらっていない。どうすればよいか。
● サロンでした補正下着など関連商品もエステと同様にクーリング・オフできる
特定継続的役務提供契約にあたるエステは、サロンでの契約であってもクーリング・オフができます。時間的に最も新しいエステと補正下着の契約は、三日前なので、契約してから八日以内ですから、クーリング・オフできます。同時に、補正下着もエステの関連商品とみられますので、この二つの契約についてはクーリング・オフの手続をとります。なお、下着を試着していますが、下着は「指定された」消耗品ではありませんから、そのまま返品できます。
次に、クーリング・オフのできる期間を経過している初回と二回目の契約については中途解約が可能ですから、違約金を払って解約できます。しかし、ご相談では、契約時に概要書面をもらっていず、中途解約権のあることを知らされていないようですから、この二つの契約に関しては問題があるといえます。
エステ側からは、法に規定されている中途解約の場合の計算方法による違約金の請求がなされると思いますが、契約時に概要書面が渡されていないこと、勧誘トークに問題があり消費者契約法による取消し可能となる点を指摘して、違約金の減額交渉をすることになります。
● 勧誘トークに断定的判断の提供があるときは消費者契約法による取消しも
勧誘卜-クに関しては、@始めの契約では、「肝臓の機能が低下している」とか「このままでは成人病になる」と医師であるかのように断定的に言い、あなたを不安にさせたうえで、体質改善させるための施術と言い、A追加の痩身契約の際にも、確実にやせられると言っていますので、消費者契約法の「断定的判断の提供」にも該当する可能性がありますし、さらに、契約しないと断っているにもかかわらず、今までの努力が無駄になるとその根拠が示されないまま強引な勧誘がされています。
具体的な行動としては、契約に至った経過と説得内容について書いた文書を、内容証明郵便等の方法でサロンとクレジット業者に出すことから始めます。クレジット会社にも出すのは、割賦販売法における抗弁の接続規定を活用して、クレジット会社の加盟店に対する指導責任を果たしてもらうためです。それでも交渉が進まないときは業界の相談窓口などに協力を求めます。
● 関連商品(特定継続的役務)(政令一四条別表六)
関連商品とは、特定継続的役務の提供のときに、購入する必要のある商品として指定されたもので、これらの商品を購入しないと役務の提供が受けられなぃものをいいます。
@ エステの関連商品は、健康食品や栄養補助剤等、化粧品、石鹸および浴用剤、下着、美顔器、脱毛器等です。
A 語学教室、家庭教師、通信指導なと学習塾などの関連商品は、書籍、カセットテープ、ビデオテープ、CD-ROM、などの学習用ソフト、ファクシミリ装置およびテレビ電話装置等です。
B パソコン教室では、電子計算機およびワードプロセッサ、その部品および付属品、書籍、CD-ROMなど、ファクシミリ装置あよびテレビ電話装置等です。
C 結婚相手紹介サービスでは、真珠並びに貴石および半貴石、指輪その他の装身具です。
〔複合契約・特定継繍的役務提供〕英会話の契約と思ったのに教材契約と言われた
 知人に議われ英会話教室の見学に行った。そこでは「インターネットを使った画面上でのマンツーマンの指導で、一流の講師陣が行う英語のレッスンを一日何時間でも受けられる。質問もできる」と説明された。ただ、そのときに教材のCDと英会括教室で使っているのと同じパソコンを六〇万円で購入する必要があると言われた。一度は高額すぎて無理だと断った。しかし、英語が身に付けば安いものだと説得され、結局、クレジットで契約をした。
通い始めると講師陣は少なく、説明とは大違いなので、三カ月後に解約を申し出た。ところが教室側は、契約したのはCDとパソコンで、英会話教室ではないから中途解約はできないという。英会話教室のスケジュール表ももらっているのに、教材の契約とは納得できない。
● 英会話のレッスンは特定継続的役務提供にあたり中途解約できる
一般的に長期間の契約をする英会話教室は、特定商取引法の特定継続的役務で、二カ月以上の契約であれば、理由を問わずいつでも中途解約ができます。
ただ、あなたの場合は、事業者から「英会話教室の契約ではない。CDとパソコンの購入契約だ」と言われていますので、何の契約をしたのか、契約自体を確認する必要があります。契約書の商品名の欄には、CDとパソコンではなく「システム一式」となっていたのであれば、CDとパソコンの売買契約とはいえません。そのうえ、商品の説明がなく、英会話のレッスン表をもらっているのですから英会話のレッスンが契約の目的で、そこにCDとパソコンが含まれると判断できます。したかって、契約目的は英会話レッスンなのですから、この契約は特定継続的役務提供契約になります。
この継続的なサービス契約にあたっては「契約書面」のほかに「概要書面」の交付が義務づけられています。この書面には、サービスの内容と中途解約に関する記載がされています。また、中途解約は、消費者に与えられた権利なので、記載がなくてもできます。
中途解約権によって解約するとなると、ご相談の場合、違約金は、サービス提供開始後なので、@初期費用(入会金)、A提供されたサービスの対価、B通常生じる損害の上限(五万円か契約残額の二○%のいずれか低い額)の合算した額となります。しかし、あなたの場合、契約目的である英会話のレッスンが満足の得られないサービスであったために解約の申出となったわけですから、解約にあたっては英会話教室側に問題がありますので、解約料については交渉できます。
● 継続的役務提供のサービス内容を明らかにする概要書面が必要
継続的にサービスを受ける契約では、@店舗であっても法の規制を受けること、A関連商品がある場合は、関連商品も同じに扱えること、B交付された概要書面の中に受けようとするサービス内容が書かれているかどうか、書面に書かれている内容と比較してみること、C解約の条件はどうなっているかなど、内容を十分に確認する必要があります°ところが、あなたにはこの概要書面が渡されていないのですから重要な部分の確認ができないことになり、書面に不備がある問題のある契約ということになります。一方で、教室側からは商品のみの契約を主張されていますから、契約目的が異なっていますので、錯誤による契約の無効も認められる場合があります(民法九五条)。
● 特定継続的役務提供契約における中途解約権
中途解約をした場合に事業者が請求できる賠償金や違約金は、損害賠償金、違約金について、損害賠償額の予定や違約金の定めがあっても、その額は、特定商取引法により制限されています。提供済みの役務については対価を支払う必要がありますが、その清算方法は概要書面、契約書面の記載事項です。
〔複合契約〕満足な指導を得られないファクシミリ指導の教材を解約したい
  小学三年生の息子に無料の学力診断テストを受けてみないかと電話があった。
その後、来訪した担当者のテストを受けたところ、「今が大事な時期だ、勉強がわからなくなってからでは遅い」と説得された。「担当講師が始めに説明し、その後はファクシミリや量話による指導を中心に、数材も使って教える。好きな時間に個人指導で学習できる」と言う。教材なら必要がないと思ったが、わかりやすい指導をするために必要で、子供に合わせた時間に指導するというので、それならいいかと思った。しかし、中学三年までの六年間分で九○万円は高すぎると断ると、小学生分を特別に三五万円にすると言う。それでも高いので家族に相談すると断った。特別だからと急がされてクレジット契約した。このとき、担当者から「特別だからクーリング・オフしないように」と強く念を押され恐ろしくなった。
一週間経って教材が届いたので、説明にきてくれと伝えたのに、一週間待っても連絡もない。「信用できなくなったから解約する」と業者に伝えると、業者は「教材の契約だからクーリング・オフ期間が過ぎたものは解約できない」と言う。私が契約したのはファクシミリ指導なのに。
● クーリング・オフさせないように威迫するのはクーリング・オフ妨害にあたる
解約するにあたって最も簡単な方法はクーリング‐オフですから、これができるかどうかを考えます。まず、無料の学力診断テストが受けられるというので、担当者に来てもらっています。しかし、担当者は教材の契約をさせているのですから、販売する目的で訪問したことを告げていないことになります。契約目的が教材であるか、ファクシミリ指導か、いずれにしても特定商取引法の対象となりますので、クーリング・オフが可能です。
ところが、契約時に「特別だからクーリング・オフしないように」と担当者に強く言われたことで、あなたはもうクーリング・オフできないと思い込んだわけです。このような場合は、クーリング・オフ妨害にあたり、あらためてクーリング・オフができることを知らされるまで可能になります。ただ、クーリング・オフ妨害については、あなたが立証する必要がありますので、担当者から言われた内容と、そのためにクーリング・オフができないと思ってしまった事情を書き添えて、クーリング・オフの手続をします。
● ファクシミリ指導の契約の場合は中途解約できる
また、クーリング・オフしないようにと頼まれた程度で、威迫・困惑したとまではいえない状態のときは‐クーリング・オフ期間が過ぎていますので、解約交渉をすることになります。この場合は、あなたからファクシミリ指導に教材がセットになった契約と思った経過を中心に、「特定継続的役務提供契約なので、中途解約する」ことを書いて、販売業者とクレジット会社あてに内容証明郵便にして出します。そして、まず、この契約が教材の契約ではなく、ファクシミリ指導の契約(継続的役務提供の家庭教師派遣の範囲に入る)であることを認めさせることから始めます。@業者からの説明がファクシミリ指導中心であり、教材は指導のために必要なものと言われ、家庭教師のようなものと理解していたこと、A概要書面が渡されていなかったためにサービスの内容や中途解約について知らされていないこと、B今回のみの特別価格だと強調され、急がされて契約したこと、C教える約束が実行されない、債務不履行も考えられることなどを書きます。
〔複合契約〕家庭教師が教えてくれるはずが満足に教えないのに解約も断られた
 三カ月ほど前、家庭教師の説明をしたいと電話がきた。中学生の子どものことで相談したいと思っていたので来てもらったところ、「子どもの個性に合わせた教え方をしないと身に付かない。当社の家庭教師は、特別な教材を使って訓練を受けているので、子どもにあきさせないで勉強をみてあげられる」と言う。このとき、教えるための専用教材も必要というので、四○万円と高かったがクレジット契約した。ところが、やってきた家庭教師は教え方が一方的で、子どもはわからないし、怖いと言う。別の人に来てもらったら、すぐに休み、勉強にならない。
子どもがもう嫌だと言うので会社に解約を伝えると、家庭教師ならいつでも解約できるが、教材は解約できないと言う。家庭教師が教えるときに使う教材なので、もう使わないから引き取ってもらいたい。
● 教材は家庭教師派遣の関連商品なので家庭教師と同様に解約できる
家庭教師の派遣は特定商取引法の特定継続的役務提供にあたります。このため事業者は、同法の定める書面の交付義務、禁止行為・指示対象行為を守らなけれ-はなりません。特定継続的役務提供取引では、理由にかかわらず、契約締結後の中途解約権を認めていますので、あなたの場合も中途解約できます。また教材に関しても、契約時の説明や教材の性格から家庭教師派遣を前提とした契約であり、これに付随した関連商品とみることができますので、家庭教師の契約が解約できる場合には教材も中途解約できます。なお、中途解約した場合の損害賠償額については上限が定められていますので、これを超えて請求することはできません(特定商取引法四九条・政令一五条・一六条)。
そこで、あたなの場合を考えてみると、契約時に約束された「子どもの個性に合わせた特別な訓練を受けた家庭教師が、特別な教材を使って教える」という契約内容が実行されないことによっておきたトラブルとみられます。これは、約束が実行されないことによる債務不履行、また、嘘をついて契約させたことによる消費者契約法における取消し、特定商取引法における禁止行為にあたる可能性があります。したがって、具体的な違約金額に関しては、これらの点を指摘して減額交渉をお勧めします。
〔内職商法〕ホームページ作成の仕事ができないのに代金を払えと言われた
 自宅にかかってきた電話で「パソコンでホームページをつくる仕事だが、誰にでも簡単にできる。月一O万円になる」と言われた。ダイレクトメールと同じ内容で興味はあったか、自信がないので断った。ところが、「自信のない人のために、教材とパソコンを提供して指導する」と説得された。八○万円したが、送られてきた契約書にサインして送り返し、指示されたホームページを見ながら勉強を始めた。しかし、難しく、何度も会社にサポートを頼んだが、分厚いコピーの資料が送られてきただけだった。ニカ月後、突然ホームぺージがなくなって連絡がとれなくなった。これでは仕事もないので、契約金社に解約すると伝えると、「当社はあなたにパソコンと教材を販売しただけで、サポートや仕事の紹介はA社だ」と取り合ってくれない。A社の書面には「何か問題があれば、当社がサポートする」とだけ書かれていた。また、支払請求の話がきたときに、販売会社に解約を申し出ているので、支払わないと言うと、担当者は、「うちは消費者金融だから、お金を貸しただけで、そんなことは知らない」と言われた。約束と違うのに支払わなければならないのか。
● パソコンのホームベージ作成は業務提供取引賑売にあたる
パソコン内職を勧める目的は、パソコンと教材を買わせるためなのです。内職をすることで、家計の不足を補おうとしている人に追い討ちをかけるように高額な商品を買わせる「内職商法」であり、特定商取引法では、業務提供誘引販売取引として規制しています。内職商法などは、仕事の内容がわかりにくいこともあり、クーリング・オフの期間も「連鎖販売取引(マルチ商法)」の場合と同様に二○日間認められています。この二○日間のクーリング・オフについては契約書に記載がありましたので、あなたには知らされていたことになります。あなたの場合はこのクーリング・オフ期間が過ぎていますので、交渉による解決をします。
● 契約書のほかに仕事の内容を示す概要書面が必要
まず、販売業者は約束を実行しないのは別会社だと言っていますが、契約したときにすべてを説明する責任は販売業者にあります。また、サポートと仕事の紹介サービスが別会社なら、二つの契約書が必要ですが、A社の書面は契約書とはいえないものなので、一つの会社と判断されます。したがって、交渉は当初の販売会社とすることになります。そこで、交渉の内容ですが、ダイレクトメールは受け取っていますが、これは宣伝用のパンフレットなので、仕事の内容を表す概要書面にはあたりません。また、概要書面は契約書といっしょに渡されるもので、クーリング・オフの期間が二〇日間であることなど、必要なことが書かれていなければならない書面です。
契約時には、契約書だけで、仕事の内容や報酬のもらい方などは知らされていないということなので、@送られてきたのは契約書だけで特定商取引法で渡すことを義務づけられている仕事のシステムの書かれた概要書面が渡されていないこと、A収入を得るための指導を口頭で約束したのに指導が受けられなかったこと、B収入の入るベき仕事の紹介が期待できないこと、C指導と仕事の紹介をする責任は販売会社にあることなどの問題点を文書にして販売会社に出します。
ここから交渉が始まるのですが、契約当事者である販売会社は、A社に責任をかぶせる形で対応してこないことが予想されます。
● 実質が立替払契約とみなされる場合は割賦販売法の適用を受ける
また、契約書面をみると、支払いは通常のクレジット会社との「立替払契約」ではなく消費者金融との「金銭消費貸借契約」となっていました。ただ、割賦販売法ではその実態が立替払契約と同じ形である場合には、割賦販売法の適用が可能とされており、あなたの場合はあなた自身が通常のクレジットと思っていたことから、説明不足も重なっていますので、抗弁の接続規定が利用できそうです。
● 不実告知は特定商取引法でも契約の取消しとなる
また、特定商取引法によって、不実告知による誤認、故意の事実の不告知による誤認がある場合には、契約の申込み、または承諾の意思表示を取り消すことができます(特定商取引法五八条の二)。また、消費者契約法によって、重要事項の不告知や利益となることを告げて不利益な事実を告げない場合などで、あなたに誤認、間違いがあれば取消しができます(消費者契約法四条)。
そこで、これらの主張ができるかどうか検討します。さらに、問題のある勧誘や契約内容があった場合には、民法の錯誤、詐欺などによる解決も可能なので、こうした点を主張して、合意解約の交渉をします。交渉が難しいときには、相談窓口に申し出ることをお勧めします。
また、契約する前には、次のことに注意をしたほうがよいでしよう。
@ 仕事をする前に、研修や検定、資格などを終了しなければならないなどと条件のあるものかどうか。
A そのために前もって入会金、講習費、材料費、機材費等の名目でお金を払わせるかどうか。
また、簡単に高収入を約束するが、実際にはいろいろな理由をつけて収入に結びつかない場合が多いので、約束は書面で確認することや、強引な勧誘や契約を急がされる場合は疑ってみる必要があります。
〔人名録商法のニ次被害〕断るつもりで返信したら高額な掲載料を請求された
 以前に人名録の会社から「経歴を掲載しませんか」と誘われたので、掲載してもらったことがある。このとき、掲載された本を受け取って代金八万円を支払った。その後、忘れていたが一カ月ほど前、人名録ヘの掲載をどうするかという手紙がきた。今さら関係ないと思い、掲載不要の欄にチェックをして送り返した。
ところが一○日ほど前、「これ以後は不要であることは承知した。しかし、今まで支払われていない五年間分の掲載料ニ五万円(一回五万円)を支払うように」と書いた請求書と、自分が返信した用紙のコピーが入っていた。それには確かにこれ以後は掲載を断るとしか書いてなく、今までの分については触れていない。私はすべてを断るという意味で理解していた。それに、当時の掲載業者(人名録の出版社)と名称も違うので、そのままにしておいたところ、ニ、三日前から毎日のように「支払う義務がある、社会人として失格だ」と職場に電話が入り、周りからも変に思われ始めた。支払わなけれぱならないものか。
● 契約は双方の合意で成立するため合意のないものは責任もない
落ち着いてあなたが掲載を依頼する契約をしたときのことを思い出してください。あなたが代金を支払ったのは「人名録にあこなたの経歴を『広告』として掲載し、掲載本を購入する」ことでしたね。しかし、その後毎年、継続して人名録に掲載することおよびその代金が五万円であること等を承諾した覚えはありますか。
契約は双方の合意で成立します。合意していないことを、後から業者が一方的に付け加えたとしても、契約内容とはなりません。もし、契約書が交付されていたなら、その契約書を探して契約内容を確認してみましょう。契約書がない場合でも、数年間も請求がなかったのですから、そのような合意はなかったと考えることが妥当でしょう。
● 請求してきた事業者が契約時の業者と異なるときは対応しない
また、そもそも請求してきた会社が契約した会社と異なっています。そうすると、この会社とは契約関係がないのですから、請求の根拠はないはずです。その会社が、請求権を護り受けたと主張する場合には、請求の根拠となる当時の契約書や債権が譲渡された証拠を要求することです。
本事例では、債権自体が存在していないと思われることと、債権譲渡の手続もとられていないこと等から、請求に応ずる必要はないでしょう。もしも、あなたが送った文書を理由に請求を迫られたとしても、そもそもの請求根拠がないのですから、支払義務は発生しません。
なお、今回送付した書面によって、債務の存在を認めたのではないかと主張された場合には、署名捺印の内容について勘違いがあったことを主張して、錯誤による無効の主張も可能でしょう。
交渉としては、あなたから業者に、はっきりと支払う根拠がないと思われること、明らかな請求根拠があるならそれを示すように求めてはどうでしょうか。業者からの嫌がらせがありそうですから、職場の人には事情を説明し協力を求めることも必要です。
〔荷物の粉失〕紛失した荷物が届くまでに購入した代金の全額を支払ってほしい
 海外旅行に行った先の空港でトランクをなくされた。そのときに、現地の係りの人が、「必要なものは買って、後で請求してください」と言われたので、水着などを購入し、その代金六OOドルを請求したら、旅行会社は当社の責任ではないと言うし、航空会社は高額なものは認められないと言って、わずかな金額しか返金してくれなかった。これでは約束が違う。トランクはニ、三日後には届けられたが納得がいかない。どうしたらよいか。
● 生活必需品の費用は航空会社に補償してもらえる
あなたの場合はロストバゲージ(荷物の紛失)の問題で、航空機に預けた手荷物が紛失、または所在不明になってしまった場合の損害賠償ということになります。ロス卜バゲージとなる原因のほとんどが、出発地での積み残しや行き先の違う航空機に積み込まれてしまい、到着地で荷物が出てこない場合です。このような場合は、航空会社の地上係員に事情を話し手続をする必要があり、この手続をしないと補償が受けられません。このときに、各航空会社の内部規定ではどのような補償がされるか説明することになっていますので、確実に聞くようにしてください。一般的には、荷物が届くまでの間に必要となった生活必需品の経費は、紛失という事態を引き起こした航空会社の責任で補償され返金されます。
この場合、購入した商品のレシートなどを保管しておいて請求しますが、すべてが補償されるわけではありません。免責条項といって、補償金額に制限を設けています。この金額は内部規定とされている場合が多いので、トランクがなくなった時点で、一日どのくらい補償されるのかを確認しなければなりません。その際には、航空会社の地上係員の名前をメモすることも忘れずにしておいてください。といっても、とっさのときに、確認などの注意点は出てこないかもしれませんが、おおよそ、一日二〜三○○○円位の補償になることを覚えておくとよいでしょう。あなたのように一日で六○〇ドル、日本円で七万円前後の額となる場合には、補償の対象外とされてしまう場合が多いようです。
● 約款の改正
他の消費者取引の分野と同様に、旅行契約についても標準約款が公示されています。
標準約款は、旅行業法に基づき定められているものですが、平成一六年一二月に全面改正されています(平成一七年四月一日施行)。これによれば、標準旅行業約款は、それまでの主催旅行契約、手配旅行契約等に代わって、@募集型企画契約旅行契約、A受注型企画旅行契約、B手配旅行契約、C旅行相談契約の各部に分けて定められています。契約にあたっては、この約款が契約内容となりますのでよく読むことが必要です。
〔ホテルのグレード〕パンフレットで同等クラスというホテルが郊外だった
 イタリア旅行で宿泊するホテルが、パンフレットでは、Aホテルほか同等クラスとニつのホテル名があり、最終的にCホテルに決まった。ところが、現地に行ってみてわかったのだが、Aホテルは都心だったのに、Cホテルは都心からタクシーで一時間もかかる近郊都市にあった。都心での買い物や夜の外出を楽しみにしていたのに、あまりに遠いために簡単に出かけられず、部屋もグレードが同じとは思えない。お金を返してほしい。
● パック旅行でのホテルのグレードには立地条件も含まれる
あなたが参加されたのは募集型企画契約旅行、いわゆるパック旅行ですね。旅行パンフレットに列記されていて、同等クラスのホテルと書かれている場合は、同じような立地条件で、ホテルのグレードも同じランク付けとなりますので、当然、同じ都市のはずです。都市が違えぱ同等とみなすことはできませんから、旅行業者はホテル名とともに都市が違うことをパンフレットに書かなければなりません。特に、あなたの場合は都心での買物や夜の街の散策も旅行目的の一つだつたわけですから、パンフレットに同等ホテルと書かれていれば同じ都心と思うのも当然でしょう。そのため、ホテルが同等ではなく、グレードが下がったことによって受けた損害の賠償は要求できます。ただし、旅行会社の責任で損害を負わされた場合で、実損害の賠償が原則です。あなたは精神的損害を問題としているのだと思いますが、精神的な慰謝料が認められることは稀です。たとえば、ウエディングプランでのトラブルのように、トラブルによって受けた精神的苦痛が明らかな場合は、慰謝料の請求が認められる場合もあります。
● 旅行におけるトラブルには旅程保証制度がある
旅行契約はトラブルが多いために、このトラブルを簡便に処理する意味も含めて、旅行業約款で旅程保証制度が定められています。契約書面に書かれたホテルが変更になったのですから、この保証制度に従って、変更補償金が支払われることになります。しかし、旅行会社はパンフレットに多くの同等クラスのホテル名を記載し、変更補償金の支払いを逃れようとする例があります。
パンフレットにたくさんのホテル名が書かれている場合には、注意が必要です。ホテルのグレードであるランクは、それぞれのホテルの建物自体の設備、立地条件、景観、機能性、快適性、格式、付帯サービス、一般料金などを目安にして、その国の政府関連機関の調査、添乗員の報告なども卜加えて、旅行を主催する会社が独自に決めています。この基準については法律や旅行業者間の統一ルールはありません。そのため、旅行契約をする際には、納得のいくまで旅行会社の説明を聞いておくことが大切です。
● 申込みの前に必ず取引条件説明書面の確認を
取引条件説明書面には前記の募集広告に記載した事項に加え、次の項目の記載がなされています。旅行の取引には大切なことばかりであり、必ず申込みの前にこれらの記載の有無を確認することが必要です。
@ 旅行業務取扱主任者の名前
A 旅行業務取扱主任者が旅行者の依頼に応じ、説明する旨
B 外務員が書面を交付する場合、外務員の名前や所属する営業所名
C 契約の変更や解除に関する記載
D 旅程保証や特別補償を含む旅行会社の責任および免責についての記載
E 契約書面に確定書面(最終日程表)を交付する時期の記載
F その他、旅行代金の収受方法、旅行代金に含まれない主な経費、契約の申込方法および契約成立時期など
〔債務不履行〕パンフレットと違っていたのに賠償してくれない
 海外旅行のパンフレットに「豪華クルーザーを利用する旅」と書いてあったので契約をした。契約書にもそのことが書いてあったのに、実際は小型の水上飛行機に乗せられた。楽しみにしていた旅も台無しになってしまった。旅行会社に責任はないのか。
● 変更によって旅行目的が達成されなかった場合には補償される
変更の原因が旅行会社の手配によって発生したのであれば、会社の責任を求めることができます。ただ、すでに旅行には出発していますので、旅行代金の全額返金は認められないでしょう。しかし、「豪華クルーザーに乗る」のが旅行の主な目的であったとすると、その目的が達成されなかったのですから一定の補償の対象になります。この場合、補償金額は旅程保証制度に基づいて算定されます。また、旅行会社の手配ミスによる債務不履行が認められた場合の補償額は、旅行会社の過失の度合いに応じて金額に差がでます。
海外旅行では、実際に旅行に出発してから交通機関や宿泊施設のグレードや内容が変更されるケースが多く、これが原因でトラブルになる例もみられます。これらのトラブルは原則として、海外パック旅行契約を締結するときに渡された約款によって処理されますが、具体的には、契約の目的・変更の理由、変更実施状況などを考慮して決められます。この場合も、旅行会社が契約に基づいて手配をきちんと行っていたかどうかが、解決のポイントになります。
〔契約の解除権〕バスツアーに乗り遅れたため使ったタクシー代を支払ってほしい
 バスツアーでの市内観光中、自由行動時間があり、思いおもいに市場を散策していた。ところが、道に迷い集合時間にちょっと遅れて到着した。すると、バスはすでに発車してしまったあとだったので、しかたなく、次の観光場所までタクシーで行った。旅行会社は、日程とおり旅行を実施する責任があるのだから、タクシー代は旅行会社が支払うべきだ。
● 参加者のミスによつて引き起こされた損害については補償されない
旅行会社は、主催旅行に参加する人に対して、行程が円滑にこなせるよう旅程管理を行う義務があります。したがって、集合時間に遅れた人を待つことも大切な業務といえるでしようが、その場合でも、ツアー本体の次の行程が、円滑にこなせないと思える場合は、ギリギリの時間まで参加者を探し、待ったうえで出発することはやむを得ません。あなたの場合に、そのような状況があったかどうかを参考にして損害の補償額が決められますが、一般的にはあなたのミス部分が大きいので、タクシー代の返金には応じられないでしょう。
主催旅行では、参加者自身にも団体行動を守らなければならない義務がありますし、旅行会社には解除権があります。解除権とは、参加者のたび重なる集合時間への遅れや、旅行を安全かつ円滑に行うための添乗員の指示に従わなかったり、団体の規律を乱した場合には、注意を促して解除することを事前に告知したうえで、それでも改善がみられないときに行使できるとされています。
また、参加者が病気やケガによつて旅行の継続に耐えられない場合や、天災、人災などで旅行が続行できないときには、出発後であっても旅行会社側から解除することができます。もちろん参加者側からは、いつでも契約を解除することができますが、取消料の必要な期間に入ってから解約する場合には、取消料を支払い解除しなければなりません。
〔債務履行責任〕帰国日にガイドが遅れて買い物ができなかった
 添乗員のいないツアーで、帰国日、ホテルからの出発予定時間になっても空港ヘ行く送迎ガイドも章も来ず、緊急連絡先に話しても誰も出ないので、困り果てていたときにようやくガイドが来た。急いで空港に行き出国手続をして、飛行機にはどうにか間に合ったが、空港で買い物する時間もなかった。この待たされてイライラしたことと、買い物ができなかった精神的苦痛に対して慰謝料を払ってほしい。
● ガイドに連絡が取れず発生した損害はその程度によって補償される
本来、添乗員のいないツアーで現地の緊急連絡先が機能しないのは、参加者の安全確保上、また旅程管理上の重要な問題となります。そのため、確定書面としての「最終日程表」に現地緊急連絡先を必ず記載し、参加者に渡さなけれぱならないことになっています。今回の場合は、この点から問題にできますが、ガイドは遅れたけれども何とか搭乗できたために、実質損害が発生しなかったので、大きな問題とはいえません。もしこれが、航空機に間に合わなかったとすると債務不履行にあたりますので、旅行会社は発生した損害の賠償責任を負うことになります。
また、あなたが求める精神的苦痛に対する慰謝料が認められるかどうかは、その精神的苦痛の程度によりますから、この程度では慰謝料の請求は難しいでしょう。しかし、旅行会社側のミスがあったのは事実ですから、交渉の余地はあります。
なお、鞄本旅行業協会、椛S国旅行業協会では、会員が取り扱った旅行業務に対する苦情の処理に対応していますので、相談することも有効な解決方法といえます。
〔債務不履行〕ダブルーブッキングで損をした取引の賠償をしてほしい
 ダブルプッキング(予約が重なった状態)が原因で搭乗できなかったため、その日に帰国できず、翌日になった°そのため、商談がだめになったので損害賠償してほしい。
● 旅行会社に過失がなくても日程の変更が起きた場合には補償される
ダブルプッキングが、旅行会社が航空会社から正式なOKをもらった後に起きたのであれば、旅行会社は防ぎようがなく過失責任にはなりませんが、それでも重要な変更が起きた場合には、旅行会社から旅程保証制度によって変更補償金が支払われることになります。
今回のように帰国日が一日延びたときは、旅程保証制度における「旅行開始日または旅行終了日の変更」にあたりますし、そのうえ、出発後の変更なので、変更補償率は規定上、三%となっています。したがって、旅行代金の三%が消費者に戻ることになります。ただし、午前便から午後便になるなど時間帯が変更になっても、旅行スケジュール自体に変更がない場合は旅程保証の対象にはなりません。
● 日程変更が原因で商談できなかったことによる損害は補償の対象とならない
また、旅行会社の予約ミスによって搭乗できなかった場合は、損害賠償を求めることができますが、その場合でも、商談については旅行会社の知らないことなので、補償はされません。
またさらに、航空機の故障や天候不順などの旅行会社が関与できないことが原因で起きた場合も、旅行会社には損害賠償の義務はありません。
● サービス内容に違反した場合
たとえば、旅行パンフレットに掲載された食事内容が提供されない場合は、旅行サービスの債務不履行となり、旅行会社に損害賠償責任が発生します。このとき、旅行会社は消費者に食事代の範囲内で一定額の損害賠償金を支払う義務が生じます。表示については、景品表示法が「目的地の風物、景色、行事および宿泊施設、食事等に関する写真・イラストの使用は、原則として、その募集広告等に掲載されたツアーの日程に含まれるもの(実際に旅行サービスとして提供されるもの)に限られる」と規定しています。
〔貸したカードの責任〕貸したカードで高額な買い物をされた
 友人から「絶対に迷惑をかけないから、カードを貸してくれ」と言われて、クレジットカードを貸したら、使っていいと言った利用限度額を大幅に超えて使われてしまった。自分の使った金額ではないから、「カードを貸したこの人に請求してくれ」とカード会社に連絡すると、カード会社から「あなたのカードが使われたのだから、あなたに支払ってもらう」、「今後もあなたに請求をする」と取り合ってくれない。自分が使ったわけでもないのに払わなければならないのか。
● カードを貸したら貸したあなたの責任
クレジットカードを申し込んだときに渡された会員規約をみてください。どの規約にも、クレジットカードの不正使用による損害は会員が負担するとされていますね。「カードを他人に貸すこと」は不正使用になりますので、発生した損害はあなたの責任です。また、カードを貸すという行為は「このカードを使って支払いを許すこと」ですから、支払責任は、カード利用を許した名義人にあり、これを「名義貸し」といいます。あなたの言うように、カードを使った人があなたの許した範囲を超えて利用したとしても、カード会社にはわかりませんので、カード会社はカード名義人に請求してきます。
● 加盟店・カード会社にもカードの署名人と利用者が同一か確認する義務がある
あなたはカードの裏面にサインをしていますね。これは、販売店がカードに書かれたサインと実際の利用者のサインを比べて、同一人物かどうかを確認するためのものです。ですから、販売店はサインをチェックすることで、カードの利用者がカード会員本人でない場合は、その利用を断ることができます。したがって、販売店がサインの違いに気づかず利用を認めた場合には、販売店にも責任がありますので、カード利用のすべての責任をカード会員に負わせるのには問題があると思われます。カード会社の加盟店である販売店が、本人確認をどのようにしたのか等の点について、明らかにするよう要求して、カード会社と交渉する必要があります。しかし、それでもカードを安易に貸したあなたに第一の責任があるのは間違いありません。
なお、カードの貸借を繰り返していると、カードが利用できなくなることがあります。また、カードの貸借は、お金の問題だけでなく、人間関係も崩すことになりますので、絶対に避けたほうがよいでしょう。
● カード会員規約(標準的なもの)の内容
カード会員規約は、契約内容となるものですから、その内容を知ることは重要です。
その主な内容は、次のようになっています。
@ 会員は、カードを他人に貸与・譲渡・質入・寄託をしてはならない。また、力ードを他人に使用させ、もし<は使用のために占有を移転させてはならない。
A @に反して力ードが不正に利用された場合、会員は力ード利用代金についてすべて支払いの責めを負う。
B 会員は、加盟店において、商品の購入等を行うに際して、力ードを提示して所定の売上票に署名することにより、決済手段とすることができる。ただし、売上票の署名がカード裏面の署名と同一のものと認められない場合には、力ードの利用ができないことがある。
〔カードの管理責任〕置き忘れたカードで他人が引き出したお金を払えと言われた
  携帯電話を忘れてしまい、用事があって公衆電話から電話をしたときに、カードと免許証が入った財布を置き忘れてきた。一五分ほどで気が付き、すぐに取りにいったがもうなかった。どうしていいかわからず三日後に友人に相談したところ、「急いでカード会社に連絡しないとだめだ」と強く言われた。それで、すぐにカード会社に電話して、失くしたことを伝えたところ、警察に届けるように言われたので盗難届けを出した。それなのに、ニ週間ほどして、カード会社から、三〇万円のキャッシング利用の支払請求がきた。なくしてから届出までの三日の間に利用されてしまったらしい。カード会社に事情を話したが、「届出が遅れたのだからあなたの責任だ」、「暗証番号がわかるようなものをいっしょに財布に入れていたのではないか」などと言われた。でも、番号のわかるメモなど入れていないし、カード保険もあるはずなのに納得がいかない。支払わなければならないか。
● カード会員にはカードの管理責任がある
クレジットカードは、総合割賦購入あっせん契約によって、カード会社から会員であるあなたに貸与されたものです。ですから、その管理責任は会員であるあなたにあります。カードを保管する方法や保管の仕方にも責任をもたなくてはならないのです。
ですから、原則として、失くしたカードで使われた分の支払責任があります。ただ、このときにカード名義人が男性なのに、使用者が女性であったとか、月の利用限度額を大きく超えていたときなどは、販売店の注意義務等の責任が生じます。
また、通常、カードには保険がつけられていて、ほとんどの会社では、紛失や盗難の届出を二四時間受付けていますので、すぐに申し出るようにと会員規約にも書かれています。そして補償される期間は、カード会社によって異なりますが、届出の日から前後九○日、六○日など期間的には三カ月、四カ月のものからもっと長期のものまであります。中には保険は付けられていないが、カード会社が補償をするというところもありますので、まずはカード会社に確認をしてください。今回、あなたは、シヨピングについては保険適用が認められ、請求されていませんが、請求されているのはキャッシングとローンです。
● キャッシングやローンの場合は暗証奮号の管理責任を問われる
通常、クレジットカードの暗証番号は、キャッシュディスペンサーやATMでのカードキャッシングの際に利用し、カード自体の確認と暗証番号の打込みによる本人確認の二重のチェックがかけられることになりますので、簡単に見破られるような暗証番号にしている場合は、カードの管理が悪いとして責任が問われます。特に、生年月日や自宅の電話番号を暗証番号にしている場合などは、簡単に推定することができますので避けなければなりません。規約にも、このような場合は責任を負わないとしています。
そこであなたの場合はというと、免許証が入った財布ごとなくしていますので、番号のメモはなくとも、おそらくは生年月日等の情報から暗証番号がわかってしまったようです。ですから、管理責任が問題とされ、キャッシングとローンについては請求される結果になったのです。したがって、負担額については支払える方法について交渉するしかないことになります。
「どうせ、大丈夫だろう」とか、どうしていいのかわからずに届出をしないでいると、悪用された分も自己負担になることがありますから、カードがないと気づいたら、すぐに届出をすることです。最近では、ICチップを搭載したICクレジットカードが利用されるようになりましたが、この場合には、ショッピングでの利用でも暗証番号の入力が必要となることがあります。誕生日や電話番号を安易に暗証番号にすると、カードを悪用しようとしている人に暗証番号を推測させる材料を与えることになりますから、くれぐれも注意をする必要があります。
〔スキミング〕使っていないし盗まれてもいないカードで買い物をされた
 普段あまり使わないカードで、家の引出しにしまっていたのに、突然、今月の利用分として五○万円のテレビの請求がきた。最近カードを使ったのは、一カ月ほど前に飲食店で使ったきりだ。クレジット会社にこのことを言っても信じてくれない。カードにかけられている保険でカバーしてほしいと言ったら、「まずは警寮に被書届を出してほしい」と言われた。警察にはどのように届けたらよいかわからない。カードは手持ちしているので、盗まれてはいない。
● スキミングの場合カード利用者の管理責任は問えない
まず、警察に「カードの情報だけを盗まれて被害にあった」と届け出てください。そのうえで、カード会社に再調査を依頼します。また、原因のカードをいつどこで使ったかできる限り思い出して、そのことも警察とカード会社に伝えます。あなたの状況から推定されるのはスキミングされたのではないかということです。「スキミング」とは、他人のクレジットカードやキャッシュカードの裏面にある磁気テープに記録されている各種データ(会員番号や口座番号など)を、スキマー(スキミングマシン)と呼ばれる、カード読み取り装置で盗み取る行為です。おそらく、あなたが気づかないうちに、カードを使った店で、カードの情報だけをコピーされてしまったと思われます。こうした事例は、かなりの数でまとまって被害者が出ますので、多数の被害実態から犯人がわかってくる場合が多いのです。実際に逮捕に至った例もあります。また、カード犯罪に利用された所有者の被害については保険の適用が可能なので、詳しく申し出ることをお勧めします。
店員が犯人とかかわっていたという事例もありますが、全く店の人も知らない間にスキミング用の機械を設置され、お客がカードを使うたびに情報が流れていた例もあります。このスキミングを予防するには、今のところ、使用する人が注意をしようとしてもできませんし、いつどこでスキミングされるかわらない状態なので、できるだけICチップのカードにするとよいでしょう。
ICチップのカードは、簡単にコピーできないので、スキミングされにくいのです。
● 預金者保護法
預金者保護法(偽造カード等及び盗難力ード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金春の保護等に関する法律は平成一八年二月から施行されています。この法律は、偽造や盗難されたキャッシュ力-ドがATM(現金自動預払機)で不正に使用され、預貯金の引出しや借入れが行われた場合、金融機関が原則として全額被害補償をするものです。金融機関は、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、漁協、郵便局などが含まれます。補償の割合は預金者の過失の程度によることとなり、過失なしの場合には盗難・偽造ともに全額保証、盗難カードの軽過失の場合には七五%補償、偽造カードは全額保証、重過失の場合にはともに補償なしとなります。重過失にあたる場合としては、@力ードを第三者に渡した、Aカード自体に暗証番号などをメモしていた、B力ードの暗証番号を不用意に第三者に伝えたなどがあげられます。
〔車金融〕融資の担保のはずが売ったことになっていた車を返してほしい
 一○日ほど前、スポーツ新聞に掲載されていた「車で融資」の広告をみて電話をすると、車検証と印鑑証明も持ってくるように言われた。少し変だとは思ったが、確認のためだと思って持っていったら、「一応、あなたの車は形だけ売買したことにする。売買代金の五〇万円が融資額になる」と言われた。少し不安だったが、車はそのままリースにするので使ってよい、形だけだと強調されたので、融資を受けた。リース料として週に一○万円を返済するようにいわれたので約束が違うと思ったがいまさら断れず受け取って帰った。ニ週目には一○万円が払えず連絡を入れると了解してくれ、とりあえず車を置いていくように指示された。そのニ日後にお金を持って車を受け取りにいくと、「買い取った車だから、もう売ってしまった。前回に預かった一〇万円は返す」といわれた。昨年、買ったばかりの新車をたった五○万円で売るなんてあり得ない。何とか取り返す方法はないか。
● 車金融は安く車を買い取るヤミ金融の手口
ヤミ金融に引っ掛かってしまったのですね。「ヤミ金融」とは、貸金業の登録の有無にかかわらず、出資法の上限金利を超える金利でお金を貸付ける金融業者のことで、あなたの場合はヤミ金融の一種の「車金融」といわれるものです。
「車金融」は、融資といいながら車の売買契約書にサインをさせ、買い取った形にして、車の所有権を金融業者に移させます。そのうえで@車検証を取り上げ、A車の譲渡証明書および委任状に実印を押印させて印鑑証明書を提出させます。これで車の所有が業者になり、これをあなたがリースして使うという契約を結ぷのです。そして、そのリース料として一週間に一○万円などという高額なリース料を融資の返済金として請求してくるのです。
通常の売買契約の場合は、車の持ち主に売買代金が支払われますが、これが手渡された貸金の五○万円にあたり、自分が使う車を借りる形で、リース料という名目で「利息」を支払っていきます。リース料が支払われなけれぱ、すぐに車を引き揚げられてしまうことになります。あなたの受け取っている書類からも確かに、五〇万円で車を売った売買契約になっており、車検証も引き渡されていますので、書面上は問題のない形になっているといえます。
● 登録業者の場合は出資法違反で行政指導を求める
しかし、広告の内容と口頭での説明では、車を担保にお金を貸す金融会社といえますので、週に一○万円の利息は法律をはるかに超えた高利なので、法律違反になります。ヤミ金融業者の中には登録のある業者が隠れて営業している場合も少なくありません。そこで、ヤミ金融会社が貸金業の登録業者であるかどうかを各都道府県の行政窓口、各財務局または金融庁の「登録貸金業者情報サービス」で確かめます。登録業者の場合は、監督官庁に指導を求めます。
まず、金融業者あてに、車の売買契約書が形式的なものにすぎず、期日に遅れたとしても車の買取りは形式のみという約束ができていたことを相手に認めさせる必要がありますが、交渉が難しい場合は、全国貸金業協会連合会の相談窓口、監督官庁に申し出ることをお勧めします。また、貸金業の登録のないヤミ金業者の場合は、相手業者を見つけること自体が難しいので、被害が広がらないようにすぐにも警察に被害届けを出すことをお勧めします。
〔海外宝くじ〕突然送られてきた海外宝くじの申込みをしたが何の連絡もない
 「ミリオンダラーズを受け取っていただく方としてあなたが選ばれました」というダイレクトメールがエアメールで届いた。差出人は、オーストラリアの宝くじ購入代行業となっているが、文書は日本語で書かれていた。「チャンスを逃さず参加しよう、ニ○○〇円で参加申込みができる」とあったので、このくらいの金額ならと思って、お金を支払った。しかし、何の連絡もこない。騙されたのだろうか。その数日後には、香港からも似たような内容のダイレクトメールが届いた。なぜ海外の業者が私の名前や住所を知っているのか気味が悪いし、騙されたのは癪にさわる。何とかできないか。
● 海外宝くじは買うだけで法律違反となる
こうした海外宝くじは、総務大臣の発行許可を得た国内の宝くじと違い、刑法で「発売」「取次ぎ」「授受」が禁じられています。つまり海外宝くじは、国内業者から購入するのはもちろん、海外からのダイレクトメールやインターネットをみて購入した場合も、法律違反になります。そのうえ、海外宝くじの場合は、たとえくじに当たったとしても、国内の購入者には確かめようがないのです。国内では海外宝くじを買うだけでも違法となりますので、あなたの場合もまず連絡はこないでしょう。今後も業者の誘いに乗らないことが肝心です。
● 個人情報保護法では個人情報を本人の了解なしに利用することを禁じている
また、海外の業者からのダイレクトメールなので心配されているようですが、実際は、国内の業者が手に入れた名簿に従って、あたかも海外から発送したようにみせかけているのだと思われます。ただ、海外であれ国内であれ、個人情報が記載されている名簿が売り買いされて使われている実態に変わりはありません。あなたもどこかで、たとえば通信販売でものを買ったり、何かの抽選に応募したり、景品をもらうために名前を記入した覚えはありませんか。そのような場で記入した個人情報が業者から業者へと出回っていると考えられます。不用意にどこにでも名前を書くことは要注意です。個人情報保護法では、個人情報を本人の了解なしに勝手に利用することを禁止していますので、名前を使った業者に、連絡がとれるのであれば、どのようにして自分の名前を知ったのかを確認してみてください。
〔商品先物取引〕契約した覚えのない先物取引でお金を支払えと言われた
 私の勤め先に、大学の後輩だと名乗る社員が訪ねてきて、会社案内や名刺をおいていった。その翌日、その上司から電話があった。何だか騒がしいところからの電話で「いまトウモロコシが値上がりしている。買えるかどうかわからない。あとでまた電話する」と言った。私は、ちょうど会議前でその準備に忙しく、「はい」と答えて、話を切った。そのあと、また電話があり「ニ○枚取引をした」としてニ○〇万円を要求された。頼んだつもりもないし契約書も交わしていないので、拒否をした。しかし、相手は「電話でも契約は成立する。さっきの電話で『はい』と言ったではないか」と主張し、そのときの録音テープを聞かされた。どうすればよいか。
● 委託証拠金も払っていない契約なので成立していない
あなたは、取引委託の契約を交わしていないのですから、契約は成立していません。もし、成立していると相手方が主張したとしても、本来、商品先物取引は委託証拠金を支払ってから、あなたの指示で買うのがルールです。まだ、委託証拠金を支払っていない取引は認められていませんので、支払う必要は全くありません。はっきりと断ることが大切です。会社への連絡がくるようであれぱ、周りの人にも協力を求めたり、警備の人に連絡しておくことも必要です。
国内での商品先物取引であれぱ、金融商品販売法の適用はありませんが、商品取引所法の適用を受けます。
● 取引額は支払った額の約一○倍とリスクが大きいだけに説明義務がある
商品先物取引のしくみは、あなたが直接取引所で取引するわけではなく、取引会社にそのつど、委託して行います。その委託の際に委託証拠金として、売買される額の一割程度を支払います。
つまり、実際の取引は委託証拠金の一○倍ほどの額になるため、損失額は大きくなります。
そこで、業者は取引をする人に対して危険の大きさや十分にしくみを知らせたうえで取引の委託契約を結び、さらに委託証拠金を受け取ってから取引をしなければならないとされています。
その際には、法律によって委託のガイドや受託準則などの書面を渡して説明することが義務づけられています。取引を委託された業者は正確な情報を提供し、委託者自身が自分の判断で売買いや手仕舞い(取引を終わりにすること)を指示します。業者はそれに従って行うのがルールなのです。
〔みなし弁済〕高い利息なのに計算のし直しをしてくれない
 友人から「五○万円借りて五年も支払っていれば、すでに払い終わっているはずだから、まだ請求されるのはおかしい」と言われた。それで業者に、「計算し直してもらいたい」と言うと、業者は「『この利息でいい』と言って了解したのだからこのまま払ってもらう」、「ニ九・ニ%以下だから問題ない」と言う。借りたときは年利ニ五%だったので、業者にもう少し安くならないかと頼んだのに、「この金利でなけれぱ貸さない」と強く言われてしかたなく借りた。しかし、今になって私が「それでもいいです」と言ったから貸したのだという。私は了解などしていない。計算し直してもらうにはどうすれぱいいか。
● グレーソーン金利に注意する
通常、貸金業者から借りるときの金利は、利息制限法によって定められています。あなたが借りた五○万円の場合は一八%が最高利息となるはずですが、実際には、この制限金利を越えた二五%で契約しています。違法金利だから返せと言いたいところですが、貸金業を対象とした貸金業法四三条には、「一定の場合」には、利息制限法を超えた金利であっても出資法に反していなけれぱ、そのままの利息を認めて、高い利息も有効として返済を続けなけれぱならないとしています。いわゆる借り手が任意に支払う利息に関しては法違反にはならないとしているのです。これがグレーゾーン金利です。
● これまでは利息制限法を超えた利息で要求してもよいのは「任意に支払った」ときだけだった
そこであなたの場合ですが、借りたときに「自分からそれでよいといったから、利息は高くても許される」という点ですが、この点について貸金業法の四三条では、利息制限法を超える利息が認められるのは同条の「任意に支払った」という要件が認められるときだけとしています。業者は契約時に、あなたが利息を選んでたまたま利息制限法を超える利息ではあったが法には反していないと主張して、高い金利での返済を要求しているのです。ところが、あなたの場合はこの金利でなければお金を借りられなかったのですから、全く「任意に支払った」とはいえません。そのため、利息制限法に従った一八%の金利に引き直した金額を返済すればよいことになります。
また、四三条の要件は、平成一八年の最高裁判決によって制限され、事実上グレーゾーン金利が撤廃され、平成一八年の法改正により廃止が決まりました(施行は平成二一年の予定です)。
● 計算のし直しは調停に申し立てることで可能
相手は消費者金融業者なので、あなた自身が業者と交渉することは、かなり難しいでしょう。
そのため、金利計算をし直して交渉してくれるところに頼んだほぅがよいでしょう。裁判所には調停というシステムがあり、申し出るときの書類は自分でつくることができますし、交渉もしてくれますので、経費も安く一番手っ取り早いと思われます。そのほか、弁護士による任意整理(ほとんどの弁護士会が窓口を持つて対応してくれます)や、資格をもった司法書士に頼むのも可能です。ただ、司法書士がどこまでしてくれるのか、交渉までなのかを確認します。当然、依頼した場合は費用がかかりますので、必ず金額と内容を確認するようにしてください。
〔海外商品先物オプション取引〕海外市場のオプション取引で損をした
 家にいたら電話があり「利殖の話で訪問したい」と言われ、丁寧な応対だったので来てもらうことにした。「これからの時代は銀行預金であっても絶対に安全とはいえない」などと説明してくれた後に、海外市場でのオプション取引をしないかともちかけてきた。投資経験もなく、オプション取引の意味もわからなかったが、自宅まで来てくれて話をしてくれたので断ったら悪いと思い、利息がつかなくても三カ月程度なら預けてもいいと思って契約した。翌日、その人がいっしょに行ってくれるというので銀行に行き、定期預金を解約して五○〇万円を預けた。書類に署名等をしたが、具体的な注文の指示は出していない。ところが、取引が終了して最終的に手元に戻ってきたのは約一〇〇万円ほどだった。こんなに損をするとは考えもしなかった。これでは話が違う。老後資金もほとんどなくなつてしまった。どうすればよいか。
● 海外商品先物オプション取引には法の適用がない
商品先物オプション取引は、商品先物取引と違い損失は限定されますが、投資した金額の全額を失うこともあります。特に海外市場ヘの投資は、為替相場の影響を受けますし、事業者に支払う手数料も高額なのが普通ですから、とてもリスクの高い取引です。ところがこの取引には、取引所法や、海外先物、商品ファンドに関するような法律がありません。これまで投資経験がなく、知識のないあなたにこのような投資をさせたこと自体が問題なのですが、適用する法律がないため、民法の一般的民事取引上の問題として考えなけれぱならないのです。
だからこそ交渉を通して被害回復を図る必要があるのですが、交渉は非常に難しくなります。
問題点として、@投資するシステムを理解しにくい高齢者に対して勧誘したこと、一般的にみて取引の適合性の原則に反していること、A投資の危険性に対するリスクの説明や高額な手数料のために相当の利益を上げなけれぱ利益が出ないことの説明が不足していること、B何を取引したかわからず、指示もしていない取引であることなどをあげて交渉します。特に、一度事業者の手に渡ったお金を取り戻すのは、簡単ではありません。このような場合、裁判になることが多くなります。なお、海外商品先物取引についての相談は、農林物資は農林水産省の海外商品取引一一○番および各地方農政局で、経済産業物資は経済産業省および各地方の経済産業局の消費者相談室に連絡をとるとよいでしょう。
〔外国為替証拠金取引〕利益をつけて返すと言われた取引をやめさせてくれない
 何度も電話がかかってきて、そのたびに「外貨預金のようなもので、絶対に利益が出ます」、「一週間だけ預からせてください」などと言われた。損することもあるとは言われなかった(リスクの説明はない)が、それでも不安なので断っていた。それで、電話をやめてほしくて少しならお金を渡してもよいと思って五○万円を渡して契約した。担当者が「僕に任せてくれ」と言うので、損をしないように頼んだ。でも、その後、「チャンスがきたから新たに追加で買った。五〇万円を出すように」と言われた。そのすぐ後に、利益が出たと一○万円を持ってきてくれたので、こんなに簡単に儲かるのかと思い、一〇〇万円を追加した。しかし今度は、「値が下がり、一○〇万円を出さないと元も子もなくなる」と言われて怖くなった。もうやめると言ったのに、やめさせてくれず、「やめるにはあと一○○万円が必要だ」と言う。しかたなくさらに一○○万円を渡してやめる処理を頼んだら、また追加金を入れるように迫られている。もうどうしてよいのかわからない。どうしたらよいか。
● 外国為替証拠金取引は、業者に一定のお金(委託証拠金)を預けて、その一○倍から一五倍もの為替取引を行います。金融先物取引と似ていますが、先物取引市場で取引きれるのではなく、業者と顧客間の相対で取引をする形をとります。
それだけに、業者によって、取引の方法や、最低の取引単位も証拠金の額もさまざまです。
この取引は、顧客が業者から受けた信用で、外国為替の取引を行いますので、株の信用取引と似ていますが、株であれば金融商品取引法(旧・証券取引法)の適用を受けますから、勧誘の仕方についても規制がされていますが、外国為替取引の場合は、全く法の対象となっていなかったために、高齢者の被害が大きかったのです。それが、平成一八年六月にようやく金融商品販売法が改正されて同法の適用対象になり、業者には説明義務が課せられました。
なお、@間違いなく利益をつけてお返しできる、A断っても聞いてくれない、B二週間だけでも取引をしてもらえれば利益が出るなど、不確定なものなのに、あたかも確実に儲かるかのように断定的判断の提供をしたり、断っても聞いてくれないなど困惑させられて契約している状況がありますので、消費者契約法または民法の適用を考えることになります。このような取引での交渉はかなり難しくなりますので、金融先物取引業協会の苦情相談室を。
〔仕切回避〕先物取引でやめたいと言ってもやめさせてくれない
 一年前、大学の後輩と名乗って訪ねてきた社員から、「儲かる。損はさせない。任せてほしい」と言われて、親切そうな人だったので東京粗糖の先物取引を始めた。これまで五回にわたり計五八○万円を渡した。でも最近では、お金を渡しても損ばかりしているので、業者の担当者に「損してもいいから仕切ってほしいと」と言ったが、今はだめだけどすぐに盛り返すとか、いろいろ理由をつけて応じてくれない。このままでは、ますます損が増えてしまいそうだ。どうすれぱよいか。
● 文書でやめたい意思を伝える
まず、あなたのやめたいという意思を電話で伝え、やめると指示したことの証拠を残すために、ハガキか文書にして業者に配達証明付き郵便で出します。文面としては「○日の○時に仕切ってほしい(または手仕舞いしてほしい)」、「何時の場で手仕舞いしてください」、「直ちに終わりにしてください」などの取引をやめることを指示したことを書きます。そして、そのコピーもとっておきます。その後、業者から報告があるはずですが、もし報告がないようであれぱ、業者に確認をしてください。先物取引の知識のない高齢者が対象の場合は、とかく仕切り(取引の決済)回避を行う業者が少なからずいますので、指示をしたそのつど、指示どおりに確実に仕切りや手仕舞いが行われたかどうかを確認する必要があります。
その後で、あなたがこれまで「やめたい」といった日時などを過去にさかのぼって確認します。
そして、申し入れても聞いてもらえなかつたときの状況をメモにして、相談窓口に申し出ることをお勧めします。
なお、仕切りや手仕舞いを頼んだことの確認さえできない状況がある場合には、日本商品先物取引協会の相談窓口を含めて、確認してもらうことも必要です。
〔訪問販売・リフォーム商法〕根負けして契約した外壁工事をやめたい
 一週間前の夕方に突然業者の訪問があり、「外壁が傷んでいる、このままでは雨がしみて壁が崩れてくる」と、深夜まで五時間にも渡って説得された。「帰ってほしい」といくら言っても帰ってくれない。根負けしたのと、断って後から大変なことになっても困ると思い、しかたなく外壁工事をすることにして、クレジット契約書にサインをした。ところが、いざ工事が始まると丁寧に工事すると約束したのに、事前の説明とは違って、ずさんな工事だった。こんな工事ならやめたい、何とかならないか。
● 工事が終わっていても期間内なのでクーリング・オフはできる
突然訪問し契約していますので、訪問販売にあたります。本事例の取引は、@特定商取引法の対象となる販売方法であり、A外壁工事はその対象となり、B書面を受け取って八日以内なので、同法によるクーリング・オフができます。
次に、工事がすでに始まっていますから、これをどうするのかが問題となります。でも、クーリング・オフの場合は、工事が始まっていても大丈夫です。たとえ、工事が終わっていても契約書面を受け取ってから八日以内であれぱ問題ありません。あなたは、その工事がなかった前の状態に戻してくれと請求できます。もちろん、元に戻すためにかかった費用は、すべて業者負担になります。すぐに、クーリング・オフの文書を業者あてに出しましょう。また、クレジット会社にも、同様の通知を出してください。
● 執拗な勧誘による契約は消費者契約法での取消しが可能
仮に八日間を過ぎて、クーリング・オフの適用がない場合は、別の方法を考えます。あなたの場合は、「帰ってもらいたい」と何度も言っているのに、業者が五時間も粘り、執拗に勧誘を続けられた結果、「困惑」して契約をしていますので、消費者契約法四条三項一号にある「当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すベき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと」つまり「不退去による困惑」にあたり、契約を取り消すことができます。この取消権は、取消しできるときから六カ月間行使できますから、クーリング・オフ期間経過後にも力を発揮します。
〔原野商法のニ次被害〕原野商法の土地を転売すると言ったのにしてくれない
 一〇年ほど前に「原野商法」にひっかかって買った五○〇坪の土地を持っている。ニカ月ほど前、「近隣から測量の依頼を受けているので、境界線の承諾が必要だから立ち会ってほしい」と都市計画会社からハガキが届ぃた。説明だけでも聞かないと悪いかと思い連絡すると「近くを高速道路が通ることになったから、あなたの土地も転売できる。六カ月もあれば売れる」と言われたので、この機会に売りたいと答えると、「転売のためには、測量をしなけれぱならない。測量代は一○五万円ぐらいかがる」と言われた。それで、土地が売れるならと思い、送られてきた申込書に記入して返送し、代金も振り込んだ。その後、その会社に連絡をとっても売るための努力をしているとは思えないような対応しかしてくれない。
また、友人に測量代に一○○万円もかかるのは変だと言われた。もう土地が売れなくてもいいから、解約したい。
● 土地の価格と測量費用を比較してみよう
あなたが誘われたのは、「原野商法」にひっかかった被害者を再度勧誘する悪質商法で、「二次被害」のケースです。原野商法の被害者であるあなたは、価値のない土地であることを知っており、機会があれぱいつでも売りたいと思っていたはずです。その心理を利用されて、転売を斡旋すると約束してくれたので、つい気持が動いてしまったのでしょう。
このような業者は、「転売するためには測量をして、整地、草取りをしなけれぱならない」などと、高額な測量契約や清掃契約を結ばせます。しかし、一般的に土地の測量をしておくことは必要でしょうが、原野商法の土地であれば、現在どの程度の価格になるか確認をするのが第一です。
あなたが所有している土地にある地域の不動産業者などに問い合わせて、その価格と測量費用などを比較すればわかります。
測量の契約自体は、訪問販売や電話勧誘販売によるものであれぱ、特定商取引法の対象となりますので、クーリング・オフも可能です。しかし、あなたの場合は、すでに二カ月が経過していますので、クーリング・オフはできません。可能性があるのは、契約書や領収書が渡されていなかったり、渡された書面にクーリング・オフの記載がない場合で、あらためてクーリング・オフできることが記載された書面が交付され、その日から八日間が過ぎるまで可能です。
● 土地の転売には宅地建物取引業者の資格が必要
また、あなたの場合、六カ月で売ると業者が約束したのであれぱ、仲介業者としての資格が必要ですし、あなたとの媒介契約を結ぶ必要もあります。でもあなたの場合、そのような契約はされていないようですね。そうなると六カ月で売ってあげるという約束は、信用できず、単に測量の契約を勧誘するためのセールストークにすぎないことになってしまいます。
なお、原野の場合、購入したときに測量されているとは考えにくく、あなたの土地だけを測量するにしても基点から計測しなければなりませんから、かなりのお金がかかります。実際には、騙された、測量が高額すぎるといっても立証が難しく、返金させる交渉はかなり難しいものになります。そのため、消費生活相談窓口などに申し出て情報を得るか、被害を多発させないためにも警察への通報をする必要があるでしょう。消費者は、誰でも自分の弱みを利用されると、適正な判断ができなくなってしまいます。何事もすぐには返事をせず、調べてからという習慣を身に付ける必要があります。
〔霊感商法〕悪霊がついていると言われて買わされた印鑑を返したい
 一週間ほど前、家族にトラブルがあって悩んでいたときに、自宅に訪ねてきた販売員から「顔に悪い相が出ている」、「これは先祖の霊を静めなければ大変なことになる。崇りかもしれない」と言われて、すっかり不安になり、先祖の供養と開運のための印鑑をクレジットで買った。その後、さらに供養が必要だからとセンターに通うように言われて行くと、今度は数珠や仏像を勧められ、総額六○万円にもなってしまった。月々ニ万円近くの支払いになり、もう払えない。それに、供養のために高額なものを買うなんて、よく考えると騙されているような気がする。何とかして返品したい。
● 霊感商法は不安をあおって契約に誘導する
このような勧誘は、「霊感商法」と呼ばれるもので、「悪霊や水子の霊がついている」などと言って不安をあおり、高額な印鑑や数珠を買わせます。そのうえ、本部やセンターにくるように誘い、さらに不安感をあおり立て、開運を図るために必要だからと次々と高額な契約をさせます。こうした勧誘方法は、特定商取引法の対象になりますし、印鑑、数珠は法の対象品目ですから、まずクーリング・オフが可能かどうかを考えます。
● 営業所でも販売目的を告げられていないときはクーリング・オフできる
クーリング・オフは、契約書面等を受け取った日を含めて八日以内に行使することが条件ですので、まず印鑑については、今日が一週間目、数珠と仏像は二日目なので、クーリング・オフができます。また、契約は、訪問販売と販売目的を告げられずに行った供養のためのセンターで行われています。この場合、たとえセンターが営業所とみなされても、販売目的を告げられていませんので、不意打ち的販売にあたり、特定商取引法の対象になります。
● クーリング・オフ期間の経過後は解約交渉をする
クーリング・オフ期間が経過してしまった場合、あるいは、センターには商品が展示されていて選べる状態で、購入目的で行った場合には通常の店舗とみられますので、ともにクーリング・オフが難しくなります。このような場合には、解約交渉をすることになります。まず、販売会社あてに、不安をあおられて冷静な状態ではないときに契約させられたことなどの具体的な状況を文書に書き、内容証明郵便にして出します。また、クレジット契約をしている場合には、クレジット会社にも同様の文書を出し、交渉の協力を求めます。
〔家庭訪問販売〕健康食品でかえって具合が悪くなった
 夫が入院していて、私も具合が悪かった。そんなとき、折込みの健康新聞(チラシ)に「ほとんどの病気が治る方法」とあったので説明にきてもらった。訪ねてきた健康アドバイザーという人は「これを飲めば血圧が下がる」と薦めるので、ニ○万円と高かったが、わらをもつかむ気持でクレジット契約した。そうすると、その場でアドバイザーが開けて飲ませてくれた。ところが、具合が良くなるはずなのに気分が悪くなったので、「いらないから持ち帰ってほしい」と言うと、「今は、悪いものが出ているところだから、指示とおりに飲むように」とそのまま帰ってしまった。しかたなく続けたが、具合が悪くなるばかりなので、やはり「やめる」と言うと、販売会社は今になって二カ月も経っているからダメだ」とけんもほろろに断られた。何とか解約できないか。
● 健康食品は形や名前が薬のようであっても食品なので効能効果は期待できない
あなたの呼んだアドバイザーは、結局、販売員だったのですから、特定商取引法の対象になります。まず、あなたが薬だと思ってぃたものは、形や名前が薬のようであっても、健康食品です。医薬品とは書いてないはずです。医薬品であれば、治療効果もありますが、副作用もあるために薬事法の適用を受け、飲み方や成分の表示、販売方法など、法に基づいたさまざまな規制があります。しかし、健康食品であれば、本来、食品なのですから薬事法の適用を受けず、もちろん「病気に効く」ものではありません。チラシに書かれていた「病気に勝てた」、「よくなった」という体験談をあなたは信じたのだと思われますが、体験というのはその人個人の感じ方にすぎず、一般的な効能とは別物です。また、反対に身体に合わなければ、かえってあなたのように具合が悪くなり、飲み続けて悪化することもありますので注意が必要です。
● 返品交渉時では特定商取引法を主張する
次に返品交渉ですが、特定商取引法の適用を考えます。@商品を買うために販売員を呼んだわけではなく、訪ねてきたアドバイザーが販売員として販売していますので、これは不意打ち性のある訪問販売にあたります。A販売員から血圧を下げる効果がある薬と思わされていますが、実は健康食品です°。健康食品は、特定商取引法の対象商品です。Bさらに、契約をしたその日に解約(クーリング・オフ)を申し出たのに、飲み続けなければ効果がないと解約を拒否されています。これは‐クーリング・オフ妨害にあたります。あなたの場合、再度の通知はされていませんので、まだ、クーリング・オフが可能ですから、契約をしたときの経過を書面(ハガキで可)に書いて、販売会社とクレジット会社に出し、クーリング・オフすることを伝えます。その際には、配達記録か簡易書留にして、出した日付と文面をコピーにとり、証拠として残します。
● 消耗品でも自ら開封したのでなければ使用・消費したことにはならない
なお、健康食品は消耗品にあたりますが、@あなた自身が消耗品を開けたのではなく、販売員が開けていますので、あなたが自ら消費したことにはなりません。また、Aあなたは、その説明を信じて購入し消費したのですから、商品が目的を達するものでなかった以上、消費しても利益を得たとはいえません。したがって、クーリング・オフをして商品を現状のまま返すことで解決を図ります。同時に、クレジット契約をしていますから、クレジット会社にも、同じ内容のものを送っておきましょう。
● 特定商取引法などの規制もある
また、特定商取引法では、販売にあたって嘘をつくこと(特定商取引法二一条一項)、購入者の不利になることをあえて伝えない(同条二項)行為は禁止されています。また、契約の申込みの撤回や解除を妨げるためにする「不実告知」や「威迫して困惑させる行為」も禁じています。
なお、特定商取引法二一条の二は、不実な勧誘をしている疑いのある業者に対して、その合理的根拠資料の提出を求めて、一定の期間内に提出しない場合は不実告知であるものとみなして行政処分ができるとしています。行政が適切に行動すれば、悪質な業者には、かなり抑止効果になるものと思われます。なお、話合いの際には、@薬と勘違いさせたこと、A血圧を下げる効果があると思わされたことなどの問題点から、消費者契約法による不実告知による取消しも考えられます。
〔家庭肪間販売〕判断能力の落ちた母に買わせた高額な布団を解約してくれない
 一○日ほど前、物忘れがひどく要介護の認定を受けている八〇歳代の父と、軽い認知症の母親のニ人暮らしのところに販売員が来て、羽毛布団の契約をさせていたことがわかった。両親は毎日の生活も手助けが必要な状態なのに、とても八○万円もする高額な契約を理解したとは思えない。両親は、訪ねてきた販売員から「布団がカビている。このままでは病気になるから、取り替えないとだめだ」と繰り返し言われて、言われるままに何かの用紙に名前を書いたという。それも、売上書の申込者は父親名義、クレジットは母親名義になっていた。母は契約を理解することが困難な状況なのに、おそらく父よりも少し若いからと母の名前にしたのだと思う。両親が使っている布団にカビなどないし、こんな高齢者に高額なクレジットを組ませるのも納得できない。販売会社に解約したいと言うと、「クーリング・オフ期間が過ぎているから、違約金として一〇万円を払うなら解約する」と言う。こんな高額は払えない。どうしたらよいか。
● 契約の合意が疑われる場合は契約の成立自体が疑われる
典型的な訪問販売であり、布団は対象商品ですから特定商取引法の規制対象となります。ただし、契約して一○日目なのでクーリング・オフをすることができません。しかし、契約は一つのはずなのに、売上書ではお父さんが購入したことになっており、もう一枚のクレジット契約書ではお母さんが購入し、支払いをすることになっています。通常、売上書はクレジット契約した商品の内訳ですから、売上書に従って、お父さんが商品を無料でもらい、クレジット契約書に名前の書かれたお母さんは別に契約書に記載された商品を受け取ることになります。ということは、まだ、お母さんが購入した商品は届いていないということになります。同じ一軒の家だから商品をもらった人と支払う人が違っていてもよいではないかと言われそうですが、本来的に契約が異なりますので、この部分での主張もできそうです。
また、認知症の診断がでているお母さんの契約ということになると、契約成立の要件として、自分の行っている行為がどんな結果になるかが理解できる必要があります。たとえば、今、契約書にサインをしたらその契約は守らなけれぱならないということを理解する力です。これを意思能力といい、この能力のない人の行為は無効となります。基本的にはお母さんの場合も、この点を主張することになります。意思無能力が認められた場合には、契約は無効ですから、違約金を支払う必要もありません。
● 判断能力の低下に付け込む勧誘は特定商取引法指示対象行為
なお、意思無能カの主張が難しい場合には、高齢者などの判断力の不足に乗じて契約を締結させることば不当な勧誘行為にあたり、これは特定商取引法の指示対象行為(特定商取引法七条、省令七条)にあたりますので、合意解約の交渉をすることも可能です。契約は合意によって成立しますから、介護保険における認定の内容を根拠に、お母さんの現在の状況と、聞き出した内容をそのまま文書にして出します。契約にあたっては、@正確な認識や判断はなかったと推定されること、Aカビが出ていることで病気になるなどと不安感をあおって契約させていることを主張します。なお、文書は、あなたが書いてもよいのですが、名前はお母さんの自筆が望まれます。
なお、販売店に出したものの写しをクレジット会社にも送ります。
最近では、こうした判断能力の低下した高齢者が高額な契約をさせられる被害が多くみられます。こうした高齢者の契約について、契約当時、契約するという意思があったかどうかの判定を、どのようにするかということは難しい問題です。お母さんの場合は、@介護認定で要介護であったこと、A認知障害が疑われる状況にあることなどを根拠として、契約に関する判断能力まではなかったと主張することになります。一般的に、こうした高齢者の契約能力の判定はとても難しい状況にありますので、周りの人たちの注意が必要になります。
● 制限能力者
制限能力者については、次のように規定されています。
@ 未成年者(民法四条) 原則として、単独で契約などの法律行為ができず、それを行うには法定代理人の同意が必要です。
A 成年被後見人は、精神上の障害によって物事を認識する能力に欠ける状態にある人のことで、家庭裁判所で審判を受け、成年後見人がつきます(民法七条)。成年被後見人は、成年後見人の同意を得ても、原則として単独で法律行為はできません。
ただし、日常生活に関することは例外です(同法九条)。
B 被保佐人は、精神上の障害によって物事を認識する能力に著し<不十分な人で家庭裁判所の審判を受けた人です(民法一一条)。日常の取引などは単独でできますが、重要な財産行為を行うには保佐人(同法一二条)の同意が必要になります(同法三条)。
C 被補助人は、精神上の障害によって、物事を認識する能力が不十分な人であって、家庭裁判所の審判を受けた人です(民法一四条)°特定の法律行為をする場合に補助人(同法一五条)の同意が必要となリます(同法一六条)。被補助人制度は、高齢社会に対応してい<ために新しく認められたものですから、介護契約に関しても利用されることが多くなってきました。
 以上のような制限能力者の行った一定の行為は取り消すことができます(民法一二〇条)。
〔冠婚葬祭互助会〕積立てが満期になったのに解約料がかかると言われた
  冠婚葬祭互助会を運営する会社と契約して、満期になったので解約したいと申し出たところ、解約料がかかると言われた。契約したときには特典の話だけで、解約するときにこんなに費用がかかるとは全く聞いていない。それに、後から送られてきたのは会員証券だけで、約款もなかった。なぜ、自分の貯めたお金に解約料を払わなけれぱならないのか。
● 冠婚葬祭サービスを受けるための積立てなので違約金がかかる
あなたは互助会にと毎月、掛け金を積み立てていたことで、積立貯金と勘違いしていませんか。互助会というのは「冠婚葬祭が必要になったときに積み立てた掛け金を基に、いつでも格安にサービスが受けられる」というシステムなのです。ですから、約束したサービスを受けずに解約するとなると、違約金としての解約料がかかってきます。その額は、生活保護を受けるようになったなど特別な場合を除いて約款に従って計算されます。また、解約はいつでも受けてもらえますし、拒否されることはありません。契約者本人が亡くなった後でも、相続人が解約できます。一般的に、解約による払戻しは申出から四五日以内にされることになっています。冠婚葬祭互助会については、割賦販売法で「前払式特定取引」として規制がされています。
また、あなたがもらっていなかったという約款は、契約時に渡されるパンフレットや会員証券の裏面に書かれていることが多いので、確認してみてください。そのうえで、計算額に納得がいかなかったり、約款をもらっていないなどの問題があるときには、椛S国冠婚葬祭互助協会の相談センターへ。なお、契約時には解約のことなどは忘れがちですが、必ず約款に目を通し、わからなかった場合はうるさいと思われても十分に説明を聞くという姿勢が必要です。
〔催眠商法〕気づいてみたら高額の磁気布団を買わされていた
 昨日、街で腰のサポーターをあげると呼び止められ、チケッ卜をもらってビルの一室に案内された。そこにはすでにニ○人近い人がいて、三○人ほど集まったところで入口が閉められた。そこでサポーターやティッシュをもらった後、雑貨類も「元気のよい人に特別だ」と言って配られたので、とても得した気持になっていたとき、次は「腰、ひざ、ひじなどの痛みが治るすごい商品」と説明されて、磁気布団を勧められた。「本当は六○万円の商品だが、今日は特別に半額三○万円にする」と言い、さらに景品も付けるし、商品を自宅まで運んでくれるというので、つい手をあげてしまった。でも後で冷静になってみると、高額だし自分には必要がないので解約したい。できるだろうか。
● 催眠商法とは興奮状態にして冷静な判断をさせないようにする商法
あなたが買うことになってしまった販売方法は、キャッチャールスに「催眠(SF)商法」を組み合わせたものです。催眠商法とは、一般的に高齢者が狙われる商法で、磁気布団以外にも羽毛布団やマットレス、健康食品などがこの方法で販売されています。
街なかで物を配りながら声をかけたり、チラシを配って物をあげると誘うなど、本来の販売目的を隠して、部屋やバスの中などの締め切った会場に誘います。そのうえで、日用品などをタダ同然で配ったり、クイズを出したりしながら巧みに雰囲気を盛り上げて、参加者に冷静な判断ができないような状態にしてから、最終的に高額な商品を売り付ける商法です。参加者が興奮した中で競争意識をあおられて商品の購入を決めるため、その商品の品質や価格、自分にとって本当に必要な商品かどうかを冷静に判断できない状態にして契約させます。こうした業者は店舗をもたない場合が多く、返品やアフターサービスについての連絡先などがわかりにくいという問題もあります。
● 催眠商法はクーリング・オフできる
このような催眠(SF)商法について、特定商取引法では、特別な規定をおいていません。しかし、催眠商法も商品の販売であり、その商品が「指定商品」であって「営業所等以外の場所」で契約の申込みや締結が行われていれば、法の対象となります。磁気布団は、法の対象品目なので、契約書を受け取った日から八日以内であればクーリング・オフが可能です。販売業者に書面(ハガキで可)で、クーリング・オフすることを通知します。その際に、配達記録か簡易書留にして、出した日付と文面をコピーに取り証拠として残します。また、クレジットで契約をしている場合には、クレジット会社ヘも通知を出すことを忘れないでください。
クーリング・オフしたときに業者から、商品といっしょに渡された景品と、持ち返ったものすべてを返すように言われることがありますが、この場合、商品に付けられた景品は返す必要がありますが、皆といっしょに手をあげてもらったものは返さなくてもよいのです。
〔実験商法〕水質検査で水が危険と嘘をつかれて買った浄水器を返品したい
 五日ほど前「この地域の水質検査をしています」と作業服を着た人が訪ねてきたのでドアを開けた。水道水をコップにとってきてほしいと言うので持っていくと、あれよあれよという間に、上かってきた。そして、蛇口に器具を取り付け、器具を通した水のコップとニつ並べて検査を始めた。試薬を入れると水道水の方が白く濁り、きれいなままのほうが浄水器を通した水だと言い、このままで飲み続けると体によくないから浄水器を勧めていると言う。でも三〇万円もするので、夫と相談してから決めると断った。それから、夫が帰宅して、実験を見たら、夫が買うと言い出した。
私も、今まで飲んでいた水が危険なら大変だと不安になって、お隣の奥さんに聞くと、そんなはずはないと言って水道局に聞いてくれた。水道局の人は試薬で白く濁ったから、逆に安全なのだと言う。騙された。こんなに高いものはいらないから返品したい。どうすればよいか。
● 実験を見せて不安感をあおり買わせるのが実験商法
あなたが、販売員から見せられた実験は塩素に反応したのだと思われます。水道水には、消毒のために塩素が使われているので、試薬に反応して白く濁り、一方の浄水器を通した水は、塩素が除去されていたので変化しなかったのでしょう。白濁は危険信号ではないのです。このように実験してみせ、危険もないのに、このままでは危険であるかのように強調することで消費者を不安にさせ、商品を買わせます。「点検商法」とよく似ていますが、「実験商法」といいます。
あなたの場合は、訪問販売なので特定商取引法の対象となります。浄水器は対象品目なので、契約して八日以内であればクーリング・オフをするのが最も簡単な解決方法です。このときに、すでに浄水器を使用したから解約できないといわれることがあります。しかし、浄水器は消耗品ではないので、使っていてもそのままで返品できます。
もし、気が付くのが遅れて、クーリング・オフできる期間を過ぎていたときには、危険ではないのに危険と嘘をつかれたことを問題にします。特定商取引法が禁止している、消費者の判断に影響を及ぽすこととなる重要事項について「不実のこと(嘘)を告げる行為」(六条一項)にあたると思われます。そこで、禁止行為違反を理由に取消しをします(九条の二)。同様に、消費者契約法四条の不実の告知(嘘をつかれたことで、誤った選択をしてしまった)による取消しも可能になります。
● 危険と嘘をついているので錯誤や詐欺にもあたる
また、安全性の実験といって塩素に反応する薬品を使い、水道水が白濁したから危険であるかのように説明しています。消費者の「このような危険な水道水は使えないから浄水器を契約しなければ」という契約の動機は、事業者の説明内容によって引き出されてぃるのですから、契約締結の原因となつています。したがって、錯誤による無効(民法九五条)の主張も可能になります。
また、実験をすることにより、積極的に騙す意思が事業者にあり、それにより消費者は浄水器を購入していますので「詐欺」の可能性もあります(民法九六条)。
これらのことを踏まえて、業者あてに契約したときの状況を書き、解約を申し出ます。そして同時に、クレジット会社にも同じ内容のものを送り、クレジット会社の加盟店指導の責任を求めて、販売業者との交渉を進めます。
〔次々販売〕高齢の母は断れずに契約を重ねて総額三○○万円にもなっている
 高齢の母は、かなり貯金をもっていたが、いつの間にかなくなっていた。電カ会社から、電気料金を払わないと電気を止めると言われたと、母から連絡がきて慌てて昨日訪ねた。すると、新しい布団が部屋にたくさん積んであった。古い布団をどうしたか聞くと、たくさんあるので持っていってもらったと言う。調べてみると、布団が五組、契約書も四枚出てきた。母は、契約したことの理解がないようで、「皆、いい人だから買えないと断ったら、くれた」という。契約書の合計支払額は三〇〇万円にもなっている。預金で足りず、年金から引かれたために電気料金が口座から落ちずに、電気を止めると言われているとわかった。何とか返品して、生活できるようにできないか。
● 契約書の確認をしてクーリンク・オフができるかどうかを判断する
まず、契約書を確かめてください°@販売会社は何社ですか。同じ会社がいくつもある場合には、交渉をするときに問題となりますので区分けが必要です。A書面にある商品と現物は一致していますか。Bその商品は新品のままですか、使用済みですか。C一番新しい契約日はいつですか。Dそれぞれ、支払いは現金で終わっていますか、クレジットなどで、まだ支払い途中ですか。これだけの項目について調べてから交渉をします。
契約して書面を受取ってから八日以内であって、同じ会社との契約がこの一年間に二回以内の場合は、商品を確認してクーリング・オフの手続をします。
クーリング・オフ期間が過ぎているものについても、契約書面が渡されていなかったり、法的な記載事項が欠けている書面不備の場合には、クーリング・オフが知らされていないのと同じ状態と判断されますので、クーリング・オフが可能です。
● クーリング・オフできないものは解約の交渉を
販売会社ごとに、商品があるものと、ないものを分けます。商品のないものについては、交渉は難しくなりますので、商品のあるものから交渉を考えます。さらに使ったものと新品を分けて、新品であれば、使用損料がかからない場合もありますから、解約料だけの負担が問題となります。
しかし、勧誘方法に問題がある場合、この点で解約料の交渉をします。
● 契約する能力があったのかどうかも確認する
そして、契約する意思があったかどうか、お母さんの判断能力が問題となります。このときのポイントは、お母さんの判断能力の程度と、能力の低下を業者が知っていたかどうかです。あなたのお母さんは、契約したこと自体について、支払額を含めて理解していたとはいえない状態のようです。そうなると、お母さんの判断能力の低下につけ込んだ公序良俗違反の契約ともいえますので、民法による取消しも考えられます。また、お母さんに嘘をついて契約を勧誘したり、断定的判断の提供があった場合には、消費者契約法による取消しも考えられます。クレジット契約が重ねてされている場合には、クレジット会社に対して事情を伝えます。支払方法が現金の場合はすでに支払われている可能性が高いので、解約は難しくなりますが、クレジット契約の場合は、割賦販売法による抗弁の接続規定を活用します。
なお、判断能力の低下がありそうなので、一度、医師の診断を受けてみる必要がありそうです。
その結果によっては、今後のために、成年後見制度の利用も考えられます。
● 成年後見制度
高齢社会の到来により、高齢者の療養監護や財産管理が社会的に重要な問題となり、また、知的障害者や精神障害者の保護や差別の解消に関する法の整備も緊急の課題となりました°そのため従来の「行為無能力制度」を改革して、高齢者や障害者の自己決定を尊重し、残存能力の活用を図る(「ノーマライゼーション」といいます)ために、平成一ニ年四月から「成年後見制度」が定められました。成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。法定後見制度には、@後見、A保佐、B補助があリ、任意後見制度は任意後見契約によります。
〔訪問販売・リフォーム商法〕高齢の母が住宅りフォーム被害にあいそうだ
 母親は私と離れて一人で住んでいる。最近は少し認知症の症状が出ており心配しているが、今のところは日常生活での支障はないようだ。しかし、ニュースで住宅リフォームの工事で騙された例をみて不安になった。母のところも、バリアフリーにしなければならないと思っているので、母も販売員の話に乗ってしまうのではないか。騙されないためには、お金の管理を誰かに頼むしかない。頼めるところはあるか。
● 被害にあわないために簡単に判を押さない約束をさせよう
介護保険では、手すりや段差の解消などの工事規模の大きくないリフォームを対象として、かかった費用のうちの二○万円(実質上限一八万円)までは、そのうちの九割が戻ってくることになっています。ところが、この制度を悪用した「リフォーム商法」による被害も広がっており、あなたのお母さんがその被害にあう可能性も高くなってきています。
それだけに心配も増していると思われます。高齢者を対象とした介護保険での補助事業の場合は、補助の内容や手続にはさまざまな条件や制約があり、簡単に費用が出るわけではありません。必ず介護保険課など関係の行政担当課に問い合わせることが必要です。また、このことをお母さんに、どのようにわかってもらうかが難しいところですが、必ずあなたに相談してから、契約書にサインや判を押すことを約束してもらってはどうでしょうか。
● お金の管理は生活支援員の協力を
お金の管理ですが、認知症の症状が出てきているのであれば、地域福祉権利擁護制度における生活支援事業の対象になります。これは、在宅で認知症の症状になった人、知的障害、精神障害のある人が利用できる制度です。まず、判定をする専門員が本人の状況を知るために面接調査を行います。次に、本人の希望や状況に応じた支援計画をつくり、合意ができれば本人と社会福祉協議会との間で契約をします。そうすると、生活支援員が銀行からの預金の引出しや公共料金などの支払いを行ってくれます。お母さんの住んでいる地域の社会福祉協議会に申し出ることから始めてください。
また、成年後見制度を利用することもできます。特に、成年被後見人や被保佐人の程度に至らない軽度の状態であれば、補助制度(民法一四条〜一六条)があります。あるいは、任意後見制度の利用も考えられます。市区町村には「権利擁護センター」が地域包括支援センターに併設される形であり、成年後見制度の利用を支援する事業を行っているところもあります。
〔介穫事故〕母が通所している施設で骨折したが補償してもらえるか
 母は九○歳で、要介護四の認定を受けている。当初は、訪問介護を受けていたが、少し身体機能が回復し、通所サービスを受けるようになり、これまで週三回の介護サービスを受け、合計五ニ回の施設利用をした。一週間前、母は施設の畳敷きの静養室で昼寝から目覚めた後、入口付近の段差で転倒して右大腿骨を骨折してしまい、歩行ができなくなった。施設の職員が一瞬目を離したときの事故だったらしいが、歩けなくなったことでいろいろな経費がかかる。精神的な面も含めて受けた損書を補償してもらいたい。
● 施設側には安全配慮義務があるので損害賠償責任を問える
週三回の通所介護サービスを受けていたのであれば、かなり動けたのですね。
それが骨折をしたことによって、全く動けず介護の方法も変えなければならなくなり、いろいろな設備道具、人手などかなり負担が増えたのですから、損害賠償してもらえるかどうかは大きな問題ですね。
まず、解決するには、通所サービスを受けるにあたって結んだ「通所介護契約」約款を調べてみる必要があります。この契約は、自宅で自立した生活を営むことが困難な人を対象にしていますから、事業者は、そのような利用者の状況を把握して、利用者の障害の程度を前提に安全に介護サービスを提供する義務があると考えられています。これが安全配慮義務です。
事業者側は、お母さんが静養室での昼寝の最中に尿意を催すなどして、起きあがり移動したその間に転倒する危険性は十分予想できたはずです。事業者には、事故が発生しないように注意する義務があるのに、職員が一瞬目を離した隙に事故が発生したということなので、注意義務違反があるといえます°このような状況から、事業者には、安全配慮義務に違反した責任があると考えられますので損害賠償の請求は可能です。
〔キャンセル料〕サービスを受ける日の朝に断ったらキャンセル料を請求された
 ヘルパーさんに来てもらって介護サービスを受けている。週ニ回だが、昨日、友人が訪ねてくるというので、朝、ヘルパーステーションに「今日は休む」と連絡した。事業者からは「突然のキャンセルなのでキャンセル料を支払ってもらう」と言われた。支払わなければならないか。
● キャンセル料に基準はないが契約書に書かれた内容に従うことになる
キャンセルには、事業者側からのキャンセルと利用者側のキャンセルがあります。キャンセルは、解約とも違い、契約を維持したまま、契約に基づく今日だけのサービスを中止することです。ほとんどの介護利用契約の中に特約規定があり、これに基づいて請求することができます。原則として、サービス利用の当日のキャンセルには、キャンセル料がかかります。それは、事業者側としては、へルパーの手配などの準備を行っていますので、正当な理由もなくキャンセルされれぱ損失が発生するのは当然だからです。しかし、キャンセル料の設定は、なかなか難しい問題です。介護報酬の全額をキャンセル料とすることは、サービスを受けていないのだから無理でしょうし、一割か二割程度となると、おそらくは数百円単位と細かくなり、徴収のためにキャンセル料以上の費用がかかってしまい意味がありません。根拠のない高額なキャンセル料を契約書に定めても、その効力は問題となります。そのため、キャンセル料の請求は、あまり現実性がないというのが現状のようです。ただ最近では、多少コストがかかっても契約どおりのキャンセル料を請求する事業者が多くなってぃます。キャンセル料に関する法的な基準はありませんので、契約で決めておくことが必要です。
● 高齢者なので契約時には重要事項についてのわかリやすい説明がなされるベき
このようなトラブルは、契約時に十分な説明をしていない場合に問題となりがちです。介護契約は、要介護状態の高齢者が契約の当事者ですから、その心身の状態には気を配り、契約書や重要事項説明書をただ渡すのではなく、わかりやすい言葉で説明することが必要です。利用者や家族が高い関心をもっている利用料やキャンセル料に関することや、事業者から解約できる場合などは、事業者が特に重点的に説明すベき事項といえます。もしキャンセル料に関して納得のいかない場合は、地域包括支援センターや、高齢者相談窓口に相談するとよいでしょう。
〔点検商法〕床下が腐って危険だからと買わされた床下換気扇を解約したい
 私はかなり用心深くて騙されたことはないのだが、一週間ほど前、突然訪ねてきた作業員風の人に「近くに工事に来たついでだから無料で点検してあげます」と言われて、点検だけならと思って調べてもらった。すると、床下に入り、腐った木の破片を持って上がってきた。「これは危険だ、早く何とかしないと」と呟きながら、「簡単に見ただけですが、すぐに手を打ったほうがよいですよ」と言う。どうしたらよいかわからずにいると、「床下に換気扇を設置して、乾燥剤を撒く」、「私がきちんとしてあげるから心配は要らない」と言う。そして、用紙を出していろいろ記入しながら、「お金は引落しにするから手間もかからないし、もし払えなくなったら、私が何とかする」と言うので、安心して頼んだ。でも、一ニ○万円もする工事なのに、一時間ほどで終わった。簡単すぎると思ったが、これでよかったとほっとした。ところが、昨日、息子にこの話をすると、一年前にリフォームした時に点検しているから、そんなはずはないと叱られた。工事もしてしまったが、何とか解約したい。
● 乾燥剤が撒かれた後でも工事の一環なのでクーリング・オフできる
このような勧誘の仕方を「点検商法」といいます。特に、腐った木切れを見せられると、つい床下がこんな状態になっているのかと驚いてしまい、さらに点検員がら追い討ちをかけられると不安が増してしまいます。そこに付け込まれて不必要な換気扇と乾燥剤を買うことになってしまつたわけですね。始めからセールスとわかっていれぱ、用心したのでしようが、不安にさせられると人は正確な判断ができなくなってしまぃます。幸いなことに、あなたの場合は、契約してから八日目であり、突然訪問されて自宅で契約していますので、特定商取引法の対象となります。また、購入した床下換気扇とセットとしての乾燥剤も法の指定対象品目ですから、クーリング・オフが可能です。
クーリング・オフですから、すでに取り付けられたものでも、原状回復請求が認められて、外して元の状態に戻すように請求することができます。そして、このときの取り外し費用もあなたの負担にはなりません。すでに撒かれた乾燥剤についても、業者が工事の一環として撤いたものなので、クーリング・オフができます。
クーリング・オフの手続は、解約することを書いて簡易書留にしたハガキを八日以内に出すことです。そのときハガキのコピーをとっておくことを忘れないでください。また、あなたの場合は、支払方法をクレジットにしていますので、クレジット会社にも、同文書でクーリング・オフしたことを伝えます。
● 不実告知によって間違って契約したとして取消しが可能
もし八日を過ぎて、クーリング・オフが行使できない場合には、解約の交渉をすることになります。その際のポイントは、実際に床下が湿気で手当てが必要な状態ではなかったことを昨年のリフォーム工事の際の業者への確認などを通して、特定商取引法や消費者契約法における不実告知(嘘をつく)があったことを主張して取消しをすることも可能です。
また、判断能力の低下を利用して勧誘するなどの問題点を指摘して交渉します。
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