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【消費者契約法で問題になった事例】

不当な契約条項に関連する裁判例
@ 事業者の損害賠償の責任を免除する条項(第8条)
A 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等(第9条第1号)
B 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等(第9条第2号)
C 消費者の利益を一方的に害する条項(第10条)
子犬の売買において,感染症に罹患した子犬が引き渡された後に同犬が死亡したことにつき,売主の瑕疵担保責任に基づき売買代金,葬儀費用等の賠償を求めた。―大阪地判平成15年9月26日(平成15年4月22日東大阪簡判の控訴審)(第10条)
 生命保証制度に加入しなかった場合,販売会社は免責されるとの契約条項は,売主の瑕疵担保責任を排除するものではないとして,瑕疵担保責任を全面的に認めた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成15年10月16日(第9条第1号)
@ 在学契約について,準委任契約類似の無名契約とした。
A 在学契約が消費者契約となることについて,1 条の趣旨(交渉力の格差からの消費者の保護)が妥当することを指摘した。
B 入学金について,入学し得る地位を取得することの対価であり,入学事務手続等の対価たる性格をも有するとして返還義務を否定した。
C 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。
D 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者にあるとした。
6ヶ月間入居した物件を解約したところ,本件賃貸借契約の特約に基づき,敷金40万円のうち30万円を差し引かれた賃借人が,敷金の返還を求めた。―大阪簡判平成15年10月16日(第10条)
 入居の長短にかかわらず一律に保証金を差し引くこととなる敷引特約は,民法等他の関連法規の適用による場合に比し,消費者の利益を一方的に害する条項であるといえ,10条により無効であるとし,敷金の返還を命じた。
専門学校合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び制服代金等の返還を求めた。―大阪地判平成15年10月23日(第9条第1号,第10条)
@ 在学契約について,学生が被告に対して,教育の提供等という事務を委任することを本質的要素とする有償双務契約であり無名契約であるとした。
A 入学金について,その入学手続を完了した時点において,被告学校に入学できることとなった資格ないし地位の対価として支払われるもので,いわば権利金的性質を有するものとして,返還義務を否定した。
B 制服代金について,在学契約と制服の売買契約とは別個独立の契約であり,独立の解除事由が主張されていないとして,返還を認めなかった。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―東京地判平成15年10月23日(平成17年2月24日東京高判の原審)(第9条第1号)
@ 在学契約について,準委任契約又は同契約に類似した無名契約ではなく,教育法の原理及び理念により規律されることが予定された継続的な有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約であるとした。
A 入学辞退について,民法651条1項の適用ないし類推適用を否定しつつ,受験生側からの自由な解除を認めた。
B 入学金について,入学手続上の諸費用に充てられるほか,在学契約上の地位の取得についての対価として,返還義務を否定した。
C 大学が2条2項の「法人」にあたるかについて,情報の質及び量並びに交渉力に格差のある大量的契約の当事者については公益性を問うことなく規制の対象とするのが同法の趣旨であると指摘し,法人に含まれるとした。
D 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は事業者側にあるとした。
E 授業料を返還しないとの特約について,4月1日より前に入学を辞退した者について,9条1号により無効であるとして返還を命じた。4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。
私立中学入学後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。学納金不返還条項が公序良俗違反か否かが争われた。―東京地判平成15年10月23日(第9条第1号)
@ 在学契約について,準委任契約又は同契約に類似した無名契約ではなく,教育法の原理及び理念により規律されることが予定された継続的な有償双務契約としての性質を有する私法上の無名契約であるとした。
A 入学金について,入学手続上の諸費用に充てられるほか,在学契約上の地位の取得についての対価として,返還義務を否定した。
B 入学辞退について,民法651 条1 項の適用ないし類推適用を否定しつつ,受験生側からの自由な解除を認めた。
C 授業料の不返還合意は,在学契約を締結した受験生の窮迫・軽率・無経験などに乗じて,はなはだしく不相当な財産的給付を約束させる行為に該当すると認められる場合に限り公序良俗に反するものとして無効になると解すべきであるとし,本件不返還合意については公序良俗に反しないとして返還義務を否定した。
納入した留学斡旋費用の不返還特約の無効を主張し,納入した50万円の返還を求めた。―東京簡判平成15年10月30日(第9条第1号)
 本件特約は,9 条1 号により「平均的な損害の額」を超える部分は無効となると判示した。その上で損害額を民事訴訟法248条に基づき10万円とした。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成15年11月7日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学医学部専門の学習塾において講習を受けていた受講生が,申し込んでいた同塾の@冬期講習を冬期講習開始前に,A年間模擬試験を中途で,それぞれ解約して,冬期講習受講料全額と模擬試験の未実施分受講料の返還を求めた。塾側は,受講契約を取り消すことはできないとの合意が成立しており解除は認められないなどと主張した。―東京地判平成15年11月10日(第10条)
 受講契約を取り消すことができないとの合意は,実質的に受講料の全額を違約金として没収するに等しく,信義則に反する等として,この合意は10条により無効であるとして,受講料の返還請求を認めた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―京都地判平成15年11月27日(平成16年10月1日大阪高判の原審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成15年12月1日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成15年12月11日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成15年12月22日(平成16年10月1日大阪高判の原審)(第9条第1号)
  4 月1 日に入学を辞退しており,前納金の返還義務を否定した
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成15年12月22日(平成16年10月22日大阪高判の原審)(第9条第1号)
 下記の理由から,消費者契約法施行後に在学契約を締結した原告のうち,3月31日までに入学を辞退した者について,入学金以外の学納金の返還を認めた。
@ 入学金の法的性格は「大学に入学し得る資格ないし地位を得ることの対価」等であり,返還を求めることはできない。
A 授業料等の入学金以外の学納金は教育役務の対価である。
B 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者側にある。
C 4月1日が到来するまでになされた入学辞退について大学に平均的損害はなく,授業料不返還特約は9条1号に反して無効である。しかし,4月1日以降の入学辞退については特約に係る学納金の額が平均的損害を超えるものは認められないから同条には反しない。
D 授業料不返還特約は公序良俗には反しない。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―京都地判平成15年12月24日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―神戸地判平成15年12月24日(第9条第1号)
 4月1日までに退学願いの提出又はこれに代替しうる客観的に明確な方法で通知したことの主張立証がなく,4月1日の到来によって授業料等の返還を求めうる地位を失ったとして,返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成15年12月26日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年1月8日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―神戸地判平成16年1月14日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年1月20日(平成16年9月3日大阪高判の原審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年1月21日(平成16年7月22日大阪高判の原審)(第9条第1号)
 入学金の返還については否定。授業料等の不返還特約は9条1号により無効であるとし,訴状送達により解除した時点までの日割り計算をし,残りの期間分について返還を命じた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年1月28日(第9条第1号,第10条)
 入学金の返還については否定。授業料等についても,学校年度の開始(4月1日)後に契約を解除した場合には,不返還特約は9条1号及び10条によっても無効ではないとし,返還を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年2月13日(第9条第1号)
 入学金及び授業料とも在学契約に伴う大学の種々の義務に対する対価として同じ性質であることを前提に,授業料を返還しないことは9条1号にいう平均的な損害の額を超える部分に該当するとして返還を命じたが,入学金は平均的な損害の額を超える部分には該当しないとして返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―岡山地判平成16年2月18日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
専門学校合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年2月23日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年3月5日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
賃貸マンションの解約時にクロスの汚れなどの自然損耗分の原状回復費用を借主に負担させる特約を理由に,敷金を返還しないのは違法として,家主に敷金20 万円の返還を求めた。―京都地判平成16年3月16日(平成16年12月17日大阪高判の原審)(第10条)
 通常の使用による損耗(自然損耗)の修繕などにかかった費用を借主の負担と定めた入居時の特約について,「自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させることは,契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害する」と判断し,10条に照らして無効とし,全額返還するよう命じた(民法90 条により無効か否かを判断する必要はないとした。)。なお,本件賃貸借契約は平成13年4月の消費者契約法施行前だったが,施行後に合意更新されていることから,消費者契約法は適用できるとの判断も示した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金の返還を求めた。―大阪地判平成16年3月22日(第9条第1号)
 入学金は「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―東京地判平成16年3月22日(平成17年2月24日東京高判の原審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。4月1日以後間もない入学辞退者についても,在学契約の解除によって大学に発生する具体的な損害はないことについて4月1日より前の入学辞退者と異なることはないとした。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,4月1日後に入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年3月25日(第9条第1号)
 入学辞退が4月1日後になされていることによって大学には少なくとも半年分の授業料及び施設費等の損害が生じている年,授業料等の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―仙台地判平成16年3月30日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―東京地判平成16年3月30日(平成17年3月10日東京高判の原審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち授業が開始される前に在学契約を解除していない者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―名古屋地判平成16年4月20日(第9条第1号)
 除斥の日の翌日から当該会計年度の末日までの期間に対応する授業料等の額をもって9条1号にいう「平均的な損害の額」と解するのが相当とし,授業料を返還しないとの特約は同号によっても無効とならないとした。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年5月19日(平成15年10月6日大阪地判の控訴審)(第9条第1号)
@ 在学契約について,主として準委任契約,付随的に施設利用契約等の性質を併せ持つ有償双務の無名契約であるとした。
A 入学金について,当該大学に入学し得る地位を取得することへの対価であり,一部は,全体としての教育役務等の提供のうち,入学段階における人的物的設備の準備,事務手続費用等,大学が学生を受け入れるために必要な準備行為の対価としての性質をも併せ有しているとして,返還義務を否定した。
B 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして,授業料の返還を命じた。
C 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者側にあるとした。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。―大阪高判平成16年5月20日(平成15年10月28日大阪地判の控訴審)(第9条第1号)
  入学金について「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
信用保証委託契約に基づき,求償元金及び約定遅延損害金(年利18.25%)の支払を求めた。―東京高判平成16年5月26日(平成16年2月5日東京地判の控訴審)(第9条第2号)
 遅延損害金につき,9 条2 号により年利14.6%を超える部分の約定は無効とした。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年6月4日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
通常の使用に伴う自然損耗分も含めて賃借人の負担で契約開始当時の原状に回復する旨の特約のある建物賃貸借契約の解約に際し,当該特約が無効であるとして敷金の返還を求めた。―京都地判平成16年6月11日(平成17年1月28日大阪高判の原審)(第10条)
 原状回復の要否の判断が専ら賃貸人に委ねられていることや,賃貸人が賃借人に代わって原状回復を実施した場合に賃借人が負担すべき費用を算出する基礎となる単価について上限の定めがないことに加え,集合住宅の賃貸借において,入居申込者は賃貸人側の作成した定型的な賃貸借契約書の契約条項の変更を求めるような交渉力を有していない一方,賃貸人は将来の自然損耗による原状回復費用を予測して賃料額を決定するなどの方法を採用することが可能であることなどから,当該特約はその具体的内容について客観性,公平性及び明確性を欠く点において信義則に反する程度に消費者の利益を一方的に害する者として10条により無効とされた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年6月29日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
建物賃貸借契約を締結した賃借人当該賃貸借契約の始期に先立ち,賃貸人に対し,賃料・共益費1ヶ月分や敷金及び礼金等の預入金を支払うとともに当該建物の補修を求めていたが,賃貸人が応じなかったことから当該賃貸借契約の解約を申し入れ当該預入金の返還を求めたところ,解約の要件及びいったん支払われた礼金や賃料・共益費は一切返還しない旨の約定があることから返還を拒絶された。―東京簡判平成16年7月5日(第10条)
 賃借人の都合により解約するときには解約日の3 ヶ月前に書面により賃貸人に解約届けを提出しなければならず,これに従った解約をしない場合には賃料・共益費合計額の6ヶ月分を賃貸人に保証する旨の約定及びいったん支払われた礼金や賃料・共益費は一切返還しない旨の約定は,公の秩序に関するものではないが,著しく原告の権利を制限し,又は原告の義務を加重する条項であり10条の趣旨に照らし無効とした。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年7月13日(平成15年11月27日神戸地裁尼崎支部の控訴審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
建物賃貸借契約の解約に際し,賃借人が賃貸人に保証金全額の返還を求めた事案で,賃貸人の事業者性や敷引特約の不当性が争われた。―京都地判平成16年7月15日
 自ら居住目的で購入した建物を転居を余儀なくされたため賃貸したもので反復継続性を欠くとして,賃貸人の「事業者」性(2条2項)を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年7月22日(平成16年1月21日大阪地判の控訴審)(第9条第1号)
 授業料等につき,解除の日(訴状送達の日)の翌日から学期末までの期間に相当する額について日割り計算し返還を命じた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年7月22日(平成15年11月27日神戸地裁尼崎支部の控訴審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
建築業者が,建物工事請負契約を工事開始前に解除した消費者に対し,「請負代金の20%に相当する額の違約金を支払う」との契約条項に基づき違約金の支払いを求めた。―千葉地判平成16年7月28日(第9条第1号)
@ 9条1号の「平均的な損害」の主張立証責任は事業者側にある。
A 建築業者が契約条項があることのみを主張立証し,他に平均的損害につき主張立証しない以上,平均的損害は既に支出した費用相当の損害を超えないとして,当該金額を超える部分の違約金条項は9条1号により無効である。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪地判平成16年7月28日(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。4月1日以後間もない入学辞退者についても,在学契約の解除によって大学に発生する具体的な損害はないことについて4月1日より前の入学辞退者と異なることはないとした。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年8月25日(平成15年7月16日京都地判の控訴審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年9月3日(平成16年1月20日大阪地判の控訴審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は消費者契約法9条1号,10条により学納金の返還を求めた。―東京地判平成16年9月3日(第9条第1号,第10条)
 消費者契約法施行以前の契約については,返還義務を否定した。施行後の契約については,入学金以外の学納金は,9条1号により返金を認めたが,入学金は入学しうる地位の対価として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例。―大阪高判平成16年9月10日(第9条第1号)
 入学金については,その目的に照らして相当な価額を超える場合は,その超える部分は,他の学納金と同様に,大学が提供する教育役務に対する費用ないし報酬と評価せざるを得ないとしつつ,本件については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。授業料を返還しない旨の特約は,暴利行為であり民法の公序良俗に反して無効として,授業料の返還を命じた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年10月1日(15年11月27日京都地判の控訴審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年10月1日(15年12月22日大阪地判の控訴審)(第9条第1号)
 4月1日以降間もない期間内(遅くとも入学式以前)に在学契約を解除した場合においては,特段の事情がない限り,大学には具体的な損害(平均的損害)は発生しないとして,授業料について返還を命じた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―大阪高判平成16年10月22日(平成15年12月22日大阪地判の控訴審)(第9条第1号)
 下記の理由から,消費者契約法施行前に在学契約を締結した原告を含めて,入学金以外の学納金の返還を認めた。
@ 入学金の法的性格は「大学に入学し得る資格ないし地位を得ることの対価」等であり,返還を求めることはできない。
A 4月1日以降間もない時期(遅くとも入学式以前)に在学契約が解除された場合には,実質的には4月1日以より前の入学辞退と異なるところはなく,特段の事情がない限り,平均的損害は存在しないと推認するのが相当であるところ,この推認を覆すに足りる特段の事情は認められず,授業料不返還特約は9条1号に反し無効である。
B 授業料不返還特約は暴利行為の要件を満たし,公序良俗に反し無効である。
コンピュータ専門学校に入学した後,2学年の授業料の内金を支払ったが,その後2学年に進級する前に退学したとして,不当利得返還請求権に基づき支払った内金の返還を求めた。―大阪地判平成16年11月18日(第9条第1号)
@ 一般に在学契約は,準委任契約の性質を有しつつも,施設利用契約等の性質を併せ持つ複合的な無名契約であり,学生はいつでも将来に向けて在学契約を解約できる。
A 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任は消費者にある。
B 本件では,在学契約の解除が年度を超えた6月21日であると認定しつつ,退学の意思を表明したのが2月10日でありその後出席していないこと,学校側が定員を設けていることからは定員割れでも教員や施設を確保しておく必要があることなどから退学者がいてもそれをもって学校側に損害が生じたとは言い難い等として,本件では平均的損害の発生がないとし,新年度(4月1日以降分)の既払い学納金全額の返還請求を認めた。
専門学校合格後,入学を辞退した受験生が,全納した入学金及び運営協力金の返還を求めた。―大津簡判平成16年11月18日(第9条第1号)
 運営協力金を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
敷金として差し入れた家賃4ヶ月分の金員のうち,3.5ヶ月分を差し引く敷引特約は消費者契約法10条により無効であるとして返還を求めた。―佐世保簡判平成16年11月19日(第10条)
 賃貸借契約締結時に十分な説明のないまま敷金4ヶ月分のうち一律に3.5ヶ月分を差し引く敷引特約は10条により無効であり,また,建物につき自然損耗を超えた損害についての原状回復費用を認定する証拠もないとして,敷引特約にかかる金員全額について返還を命じた。
「保証金」として差し入れた家賃5.3ヶ月分の金員のうち,4.5ヶ月分を差し引く敷引特約は消費者契約法10条により無効であるとして返還を求めた。―大阪簡判平成16年11月30日(第10条)
 建物賃貸借契約に伴う保証金の返還について,敷引特約あるいは類似の契約に関する民法,商法上その他の法規上の任意規定はなく,また,賃借人の転居は自己都合であることなどから敷引特約は信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものということはできないとして,返還を否定した。
賃貸借契約終了時には賃借人から預託を受けた保証金から一定額を控除した残額を返還する約束をしたが,賃借人は,その約束は消費者契約法10条により無効として保証金の返還を求めた。―神戸簡判平成16年11月30日(平成17年7月14日神戸地判の原審)(第10条)
 本件特約は,10 条に違反しないとして,請求を棄却した。
賃貸マンションの解約時にクロスの汚れなどの自然損耗分の原状回復費用を借主に負担させる特約を理由に,敷金を返還しないのは違法として,家主に敷金20万円の返還を求めた。―大阪高判平成16年12月17日(平成16年3月16日京都地判の控訴審)(第10条)
 通常の使用による損耗(自然損耗)の修繕などにかかった費用を借主の負担と定めた入居時の特約について,「自然損耗等による原状回復費用を賃借人に負担させることは,契約締結にあたっての情報力及び交渉力に劣る賃借人の利益を一方的に害する」と判断し,10条に照らして無効とし,全額返還するよう命じた(民法90条により無効か否かを判断する必要はないとした。)。なお,本件賃貸借契約は平成13年4月の消費者契約法施行前だったが,施行後に合意更新されていることから,消費者契約法は適用できるとの判断も示した。消費者契約法に基づき自然損耗分を借主負担と定めた特約自体を無効とした全国で初めての判決である。
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は消費者契約法9条1号,10条により学納金の返還を求めた。―東京地判平成16年12月20日(第9条第1号)
 消費者契約法施行以前の契約については,返還義務を否定した。施行後の契約については,入学金以外の学納金は,9条1号により返金を認めたが,入学金は入学しうる地位の対価として返還義務を否定した。
有効期限切れのJR定期券の不正利用について2倍の違約罰を定めた規定に基づきJR が違約金請求した。―大阪地判平成17年1月12日(第10条)
 2倍の違約罰を定めた規定自体は10 条違反とはいえないが,同規定は不正使用の蓋然性が高いことが前提となっているから,不正使用の蓋然性が認められない期間についてまでこれを適用することは10条の法意に照らし許されないとして適用を制限した。
英会話講師資格取得講座を申し込み,入会金と受講料を振り込んだが,受講前に解約し,入会金と受講料の返還を求めた。―東大阪簡判平成17年1月27日(平成17年9月30日大阪地判の原審)(第10条)
 入学金等について理由の如何を問わず一切返金しないとの約款は10条に違反無効と認定し,返還を認めた。
通常の使用に伴う自然損耗分も含めて賃借人の負担で契約開始当時の原状に回復する旨の特約のある建物賃貸借契約の解約に際し,当該特約が無効であるとして敷金の返還を求めた。―大阪高判平成17年1月28日(平成16年6月11日京都地判の控訴審)(第10条)
 原状回復の要否の判断が専ら賃貸人に委ねられていることや,賃貸人が賃借人に代わって原状回復を実施した場合に賃借人が負担すべき費用を算出する基礎となる単価について上限の定めがないことに加え,集合住宅の賃貸借において,入居申込者は賃貸人側の作成した定型的な賃貸借契約書の契約条項の変更を求めるような交渉力を有していない一方,賃貸人は将来の自然損耗による原状回復費用を予測して賃料額を決定するなどの方法を採用することが可能であることなどから,当該特約はその具体的内容について客観性,公平性及び明確性を欠く点において信義則に反する程度に消費者の利益を一方的に害する者として10条により無効とされた。
敷金の約83%を差し引く敷引特約は消費者契約法10条により無効であるとして返還を求めた。―堺簡判平成17年2月17日(第10条)
 解約引特約が10 条違反と認定し全額返還を命じた。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―東京高判平成17年2月24日(平成16年3月22日東京地判の控訴審)(第9条第1号)
 授業料を返還しないとの特約は9 条1 号により無効であるとして返還を命じた。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。4月22日に辞退を申し出た者については,授業料の返還義務を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―東京高判平成17年2月24日(平成15年10月23日東京地判の控訴審)(第9条第1号)
 消費者契約法施行以前の契約については返還義務を否定した。消費者契約法施行後の授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。ただし,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については,「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。一般入試以外の場合には,当該学部・学科を第1志望とすることが出願資格であり,学納金等の返還を求めることは信義則違反とし,返還請求を認めなかった。
敷金等の返還請求に対し,賃貸人が,賃貸借契約書に,賃借人が原状回復をし賃貸人がその原状回復を承認した時を明け渡し日時とする旨,及び,前記承認まで賃借人は賃料の倍額相当の損害金を支払う義務がある旨の条項があることを主張した。―千葉簡判平成17年3月1日(第10条)
 社会一般に通常行われている賃貸借契約に比し賃借人に特に義務を負担させる条項が有効であるためには,賃借人に対しその義務の内容について説明がなされて,賃借人がその義務を十分に理解し,自由な意思に基づいて同意したことが必要であるとし,これを認めるに足る証拠はないとして,同条項について賃借人の意思を欠き無効であるとして,返還請求を認めた。また,原状回復条項について,自然損耗についてまで賃借人に負担させるものと定めたものではないとして,適用を制限した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―東京高判平成17年3月10日(平成16年3月30日東京地判の控訴審)(第9条第1号)
 消費者契約法施行以前の契約については返還義務を否定した。授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。但し,原告のうち4月1日以降に辞退を申し出た者については,授業料の返還を否定した。入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。
敷金返還請求に対し,賃貸人は,自然損耗部分も賃借人の負担とするという原状回復特約を主張した。―佐野簡判平成17年3月25日(第10条)
 本件原状回復特約について,自然損耗部分については賃貸人の負担とするのが合理的意思であり,これに反する内容で合意したとの特段の事情が窺われないので,賃貸人の意思を欠き無効とした。また,消費者契約法施行前の契約であっても,施行後に更新されている場合には同法の適用があるとし,本件原状回復特約は10条により無効であるから,いずれにせよ自然損耗部分についての返還請求を認めるべきとした。
入学金35万円,運営協力金35万円の合計70万円の学納金の返還を求めた。―京都地判平成17年3月25日(第9条第1号,第10条)
 本件納付金(入学金,運営協力金)の法的性質について,募集要項と過去5年間の決算内容を検討し,結局学校は本件納付金を経常的な運営費として取り扱っていることが明らかとし,入学者に負担させるべきであり,入学辞退者に負担させるには特段の事情が必要であるとして,入学辞退者が生ずることにより空きが増えることは特段の事情には当たらないとして,10条により不返還条項を無効とした。
大学の入学試験に合格し,学納金を納付した後に入学を辞退し,民法又は消費者契約法9条1号,10条により学納金の返還を求めた。―東京高判平成17年3月30日(平成16年4月30日東京地判の控訴審)(第9条第1号)
 消費者契約法施行以前の契約については返還義務を否定した。消費者契約法施行後の授業料を返還しないとの特約は9条1号により無効であるとして返還を命じた。ただし,原告のうち4月1日以降の入学辞退者については,授業料の返還を否定した。入学金については,「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。また,原審の平均的損害額であることの主張立証責任は事業者が負うという部分は削除され,消費者にあるとされた。
敷金の80%(40万円)を差し引く敷引特約は消費者契約法10条により無効であるとして返還を求めた。―大阪地判平成17年4月20日(第10条)
 本件敷引特約の趣旨を通常損耗部分の補修費に充てるものであるとして,敷金の額,敷引の額,賃料額,賃貸物件の広さ,賃貸借契約期間等を総合考慮して,敷引額が適正額の範囲内では本件敷引特約は有効とし,超える部分は無効として,本件では2割(10万円)の敷引は有効とした。
クリーニング業者である被告にブランド品の衣類のクリーニングを依頼した原告が、クリーニングによって当該衣類が劣化したなどとして、時価相当額の損害賠償及び慰謝料等の支払を求めたもの。―東京簡判平成17年4月27日(第8条)
 全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が設けている賠償基準(クリーニング事故賠償基準)が消費者契約法に抵触する旨の原告の主張は、この基準が本件請負契約の直接の特約となっているものではないこと、また、実質的に特約になっていると考えたとしても、原告は本件損害賠償の請求の根拠を民法634条2項、すなわり不完全履行の特則である請負契約の瑕疵担保責任に求めているのであるから、消費者契約法8条1項2号(債務不履行による損害賠償責任の免除特約)により無効であるとの主張は失当と考えるとした。
学納金の返還を求めた。―横浜地判平成17年4月28日(第9条第1号,第10条)
 入学金の法的性質について,学生としての地位を取得する対価とし,現実にその地位を取得するのは4月1日であるから,それ以前に入学を辞退した場合には返還すべきとし,不返還条項については,平均的損害を超える部分について返還すべきとした。平均的損害の主張立証責任は原告にあるとしつつ,立証が困難であることから,民事訴訟法248条により損害を認定した(30万円のうち20万円を返還すべきとした)。授業料については,返還すべきとした。
敷金返還請求に対し,賃貸人は,退去時に全内装分室内のカーペットの張替え,クロスの張替え,畳・襖の張替え及び退室清掃その他修復費用金額を居住年月日に関係なく,敷金より差し引くものとし,内装修復個所は居住日数に関係なく借主の復元責任とする原状回復特約を主張した。―京都簡判平成17年7月12日(平成17年12月22日京都地判の原審)(第10条)
 本件原状回復特約について,賃貸人が賃貸の当初における優越的地位を行使して賃借人に過大な義務を設定するものであるから,特約中通常損耗の原状回復費用を賃借人の負担とする部分は民法90条により無効と解すべきであるとし,自然損耗部分についての返還請求を認めた。
自動車の盗難の損害200万円について保険金請求した。譲渡後名義変更前に盗難にあった事案であり,保険会社は自動車保険約款一般条項5条(免責条項)を主張した。同条項が10条に反するか否かが争われた。―大阪高判平成17年7月13日(第10条)
 以下の理由から,10 条違反ではないとした。
@ 本件免責条項は,商法650条の適用を排除したものであるが,自動車保険の特殊性を考慮して定められたもので合理性があり,消費者の利益を一方的に害する内容のものとはいえない。
A 本件免責条項の「譲渡」の意義について,消費者が明確,平易に理解できるように,本件約款の文言の改訂について検討されることが望ましいとは考えられるが,不明確で信義則等に反するとまではいえない。
7ヶ月居住していた建物を退去した際に、敷引特約があることを理由に保証金(敷金)の返金を拒否された。敷金30万円のうち25万円(83.3%)を差し引く敷引特約は消費者契約法10条により無効であるとして返還を求めた。―神戸地判平成17年7月14日(平成16年11月30日神戸簡判の控訴審)(第10条)
 本件敷引特約は,民法にない義務を負担させるものであって,民法の適用による場合に比して消費者の義務を加重する条項であるとし,また,信義則に反し消費者の利益を一方的に害するかどうかについては,敷引特約はさまざまな要素を有するものが渾然一体となったものとの立場(いわゆる渾然一体説)に立ちつつ,賃貸借契約成立の謝礼(礼金),自然損耗の修繕費用,更新料免除の対価,空室損料,賃料を低額にすることの代償,といった要素について分析をし,いずれもその合理性を否定し,敷引特約は「賃貸事業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押しつけている状況にある」として,信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであると判断し,10条に違反し無効であるとし,25万円の返還請求を認めた。
ペンション経営者がインターネット広告掲載申込契約を締結し13日後にキャンセルをしたところ,約款に基づき70パーセントのキャンセル料を請求された。キャンセル料について合意が成立しているか否かが争われた。―富山簡判平成17年9月7日(第10条)
 被告にとって極めて不利益な条項であるにもかかわらず,キャンセル料について十分に説明を行ったと認めるに足りる証拠はなく,被告が書面上承諾したとの外形事実があることをもって,被告の真摯な承諾があったと認めることはできない,として,合意が成立していないと認定し,請求を棄却した。
※事業者であり消費者契約法の適用がない事案
挙式予定日から1年以上前に結婚式場の予約をし,その数日後に予約を取り消した場合において,予約金10万円の返還を認めない条項は10条,9条1項により無効であるとして,不当利得による返還請求をした。―東京地判平成17年9月9日(第9条第1号)
 挙式予定日の1年以上前から得べかりし利益を想定することは通常困難であり,仮にこの時点で予約が解除されたとしてもその後1年以上の間に新たな予約が入ることも十分期待し得る時期にあることも考え合わせると,その後新たな予約が入らないことにより被控訴人が結果的に当初の予定どおりに挙式等が行われたならば得られたであろう利益を喪失する可能性が絶無ではないとしても,そのような事態はこの時期に平均的なものとして想定し得るものとは認め難いとして,本件取消料条項は9条1号により無効であるとし,返還請求を認めた。
敷金20万円余りの返還を求めた。原状回復条項が公序良俗違反,消費者契約法10条違反かどうかが争われた。―京都地判平成17年9月27日(第10条)
 本件賃貸借契約が消費者契約法施行後に合意更新されていることから同法の適用を受けるとし,自然損耗分を借主負担と定めた部分を10条に違反するとし,返還請求を認めた。
英会話講師資格取得講座を申し込み,入会金と受講料を振り込んだが,受講前に解約し,入会金と受講料の返還を求めた。―大阪地判平成17年9月30日(平成17年1月27日東大阪簡判の控訴審)(第9条第1号,第10条)
 次の理由から,入学金2万円を除く既払い金25 万円の返還請求を認めた。
@ 本件受講契約は準委任契約である。
A 不解除条項は10条違反であり無効である。
B 不返還条項は9条1号の趣旨に反する。
C 入学金2万円は約定のクーリングオフ期間中申込者の受講枠を確保する対価(権利金)の性質を有する。
D 入学金部分について平均的損害を超えることの立証がない(9条1号の「平均的な損害」の立証責任が消費者にあることを前提)。
借契約の敷引特約(敷金25万円,敷引25万円)は自然損耗については本来賃貸人が負担すべきであるとの説明がなされておらず、敷引特約の趣旨や内容を理解して合意をなしたものではなく、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項であり消費者契約法10条により無効であるとして、保証金(敷金)の返還を求めた。―枚方簡判平成17年10月14日(第10条)
 本件敷引特約が,賃借人の故意過失によらない損耗まで負わせるものであること,賃借人には敷引特約のない物件を自由に選択できる状況にないのが現状であること,いわば賃借人の無知を利用して賃貸人の有利な地位に基づき一方的に賃借人に不利な特約として締結されたものであり賃借人の真の自由意思によったものとはいえず,信義に反する等として,10条に違反するとし,返還請求を認めた。
  ファッションに関する専門学校に入学した原告が,入学申込手続にあたり被告から受講課程の内容が実際とは違っていた点や,卒業生の就職率が100%であると説明を受けた点が不実告知,不利益事実の不告知にあたるとして4条1項1号,2項による在学契約の取消しを主張した。また,入学後に退学をしたことにより,学納金の返還を請求し,不返還条項が9条1号,10条に反するかどうかが争われた。―大阪地判平成17年10月21日(第9条第1号)
@ 不実告知,不利益事実の不告知については事実が認定できない。
A 本件専門学校の在学契約は無名契約である。
B 入学金は,在学契約を締結できる資格を取得し,これを保持しうる地位を取得することに対する対価とし,かかる地位をすでに取得した以上返還を求めることはできない。
C 「平均的な損害の額」(9条1号)とは,同一事業者が締結する多数の同種契約事案について,類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額をいう。
D 本件では,ひとつながりのカリキュラムの部分について平均的損害が認められるとして,授業料,教育充実費,施設・設備維持費の1カリキュラム分(半年分)を超える部分について,9条1号に違反するとして,返還請求を認めた。
E 10条違反は否定した。
敷金22万5000円他の返還を求めた。入居期間の長短を問わず75%を敷金から差し引くとの敷引条項が公序良俗違反,10条違反かどうかが争われた。―福岡地判平成17年10月24日(第10条)
 敷引について,新たなる賃借人のために必要となる賃貸物件の内装等の補修費用の負担等について,賃貸人と賃借人との間の利害を調整し,無用な紛争を防止するという一定の合理性があることは否定できないとしつつ,自然損耗部分について賃借人に二重に負担させることになってしまうとし,実際に補修工事費用として賃貸人が挙げているものについて目的物の通常の使用に伴う自然損耗を超える損耗の補修に要する費用であると直ちに断定しがたいこと等からは,75%もの敷引には正当な理由がないとし,前述の一定の合理性があることに鑑みて,敷金の25%を超えて控除するとの部分を10条に反して無効であるとして,75%の部分について返還請求を認めた(一部無効)。
解約引(敷引)された25万円の返還を求めた。敷引条項が10条違反かどうかが争われた。―明石簡判平成17年11月28日(第10条)
 以下の理由から,全額の返還請求を認めた。
@ 本件敷引条項は,賃借人に対し賃料以外の金銭的負担を負わせるものである。
A 敷引が関西地方で長年の慣行になっている,その他,敷引の合理性として主張する点(謝礼,自然損耗の修繕費用,更新料免除の対価,空室補償,賃料を低額にすることの代償)について,いずれも合理性を認めがたく,本件敷引特約は10条違反である。
敷金返還請求。自然損耗部分の修繕費用を借主の負担とする条項が10条違反かどうかが争われた。―東京簡判平成17年11月29日(第10条)
 以下の理由から,本件原状回復条項が10条に違反するとして,全額の返還請求を認めた。
@ 自然損耗等の原状回復費用を借主に負担させることは,借主に二重の負担を強いることになる。
A 本件原状回復条項は,自然損耗等に係る原状回復についてどのように想定し,費用をどのように見積もるのか,借主に適切な情報が提供されておらず,貸主が汚損,破損,あるいは回復費用を要すると判断した場合には,借主に関与の余地なく原状回復費用が発生する態様となっている。このように,借主に必要な情報が与えられず,自己に不利益であることが認識できないままされた合意は,借主に一方的に不利益であり,この意味でも信義則に反するといえる。
敷金35万円の返還を求めた。25万円を敷金から差し引くとの敷引条項が10条違反かどうかが争われた。―尼崎簡判平成17年12月6日(第10条)
 以下の理由から,24万5000円の返還請求を認めた。
@ 敷引について,賃貸借契約成立の謝礼,更新料の免除の対価,空室損料との主張には合理性がない。
A 賃料を低額にすることの代償との主張について,関西地方での敷引が長年の慣習となっており一定の合理性が認められ,関西地方では敷引があることを前提に賃料が低く設定されており,不合理ではない。
B 敷引特約は,保証金の額,敷引金額や控除割合,契約期間等を総合考慮して,敷引金の額が適正であればその限度で有効であり,適正額を超える部分についてのみ10条違反となる。
C 本件では,保証金の約71%を控除していること,賃料の約4ヶ月分,契約期間が1年との事情から,適正な敷引金はせいぜい保証金の3割の10万5000円である。
敷金返還請求に対し,賃貸人は,退去時に全内装分室内のカーペットの張替え,クロスの張替え,畳・襖の張替え及び退室清掃その他修復費用金額を居住年月日に関係なく,敷金より差し引くものとし,内装修復個所は居住日数に関係なく借主の復元責任とする原状回復特約を主張した。―京都地判平成17年12月22日(平成17年7月12日京都簡判の控訴審)(第10条)
 通常損耗部分の原状回復費用をを借主が負担することの合意は成立していないとして,通常損耗部分の返還請求を認めた。
中古車買取業者が中古車を117万円で購入したところ,約10日後に接合車であることが判明したとして,代金の返還請求をした。「本契約締結後,売主の認識の有無に係わらず,契約車両に重大な瑕疵(盗難車,接合車,車台番号改ざん車など)の存在が判明した場合には,買主は本契約を解除することができる」との条項が10条に反するか否かが争われた。―右京簡判平成18年3月10日(第10条)
@ 民法570 条にいう「隠れた瑕疵」とは,買主が瑕疵のあることを知らず,かつ,知らないことについて過失のない瑕疵をいい,買主に過失があったり,瑕疵の存在を発見したときから1年以内にしか解除権を行使できない。
A 本条項は買主が瑕疵の存在を知らないことについて過失がある場合も解除できるとなっているし,解除権の行使期間の定めがないから10年と解される。
B したがって,消費者(売主)の瑕疵担保責任を加重する条項であり,民法1条2項の信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するから,10条により同条項は無効である。
マンションの居室賃貸借契約で,中途解約をした借主が,敷金及び違約金の返還を求めた。敷引特約(家賃3ヶ月分,15万6000 円)及び中途解約違約金特約(家賃1ヶ月分)の効力が争われた。―福岡簡判平成18年3月27日(第9条第1号,(第10条))
 以下の理由から,敷引特約が10 条違反により無効であるとして返還請求を認め,違約金特約は有効であるとして違約金については返還請求を認めなかった。
@ 敷引特約は,その合意内容が当事者間において明確で,合理性があり,賃借人に一方的に不利益なものでなければ,直ちに無効とはいえない。
A しかし,敷引には合理性がない。
B 賃貸借期間1年以内の借主による一方的解約は,貸主に不測の損害を与えること,1ヶ月前の予告があったとしても,新たな借り主を見つけるには2ヶ月程度を要することから,本件特約は9条1項,10条には反しない。
敷金返還請求。敷引特約(35万円から30万円を差し引く)の効力が争われた。―木津簡判平成18年4月28日(第10条)
 以下の理由から,敷引特約が10条違反により無効であるとして返還請求を認めた。
@ 敷引特約は,その合意内容が当事者間において明確で,合理性があり,賃借人に一方的に不利益なものでなければ,直ちに無効とはいえない。阪神地区においては慣行として存在するのも事実。
A しかし,まだまだ賃貸人,賃借人間においては対等の立場で契約することは困難である。
B 敷引には合理性がない。
建物賃貸借における,保証金の返還請求。保証金45万円の内30万円を控除するとの条項の効力が争われた。―枚方簡判平成18年5月19日(第10条)
 以下の理由から,当該条項について,賃貸物件の価値を高めるものではなく,また,賃貸期間の長短に関係なく賃借人が交替する毎に生ずる費用(例えば不動産業者の仲介手数料)については有効であるが,それ以外については10条違反により無効であるとしてその部分について返還請求を認めた。
@ 民法に,賃借人に賃料以外の金銭的負担を負わせる旨の明文がないから,賃借人の義務を加重する条項である。
A 賃貸人側,賃借人側の事情を検討すると,賃貸期間の長短に関係なく賃借人が交替する毎に生ずる費用については,賃借人に負担させることも合理性があり,消費者の利益を一方的に害するとはいえない。
敷金返還請求。敷引特約の有効性が争われた。―大阪高判平成18年5月24日(京都地判平成17年(レ)67号の上告審)(第10条)
 通常損耗部分の原状回復費用をを借主が負担することの合意は成立していないとの原審判断を維持した。また,仮に合意が成立していたとしても,このような合意は許されないとも付言している。
建物賃貸借契約における保証金返還請求。保証金35万円の内25万円を控除するとの条項の効力が争われた。―大阪地判平成18年6月6日(大阪簡判平成17年(ハ)第70334号の控訴審)(第10条)
 敷引特約は特段の合理性,必要性がない限り10条違反により無効であり,本件でも合理性を認められないとした。なお,原審では保証金の3割相当額の敷引を有効としていたものを全部無効としたが,借主側の控訴・附帯控訴がなかったため,控訴棄却となっている。
建物建築請負契約を建築開始前に解約し,支払済みの契約金300万円から10万円を差し引いた金額の返還請求をした。「請負代金総額の3分の1または請負人に生じた損害額のどちらか高い方を賠償する」との条項の効力が争われた。―東京地判平成18年6月12日(第9条第1号)
 以下の理由から,当該条項について9条1項に違反し,10万円を超える限度で無効とし,返還請求を認めた。
@ 9条1号の「平均的な損害」とは,当該損害賠償額の予定条項において設定された解除の事由,時期等により同一の区分に分類される多数の同種契約事案の解除に伴い,当該事業者に生じる損害の額の平均値を意味する。
A 「平均的な損害の立証責任は事業者側にある。
B 本件条項は,解除の事由,時期を問わず一律に契約金の3分の1以上が平均的損害となるというものであるが,その合理性について立証はなく,本件解除の時期ではむしろ10万円を超えないことが明らか。
C 民訴法248条による損害額の認定は,損害が生じたことが立証されたがその額を立証するのが困難な場合の規定であり,本件では損害の立証がそもそも10万円を超えない範囲でしかされていないので,適用の前提を欠く。
学納金不返還特約は消費者契約法9条1号、同法10条、民法90条に反するため無効であるとして、入学金、授業料等の納入した学納金全額の返還を求めた。―高知地判平成18年6月27日(第9条第1号)
 社会人特別選抜入学試験を受験しながら年度末になって入学を辞退したからといって、学納金の返還を請求することが信義則に違反するとまではいえない。入学金は、入学手続事務の諸経費に要する手数料的なものという性質を一部有しているほか、入試合格者ないし入学者が当該大学に入学し得る地位を取得することについての対価(一種の権利金)の面を有するものである。原告は入学手続を完了しており、その後に原告が自己の都合で入学を辞退したとしても被告が入学金を返還すべき義務は負わない。また、本件不返還特約は消費者契約法9条1号に該当し授業料等については返還を認めた。
入学金、授業料等の学納金を納入した後に、他大学への入学等を理由に入学を辞退した原告らが、被告らの入学手続きに定められているが、学納金の不返還合意は民法651条2項但書の趣旨に反すること、消費者契約法9条1号の平均的損害を超えること、あるいは同法10条ないし、民法90条に該当することから無効であるとして、不当利得に基づき学納金の返還を求めた。―東京地判平成18年6月27日(第9条第1号)
 入学金を納入することによって、大学との間の在外契約を締結し得る地位を得たものであり、既履行部分の対価たる入学金を保持することが不当利得となる余地はない。授業料等については、不返還合意が、消費者契約法9条1号に違反するとして返還を認めた。
建物賃貸借契約における敷金返還請求。敷引特約が10条に違反するか否かが争われた。―大津地判平成18年6月28日(第10条)
 以下の理由から,敷引特約について10 条に違反するとして,全額の返還請求を認めた。
@ 1 条の趣旨からは,10条は,民法の一般条項によっては無効とはならない条項でも,事業者と消費者との間の情報力・交渉力の格差によって消費者の利益が不当に侵害されているものと評価される場合にはこれを無効とするとして消費者の利益を擁護する趣旨。
A したがって,民商法の規定に比べて過大な負担を追わせる条項がある場合には,事業者の側において(1)消費者が法的に負担すべき義務の対価であること,(2)契約締結時までにその旨の情報が提供され,格差が是正され,消費者が契約締結後になって初めて契約締結時に予定していたよりも不利益な状態に陥ったとはいえないことを立証すれば,10条違反にはならない。
B 賃料の一部前払い,更新料免除の対価,礼金という性質については,合理性がなく,説明もない。
建物及び駐車場の賃貸借契約の借主が,敷金の返還を求めた。貸主は,建物について敷引特約,駐車場について償却特約の合理性を主張し,同特約が10条に違反するか否かが争われた。―大阪高判平成18年7月26日(平成18年2月28日大阪地判の控訴審)(第10条)
 以下の理由から,建物について借主の故意過失による損傷部分について差引いた残額の保証金,駐車場について償却特約に基づく残額の保証金の返還を認めた。
@ 敷引特約,償却特約については,自然損耗料,空室損料等の趣旨を兼ね備えており,関西地方では長年の慣行となっており,一定の合理性があり,暴利行為と認められる場合を除き有効である。
A 本件敷引特約は,保証金60万円に対して50万円(約83%),賃料の6ヶ月分であり,10条に違反し無効である。
B 本件償却特約は,保証金3万3000円について年20%ずつ償却,賃料の約半月分にとどまり,チェーンゲートの保守管理に費用を要する等,暴利行為とまでは認めがたく,有効である。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―最判平成18年11月27日(平成17年4月22日大阪高判の上告審)平17(受)第1437号(第9条第1号)
・ 在学契約等に係る不返還特約のうち平均的な損害を超える部分に限って消費者契約法9条1号によって無効とされるとして、消費者契約法施行後(平成13年4月1日)に受験し3月31日までに辞退した者について、授業料等の返還を大学側に命じた。
・ 入学金については「入学しうる地位の対価」として大学側は返還義務を負わない。
・ なお、専願等を出願資格とする大学の推薦入学試験等の合格者については、入学辞退の時点において、当該大学において他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情のない限り、授業料等の返還義務を負わない。
・ 消費者契約法施行以前の事例については、大学側の授業料等の返還義務を認めない。
大学合格後、入学を辞退した受験生が、前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―最判平成18年11月27日平17(受)第1130号(第9条第1号)
・ 消費者契約法は、消費者と事業者との間で締結する契約を消費者契約として、包括的に同法の適用対象としており(2条3項)、すべての法人が同条2項の「法人」に該当するため、大学は事業者に当たり、したがって在学契約は消費者契約に該当する。よって在学契約に係る不返還特約は、違約金等条項にあたるとした。
・ 在学契約の解除に伴い大学に生ずべき平均的な損害は、一人の学生と大学との在学契約が解除されることによって当該大学に一般的、客観的に生ずると認められる損害をいい、これを超える部分については、事実上の推定が働く余地があるとしても、基本的には、不返還特約の無効を主張する学生において主張立証責任を負う、とした。
・ 一般に、4月1日には、学生が特定の大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきであり、在学契約の解除の意思表示がその前日までにされた場合には、原則として、大学に生ずべき平均的な損害は存しないものであって、不返還特約はすべて無効となるとし、不当利得に基づく授業料の返還請求を認めた。
大学合格後、入学を辞退した受験生が、前納した入学金及び授業料等の返還を求めた(原告のうち、一方は推薦入試による合格者であり、他方は一般入試による合格者)。―最判平成18年11月27日平17(受)第1158号、第1159号(第9条第1号)
 入学試験要項の定めにより、専願等を出願資格とされている推薦入学試験に合格して在学契約を締結した学生については、早期に有利な条件で当該大学に入学できる地位を確保していることに照らすと、契約締結時点で当該大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるといえるため、契約解除の時期が当該大学において当該解除を前提として他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り、大学には授業料等に相当する平均的な損害が生ずるとし、原告1名につき、特段の事情について審理を尽くさせるため、原審に差し戻した(他方の原告については、契約解除時点で、大学に入学することが客観的に高い蓋然性をもって予測されるような状況にはなく、当該契約の解除について大学に生ずべき平均的な損害は存しないものとして、授業料の返還請求を認めた。)。
賃借人が、敷金契約に基づき差し入れた保証金(敷金)45万円のうち、敷引特約に従って控除された未返還部分30万円についての返還を求めた。―大阪地判平成18年12月15日(第10条)
 本件敷引特約は、敷引をする趣旨が合理的なものと認められ、かつ、敷引契約の際に敷引の趣旨が賃借人に説明されて賃借人もこれを了解しているなど特段の事情のない限り、信義則に反して賃借人の利益を一方に害するものと解すべきであるが、本件において、特段の事情は認められない。よって本件敷引特約は、民法商法その他の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比べて賃借人の権利を制限する消費者契約の条項であり、かつ、信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものといえるから、消費者契約法10条により無効であるとした。
鍼灸学校の入学試験の合格後、入学を事態した受験生が、前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―最判平成18年12月22日(平成17年6月14日名古屋高裁の上告審)(第9条第1号)
・ 入学金については、入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものとして、鍼灸学校は返還義務を負わないとした。
・ 授業料等については、鍼灸学校等の入学試験に関する実情が大学のそれと格段に異なるというべき事情は見いだし難く、また、鍼灸学校等が、大学の場合と比較して、より早期に入学者を確定しなければならない特段の事情があることもうかがわれないことなどから、大学の場合と同じく、入学すべき年の3月31日までの在学契約の解除について、鍼灸学校に生ずべき平均的な損害は存しないとして、全額の返還義務を負うとした。
賃借人が、賃貸借契約に基づき交付した敷金35万円のうち、敷引特約に従って5万円しか返還されなかったことから、当該特約は消費者契約法10条により全部無効であると主張し、敷金残金30万円についての返還を求めた。―京都地判平成19年4月20日(第10条)
 本件敷引特約は、敷金の一部を返還しないとするものであるから、民法の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者である賃借人の権利を制限するものといえ、自然消耗について必要費の負担を二重に課し、敷金の85%を超える金額を控除するものであって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであると判断できるため、消費者契約法10条により、特約全体が無効であると認めた。
推薦入試で大学入学を認められた者が、入学前に入学を辞退し、既払いの入学金、授業料、後援会費の返還を求めた(なお、大学側に入学金の返還義務がないことについては、差戻し前の控訴審で確定している)。―東京高判平成19年5月23日(平成18年11月27日最判の差戻審)(第9条第1号)
 (授業料等の不返還条項が消費者契約法9条1号の損害賠償の額を予定する条項であることを前提に)「推薦入試においては、学生が在学契約を締結した時点で当該大学に入学することが客観的にも高い蓋然性をもって予測されるものというべきであるから、当該在学契約が解除された場合には、解除の時期が当該大学において当該解除を前提として他の入学試験によって代わりの入学者を通常容易に確保できる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り、当該大学には当該解除に伴い初年度に納付すべき授業料等及び諸会費等に相当する平均的な損害が生じるものというべきである」、との最高裁判断を受けて、本事案では、@本件在学契約は退学届が提出された平成14年3月13日に解除され、A当該時点においては、推薦入試はもとより一般入試に至るまですべての入学試験は終了し、かつ、すべての合格発表も完了していたものと認められるため、特段の事情が存在しないと認定し、(不返還条項に係る授業料等に相当する額は在学契約の解除によって大学側に生ずべき平均的損害を超えるものと認められないから)、大学側には授業料等及び後援会費の返還義務はないとした。
居住用マンションの賃貸借契約終了に伴い、賃貸人が預託された保証金から清掃費用、原状回復費用、解約手数料を控除して賃借人に返還したところ、賃借人が賃貸人に対し、保証金全額の返還を求めた。―京都地判平成19年6月1日(第9条第1号,第10条)
@ 本件原状回復特約条項中、通常の使用による損耗に対する原状回復費用を賃借人の負担とする部分は、賃借人の義務を加重し、信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであるから、消費者契約法10条により無効というべきであるとし、賃借人には支払義務がないとした。
A 本件物件は居住用マンションであり、賃貸人はこれを継続反復して賃貸していること及び賃借人による解約申入れから45日間は本件契約は継続するとされていることを考慮すれば、賃借人の中途解約によって控訴人に損害が生じるとは認められないから、本件解約手数料特約は消費者契約法9条1号に反して無効であり、賃借人には支払義務がないとした。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。消費者契約法施行前の事例であり,不返還条項が公序良俗違反か否かが争われた。―大阪地判平成15年9月19日((第9条第1号))
@ 入学金は,大学に入学しうる地位ないし資格の対価(一種の権利金)としての性質を有する。いったん地位を取得した以上返還する義務はない。
A その他の学納金については,本件大学が定員100名で,ほぼ毎年正規合格者のうち実際に入学する者が30%未満であり,学納金納付後に入学を辞退する者が20名以上いること,欠員補充のため繰り上げ合格させた者で納付後に辞退する者もいること,例年3月30日ころまで10回程度も繰り上げ合格を実施していること等から,欠員補充が困難となる一定時期以降,学納金不返還によって欠員が生じること及び欠員が生じた場合に発生する損害を下級的に回避しようと試みることは,全く不合理とは言い切れないず,いまだ公序良俗に反するとまでは言えないとして,返還を否定した。
大学合格後,入学を辞退した受験生が,前納した入学金及び授業料等の返還を求めた。―京都地判平成15年7月16日(平成16年8月25日大阪高判の原審)(第9条第1号)
@ 学納金の法的性格について,特段の事情がない限り,その名目にかかわらず,広い意味ではすべて大学等が提供する狭義の教育活動その他の役務,施設利用の対価であるとし,そのうち,入学金の法的性格について,学生としての地位を取得するについて一括して支払われるべき金銭であって入学に伴って必要な学校側の手続き及び準備のための諸経費に要する手数料の性格を併せ有するとした。
A 「平均的な損害の額」(9条1号)の主張立証責任は事業者が負うとした。
B 在学契約の始期となっている4月1日以降に入学を辞退した者については,入学金に対応する契約上の義務を履行したとして,入学金の返還を認めず,それ以外の学納金の返還を認めた。4月1日より前に入学を辞退した者については入学金と授業料の返還を命じた。いずれも,平均的損害の主張立証が不十分,またはないとした。
子犬の売買において,感染症に罹患した子犬が引き渡された後に同犬が死亡したことにつき,売買代金の返還を求めた。―東大阪簡判平成14年4月22日(平成15年9月26日大阪地判の原審)(第10条)
  生命保証制度に加入しなかった場合,販売会社は免責されるとの契約条項は,1 条及び10 条に照らして無効であるとして消費者からの請求を全面的に認めた。
LP ガスの切り替え工事,ボンベ交換の契約後1 年未満で販売会社を変更した場合には,88,000円の違約金を支払う旨の違約金条項は,消費者契約法9条1号により無効であると主張した。―さいたま地判平成15年3月26日(第9条第1号)
@ 「平均的な損害額」(9条1号)の主張立証責任は事業者にある。
A 本件においては,平均的な損害について事業者から具体的な主張立証がない以上,「平均的な損害」やそれを超える部分を認定することは相当ではないとし,88,000円の返金を命じた。
中古車販売の解約において車両価格の15%の損害賠償金と作業実費を請求するとの条項に基づき,販売会社が支払いを求めて提訴した。―大阪地判平成14年7月19日(第9条第1号)
@ 「平均的な損害の額」(9条1号)の立証責任について,同法が消費者を保護することを目的とする法律であること,消費者側からは事業者にどのような損害が生じ得るのか容易には把握しがたいこと,損害が生じていないという消極的事実の立証は困難であることなどに照らし事業者側が負うとした。
A 注文から2日後の撤回であること等から損害が発生しうるものとは認められないとして販売会社の請求を棄却した。
パーティーの予約を解約すると営業保証料として一律1人当たり5,229円徴収すると定めた規約は,「平均的な損害」を超える請求であるとして平均的な損害を超える請求を不服とした訴訟。―東京地判平成14年3月25日(第9条第1号)
@ 「平均的な損害の額」(9条1号)は,契約の類型ごとに合理的な算出根拠に基づき算定された平均値であり,解除の事由等の事情に照らして判断するのが相当であるとした。
A その上で,民事訴訟法248条を適用して「平均的な損害」を認定した。
不当な勧誘行為に関連する裁判例
(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
@ 不実告知(第4条第1項第1号)
・「重要事項について事実と異なることを告げること」
A 断定的判断の提供(第4条第1項第2号)
・「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき」
・「断定的判断を提供すること」
B 不利益事実の不告知(第4条第2項)
・「当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ」
・「当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったこと」
C 不退去(第4条第3項第1号)
・「当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず」
・「それらの場所から退去しないこと」
D 監禁(第4条第3項第2号)
・「当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず」
・「その場所から当該消費者を退去させないこと」
「絶対に稼げる」「誰でもできる」等の言葉を信じてパチンコの攻略情報を購入した消費者が、情報は全く効果がなかったことから、消費者契約法4条1項1号若しくは2号に該当するとして、契約を取り消し、不当利得に基づき情報料相当額の返還を求めた。―福岡地判平成19年2月20日( 断定的判断の提供)
 被告は、一連の契約を締結するについての勧誘に際し、本来予測することができないパチンコの出玉獲得数について断定的判断を提供し、原告はその内容が確実であると誤信し、これに基づいて支払をしたものと認め、契約の取消しによる不当利得返還請求を認めた。
「確実に当たる攻略情報をお教えします」等との勧誘を信じてパチスロ攻略情報料を支払った消費者が、当該勧誘行為は消費者契約法4条1項2号に規定する「断定的判断の提供」にあたり誤認したものとして、契約を取り消し不当利得の返還を求めた。一方被告は、原告は消費者契約法3条2項の努力義務に違反しているから同法による保護を受けることができないと主張した。―名古屋地判平成19年1月29日( 断定的判断の提供)
@ パチスロで利益を上げることができるか否かは不確実な事項であるにもかかわらず、被告は原告に対し、契約を締結する際、提供するパチスロ攻略情報に従って遊戯をすることによって、確実に利益を上げることができるとの断定的判断を提供し、原告は、同内容が真実であると誤認していることから、原告は、消費者契約法4条1項2号に基づき、契約を取り消すことができるとして、不当利得返還請求を認めた。
A 消費者契約法3条は私法的効果には影響を及ぼすものではないが、付言するに、3条2項により消費者に課せられた努力義務は、事業者から提供された情報を活用することを要請するものに過ぎず、消費者自ら情報を収集する努力までも要請するものではないとした。
マンション一室の売買契約締結に際し、販売業者が、眺望・採光・通風・景観等の良さを告げた一方で、近い将来隣地に建物が建築され住環境が悪化するという事実を知りながら告げなかったとして、消費者が、消費者契約法4条2項により売買契約を取り消し、不当利得返還請求権に基づき、マンションからの退去と引換えに、購入代金の返還を求めた。―東京地判平成18年8月30日(不利益事実の不告知)
 被告は、本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、本件建物の眺望・採光・通風といった重要事項について原告の利益となる旨を告げた一方、住環境が悪化するという原告に不利益となる事実ないし不利益を生じさせるおそれがある事実を故意に告げなかった結果、原告は本件マンション完成後すぐに隣地に建物が建設されることはないものと誤認し、契約申込みの意思表示をしたものというべきであるとし、売買契約の取消しによる不当利得返還請求を認めた。
補強金具販売業者から、補強金具をつけないと家が傾く旨の虚偽の事実を告げられ、高齢者が不必要な住宅リフォーム工事を契約させられ,クレジット契約を締結させられた等として,既払い金の返還請求をした。立替払契約について4条による取消しが認められるかが争われた。―小林簡判平成18年3月22日
 不要な工事代金の立替に使用されるという不利益事実が告げられておらず、ローン契約は消費者契約法4条により取り消すことができるとし、既払金の返還を認めた。
学習教材の訪問販売における,信販会社からの立替金請求。すでに別の業者から教育役務の提供を伴う学習教材を購入していた者に対し,別業者が訪問して他の業者の教材が古いこと,自分のところでも教育役務の提供をしていること,他の業者についてこのようにすれば解約でき,返戻金で教材を購入できると告げたことが,不実告知にあたるか否かが争われた。―東京高判平成18年1月31日(平成17年8月25日新潟地裁長岡支部の控訴審)(不実告知)
 以下の理由から,4条1項1号により教材売買契約の取消しを認め,割賦販売法30 条の4 の抗弁対抗を認めた。
@ 教育役務の提供の有無は,本件教材売買契約においては重要事項であるところ,不実告知がなされた。
A 教材購入の資金調達方法は,本件教材売買契約においては重要事項であるところ,業者の指示どおりにしても解約ができず資金調達ができなかったのであり,不実告知がなされた。
旅行主任者教材セットを購入した被告(消費者)が、原告の勧誘内容の不自然さに気付き、契約解除をしたところ、原告は解約料を支払わないと解約できないと解約に応じず、売買代金の請求を求めた。―名古屋簡判平成17年10月28日(不実告知)
 原告は被告に対し、本件契約締結の勧誘に際し、本件契約代金等を5年後に、ある協会に申請すれば特別奨励金として返還されると告げ、被告はそのような事実がないのにあると誤認して契約を締結したため、消費者契約法の不実告知を認定し、被告には本件契約の取消事由があると認定し、原告の請求を棄却した。
この化粧品を使えば十代の肌のようになり,しみもしわもなくなってきれいになる,併用して青汁を飲めばアトピーが治ると告げられ,ローン提携販売により化粧品と青汁を購入した者に対する,信販会社からの求償金請求に対し,不実告知,不利益事実の不告知等を理由として取消しを主張した。―佐世保簡判平成17年10月18日(不実告知)
@ この化粧品を使えば10 代の肌のようになり,しみもしわもなくなってきれいになるとの説明について,表示自体が一義的でなく,主観的要素を多分に含むので不実告知にあたらないとした。
A 健康食品に医薬品的効能があるなど医薬品等との混同が生ずるような広告,表示は,それ自体事実でないというべきであるとし,化粧品と併用して青汁を飲めばアトピーが治ると告げたことが不実告知にあたるとして取消しを認めた。
B 契約から約11 ヶ月後に取消しの意思表示をした点について,誤認に気づいたのが8 ヶ月後であったとして,信販会社の時効主張を排斥した。
C 信販会社からの4条5項の「第三者」にあたるとの主張を排斥して,抗弁の対抗(割賦販売法30 条の4)を認めた。
浴衣を買いに来た客に対し,高額な喪服セットの購入を長時間勧誘しクレジット契約を締結させた事案で,クレジット会社から立替金請求がなされた。4条3項2号及び5条1項による取消しが争われた。―名古屋簡判平成17年9月6日 (監禁)
 以下の理由から,4 条3 項2 号,5 条1 項により,立替払契約の取消しを認めた。
@ 4 条3項2号の「退去する旨の意思を示した」とは,消費者契約法の目的からは,「時間がない,用事がある,要らない」等の間接的に退去の意思を示す場合が含まれ,「その場所から当該消費者を退去させないこと」とは,退去の意思の表示があったのに,当該消費者を当該場所から退出させるのを困難にさせた場合を広く意味し,当該消費者にとって心理的にでも退去させない状況になっていれば足りる。
A 本件では,午後2時から3時ころから午後11時ころまでの勧誘であったこと,夕方6時に保育園に子どもを迎えに行く用事があったこと,「要らない」と告げていること,相談センターに相談が相当数寄せられていたことなどから,4条3項2号にあたる。
B 当該勧誘・契約締結の6日後に書換をしているが,その際も取消しを要請したにもかかわらず断られた経緯からは,当初の勧誘による困惑が継続していたものであり,取り消しうる。
高齢の女性が宝石貴金属販売会社の従業員からホテルでの展示会に連れ出され,帰宅したいと告げたにもかかわらず勧誘を続けられやむなくネックレスを購入し,クレジット契約を締結させられた。信販会社からの立替金請求に対し,消費者契約法4条3項2号(退去妨害)による取消しを主張した。―札幌地判平成17年3月17日(監禁)
@ 販売店が信販会社との立替払契約について顧客を勧誘することを委託することは5条1項の委託にあたる。
A 顧客が,販売店従業員に対し,帰宅したいと告げたにもかかわらず勧誘を続けられ退去させられず,困惑してネックレスの購入,立替払契約を締結させられたとして,4 条3項2号により,立替払契約の取消しを認めた。
MBAの資格取得のために,アメリカのビジネススクールの留学試験への合格を目的として,事業者が開講する授業を受講したが,留学に必要なすべてが確実になるとか,個別指導をする旨の募集要項等において標榜されていた事項が実際には全く違っていたので,消費者契約法4条1項1号による取消し等を主張した。―東京地判平成17年1月31日(不実告知)
 契約した一部のコースについては,留学に必要なすべてが確実になるような内容のものではなく,個別指導方式とはほど遠い内容のものであり,その部分の契約については取消しを認めた。残りのコースは,特定商取引法の継続的役務提供に当たり,中途解約による返金が認められた。
商品先物取引において断定的な判断を提供して取引の勧誘をしたとして,消費者契約法4条1項2号により契約の取消しを主張した。業者は,商品先物取引には取引所という第三者が存在しており消費者契約法4条5項により善意の第三者に対抗できないから消費者契約法を適用できないと争った。―名古屋地判平成17年1月26日(断定的判断の提供)
@ 2条により商品先物取引には消費者契約法の適用があるとした。
A 「灯油は必ず下げてくる,あがることはあり得ないので,50枚売りでやってほしい。」「上場企業の部長の私を信用して30枚やってもらえませんか。」「当たりの宝くじを買うみたいなものですよ。」「責任をもって利益をとって,お盆休みあけには,私が現金を持っていきます。」等の勧誘につき,断定的判断を提供して取引の勧誘をしたとして,4 条1項2号により契約の取消しを認めた。
訪問販売で日本語をよく話せない中国人に教材を売りつけた事案で,信販会社が立替金を請求した。―東京簡判平成16年11月29日(不実告知)
  月々の支払額が1 万2000 円であると説明し説明したが実際にはその倍以上の引き落としであったこと等について不実告知と認め,4条1項による取消しを認めた。騙されたことを知った後に立替金を支払っていたとしても,取り消し得べきことを十分には理解していなかったとして,追認の主張を排斥し取消しを認めた。
内職商法で月2万円は確実に稼げると勧誘されてシステム(CD-ROM)を購入させられた者が,断定的判断の提供を受けたとして消費者契約法4条1項2号による取消しを求めた。―東京簡判平成16年11月15日(断定的判断の提供)
 月2万円は確実に稼げるとの発言は断定的判断の提供にあたるとして4条1項2号による取消しを認めた。
電話機及び主装置一式のリース契約に基づきリース会社がリース料の支払いを求めたのに対し,リース契約の当事者ではない取扱店の従業員による勧誘が不実告知にあたるとして契約の取消しを主張した。―大阪簡判平成16年10月7日(不実告知)
 当該リース契約の締結に関し,申し込みの勧誘から契約書等の作成,契約内容の説明などは当該取扱店が行っていたことを前提に,当該従業員が光ファイバーを敷設するためにはデジタル電話に替える必要があり,電話機を交換しなければならない旨を告げたため被告(消費者)がこれを信じたとし,4条1項1号による契約の取消しを認めた。
マンションの購入の際,ペットの飼育に関する販売業者の説明が不適切であったためペットの飼育が可能であると誤信して購入契約を締結させられたとして,説明義務違反による損害賠償請求(債務不履行責任)又は不利益事実の不告知(消費者契約法4条2項)による取消し等に基づく不当利得の返還を求めた。―福岡地判平成16年9月22日(不利益事実の不告知)
 マンション販売業者は制定予定の管理組合規約等の内容を説明する限りにおいてペット飼育の可否ないしその制限等についても説明する義務を負うとしたが,管理組合規約は管理組合総会によって制定,改正されるものであるから,販売業者がマンション販売に際し説明しうるのは制定予定の管理組合規約等の内容に限られ,それを超えてペット飼育の可否についての説明義務までは負わないとして債務不履行責任を否定した。マンションにおけるペット飼育の可否はマンション売買契約における重要な事項であったとしたが,販売業者による説明は制定予定の管理組合規約の解釈を述べたにすぎず,また,購入者は本件マンションに入居する以前もマンションにおいて管理上一定の制約を受けつつペットを飼っていたことからすれば,利益となる事実を告げたとはいえないとして,不利益事実の不告知による取消しを否定した。
易学受講契約及びこれに付随する契約(改名・ペンネーム作成,印鑑購入)について,勧誘方法が違法・不当であることを理由として契約の取消しを主張し,既払金の返還を求めた。―大阪高判平成16年7月30日(平成15年10月24日神戸地裁尼崎支部の控訴審)(断定的判断の提供・監禁)
 易学受講契約(一審は退去妨害による取消しを認めた。)につき,契約締結場所を退去した翌々日に授業料等の一部を支払ったことが民法125条1号所定の債務の一部の履行に該当し,取り消し得べき行為を追認したものとして,4 条3項2号による取消しを認めなかった(但し,当該契約自体は公序良俗に反し無効とした。)。付随契約(一審は断定的判断の提供による取消しを認めた。)につき,4条1項2号にいう「その他将来における変動が不確実な事項」とは消費者の財産上の利得に影響するものであって将来を見通すことがそもそも困難であるものをいうと解すべきであり,漠然とした運勢,運命といったものはこれに含まれないとして,取消しを認めなかった(但し,易学受講契約及びその付随契約について、勧誘方法、契約締結の経緯、価格が異常に高額であること、消費者の身上などをあわせ考慮すると、著しく不公正な勧誘行為によって、不当に暴利を得る目的をもって行われたと言うべきものであり、公序良俗に反し無効とした。)。
通信機器のリース契約に基づきリース会社がリース料の支払いを求めたのに対し,当該リース契約の締結に際し,リース契約の当事者ではない取扱店の従業員による勧誘が不実告知にあたるとして,契約の取消しを主張した。―神戸簡判平成16年6月25日(不実告知)
 取扱店とリース会社との密接な関係を前提に,当該従業員による勧誘が「NTT の回線がアナログからデジタルに変わります。今までの電話が使えなくなります。この機械を取り付けるとこれまでの電話を使うことができ,しかも電話代が安くなります。」と虚偽であったことに関し,4 条1項1号による契約の取消しを認めた。
一般市場価格として41万4000円と表示された値札を付けて陳列されていたファッションリングを29万円で購入した購入者に対し,信販会社が立替金の支払いを求めた。―大阪高判平成16年4月22 日(不実告知)
 一般的な小売価格は4 条4 項1 号に掲げる重要事項に該当し,これに不実告知があったとして,購入者による契約の取消しを認めた。
自宅の床下に拡散送風機等を設置する請負契約を締結するにつき,退去すべき旨の意思を表示したにもかかわらず退去しないことにより困惑し,それによって契約を締結したとして,契約を取り消すとともに,業者に対して既払い金の返還を,信販会社に対しては抗弁の対抗を求めた。―大分簡判平成16年2月19日(不退去)
 「そのようなものは入れんでいい,必要ない。」「帰ってくれ。」「換気扇は必要ない,私らを騙しているんじゃないんか。」などと言っているにもかかわらず,午前11時ころから午後6時30分ころまで勧誘して契約を締結したことにつき,不退去により困惑して契約を締結したものとして,請負契約の取消しを認め,業者に対して既払い金の返還請求を,信販会社に対しては抗弁対抗を認めた。
パソコン内職をすれば月々5 万円以上の収入になるといわれて教材をクレジットで購入したが,その収入が稼げなかったため消費者契約法4条1項1号等により取り消し,クレジット会社に既払い金の返還を求めた。―大阪簡判平成16年1月9日(不利益事実の不告知)
 4条2項により取消しを認め,クレジット会社に対し代金の返還を命じた。
パソコン講座の受講生が,厚生労働省の教育訓練給付制度を利用して受講することを希望していたが,講座運営者の説明不足のために同制度を利用できなかったとして,不法行為に基づき受講料相当の損害金等の支払を求めた。―大津地判平成15年10月3日(不利益事実の不告知)
@ 消費者契約法施行前(平成13 年2 月28 日に受講申し込み)の事案であったが,同法1条,3条1項及び4条2項の趣旨を根拠として,事業者は取引上の信義則により適切な告知・説明義務を負うとして,損害賠償の一部を認容した。
A 損害について,受講料全額ではなく,給付制度が利用できれば得られたであろう給付金額部分のみを損害として認め,かつ,受講申し込みの際,給付制度を利用して受講することを申し出ていないことから3条2項の趣旨及び公平の見地から2割を過失相殺した。
絵画のクレジット代金を支払わなかった消費者に対し、クレジット会社が代金の支払いを求めた。―東京簡判平成15年5月14日(監禁)
@ 販売店の担当者が「退去させない」旨告げたわけではないが,担当者の一連の言動はその意思を十分推測させるものであり,販売店の不適切な勧誘行為に困惑し,自分の意に反して契約を締結するに至ったものであるとして,4条3項2号に該当する。
A 取消権を行使した日は契約日から6 ヶ月以上経過していたが,商品の引渡日からは6 ヶ月が経過していなかったところ,引渡しを受けた段階でもいまだ困惑状態が継続していたとして,引渡しの時から取消権の行使期間が進行するとして,取消権の行使は有効である。
歌手志望で俳優等養成所に入所直後,思っていたものと違うとして消費者契約法の不実告知等による取消し等を主張し,支払済費用の返還を求めた。―神戸簡判平成14年3月12日(不利益事実の不告知)
 3 ヶ月後の月謝の値上げを告げなかったことが不利益事実の不告知に該当するとして取消しを認めた。
事業者からの旅行情報提供サービス会員の入会金請求訴訟に対し,消費者が支払方法につき不実告知等による取消しを主張した。―川越簡判平成13年7月18 日(不実告知)
@ 事業者の説明内容の評価について,1 条の趣旨から,事業者の専門的な常識を前提に個々の説明の意味内容を確定することは妥当ではなく,当該契約時の状況を基礎として平均的な消費者を基準にして評価すべきものであるとした。
A その上で,事業者の説明内容について,サラ金からの借入が条件であるのに,自社割賦であるかのような説明内容であったとして,不実告知による取消しを認めた。
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