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相続情報

《未成年者控除》
(未成年者控除)
法第19条の3第1項の未成年者控除の規定は、財産を取得した者が相続を放棄したことにより相続人に該当しないこととなった場合においても、その者が無制限納税義務者で20歳未満の者に該当し、かつ、当該被相続人の民法第5編第2章の規定による相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)に該当するときは、適用がある。
(婚姻した者の未成年者控除)
法第19条の3第1項の未成年者控除の規定は、民法第753条((婚姻による成年擬制))の規定により成年に達したものとみなされた者についても適用がある。
(胎児の未成年者控除)
民法第886条に規定する胎児が生きて生まれた場合におけるその者の未成年者控除額は、120万円となる。
(未成年者に相続税額がない場合の未成年者控除)
相続又は遺贈により財産を取得した者(制限納税義務者を除く。)が当該相続に係る被相続人の民法第5編第2章の規定による相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)に該当し、かつ、20歳未満の者である場合においては、その者について法第15条から第19条の2までの規定により算出した相続税額がない場合においても、その者に係る未成年者控除額は、法第19条の3第2項の規定によりその者の扶養義務者の相続税額から控除するものとする。
(法第19条の3第3項に規定する「第1項の規定による控除を受けることができる金額」)
法第19条の3第3項に規定する「第1項の規定による控除を受けることができる金額」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者(制限納税義務者を除く。)が当該相続の前に開始した相続によって財産を取得した際に控除することができる未成年者控除額をいうのである。
(注) 上記の「控除することができる未成年者控除額」は、当該相続の前に開始した相続が昭和62年以前であっても、昭和63年法律第109号附則第28条の規定により、現行の法第19条の3第1項の規定を適用し、当該相続の前に開始した相続の際のその者が20歳に達するまでの年数1年につき6万円の割で計算することとされている。
(死亡している相続時精算課税適用者からの未成年者控除)
被相続人である特定贈与者よりも先に相続が開始した相続時精算課税適用者については、法第19条の3第2項の規定の適用はない。
《障害者控除》
(一般障害者の範囲)
法施行令第4条の4第4項に規定する「一般障害者」とは、次に掲げる者をいう。
(1) 児童相談所、知的障害者更生相談所(知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第12条第1項((知的障害者更生相談所))に規定する知的障害者更生相談所をいう。)、精神保健福祉センター(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第6条第1項((精神保健福祉センター))に規定する精神保健福祉センターをいう。)若しくは精神保健指定医の判定により知的障害者とされた者のうち重度の知的障害者とされた者以外の者
(2) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第45条第2項((精神障害者保健福祉手帳))の規定により交付を受けた精神障害者保健福祉手帳に障害等級が二級又は三級である者として記載されている者
(3) 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第15条第4項((身体障害者手帳))の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害の程度が3級から6級までである者として記載されている者
(4) (1)、(2)又は(3)に掲げる者のほか、戦傷病者特別援護法(昭和38年法律第168号)第4条((戦傷病者手帳の交付))の規定により交付を受けた戦傷病者手帳に記載されている精神上又は身体上の障害の程度が次に掲げるものに該当する者
イ 恩給法(大正12年法律第48号)別表第一号表の二の第四項症から第六項症までの障害があるもの
ロ 恩給法別表第一号表の三に定める障害があるもの
ハ 傷病について厚生労働大臣が療養の必要があると認定したもの
ニ 旧恩給法施行令(大正12年勅令第367号、恩給法施行令の一部を改正する勅令(昭和21年勅令第504号)による改正前のものをいう。)第31条第1項に定める程度の障害があるもの
(5) 常に就床を要し、複雑な介護を要する者のうち、精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に準ずる者として市長村長又は特別区の区長(社会福祉法(昭和26年法律第45号)に定める福祉に関する事務所が老人福祉法(昭和38年法律第133号)第5条の4第2項各号((福祉の措置の実施者))に掲げる業務を行っている場合には、当該福祉に関する事務所の長。以下「市町村長等」という。)の認定を受けている者
(6) 精神又は身体に障害のある年齢65歳以上の者で、精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に準ずる者として福祉事務所の長の認定を受けている者
(特別障害者の範囲)
法施行令第4条の4第4項に規定する「特別障害者」とは、次に掲げる者をいう。
(1) 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又は児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた者
(2) 精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級である者として記載されている者
(3) 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が1級又は2級である者として記載されている者
(4) (1)、(2)又は(3)に掲げる者のほか、戦傷病者手帳に精神上又は身体上の障害の程度が恩給法別表第一号表の二の特別項症から第三項症までである者として記載されている者
(5) (3)及び(4)に掲げる者のほか、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号)第11条第1項((認定))の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者
(6) 常に就床を要し、複雑な介護を要する者のうち、精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に準ずる者として市町村長等の認定を受けている者
(7) 精神又は身体に障害のある年齢65歳以上の者で、精神又は身体の障害の程度が(1)又は(3)に準ずる者として市町村長等の認定を受けている者
(障害者として取り扱うことができる者)
相続開始の時において、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けていない者、身体障害者手帳の交付を受けていない者又は戦傷病者手帳の交付を受けていない者であっても、次に掲げる要件のいずれにも該当する者は、(一般障害者の範囲)の(2)、(3)若しくは(4)に掲げる一般障害者又は(特別障害者の範囲)の(2)、(3)若しくは(4)に掲げる特別障害者に該当するものとして取り扱うものとする。
(1) 当該相続に係る法第27条の規定による申告書を提出する時において、これらの手帳の交付を受けていること又はこれらの手帳の交付を申請中であること。
(2) 交付を受けているこれらの手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けるための精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則(昭和25年厚生省令第31号)第23条第1項第1号((精神障害者保健福祉手帳))に規定する医師の診断書若しくは同項第2号に規定する精神障害を支給事由とする年金たる給付を現に受けていることを証する書類又は身体障害者手帳若しくは戦傷病者手帳の交付を受けるための身体障害者福祉法第15条第1項若しくは戦傷病者特別援護法施行規則(昭和38年厚生省令第46号)第1条第4号((手帳の交付の請求))に規定する医師の診断書により、相続開始の時の現況において、明らかにこれらの手帳に記載される程度の障害があると認められる者であること。
(障害者控除額の計算例)
相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものに係る贈与を含む。)により財産を取得した特別障害者が、当該相続の開始前に開始した相続の時に一般障害者として法第19条の4第1項の規定により障害者控除を受けていた場合において、同条第3項において準用する法第19条の3第3項の規定により、今回控除を受けることができる金額の算出方法を算式で示せば、次のとおりである。
{12万円×(70−Y)+6万円×(Y−X)}−A
(注) 算式中の符号は、次のとおりである。
Xは、初めて障害者控除の規定の適用を受ける一般障害者の当該相続(以下この(注)において「前の相続」という。)開始時の年齢
Yは、前の相続に係る相続税額の計算上障害者控除の規定の適用を受けた者の今回の相続開始時の年齢
Aは、前の相続に係る相続税額の計算上控除を受けた障害者控除額
(障害者控除のための計算期間の端数処理)
法施行令第4条の4第4項第2号に規定する「当該前の相続開始の時から前号の相続開始の時までの期間に相当する年数」又は「当該前の相続開始の時から同条の規定の適用に係るその直後の相続開始の時までの期間に相当する年数」が1年未満であるとき又はこれに1年未満の端数があるときは、これを1年とする。
(死亡している相続時精算課税適用者の障害者控除)
被相続人である特定贈与者よりも先に相続が開始した相続時精算課税適用者については、法第19条の4第1項及び同条第3項の規定により準用される法第19条の3第2項の規定の適用はない。
《相次相続控除》
(相次相続控除の算式)
法第20条に規定する相次相続控除額の算出方法を算式で示すと、次に掲げるとおりである。
A×C÷(B-A)(求めた割合が100/100を超えるときは100/100とする。)×(d/C)×((10-E)/10)=控除額
(注) 算式中の符号は、次のとおりである。
Aは、第二次相続に係る被相続人が第一次相続により取得した財産(当該第一次相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)につき課せられた相続税額(相続時精算課税の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、当該課せられた贈与税の税額(法第21条の8の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)を控除した後の金額をいう。)
Bは、第2次相続に係る被相続人が第1次相続により取得した財産(当該第1次相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)の価額(債務控除をした後の金額)
Cは、第2次相続により相続人及び受遺者の全員が取得した財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)の価額(債務控除をした後の金額)
Dは、第2次相続により当該控除対象者が取得した財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)の価額(債務控除をした後の金額)
Eは、第1次相続開始の時から第2次相続開始の時までの期間に相当する年数(1年未満の端数は切捨て)
(第2次相続に係る被相続人の範囲)
法第20条の規定は、第2次相続に係る被相続人がその相続の開始前10年以内に開始した相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む。)によって取得した財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)につき課せられた相続税額について適用があるのであって、第2次相続に係る被相続人の被相続人が納付した相続税額については適用がない。
《在外財産に対する相続税額の控除》
(邦貨換算)
法第20条の2の規定による控除税額は、法施行地外にある財産について、その地の法令により課された相続税に相当する税額を、その納付すべき日における対顧客直物電信売相場により邦貨に換算した金額によるものとする。ただし、送金が著しく遅延して行われる場合を除き、国内から送金する日の対顧客直物電信売相場によることができるものとする。
(「当該財産の価額」等)
法第20条の2に規定する「当該財産の価額」とは同条に規定する相続又は遺贈により取得した法施行地外にある財産の価額の合計額から当該財産に係る債務の金額を控除した額をいい、「課税価格計算の基礎に算入された部分」とは債務控除をした後の金額をいうものとする。
(相続税の税額控除等の順序)
法第19条から第20条の2までの規定による相続税の税額控除等の順序は、次によるものである。
(1) 法第19条第1項の規定により控除される贈与税額控除
(2) 配偶者に対する相続税額の軽減
(3) 未成年者控除
(4) 障害者控除
(5) 相次相続控除
(6) 在外財産に対する相続税額の控除
(注) 先順位の税額控除をして、相続税額が零となる場合又は当該税額控除の金額が控除しきれない場合は、後順位の税額控除をすることなく、その者の納付すべき相続税額はないものとなる。
《特別障害者に対する贈与税の非課税》
 法第21条の4第1項の規定により非課税とされる価額は、同項の規定の適用を受ける同項に規定する特別障害者1人について6,000万円を限度とする。
《贈与税の配偶者控除》
(居住用不動産の範囲)
法第21条の6第1項の規定による贈与税の配偶者控除の適用を受けられる者が取得した次に掲げる土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋は、同項に規定する居住用不動産に該当するものとして取り扱うものとする。
(1) 受贈配偶者が取得した土地等又は家屋で、例えば、その取得の日の属する年の翌年3月15日現在において、店舗兼住宅及び当該店舗兼住宅の敷地の用に供されている土地等のように、その専ら居住の用に供している部分と居住の用以外の用に供されている部分がある場合における当該居住の用に供している部分の土地等及び家屋
なお、この場合において、その居住の用に供している部分の面積が、その土地等又は家屋の面積のそれぞれのおおむね10分の9以上であるときは、その土地等又は家屋の全部を居住用不動産に該当する。
(2) 受贈配偶者がその者の専ら居住の用に供する家屋の存する土地等のみを取得した場合で、当該家屋の所有者が当該受贈配偶者の配偶者又は当該受贈配偶者と同居するその者の親族であるときにおける当該土地等
なお、この場合における土地等には、受贈配偶者の配偶者又は当該受贈配偶者と同居するその者の親族の有する借地権の設定されている土地(いわゆる底地)を含むものである。
(3) 受贈配偶者が店舗兼住宅の用に供する家屋の存する土地等のみを取得した場合で、当該受贈配偶者が当該家屋のうち住宅の部分に居住し、かつ、当該家屋の所有者が当該受贈配偶者の配偶者又は当該受贈配偶者と同居するその者の親族であるときにおける当該居住の用に供している部分の土地等
(店舗兼住宅等の居住用部分の判定)
受贈配偶者の居住の用に供している家屋のうちに居住の用以外の用に供されている部分のある家屋及び当該家屋の敷地の用に供されている土地等に係る.(居住用不動産の範囲)に定めるその居住の用に供している部分は、次により判定するものとする。
(1) 当該家屋のうちその居住の用に供している部分は、次の算式により計算した面積に相当する部分とする
当該家屋のうちその居住の用に専ら供している部分の床面積(A)+当該家屋のうちその居住の用と居住の用以外の用とに併用されている部分の床面積(B)×(A/(当該家屋の床面積-B))
(2) 当該土地等のうちその居住の用に供している部分は、次の算式により計算した面積に相当する部分とする。
当該土地のうちその居住の用に専ら供している部分の面積+当該土地のうちその居住の用と居住の用以外の用とに併用されている部分の面積×((当該家屋の面積のうち(1)の算式により計算した面積)/(当該家屋の床面積)
(店舗兼住宅等の持分の贈与があった場合の居住用部分の判定)
配偶者から店舗兼住宅等の持分の贈与を受けた場合には、.(店舗兼住宅等の居住用部分の判定)により求めた当該店舗兼住宅等の居住の用に供している部分の割合にその贈与を受けた持分の割合を乗じて計算した部分を居住用不動産に該当するものとする。
ただし、その贈与を受けた持分の割合が.(店舗兼住宅等の居住用部分の判定)により求めた当該店舗兼住宅等の居住の用に供している部分(当該居住の用に供している部分に受贈配偶者とその配偶者との持分の割合を合わせた割合を乗じて計算した部分をいう。)の割合以下である場合において、その贈与を受けた持分の割合に対応する当該店舗兼住宅等の部分を居住用不動産に該当するものとして申告があったときは、法第21条の6第1項の規定の適用に当たってはこれを認めるものとする。また、贈与を受けた持分の割合が.(店舗兼住宅等の居住用部分の判定)により求めた当該店舗兼住宅等の居住の用に供している部分の割合を超える場合における居住の用に供している部分についても同様とする。
(注) 相続の開始の年に当該相続に係る被相続人から贈与により取得した居住用不動産で特定贈与財産に該当するものについて法第21条の6第1項の規定を適用する場合において、.(店舗兼住宅等の持分の贈与があった場合の居住用部分の判定)のただし書に準じて当該居住用不動産に該当する部分の計算を行っているときは、同項の適用を受ける居住用不動産は.(店舗兼住宅等の持分の贈与があった場合の居住用部分の判定)のただし書により計算するものとする。
(家屋の増築)
法第21条の6第1項に規定する「取得」には、家屋の増築を含むものとする。
(居住用不動産と同時に居住用不動産以外の財産を取得した場合)
配偶者から贈与により取得した金銭及び当該金銭以外の資金をもって、居住用不動産と同時に居住用不動産以外の財産を取得した場合には、法第21条の6第1項の規定の適用上、当該金銭はまず居住用不動産の取得に充てられたものとして取り扱うことができるものとする。
(適用の順序)
法第21条の6第1項の規定の適用を受ける場合には、贈与税の基礎控除に先立って贈与税の配偶者控除を行うのである。
(贈与税の配偶者控除の場合の婚姻期間の計算)
法第21条の6に規定する婚姻期間を計算する場合において、その計算した婚姻期間に1年未満の端数があるときであっても、その端数を切り上げない。したがって、その婚姻期間が19年を超え20年未満であるときは、贈与税の配偶者控除の適用がない。
(法第21条の6第1項に規定する「当該配偶者」)
法第21条の6第1項に規定する「当該配偶者」とは、今回の贈与者である配偶者をいう。
(信託財産である居住用不動産についての贈与税の配偶者控除の適用)
受贈配偶者の取得した信託に関する権利(法第9条の2第6項ただし書に規定する信託に関する権利及び法第9条の4第1項又は第2項の規定により贈与により取得したものとみなされる信託に関する権利を除く。)で、当該信託の信託財産に属する資産が次に掲げるいずれかのものである場合には、当該信託に関する権利(次に掲げるいずれかのものに対応する部分に限る。)は、居住用不動産に該当する。
(1) 当該信託の信託財産に属する土地等又は家屋が居住用不動産に該当するもの
(2) 当該信託の委託者である受贈配偶者が信託した金銭により、当該信託の受託者が、信託財産として取得した土地等又は家屋(当該信託の委託者である受贈配偶者が信託した金銭(法第21条の6第1項に規定する配偶者から贈与により取得した金銭に限る。)により取得したもので、かつ、当該金銭に対応する部分に限る。)が居住用不動産に該当するもの
この場合において、受贈配偶者が、法第21条の6第2項の規定により贈与税の申告書に添付すべき規第9条第2号に掲げる居住用不動産に関する登記事項証明書については、当該土地等又は家屋に係る信託目録が含まれたものが必要である。
相続時精算課税における相続税の納付義務の承継等
 相続時精算課税適用者が特定贈与者よりも先に死亡した場合の相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務はどのように承継されるか。
1. 特定贈与者の死亡以前にその特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合には、その相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務(以下「相続時精算課税の適用に伴う権利義務」といいます。)を承継します。
この場合、相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)が2人以上いる場合の各相続人が承継する相続時精算課税の適用に伴う権利義務の割合は、民法第900条から第902条まで(法定相続分・代襲相続分・指定相続分)に規定する相続分(その特定贈与者がいないものとして計算した相続分)によります。
2. なお、相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者のみである場合には、相続時精算課税の適用に伴う権利義務はその特定贈与者及び相続時精算課税適用者の民法第889条の規定による後順位の相続人となる者には承継されず消滅することになります。
3. 相続時精算課税適用者が死亡した後にその特定贈与者が死亡した場合には、相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)が、その相続時精算課税適用者に代わって相続税の申告をすることとなりますが、その申告をするまでは、納付すべき税額が算出されるか、あるいは還付を受けることができる税額が算出されるかが明らかでないことから、相続時精算課税適用者の死亡に係る相続税額の計算においては、この相続時精算課税の適用に伴う納税に係る義務は、当該相続時精算課税適用者の死亡に係る相続税の課税価格の計算上、債務控除の対象とはなりません。
相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者である父母のみの場合の納税に係る権利義務の承継
 長男Aは、父母から財産の贈与を受け、父母それぞれからの贈与について相続時精算課税の適用を受けていました。長男Aの相続人は特定贈与者である父母だけですが、長男Aが特定贈与者である父母よりも先に死亡した場合、長男Aの納税に係る権利義務は承継されず消滅することになるか。
特定贈与者の死亡以前にその特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合には、その相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継します。
この場合、相続時精算課税適用者の相続人が承継する還付を受ける税額又は納税する税額については、遺産分割にかかわらず民法第900条から第902条までに規定する相続分(相続時精算課税適用者の相続人のうちに特定贈与者がある場合には、当該特定贈与者がないものとして相続分を計算します。)により按分した金額とされています。
したがって、特定贈与者である父から贈与を受けたことに伴う納税に係る権利義務は、Aの相続人である母が承継し、また、特定贈与者である母から贈与を受けたことに伴う納税に係る権利義務は、Aの相続人である父が承継することとなります。
承継相続人が特定贈与者より先に死亡した場合の再承継
 相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者より先に死亡した場合、相続時精算課税の適用に伴う納税に係る権利義務は更に承継されるか。
特定贈与者の死亡以前にその特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡したことから、その相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)が相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継している場合において、その相続人(以下「承継相続人」といいます。)が特定贈与者より先に死亡したときには、その承継相続人の相続人(包括受遺者を含み、特定贈与者を除きます。以下「再承継相続人」といいます。)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用に伴う権利義務を承継することになります。
なお、再承継相続人が特定贈与者より先に死亡した場合には、その相続時精算課税の適用に伴う権利義務はその再承継相続人の相続人には承継されず消滅することになります。
受贈者が外国に居住している場合の相続時精算課税の適用
 10年前から英国に居住する甲(40歳)は、M市に在住する父(70歳)からM市の土地の贈与を受ける予定です。甲は、当該贈与について相続時精算課税の適用を受けることができるか。
受贈者が外国に居住している場合についても、相続時精算課税の要件を満たしているときは、贈与について相続時精算課税の適用を受けることができます。
したがって、今回のケースも相続時精算課税の要件を満たす限り、当該贈与について相続時精算課税の適用を受けることができます。
20歳以上になった時以後の住所が戸籍の附票の写しで証明されない場合の相続時精算課税選択届出書の添付書類
 子が父より贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けるために、相続時精算課税選択届出書の添付書類の一つである戸籍の附票の写しの交付を受けたのですが、25歳で結婚する以前の戸籍の附票の保存期間(除籍となった「戸籍の附票」の発行は、除籍から5年間)が過ぎており、その写しの交付を受けることができませんでした。
この場合、交付を受けることができた戸籍の附票の写しのみの添付では、20歳から25歳までの期間の住所又は居所が証明されないことから、相続時精算課税の適用を受けることはできないか。
相続税法施行規則第11条第1項第1号においては、相続時精算課税選択届出書の添付書類の一つとして「相続時精算課税選択届出書の提出をする者の戸籍の謄本又は抄本及び戸籍の附票の写しその他の書類でその者の氏名、生年月日及びその者が20歳に達した時以後の住所又は居所・・・を証する書類」が掲げられています。
したがって、今回の場合には、交付を受けることができた戸籍の附票の写しのみの添付では、20歳から25歳までの期間の住所又は居所が証明されないため、必要な書類が添付されていないこととなりますので相続時精算課税の適用を受けることはできません。
しかし、20歳から25歳までの期間の住所又は居所を確認できる書類と交付を受けることができた戸籍の附票の写しを相続時精算課税選択届出書に添付すれば、相続時精算課税の適用を受けることができます。
なお、同号に掲げる書類は、その者に係る平成15年1月1日以後の住所又は居所を証する書類に代えることができます。
相続時精算課税を選択した場合の少額贈与についての贈与税の申告の要否
 相続時精算課税を選択した場合には、特定贈与者から、暦年課税に係る贈与税の基礎控除額(110万円)以下の贈与を受けた場合であっても贈与税の申告は必要ですか。
相続時精算課税をいったん選択した場合の特定贈与者からの贈与については、暦年課税に係る贈与税の基礎控除の適用を受けることはできませんので、「相続時精算課税選択届出書」を提出した年分以降、特定贈与者からの贈与により取得した財産については、その金額の多寡にかかわらず、すべて贈与税の申告をしなければなりません。
なお、贈与税の期限内申告書の提出がない場合には、相続時精算課税の特別控除の適用を受けることはできません。
また、将来の特定贈与者の死亡に係る相続税の計算において、相続時精算課税の選択後における特定贈与者から贈与を受けた財産については、贈与税の申告の有無にかかわらず相続時精算課税適用者の相続税の課税価格に算入されることとなります。
暦年課税に係る少額贈与の申告書への記載の要否
 同一年中に贈与を受けた財産について相続時精算課税と暦年課税の適用を受ける場合において、暦年課税に係る財産の価額が基礎控除額(110万円)以下であっても、当該暦年課税に係る財産についても申告書に記載する必要があるか。
相続税法第28条第1項においては、「贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る第21条の5、第21条の7及び第21条の8の規定による贈与税額があるとき又は当該財産が第21条の9第3項の規定の適用を受けるものであるときは、・・・・・・課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。」と規定されており、この場合の課税価格とは、基礎控除額(110万円)控除前の額(相続税法第21条の6の規定の適用を受ける場合には同項の規定の適用前の額)をいうとされています。
したがって、今回の場合には、贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けることから、暦年課税に係る財産の価額が基礎控除額(110万円)以下であっても暦年課税に係る財産について申告書に記載する必要があります。
期限後申告になったことによる相続時精算課税に係る贈与税の特別控除額の翌年以降への繰越し
 相続時精算課税適用対象財産に係る贈与税の期限後申告については特別控除の適用を受けることができないこととされていますが、その特別控除に相当する額は翌年以降に繰り越すことができるか。
相続時精算課税に係る贈与税の特別控除は、贈与税の課税価格から特定贈与者ごとに各年にわたり2,500万円までを限度(累積)として控除することができることとされています。
ところで、相続税法第21条の12第1項第1号かっこ書において「既にこの条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額」と規定され、翌年以降、特定贈与者から財産の贈与を受けた場合の贈与税の計算は、前年以前において適用を受けなかった金額を含めて計算することとされています。
したがって、期限後申告になったことにより適用を受けなかった特別控除の額は、翌年以降に繰り越すことができます。
相続時精算課税適用財産について評価誤り等が判明し修正申告を行う場合の特別控除の適用
 特定贈与者から贈与を受けた財産に係る贈与税の期限内申告書に記載された課税価格が、申告期限後に、申告漏れ財産を把握したことや申告した財産について評価誤りがあったことにより増加した場合には、修正申告により増加する課税価格についても相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の適用を受けることはできるか。
相続時精算課税の特別控除は、期限内申告書に控除を受ける金額その他必要な事項の記載がある場合に限り適用を受けることができることとされています。
また、相続時精算課税の適用を受ける財産について上記の事項の記載がない贈与税の期限内申告書の提出があった場合において、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認めるときには、その記載をした書類の提出があった場合に限り、特別控除の適用を受けることができることとされています。
したがって、申告期限後に申告漏れ財産を把握した場合には、期限内申告書に特別控除の適用を受けようとする財産としてその申告漏れ財産の記載がないことから、特別控除の適用を受けることはできません。
一方、申告期限後に申告した財産について評価誤りがあった場合には、期限内申告書に特別控除の適用を受けようとする財産として既に記載があることから、正しい控除を受ける金額の記載がなかったことについてやむを得ない事情があると税務署長が認める場合には、正しい控除金額を記載した修正申告書の提出があったときに限り、修正申告により増加する課税価格についても特別控除の適用を受けることができます。
特定贈与者から贈与を受けた財産について遺留分減殺請求に基づき返還すべき額が確定した場合の課税価格の計算
 特定贈与者から贈与を受けた財産について遺留分減殺請求に基づき返還すべき額が確定した場合、当該贈与財産の価額は、特定贈与者の死亡に係る相続税の計算において相続時精算課税適用者の相続税の課税価格に算入しなくてもよいか。
相続税法は、遺留分減殺請求に基づき返還すべき又は弁償すべき額が確定した場合において、それにより財産の返還を受けた者(価額弁償を受けた者を含みます。)は、相続税の申告(期限後申告又は修正申告)をすることができることとし、反面、財産を返還した者(価額弁償をした者を含みます。)は、既に申告した贈与税について更正の請求をすることができる旨規定しています。
したがって、特定贈与者から贈与を受けた財産について遺留分減殺請求を受け、その返還すべき又は弁償すべき額が確定した場合、既に申告した贈与税については更正の請求をすることによりその財産の価額から次に掲げる算式により求めた価額を控除したところで減額更正されることとなります。また、特定贈与者の死亡に係る相続税の計算において相続税精算課税適用者の相続税の課税価格に算入される財産の価額は、減額更正後の価額となります。
20億円未満要件の判定にあたっての特定同族会社株式等の範囲
 特定贈与者(甲)から相続(平成19年10月死亡)した特定株式(A社株式)について特定事業用資産の特例の適用を受けることとしていますが、前年以前に甲からの贈与により取得したB社の株式(B社株式:B社の株主総会において議決権を行使できる事項の一部について制限された株式)がある場合には、そのB社株式は租税特別措置法第69条の5第2項第7号ロに規定する要件(20億円未満要件)の判定に含まれるか。
なお、相続開始の直前において甲はB社株式を保有していません。
特定同族会社株式等に係る20億円未満要件の判定は、次のi又はiiに掲げる各法人ごとに次の算式により計算した金額(同一の法人がi及びiiのいずれの法人にも該当する場合には、又はに掲げる法人のうちいずれかに該当するものとして計算した金額をいいます(重複計算は要しません。)。)の合計が20億円未満であることとされています。
(算式) その法人の発行済株式総数等×相続開始の時の1株又は1口当たりの時価
(注)1  「発行済株式総数等」には、法人の株主総会又は社員総会において議決権を行使できる事項の全部又は一部について制限された株式等が含まれます。
2  「相続開始の時の1株又は1口当たりの時価」は、原則的評価方式により評価した場合の時価となります。
i 被相続人が相続開始の直前に有していた特定株式等に係る法人(租税特別措置法第69条の5第2項第7号イの要件を満たす法人)
ii 被相続人が生前に贈与した特定受贈株式等に係る法人(その贈与の直前及びその贈与の時に租税特別措置法第69条の5第2項第8号イの要件を満たす法人)
 (注)iiの特定受贈株式等には、贈与税の申告の際に租税特別措置法第69条の5第10項の規定に基づく届出をしなかったものも含まれます。
ところで、上記のii「被相続人が生前に贈与した特定受贈株式等」には、贈与の時において議決権の全部又は一部について制限された株式等は含まれないこととされています。
今回の場合、B社株式は法人の株主総会において議決権を行使できる事項の一部について制限された株式ですので、「被相続人が生前に贈与した特別受贈株式等」には該当しません。
したがって、B社株式は20億円未満要件の判定には含まれません。
特定同族会社株式等に係る特例適用限度株数等に端数がある場合
 特定同族会社株式等に係る法人であるA社の相続開始の時における発行済株式総数は10,000株です。A社の株式について特定事業用資産の特例の適用を受ける場合の限度株数を計算すると6,666.666…となり割り切ることができません。
この場合、A社株式に係る特例適用限度株数は何株になりますか。
特定事業用資産の特例の対象となる特定同族会社株式等とは、「当該特定株式又は特定出資に係る法人の当該相続開始の時における発行済株式の総数又は出資の総額の3分の2に達するまでの部分」と規定されていることから、端数部分を含む概念と解されています。
したがって、今回の場合、6,666.666…株までが特例適用限度株数ということになります。
なお、この場合、特例の対象として選択した株式の株数は、端数部分を含め、特例適用限度額である10億円に達するまで特例の適用を受けることができます。
(注) 租税特別措置法第69条の5第2項第8号に規定する特定受贈同族会社株式等についても同様です。
同一会社の株式について贈与により取得したものと相続(又は遺贈)により取得したものがある場合の特定事業用資産の特例の適用順序
 被相続人である特定贈与者(甲)の相続財産として、特定株式であるA社株式(相続開始時における発行済株式総数は90,000株)が60,000株(相続開始時の1株当たりの時価は10,000円)ありますが、甲は、生前、子3人に対し、A社株式をそれぞれ10,000株ずつ贈与(贈与時における発行済株式総数は90,000株、贈与時の1株当たりの時価は5,000円)し、子3人はいずれも贈与を受けた株式(特定受贈株式)について租税特別措置法第69条の5第10項の規定に基づく届出を行っています。
この場合、特定株式であるA社株式(60,000株)から優先して特定事業用資産の特例の適用を受けることができるか。
特定同族会社株式等とは、特定株式等で一定の要件を満たすもののうち、その特定株式等に係る各法人の相続開始の時における発行済株式総数等の3分の2に達するまでの部分をいうこととされています。
そして、上記「3分の2に達するまでの部分」については、被相続人である特定贈与者から贈与を受けたその法人に係る特定受贈株式等で租税特別措置法第69条の5第10項の規定に基づく届出がなされたものがある場合には、次の算式により計算された割合に達するまでの部分をいうこととされています。
(算式)
(2÷3)-A A=その届け出た贈与に係る特定受贈株式等の株数等÷その届け出に係る贈与の時におけるその各法人の発行済株式総数等
今回の場合、被相続人である甲から贈与を受けた特定受贈株式等で租税特別措置法第69条の5第10項の規定に基づく届出が出されたA社株式の数が既に30,000株あることから、特定株式であるA社株式(60,000株)の内、特定同族会社株式等に該当するのは30,000株だけとなります。したがって、特定株式であるA社株式(60,000株)から優先してその全部について特定事業用資産の特例の適用を受けることはできません(相続財産のA社株式について特例の適用を受けることができるのは、最大30,000株です。)。
特定受贈同族会社株式等として届け出た法人が特定贈与者に係る相続開始の日までに倒産により解散した場合の特例の適用の可否
 特定受贈同族会社株式等として届け出た株式に係る法人が、特定贈与者に係る相続開始日までに倒産により解散しました。
この場合、その特定受贈同族会社株式等について特定事業用資産の特例の適用を受けるための選択をすることができるか。
被相続人である特定贈与者から贈与により取得した特定受贈同族会社株式等に係る法人が解散(合併による解散を除きます。)をし、かつ、その法人の純資産がないときには、その特定受贈同族会社株式等を取得した個人がその特定受贈同族会社株式等(解散によりその個人が有しなくなったものに限ります。)を特定贈与者の死亡により開始した相続に係る相続税の申告期限まで引き続き有していたものとみなして、特定事業用資産の特例の適用を受けることができることとされています。
したがって、今回の場合、租税特別措置法第69条の5第2項第12号イに規定する特定事業用資産に係る要件を満たすときには、特定事業用資産の特例の適用を受けるための選択をすることができます。
(注) 今回の場合、特定受贈同族会社株式等の相続税の課税価格に加算する価額は、その特定受贈同族会社株式等に係る贈与時の価額となりますが、倒産後において20億円未満要件の判定を行う場合のその特定受贈同族会社株式等の価額は零円となります。
特定贈与者の相続開始時に上場していた特定受贈同族会社株式等に係る特例の適用の可否
 租税特別措置法第69条の5第10項の規定の適用を受けた特定受贈同族会社株式等であるA社株式は、被相続人である特定贈与者の相続開始時に上場していました。
この場合、そのA社株式について、特定事業用資産の特例の適用を受けることができるか。
特定受贈株式とは、被相続人である特定贈与者が贈与(相続時精算課税の適用を受ける財産に係る贈与に限ります。)をした株式で、贈与の時において、「当該株式に議決権の制限がないこと、当該株式に係る法人の株式のすべてが金融商品取引所に上場されていないことその他財務省令で定める要件を満たす」ものとされています。
したがって、今回の場合、被相続人である特定贈与者から贈与を受けた時に、特定受贈株式に係る要件を満たすときには、その後、上記の要件を満たさなくなったときであっても、その他一定の要件を満たす限り特例の適用を受けることができます。
選択特定事業用資産として選択した複数の法人に係る株式のうち1法人について特定事業用資産相続人等の要件を満たしていないことが判明した場合の特例の適用の可否
 特定贈与者(甲)は、子(乙)に対し、特定受贈株式であるA社株式及びB社株式を贈与しました。甲の死亡に係る相続税の課税価格を計算する際に、特定受贈同族会社株式等であるA社株式及びB社株式の両方について特定事業用資産の特例の適用を受けることとし相続税の申告を行いましたが、その後選択特定事業用資産であるA社株式については、特定事業用資産相続人等に係る役員要件を満たしていないことが判明しました。
この場合、A社株式及びB社株式に係る特例の適用関係はどのようになるか。
贈与により特定受贈同族会社株式等を取得した個人に係る特定事業用資産相続人等であるための要件とは、次に掲げる要件のすべてを満たすものとされています。
@ 当該個人が、当該特定受贈同族会社株式等に係る相続時精算課税適用者であること。
A 当該特定受贈同族会社株式等に係る贈与の時から被相続人である特定贈与者の死亡により開始した相続に係る申告期限を経過する時までの間のうち一定の期間について、選択特定事業用資産である特定受贈同族会社株式等に係るすべての法人について、当該法人の役員等一定の地位にあること。 次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
イ 特定受贈同族会社株式等に係る贈与の時において、選択特定事業用資産である当該特定受贈同族会社株式等に係るすべての法人について、当該法人の発行済株式の総数又は出資の総額のそれぞれ5%以上の株式又は出資を有していること。
ロ 特定受贈同族会社株式等に係る贈与の時において、当該個人並びに当該個人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び一親等の姻族が、選択特定事業用資産である当該特定受贈同族会社株式等に係るすべての法人について、当該法人の発行済株式の総数又は出資の総額のそれぞれ25%以上の株式又は出資を有していること。
 今回の場合、乙は、選択特定事業用資産として選択したA社株式について特定事業用資産相続人等に係る上記の要件を満たしていないことから特定事業用資産相続人等に該当していなかったことになります。
したがって、乙は、A社株式又はB社株式のいずれについても特例の適用を受けることはできませんが、修正申告によりB社株式を改めて選択することで、租税特別措置法第69条の5第9項の規定により特例の適用を受けることができます。
特定受贈同族会社株式等に係る法人が合併した場合の役員要件の判定期間
 乙は、特定贈与者である父(甲)から、特定受贈株式であるA社株式の贈与を受け(贈与の日において乙は45歳)、その株式について租税特別措置法第69条の5第10項の規定に基づく届出を行っていました。
その後、A社はB社に吸収合併(消滅会社:A社、存続会社:B社)された結果、甲及び甲の親族等(以下「甲グループ」という。)が有するB社の持株割合は2分の1未満となり、かつ、丙グループ(甲グループに係る構成員はいません。)が有するB社の持株割合は甲グループの持株割合を超える期間があったものの、丙グループが有するB社株式の一部を甲グループが譲り受けたことにより、甲グループの有するB社株式の持株割合は2分の1超に復帰しました。
この場合、甲の死亡に係る相続税の申告において、特定受贈同族会社株式等であるB社株式について特定事業用資産の特例の適用を受けることができるか。
特定事業用資産の特例の適用を受けることができる特定事業用資産相続人等の要件の一つとして、特定受贈同族会社株式等に係る贈与の時から被相続人である特定贈与者の死亡により開始した相続に係る申告期限を経過する時までのうち一定の期間について選択特定事業用資産である特定受贈同族会社株式等に係るすべての法人について、その法人の役員その他一定の地位にあることを要件(役員要件)とし、被相続人である特定贈与者の死亡により開始した相続に係る申告期限を経過する時までに一定の事由が生じた場合には、その事由が生じた時までの期間を基に特定事業用資産相続人等に係る役員要件を判定することとされています。
今回の場合の役員要件は、乙が甲から贈与を受けた日から、A社がB社に吸収合併される日までの間の100分の80に相当する期間において判定することとなりますので、その期間において乙がA社の役員その他一定の地位にあったときには、特定事業用資産相続人等に該当することから、特定受贈同族会社株式等に係るその他の要件を満たす限り、特定事業用資産の特例の適用を受けることができます。
特定事業用資産相続人等に係る株式保有割合の判定における議決権の制限がある株式等
 特定事業用資産相続人等に係る要件について、租税特別措置法第69条の5第2項第11号ロ(3)の(i)に規定する「当該法人の発行済株式の総数又は出資の総額」のその「株式」及び「出資」並びに「当該法人に係る株式又は出資」のその「株式又は出資」に議決権の制限がある株式又は出資は含まれるか。
また、同号ロ(3)の(ii)に規定する「当該法人の発行済株式の総数又は出資の総額」のその「株式」及び「出資」並びに「当該法人に係る株式又は出資」のその「株式又は出資」についてはどうか。
租税特別措置法第69条の5第2項第11号ロの規定中の「株式」又は「出資」には、議決権の制限がある株式又は出資は含まれません。
(注) 「議決権の制限がある株式又は出資」とは、次に掲げるものをいいます。
@ 会社法第108条第1項第3号に規定する議決権を行使することができる事項の全部について制限がある株式(出資)
A 同法第105条第1項第3号に規定する議決権の全部について制限がある株主(出資者)の有する株式(出資)
B 同法第308条第1項又は第2項に規定する議決権を有しないものとされる株主(出資者)の有する株式(出資)
 から以外の株式(出資)で議決権のないもの
遺留分減殺請求により相続時精算課税に係る贈与財産を取得した遺留分権利者に係る相続税の課税関係
 被相続人である特定贈与者(甲)の相続人(乙)は、甲の生前、相続時精算課税に係るA社株式の贈与を受けていました。しかし、被相続人である特定贈与者の死亡に際し、他の相続人(丙)が、当該贈与は丙に係る遺留分を侵害するものであるとして、乙に対し遺留分減殺請求を行い、A社株式の返還を受けました。
この場合、当該返還を受けたA社株式の相続税の課税価格に算入される価額は、丙が相続時精算課税に係る財産の贈与を受けた時の価額となりますか、あるいは、相続開始時の価額となるか。
相続税法では、遺留分減殺請求に基づき返還すべき又は弁償すべき額が確定した場合において、それにより財産の返還を受けた者(価額弁償を受けた者を含みます。)は、相続税の申告(期限後申告又は修正申告)をすることができることとされています。
今回の場合、丙が乙に対して遺留分減殺請求を行使しなかったときには、甲の死亡に係る相続税の課税価格は、乙が相続時精算課税に係る贈与を受けたA社株式の当該贈与時の価額を加算した価額が相続税の課税価格となりますが、丙が乙に対して遺留分減殺請求権を行使したことにより、甲と乙との贈与契約はその効力を失い、A社株式は他の相続人である丙に帰属することとなります。
したがって、丙は、A社株式を相続により取得したこととなるため、返還を受けたA社株式の相続税の課税価格に算入される価額は、相続開始時の価額(価額弁償を受けた場合には当該価額)となります。
【特定同族株式等の贈与を受けた場合の特例(相続時精算課税)】
1.平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に20歳以上である子が60歳以上65歳未満の親から「特定同族株式等」の贈与(その特定同族株式等の贈与価額の合計額が500万円以上となる場合の贈与に限ります。)を受け、かつ、その年12月31日においてその特定同族株式等に係る法人の役員等の地位を有する場合において、確認日の翌日から2月以内に確認書を納税地の所轄税務署長に提出することが確実であると見込まれるときは、その特定同族株式等の贈与について相続時精算課税を選択することができます。
(注)1 「特定同族株式等」とは、株式や合名会社又は合資会社の出資で、議決権の制限がなく、上場株式や店頭売買有価証券ではないものをいいます。
2 「確認日」とは、贈与をした年の翌年3月15日から4年を経過する日(その子又は親が贈与をした年の翌年1月1日からその経過する日までの間に死亡した場合等にはその死亡の日等となります。)をいいます。
3 「確認書」とは、確認日において、子が下記2(2)の要件を満たし、かつ、その法人の代表者が2人以上いないことなどについて、その法人の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する経済産業局長が確認をしたことを証する書類をいいます。
2. この特例の適用を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
(1)  贈与の時において特定同族株式等に係る法人の代表者が2人以上おらず、かつ、贈与の直前及び贈与の時においてその法人の発行済株式又は出資の時価総額(相続税評価額による総額)の合計額が20億円未満であること。
(2)  贈与者である親が、贈与の直前において、法人の代表者であり、発行済株式の総数又は出資の総額並びに議決権の50パーセント超をそれぞれ有していること。
(3)  この特例の適用を受けることについて、贈与者である親の推定相続人のすべての同意を得ていること。
(特別控除の特例)
1 平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に20歳以上である子が60歳以上の親から上記(相続時精算課税の特例)の1及び2の要件を満たす特定同族株式等の贈与を受けた場合には、相続時精算課税を選択することができ、2,500万円の相続時精算課税の特別控除額のほかに、500万円の特定同族株式等特別控除額を控除することができます。
特定居住用宅地等の要件の一つである「相続開始時から申告期限まで引き続き当該家屋に居住していること」
 被相続人甲と同居していた相続人Aは、被相続人の居住の用に供されていた宅地を相続しましたが、相続税の申告期限前に海外支店に転勤しました。
なお、相続人Aの配偶者及び子は、相続開始前から相続税の申告期限まで引き続き当該宅地の上に存する家屋に居住しています。
この場合、当該宅地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当するか。
相続人Aの配偶者及び子の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況からみて、当該家屋がAの生活の拠点として利用されている家屋といえる場合、すなわち、転勤という特殊事情が解消したときは、家族と起居を共にすることになると認められる家屋といえる場合については、甲に係る相続開始の直前から申告書の提出期限までAの居住の用に供していた家屋に該当するものとみるのが相当ですから、Aの取得した宅地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当します。
なお、相続人Aの配偶者及び子が、相続税の申告期限前に当該宅地の上に存する家屋に居住しないこととなった場合には、当該宅地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当しません。
租税特別措置法第69条の4第3項第2号ロに規定する「相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋」の範囲
 相続人Aは、自己所有のいわゆる二世帯住宅(一の家屋で構造上各独立部分に区分されているもの)に居住していましたが、2年前に大阪へ転勤して現在は空室となっています(大阪の会社の社宅に家族とともに居住)。今般、父(母は既に死亡しており、父は二世帯住宅に独りで居住していました。)の死亡により、相続人Aが二世帯住宅の敷地を相続により取得した場合には、相続人Aは租税特別措置法第69条の4第3項第2号ロに規定する親族に該当し、その敷地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当するか。
二世帯住宅について、その全部が被相続人の親族又は被相続人の親族と被相続人により所有されていた場合で、その独立部分の一つに居住していた親族(その共同住宅の所有者)がその相続開始前3年以内に他に転居していた場合において、次に掲げるすべての要件を満たしているときには、その相続人は、租税特別措置法第69条の4第3項第2号ロに規定する「その者又はその者の配偶者の所有する家屋(当該相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く。)に居住したことがない者」に該当するものと取り扱っています。
したがって、相続人Aが取得したその敷地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当します。
1 転居後の居住用部分が空室のままとされていること
2 相続開始の直前において他の独立部分に被相続人が居住していること
3 転居後の居住用部分は被相続人の居住用家屋に該当するものとして申告があること
なお、相続人Aが別に自己又は配偶者の所有する家屋に相続開始前3年以内に居住していたり、あるいは、被相続人に配偶者又は同居親族がある場合にはこの限りではありません。
単身赴任中の相続人が取得した被相続人の居住用宅地等についての小規模宅地等の特例
 被相続人甲は、自己の所有する家屋に、長男A、その配偶者B及びその子Cと同居していました(甲の配偶者は既に死亡しています。)。平成18年にAが転勤で大阪へ単身赴任となり、その後、この家屋には、甲、B及びCが居住していましたが、平成19年1月に甲が死亡したため、Aがこの家屋及びその敷地を相続により取得しました。
なお、Aは相続税の申告期限において引き続き単身赴任の状態にあります。
この場合、Aが取得した敷地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当するか。
Aの配偶者及び子の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況からみて、当該家屋がAの生活の拠点として利用されている家屋といえる場合、すなわち、転勤という特殊事情が解消したときは、その相続人の配偶者等と起居をともにすることになると認められる家屋といえる場合については、甲に係る相続開始の直前から申告書の提出期限までAの居住の用に供していた家屋に該当するものとみることができますから、Aの取得した宅地は特定居住用宅地等である小規模宅地等に該当することとなります。
特定同族会社に貸し付けられていた建物が相続税の申告期限までに建て替えられた場合の小規模宅地等の特例
 特定同族会社A(食品製造業)の社宅として有償で貸し付けられていた建物(被相続人所有)及びその敷地を相続により取得した相続人が、当該相続に係る相続税の申告期限までに建替え工事(建替え後の建物は、工場として、当該法人に有償で貸し付けられる。)に着手しました。
この場合、従前の建物に係る賃貸契約は解除され、新たに当該法人と賃貸契約を締結することとなりますが、租税特別措置法関係通達69の4-18((申告期限までに事業用建物等を建て替えた場合))の取扱いを適用して、当該建物の敷地について特定同族会社事業用宅地等である小規模宅地等に該当するとして取り扱うことができるか。
租税特別措置法関係通達69の4-18の取扱いは、特定同族会社事業用宅地等の判定についても準用することとしており、また、A法人との賃貸契約が解除されたといっても、建物建替えに伴う一時的なものであり、実質は更改に当たるものと解されます。 したがって、建替え後の建物がA法人の事業の用に供されると見込まれる場合には、租税特別措置法関係通達69の4-18の取扱いを適用されます。
【国外財産の贈与を受けた場合の相続時精算課税の適用】
 海外に所在する土地を、父からの贈与により取得しました。この贈与に係る贈与税の申告に当たり、相続時精算課税の適用を受けられるか。
また、この場合には、贈与税の計算上、当該土地に係る贈与について課せられた当地の贈与税額(外国税額)を控除することができるか。
さらに、贈与者である父に相続が発生した場合には、相続税の申告に当たり、今回の贈与税の課税価格を相続税の課税価格に加算し、相続税額から贈与税額を控除することになりますが、その際の贈与税額は外国税額を控除する前の税額でよいか。
国外財産の贈与についても相続時精算課税の適用を受けることができます。
また、この場合には、贈与税の計算上、国外財産に対する外国税額を控除することができます。
さらに、贈与者に相続が発生した場合に相続税額から控除する贈与税額は、外国税額を控除する前の税額となります。
【特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例】
1.減額される割合
被相続人が相続開始直前に有していた取引相場のない株式又は出資のうち、相続の開始の時における発行済株式の総数又は出資の総額の3分の2に達するまでの部分(10億円を限度)について10%減額されます。
2.この特例の対象となる株式又は出資
この特例を受けられる株式又は出資は、取引相場のない株式又は出資で次の要件をすべて満たすものです。
(1)  相続開始の時において、上場株式や店頭売買有価証券などではないこと。
(2)  相続開始の直前及び相続開始の時において、被相続人及び被相続人の親族並びに被相続人と特別の関係がある者が有していた各法人の株式の総数又は出資の総額が、当該各法人の発行済株式の総数又は出資の総額の2分の1超であること。
(3)  被相続人が相続開始の直前に有していた上記(2)に該当する法人の発行済株式又は出資の時価総額(相続税評価額による総額)の合計額が20億円未満であること。
(注) 被相続人が特例の対象となる2つ以上の法人の株式又は出資を有する場合には、その全ての法人の発行済株式又は出資の時価総額の合計額で判断します。
(4)  その株式又は出資を取得した人が被相続人の親族であり、相続税の申告書の提出期限まで引き続きその株式又は出資を有し、かつ、その法人の役員などの地位を有していること。
(5)  その株式又は出資を取得した人が相続開始の時において、その株式又は出資に係る法人の発行済株式の総数又は出資の総額の5%以上を有していること。
3.適用除外
この特例は、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人(その被相続人から相続時精算課税の適用を受ける財産を取得した人を含みます。)が、特定同族株式等の贈与を受けた場合の特例(相続時精算課税)の適用を受けている場合などには、適用されません。
4.小規模宅地等の特例との併用
小規模宅地等の特例の適用を受けるときは、その特例を受ける小規模宅地等の面積が限度面積に満たない場合に限って、その満たない部分に対応する価額について特定事業用資産についての課税価格の計算の特例の適用を受けることができます。
5.その他
(1)  上記の取引相場のない株式又は出資のほか、森林施業計画が作成されている区域内に存する立木又は土地などで、一定の要件を満たすものについても同様の特例があります。
この場合、これらの立木又は土地などについては、相続税の課税価格に算入される価額が5%減額されます。
(2)  相続時精算課税の適用を受ける贈与により取得した一定の取引相場のない株式や森林施業計画が作成されている区域内に存する立木又は土地などで、一定の要件を満たすものについても贈与者(親)の死亡に係る相続税の申告に際して、この特例を適用することができます。この場合、贈与税の申告書に「特定受贈同族会社株式等・特定受贈森林施業計画対象山林に係る届出書」などの一定の書類を添付して申告する必要があります。
老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例
被相続人は、居住していた建物を離れて老人ホームに入所しましたが、一度も退所することなく亡くなりました。
この場合、被相続人が入所前まで居住していた建物は、相続開始直前まで空家となっていましたが、その建物の敷地は、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するか。
被相続人が居住していた建物を離れて老人ホームに入所したような場合には、一般的には、それに伴い被相続人の生活の拠点も移転したものと考えられます。しかし、個々の事例のなかには、その者の身体上又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、居住していた建物を離れて、老人ホームに入所しているものの、その被相続人は自宅での生活を望んでいるため、いつでも居住できるような自宅の維持管理がなされているケースがあり、このようなケースについては、諸事情を総合勘案すれば、病気治療のため病院に入院した場合と同様な状況にあるものと考えられる場合もありますから、一律に生活の拠点を移転したものとみるのは実情にそぐわない面があります。
そこで、被相続人が、老人ホームに入所したため、相続開始の直前においても、それまで居住していた建物を離れていた場合において、次に掲げる状況が客観的に認められるときには、被相続人が居住していた建物の敷地は、相続開始の直前においてもなお被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するものとして差し支えないものと考えられます。
(1) 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。
(2) 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。
(3) 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。
(4) その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。
(注)
1 上記(1)について、特別養護老人ホームの入所者については、その施設の性格を踏まえれば、介護を受ける必要がある者に当たるものとして差し支えないものと考えられます。
なお、その他の老人ホームの入所者については、入所時の状況に基づき判断します。
2 上記(2)の「被相続人がいつでも生活できるよう建物の維持管理が行われている」とは、その建物に被相続人の起居に通常必要な動産等が保管されるとともに、その建物及び敷地が起居可能なように維持管理されていることをいいます。
入院により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例
被相続人は相続開始前に病気治療のために入院しましたが、退院することなく亡くなりました。被相続人が入院前まで居住していた建物は、相続開始直前まで空家となっていましたが、退院後は従前どおり居住の用に供することができる状況にありました。この場合、その建物の敷地は、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当するか。
病院の機能等を踏まえれば、被相続人がそれまで居住していた建物で起居しないのは、一時的なものと認められますから、その建物が入院後他の用途に供されたような特段の事情のない限り、被相続人の生活の拠点はなおその建物に置かれていると解するのが実情に合致するものと考えられます。
したがって、その建物の敷地は、空家となっていた期間の長短を問わず、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた宅地等に該当します。
小規模宅地等の特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」の判定
被相続人等の居住の用に供されていたかどうかは、基本的には、被相続人等が、その宅地等の上に存する建物に生活の拠点を置いていたかどうかにより判定すべきものと考えられ、その具体的な判定に当たっては、その者の日常生活の状況、その建物への入居目的、その建物の構造及び設備の状況、生活の拠点となるべき他の建物の有無その他の事実を総合勘案して判定することになります。
したがって、例えば、
イ 居住の用に供する建物の建築期間中だけの仮住まいである建物
ロ 他に生活の拠点と認められる建物がありながら、小規模宅地等の特例の適用を受けるためのみの目的その他の一時的な目的で入居した建物
ハ 主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で有する建物
については、被相続人等が居住していた事実があったとしても、被相続人等が生活の拠点を置いていた建物とはいえません。
相続開始の年に被相続人から贈与を受けた宅地に係る小規模宅地等の特例の適用の可否
平成○年中に甲は父から貸家建付地の敷地(276u)の持分2分の1の贈与を受けましたが、同年中に父が死亡しました。
この場合、その贈与により取得した土地の価額は贈与税の課税価格に算入されずに、相続税の課税価格に加算されることになります(相法19)が、この土地について小規模宅地等の特例を適用する場合には、甲が贈与を受けた持分に対応する面積を含めて200uまで適用することができるか。
(注) 甲は父から遺産を相続しています。
小規模宅地等の特例が適用される財産は、個人が相続又は遺贈により取得した財産に限られています(措法69の4)。
したがって、甲が贈与を受けた土地の持分は相続又は遺贈により取得したものではありませんから、その贈与を受けた財産の価額が相続税法第19条の規定により相続税の課税価格に加算されたとしても、その贈与を受けた財産については小規模宅地等の特例の適用はありません。
また、相続時精算課税を適用する場合も、甲が贈与を受けた土地の持分は相続又は遺贈により取得したものではありませんから、その贈与を受けた財産については小規模宅地等の特例の適用はありません。
共同相続人に該当しない親権者が未成年者である子に代理して遺産分割協議書を作成する場合
<例>被相続人Aは、妻Bとの間に子2人(成年者)がありましたが、妻以外の女性Cとの間にも子が2人(うち未成年者1人)あり、生前に認知していた場合の遺産分割協議書を作成する場合。
未成年者である子に代理して親権者であるCが署名、押印すれば、家庭裁判所で特別代理人の選出を受けなくてもよい。
上記の事例の場合は上記のとおりで良いが、未成年者が2人の場合は、1人について親権者が法定代理人となり、他の未成年者については、それぞれ特別代理人の選任を必要とします。
※未成年者の親権者が共同相続人であり、その子とともに遺産分割の協議に参加する場合には、民法第826条(利益相反行為)の規定により特別代理人の選任を要しますが、親権者が共同相続人としてその遺産分割に参加しない場合には、同条の適用はありませんので、法定代理人である親権者の同意のみで足ります。ただし、子が2人以上いる場合において、その1人の子と他の子との利益が相反する行為については、子のうちの1人を除き、特別代理人の選任を要します(同条第2項)。
【相続した住宅や事業用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)】
1.特例の対象となる宅地等
この特例の適用を受けられる宅地等は、個人が相続や遺贈により取得した宅地等で、次のすべての要件に該当するものです。 ただし、平成19年10月1日以後に相続又は遺贈により取得した国の事業の用に供されている宅地等について、この特例の適用を受ける場合には要件等がこの説明と異なりますので、税務署へお尋ねください。
(1)  相続開始直前において、被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族(以下「被相続人等」といいます。)の事業の用若しくは居住の用に供されていた宅地等又は国の事業の用に供されている宅地等(特定郵便局の敷地の用に供されているものに限られます。)であること。
この場合、事業には、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為(準事業といいます。)が含まれます。
(2)  建物又は構築物の敷地の用に供されていたものであること。
(3)  棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものであること。
(4)  各人が取得した宅地等のうち、この特例の適用を受けるために選択した宅地等(注)が限度面積までの部分であること。
この場合の限度面積とは、その選択した宅地等の利用状況等により次のようになります。
イ  選択した宅地等が、特定事業用宅地等、国営事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等(以下「特定事業用等宅地等」といいます。)である場合―400平方メートル
ロ  選択した宅地等が、特定居住用宅地等である場合―240平方メートル
ハ  選択した宅地等が、特定事業用等宅地等、特定居住用宅地等以外の特例の対象となる宅地等(以下「特例対象宅地等」といいます。)である場合―200平方メートル
ニ  選択した宅地等すべてが、特定事業用等宅地等、特定居住用宅地等及び特例対象宅地等である場合は、
次の算式により計算した面積
特定事業用等宅地等の面積+特定居住用宅地等の面積×5/3+特例対象宅地等の面積=400u以下
(注) この特例の適用を受けることができる宅地等を取得した人が2人以上であるときは、その宅地等を取得した人全員の選択についての同意が必要です。
(5)  相続税の申告期限までに分割されていること。ただし、その申告期限までに分割されていない宅地等が、次のいずれかに該当することになったときは、この特例の適用を受けられます。
イ  相続税の申告期限から3年以内に分割された場合
ロ  相続税の申告期限から3年を経過する日において分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたとき
(注) 上記の場合には、遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内に税務署長に対し、更正の請求書を提出することができます。
2.減額される割合
評価額を減額する割合は、宅地等の利用状況等により次のようになっています。
(1)  特定事業用宅地等である小規模宅地等、特定居住用宅地等である小規模宅地等、国営事業用宅地等である小規模宅地等及び特定同族会社事業用宅地等である小規模宅地等の場合―80%
(2)  (1)に該当しない特例対象宅地等である小規模宅地等の場合―50%
(注)
1   特定事業用宅地等とは、相続開始直前において被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業を除きます。以下1及び4において同じです。)の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうちに次の要件のすべてに該当する親族がいるものをいいます。
(1)  その宅地等が、被相続人の事業の用に供されていた場合
イ  その宅地等の取得者(その者が死亡した場合にはその者の相続人を含みます。)が、その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。
ロ  相続税の申告期限までその宅地等を有していること。
(2)  その宅地等が、被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用に供されていた場合
イ  その宅地等の取得者が、相続開始前から相続税の申告期限(その者が死亡した場合はその死亡の日。以下この(注)において同じです。)までその宅地等の上で引き続き事業を営んでいること。
ロ  相続税の申告期限までその宅地等を有していること。
2   特定居住用宅地等とは、相続開始直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうちに次のいずれかに該当する親族がいるものをいいます。
(1)  その宅地等が、被相続人の居住の用に供されていた場合
イ  被相続人の配偶者
ロ  被相続人と同居していた親族で、相続開始時から申告期限まで引き続き居住し、かつ、その宅地等を有している人
ハ  被相続人の配偶者または相続開始直前において被相続人と同居していた法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)がいない場合において、被相続人の親族で相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有に係る家屋(相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがない人(相続開始の時に住所が日本国内にない人で、日本国籍を有しない人は除かれます。)で、相続開始時から申告期限までその宅地等を有している人
(2)  その宅地等が、被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた場合
イ  被相続人の配偶者
ロ  被相続人と生計を一にしていた親族で、相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人
3   国営事業用宅地等とは、相続開始直前において国の事業の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうちに被相続人の親族がおり、その親族から相続開始後5年以上その宅地等を国の事業の用に供するため借り受ける見込みであることについて、日本郵政公社の証明がなされたものをいいます。
4   特定同族会社事業用宅地等とは、相続開始直前に被相続人及びその親族その他被相続人と特別の関係がある者が発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有する法人の事業の用に供されていた宅地等で、その宅地等を取得した人のうちに次の要件のすべてに該当する被相続人の親族がいるものをいいます。
(1)  相続税の申告期限においてその法人の役員であること。
(2)  相続開始時から相続税の申告期限まで引き続きその宅地等を有し、引き続きその法人の事業の用に供していること。
5   1棟の建物の敷地の一部が特定居住用宅地等に該当する場合には、その敷地のうち特定事業用宅地等、国営事業用宅地等又は特定同族会社事業用宅地等のいずれかに該当する部分以外の部分が特定居住用宅地等になります。
3.適用除外
この特例は、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した人(その被相続人から相続時精算課税の適用を受ける財産を取得した人を含みます。)が、特定同族株式等の贈与を受けた場合の特例(相続時精算課税)の適用を受けている場合などには、適用されません。
相続人の廃除
(推定相続人の廃除)
第八百九十二条  遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
1 廃除の要件
(1)廃除される者が、遺留分を有する推定相続人であること兄弟姉妹以外の相続人(1028条)
(2)廃除原因があること
虐待、侮辱、著しい非行
「著しい非行」は、必ずしも被相続人に対するものであることを要しないと解されているが、被相続人に向けられていない場合には、「著しい非行」の認定は厳格であり、被相続人に対してある程度の財産的・精神的損害がおよぶことが要求されている。たとえば、被相続人が支配していた同族会社でなされた業務上横領について、「著しい非行」とまではいえないとした裁判例がある。
(3)家庭裁判所に廃除の請求をすること
(4)廃除の審判または調停があること
2 廃除の効果
廃除を請求した被相続人との関係で相手方である被廃除者の相続権をはく奪する。
廃除の効力は、被廃除者の一身についてのみ生じ、廃除を請求した被相続人に対する相続権をはく奪するにすぎない。
受遺能力は失わない(965条参照)。
被廃除者が廃除当時の身分を失って、廃除者に対して新たな身分を取得したときは、これによって新たな相続権を取得する(判例)。
(例)被嫡出子を廃除した後に同一人と養子縁組をした場合
(遺言による推定相続人の廃除)
第八百九十三条  被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
相続人の欠格事由
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条  次に掲げる者は、相続人となることができない。
一  故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二  被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三  詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四  詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五  相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
1 欠格事由
(1)一号
1.殺人の故意が必要
過失致死・傷害致死(判例)は含まれない。
2.既遂・未遂を問わず、予備でもよい。
3.刑に処せられたことが必要
執行猶予については、取り消されることなく猶予期間を経過すれば刑の言渡しが効力を失い、欠格の要件を欠くことになるから、欠格の効果は発生しない(通説)。
(2)二号
犯罪がすでに捜査の権限を有する官憲に発覚し、告訴・告発の必要がなくなった後に相続権者が犯罪を知った場合などには、適用されない(判例)。
(3)五号
遺言書の破棄・隠匿行為が、「相続に関して不当な利益を目的とするのでなかったときは」、五号に該当しない(判例)。
また、遺言書に欠けていた押印等の方式を補充する行為は,遺言書の偽造にあたるが,遺言者の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨でされたにすぎないときは,欠格事由とはならない(判例)。
2 欠格の効果
(1)相続人資格がはく奪される。欠格原因たる事実があれば、法律上当然に発生する。
(2)欠格事由が相続後に生じる場合、欠格の効果は相続開始時に遡って発生する。
真正相続人は相続回復請求をなすことができる(884条)。
(3)相続欠格者は同時に受遺能力も失う(965条参照)。
(4)欠格の効果は、特定の被相続人との間で相対的に発生する(相続能力がはく奪されるわけではない)。
遺産分割協議(相続上の特例―分割されていることで利用できる)
・遺産分割を行う上での留意点
相続人の確定
被相続人の遺産の範囲の確定
遺言書の有無の確認
・遺産分割協議の参加者
相続人(相続放棄をした者を除く)
遺言によって包括遺贈を受けた者
相続人から相続分を譲りうけた者
・相続発生から10か月以内の申告期限までに分割協議がまとまらないと、配偶者の非課税規定が使えず、居住用宅地の評価減も使えないなどの問題により、相続税が発生します。しかし、分割協議がまとまれば、相続税が発生しない場合もあります。
(1)配偶者の非課税規定
遺産分割協議が成立しないと配偶者の相続分が確定せず、配偶者の法定相続分までの非課税規定が使えません。この場合、納税額は通常の2倍に跳ね上がります。その後に遺産分割協議が成立すれば、非課税規定を使って余分に支払った分を取り戻すことはできます。しかし、申告期限から3年以内に遺産分割協議は不成立であれば、非課税規定は使えなくなります。
(2)居住用宅地の評価減
親の自宅に引き続き相続人が住み続ける場合には、その土地のうち240uまでは80%も評価が下がります。約72.7坪(240u)以上の居住用土地についても、約72.7坪(240u)までは評価減が受けられます。しかし、この規定も、遺産分割協議が成立し、住み続ける人が相続をしたことが確定しなければ使えません。その後に遺産分割協議が成立すれば、非課税規定を使って余分に支払った分を取り戻すことはできます。しかし、申告期限から3年以内に遺産分割協議は不成立であれば、非課税規定は使えなくなります。
※生前贈与による相続時精算課税制度の活用(2,500万円まで非課税)
親が生前に遺産紛争防止(争族にならないように)をしておいてあげる。
子供たちがお金がほしい年代に(40代〜50代か)生き金として使う。(住宅ローン・教育資金・独立起業資金・借金返済資金等)
親(65才以上)が子供(20才以上)で大型生前贈与が出来る。
相続回復請求権
第八百八十四条  相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。
相続回復請求権の行使
1.必ずしも訴えの方法による必要はない。裁判外の請求でも、催告として消滅時効の中断事由となる(判例)。
一括請求でよく、内容を具体的に明示しなくてもよい(判例)。
2.現実に回復するには、相続財産が物の所有権ならば所有物返還請求、債権ならば債権証書の引渡請求による。
3.訴えの提起に際して、必ずしも相続回復請求という訴名が付されることを必要としない。
個々の相続財産の返還を認める場合でも、その請求が相続権の侵害を請求原因としているのであれば、相続回復請求といえる(判例)。
4.相続回復請求の原告は、自分が相続人であること、およぴ回復を求める財産が遺産を構成していたことを主張立証すれば足り、被相続人が個々の相続財産について所有権・賃借権その他の実質的な権利を有していたことを立証する必要はない。
効果
相続人が当該相続財産を占有・支配することの正当性が相手方との関係で確定し、相手方は請求者の請求内容に従って自己の占有・支配に属する相続財産の引渡し、登記抹消手続などに応じる必要がある。
返還義務の範囲については、189条から191条までおよぴ196条などの物権的返還請求権に関する規定が類推適用される。
時効の起算点
相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。
単に相続開始の事実を知るだけでなく、自分が、あるいは自分も真正相続人であることを知り、しかも、自分が相続から除外されていることを知った時点である(判例)。
時効援用の要件
共同相続人相互の間で一部の者が他の者を共同相続人でないものとしてその相続権を侵害している場合において、相続回復請求権の消滅時効を援用しようとする者は、真正共同相続人の相続権を侵害している共同相続人が、当該相続権侵害の開始時点において、他に共同相続人がいることを知らず、かつ、これを知らなかったことに合理的な事由があったことを立証すべきである(最判平成11・7・19)。
遺言書の方法と遺言書を作成した方がよい場合
●遺言書の方法
・自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付およぴ氏名を自書し、これに印を押して作成します。加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押して行います。
・公正証書遺言は、証人二人以上の立会いの下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人が遺言者の口述を筆記してこれを遺言者および立会人に読み聞かせ、または閲覧させ、筆記が正確なことを承認した遺言者および立会人が署名・押印し、公証人がかかる方式に従って作成した旨を付記して、署名・押印して作成します。遺言者が署名することができないときは、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。口がきけない者も、口授に代えて所定の手続をとれば、公正証書遺言を作成することができます。なお、未成年者、推定相続人・受遺者およぴその配偶者並びに直系血族、公証人の配偶者・四親等内の家族・書記およぴ雇人は、遺言の証人にはなれません。
・秘密証書遺言は、遺言者が、その証書に署名・押印してその証書を封じて証書に用いた印章で封印をし、公証人およぴ証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言である旨並びにその筆者の氏名およぴ住所を申述し、公証人がその証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともにこれに署名・押印して作成します。加除その他の変更の方式は自筆証書遺言の方式と同じです。口がきけない者は、公証人および証人の前で、その証書が自己の遺言である旨並びにその筆者の氏名およぴ住所を通訳人の通訳により申述し、または封紙に自書して、申述に代え、公証人が、これらの方式を踏んだ旨を封紙に記載して、申述の記載に代えることで秘密証書遺言を作成することができます。未成年者等が証人になれないことは公正証書遺言の場合と同様です。
●遺言能力
満一五歳に達した者は、遺言をすることができます。未成年者や成年被後見人等でも遺言をするときに意思能力があれば遺言をすることができます。ただし、成年被後見人が本心に復したときに遺言をするには医師二人以上の立会いが必要です。
※高齢者等で遺言した場合に意思能力が無い(認知症等)として、遺言書が無効になった判例がありますので、注意が必要です。
●遺言書を作成した方がよい場合(遺留分を残すことにより争いを避ける)
・法定相続分でない割合による財産分けをしたい場合
・特定の財産を特定の人に承継させたい場合
・相続人以外の人に財産を渡したい場合
・親が片方(父親か・母親)の場合は、遺言書は不可欠
遺産分割の方法
●被相続人となる者が生前において分けてあげる(3つの方法)
1 遺言書(被相続人となる者の意思が通る)を書くは、相続人以外の第3者にも財産等を渡せる(遺留分に注意)
2 H15年より施行
生前贈与による相続時精算課税制度の活用(2,500万円非課税)
3 通常の前からある暦年(1/1〜12/31)生前贈与(1年間1人贈与税基礎控除110万円)を使う(相続人以外の第3者にも使えます)
(但し、上記2の相続時精算課税制度の活用したときは、3は使えない)
※婚姻期間20年以上の配偶者からの居住用不動産等の贈与税のの配偶者控除もあります
※相続又は遺贈(遺言で遺産をもらった者)で財産を取得した者は相続開始前3年以内に相続による被相続人から贈与によって取得した財産ある時はその贈与時の価額で相続税の課税価格に加算し相続税の計算に持ち戻しします。この3年以内の贈与時に払った贈与税がある時は相続税の計算で控除されます。
●上記の内容が無い場合
遺産分割協議書を相続人が作成し、遺産を分ける
相続人が行方不明の場合
家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立てて、その選任された財産管理人が不在者に代わって、代理します。
なお、財産管理人は不在者の財産を管理することはできますが、遺産分割協議などの行為をするには家庭裁判所の許可が必要となります。不在者財産管理人が遺産分割協議に参加するには、申立時に分割案などを示して家庭裁判所に「権限外行為許可申立」をし許可を得ておく必要があります。
・ 第1回目相続人捜索の公告を出す
管理人は被相続人、あるいはその関係者の戸籍を調べるとともに、公告を出して相続人を捜索します。公告期間は2ヶ月以内です。
・ 相続財産清算の公告を出す
管理人が選任されて2ヶ月を過ぎても相続人が見つからないとき、管理人は財産の債権者や遺言による受遺者に対して請求を出すように公告します。この公告期間は2ヶ月以上と決まっています。
・ 最後の相続人捜索の公告を出す
相続財産清算の公告の期間が過ぎても相続人が現れなかった場合、最後の相続人捜索の公告を出します。最後の公告期間は6ヶ月以上とされ、管理人や検察官の請求によって家庭裁判所が行ないます。
・ 上記の期間6か月を過ぎても現れない場合は、相続人の請求によって、家庭裁判所は、その者に対して相続財産を与えることができます。
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