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下請取引適正化Q&A

本法の適用範囲について
1. 建設工事の請負には本法の適用がないとのことだが,建設業者には本法の適用がないと理解してよいか。
2. 外注取引先との取引について,商社が関与することとなった場合,下請事業者に該当するのは商社か,それとも外注取引先か。
3. 規格品,標準品の製造を依頼する場合,製造委託に該当するか。
4. 小売業者が納入業者からの商品の企画に関する申出に応じて商品の企画・仕様等について意見を述べた場合,これは製造委託に該当するのか。
5. 小売業者がメーカーブランドの商品(各メーカー等が自ら仕様等を決定し自社ブランドとして販売している商品)を発注し,納入業者が発注を受けてから生産する場合,これは製造委託に該当するか。
6. 一般に,企業と弁護士,公認会計士,産業医との契約も,本法の対象となるのか。
7. 財団法人,社団法人等の公益法人は,本法の対象となるのか。
8. 無償で配布する商品カタログや販促用のポスター,チラシなどの作成を委託することは,本法の対象となるか。
9. 当社は自社ホームページの一部を自社で作成し,一部の作成を外注に出しているが,これは本法の対象となるのか。
10. 自社で使用するソフトウェアについて社内のシステム開発部門で作成しているが,特殊な知識が必要な部分があり,その部分について専門のシステム開発会社の人に来てもらって社内で作業している場合には,本法の対象となるか。
11. 社内に調査部門がありマーケティングを行っているが,当該マーケティングの一環として行うアンケート調査等の一部を他の事業者に委託している場合には,本法の対象となるか。
12. 取扱説明書の内容の作成とその印刷の委託を併せて行うというような,情報成果物作成委託と製造委託を同時に行った場合,下請事業者を画する資本金基準はどう判断すればよいのか。
13. 映画等の制作においては,製作委員会方式が採られる場合が多いが,製作委員会名で映画制作をプロダクションに委託した場合には,製作委員会が親事業者となるのか。
14. 商品の「設計図」は情報成果物に該当するとのことだが,半導体の回路の設計図,建築工事の工事図面のようなものまでも本法の対象となるのか。
15. メーカーが,ユーザーへの製品の運送を運送業者に外注した場合には,本法の対象となるのか。
16. 景品の製造を委託した場合も本法の対象になるのか。
17. 労働者の派遣を受けることは,本法の対象となるか。
18. 放送番組に使用する脚本,オリジナルテーマ曲の楽譜の作成は情報成果物作成委託に該当するとのことだが,これらについては,脚本家や作曲家が著作権を持つことから本法の対象とはならないのではないか。
19. 親子会社間の取引にも,本法が適用されるのか。
20. 工場内における運送作業を外部に委託する取引は,「製造委託」と「役務提供委託」のどちらに該当するのか。
21. 医療法人が患者の検査を行い,検査結果の解析を外部に委託する取引は,役務提供委託に該当するのか。
22. 当社では,海外で販売しているゲームソフトを国内向けに販売することがあるが,そのためにはまず当該ゲーム内で使用されている言語を日本語に翻訳する必要がある。この翻訳については外注しているのだが,これは情報成果物作成委託に該当するのか。なお,翻訳はペーパーの形で当社に納入される。
23. 放送番組に使用する番組のタイトルCG,BGM等の音響データの作成は情報成果物作成委託に該当するとのことだが,これらについては,プロダクションの人が放送局に来て,ディレクターの指示のままに作業をする場合には,情報成果物作成委託とはいえないのではないか。
24. いわゆる「取次ぎ」は役務提供委託に該当するか。
25. ソフトウェアを販売する事業者が,販売したソフトウェアの顧客サポートサービスを他の事業者に委託することは役務提供委託に該当するとのことだが,無償のサポートサービスの場合も含まれるのか。
26. 内航海運における定期用船契約や運航委託契約は,船舶の貸渡し又は運航を他の内航運送業者等に委託するものであり,貨物運送を委託する契約ではないが,運送委託として本法の対象となるのはなぜか。
27. 内航海運の用船契約は役務提供委託に該当するとのことだが,裸用船契約は含まれないと考えてよいか。
28. 販売目的のソフトウェアを作成するため,コーディング作業等のシステム開発業務支援に係る恒常的な業務委任契約(特定の情報成果物の作成ではなく,親事業者の社内に常駐して様々な情報成果物の作成業務を行う。)を結ぶ場合があるが,役務の提供をさせていることから情報成果物作成委託に該当せず,本法の対象とはならないと考えてよいか。
29. 有償で販売するポスターの作成を(デザインと印刷の両方を同時に)委託することは従来製造委託と認識していたが,今後ともそれでよいか。仮に情報成果物作成委託にも該当するとした場合,@製造委託と情報成果物作成委託とでは資本金基準が異なるが,どのように適用されるのか,A3条書面は2枚出さなければならないのか,B当社は印刷についてしか代金を支払っていないが,デザイン部分について本法違反となってしまうのか。
30. 資本金4億円の事業者が資本金1億円の事業者に対して,商品の設計と製造を委託する場合,本法はどのように適用されるのか。
31. 当社(資本金2億円)の業種はソフトウェア業なので,本法の対象となる下請事業者の資本金は1千万円以下と考えてよいか。
書面の交付義務について
32. 電話で注文をして,後日3条書面を交付する方法は問題ないか。
33. 具体的な金額の記載に代えて算定方法を記載する際には,どのような点に留意したらよいか。
34. 当社は,下請事業者に運送委託するに当たり,年間契約を結び,下請代金は単価表に従い毎月の運送実績に応じた額を支払うこととしたいが,本法を遵守するために特に気を付けるべき点は何か。
35. 情報成果物作成委託においては,委託内容のすべてを3条書面に記載することは不可能だが,どの程度詳しく書かなければならないのか。
36. 発注時に書面に記載することができないことに正当な理由がある事項がある場合には,当初書面には「内容が定められない理由」と「内容を定めることとなる予定期日」を記載することになったが,どの程度詳しく書く必要があるのか。また,やむを得ず「予定期日」が守られなかった場合には,本法上問題となるのか。
37. 継続的な運送委託において,契約書を3条書面とすることは可能か。それとも個々の運送を委託する度に3条書面を交付する必要があるのか。
38. 下請事業者に知的財産権が発生する情報成果物作成委託において,当該知的財産権を譲渡させることについては後日契約書で明確化したいと考えているがよいか。
39. 当社は,システム開発会社である。メーカーから改正後の本法に対応した発注システムの開発を請け負っている。下請法第3条の規定に基づく規則(下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則)第1条第3項の規定により,特定事項の「内容を定めることとなる予定期日」の記載が義務付けられているが,次のような記載は適法か。
@ 「○月○日まで」
A 「発注日から○日以内」
B 「納入日まで」
C 「納入月まで」
40. 下請事業者に委託する給付の内容は定まっているのだが,ユーザー側の都合により,ユーザーへの引渡代金は定まっていない。この場合,下請代金の額はユーザーへの引渡代金が定まった後で決定することになるが,本法上問題ないか。
41. ユーザー側の都合により,下請事業者に委託する給付の内容が定まっておらず,下請代金の額も給付の内容に応じて変わることから決定できない。この場合,下請代金の額は給付の内容が定まった後で決定することになるが,本法上問題ないか。
42. EDIにより発注する場合,システム上,単価欄を空欄で発注することはできないようになっているが,どうしたらよいか。また,実際の単価ではないことを明記した上で,「0円」と表記して発注することは認められるか。
43. 仮単価は禁止されたのか。
44. 交通費等の諸経費を下請代金に含めて支払うこととしている場合,交通費の額が不明であるため,発注時点では下請代金の額が確定できない。このような場合,3条書面には,交通費等の諸経費を含まない段階における下請代金の額と,交通費等の諸経費は親事業者が負担する旨が明記してあれば,算定方法による下請代金の額の記載として認められるか。
45. 内航運送業者が船舶貸渡業者に貨物運送を委託するに当たり,運航委託契約書を3条書面とし,下請代金は毎月の荷主から収受する運賃実額から一定率を減じた額とする算定方法を採ることは本法上問題あるか。また,この場合,月末締め翌々月末払いは認められるか。
46. 知的財産権が親事業者・下請事業者のどちらに発生するのか不明確だが,契約において親事業者に帰属することとしている。この場合も3条書面に記載する必要があるか。
47. 3条書面は様式を問わないので契約書を3条書面とすることも可能と聞いたが,契約締結まで日数を要する場合,どのくらいまでなら「直ちに」交付したとみなされるのか。
48. 補充書面は,いつまでに交付する必要があるのか。
49. 長期継続的な役務取引の場合には,何十年も前に年間契約を締結し,その後1年ごとの自動更新としている場合があるが,3条書面を改めて交付する必要はないか。
50. EDIにより発注する場合,3条規則に定める事項のうち,システム的に文字を入力・送信することが困難な場合があるので,記号(パターンコード)化可能なものは記号により通知することとしたいが,問題ないか。
【違反行為事例】
書類の作成・保存義務について
51. 給付内容を変更した場合には5条書類に記録しなければならないが,情報成果物においては,親事業者と下請事業者が個々に打合せしながら給付内容を確定していく場合がある。この場合,どの程度の変更から記録しなければならないのか。
買いたたきの禁止について
52. 当社は,製品を国内にも海外にも販売しており,海外では国内よりも安い販売価格でないと売上げが伸びないため,海外向け製品に用いる部品を国内向け製品に用いる部品よりも低い単価で発注することとしたいが,問題となるか。
53. 作業内容を下請事業者に提示し見積もりを出してもらい,それを基に価格を決定したいと思うが,見積書が提出された後に,作業内容が当初の予定を大幅に上回ることとなった場合に,見積書を取り直さずに発注すると買いたたきとなるか。
54. 当社の決算対策のため,発注単価を一律に引き下げても問題とならないか。
55. 指値で下請事業者に注文を出しても問題とならないか。
56. 下請事業者に知的財産権が発生する情報成果物の作成を委託することを検討しているが,当該知的財産権の譲渡対価の設定が困難なため,知的財産権は譲渡させるが,その対価を含めない通常の取引価格と同じ価格で発注した場合問題となるか。
【違反行為事例】
【想定される違反行為事例】
受領拒否の禁止について
57. 納期前に納品された場合にどのように対処したらよいか。
58. 下請事業者が,正式な発注に基づかず見込みで作成してしまった場合には,その受領を拒否しても問題ないか。
59. 当社は,いわゆるジャスト・イン・タイム生産方式の採用に当たり,本法上問題とならないよう,次のような方法を検討しているが,この他にどのような点に注意したらよいか。
ア 継続的な量産品であって,生産工程が平準化されているものについて,当社と取引先下請事業者双方の合意の上で導入する。
イ 3条書面は,事前に十分なリードタイムをとって交付する。この3条書面には,一定期間内において具体的に納入する日と,納入日ごとの納入数量を明確に記載する。
ウ ジャスト・イン・タイム生産方式による納入指示カードは,イの3条書面の納入日と納入日ごとの納入数量を微調整するために交付するものであるという考え方で運用する。
エ 納入回数及び1回当たりの納入数量を適正にし,かつ,無理な納入日(時間)の指示は行わないよう注意する。
オ ジャスト・イン・タイム生産方式の採用により輸送費等のコスト増が発生する場合には,下請代金について事前によく協議し,合意した上で実施する。
60. 役務提供委託には受領拒否がないということだが,契約期間中に親事業者から「もういらない」と言われても違反とならないのか。
【違反行為事例】
【想定される違反行為事例】
返品の禁止について
61. 下請事業者からの納入品が不良品であった場合,受領後6か月以内ならいつでも自由に返品できるのか。
62. 抜取検査でロット合格したが,ユーザーに渡った時点で使用上重大な瑕疵が見つかったため,販売店を経由して返品されてきた。納入後1か月を経過しているが下請事業者に返品することはできるか。
【違反行為事例】
下請代金の減額の禁止について
63. 下請代金の支払として手形を交付しているが,下請事業者の希望により一時的に現金で支払うことがよくある。この場合,金利引きと称して手形割引料相当分を減額してもよいか。
64. 「合理的理由に基づく割戻金」として下請代金の減額に当たらないとされるボリュームディスカウントとはどのようなものか。
65. 下請代金の支払に際し端数が生じた場合,当該端数を四捨五入の方法によって処理しても問題はないか。
66. 当社は,毎年上期(4 月〜9 月)及び下期(10 月〜3 月)の 2 回単価改定を行い,各期首に提供される役務から適用しているが,下請事業者との単価改定交渉が長引き,各期の半ばくらいの時点で合意することがある。下請事業者とは各期首に提供される役務から新単価を適用するという合意が成立しており,期首から適用しても問題はないか。
67. 単価改定を行う場合,遡及適用に関してどういう点に気を付ければよいか。
68. 下請事業者の了解を得た上で,下請代金を下請事業者の銀行口座に振り込む際の振込手数料を下請代金の額から差し引いて支払うことは認められるか。
69. 下請事業者の給付に瑕疵等があり,下請代金の支払日よりも前(受領後 60 日以内)に返品する場合には,下請代金を支払わなくてよいか。また,下請代金の支払後に返品した場合には,下請代金相当額を返却するよう求めてよいか。
【違反行為事例】
【想定される違反行為事例】
支払遅延の禁止について
70. 下請事業者から当月納入分を翌月納入分として扱ってほしいと頼まれ,下請代金も翌月納入されたものとみなして支払ったところ,60日を超える支払遅延であるとの指摘を受けたが納得できない。
71. 当社は,常に一定の在庫を確保しておくため,下請事業者に対し,一定の在庫水準が常に保たれるように納入させ,このうち毎月当社が使用した分について,翌月末に支払っているが問題はないか。
72. 当社では,下請取引は商社を経由して取引を行っているが(商社が行うのは事務手続の代行のみで,製造委託等の内容には全く関与していない。),下請代金は,支払期日までに商社に対して支払えばよいか。
73. 金型の製造委託においては,下請事業者が作成した金型を親事業者が占有しない場合があり,親事業者が納入(受領)の時点を確認できないことから,金型そのものではなく,最初の試打ち品の受領をもって金型の受領とみなすことは可能か。
74. 情報成果物作成委託においては,3条書面上の納期日より前であれば,親事業者が委託した情報成果物を支配下に置いても,一定の水準を満たしていることを確認した時点で受領したとすることを認めるとのことだが,検査終了後に受領することを認める趣旨と理解してよいか。
75. 情報成果物作成委託において,受領前に,委託した情報成果物が一定の水準を満たしていることを確認したい場合には,下請事業者に対し,3条書面に記載した納期日より前に委託した情報成果物を持って来るよう指示する必要があるが,本法上問題ないか。
76. 受領後に情報成果物の検査をする場合に,検査期間が60日を超える場合があるが,検査終了後に問題がないことを確認した上で下請代金を支払うこととして問題ないか。
77. プログラムの作成委託において,給付の内容を確認するため,プログラムの納品に併せて下請事業者に最低限の証拠資料(単体テスト結果報告書等)を提出させることとし,プログラムの納品時に証拠資料の提出がない場合には,証拠資料の提出後にプログラムを受領したこととしたいがよいか。
78. 受領した情報成果物に,下請事業者の責任による瑕疵等が発見され,やり直しが必要な場合にも,当初の受領日から60日以内に支払う必要があるのか。
79. 携帯電話の待受け画面の画像や携帯電話で提供するコンテンツの作成委託については,使用回数に応じて代金を払うこととしており,受領後60日以内に代金を支払う慣行となっていないが,本法上問題となるか。
80. 役務取引はすぐに現金払いされることが多いのに,本法の対象となることにより,役務を提供した後60日後の支払とされたり,手形払いとされるなど支払条件の悪化が懸念される。このようなことは,本法上どのように考えられるのか。
81. 運送委託において,下請事業者からの配達報告が届いた時点を「役務を提供した日」としてよいか。
82. 期間を定めて運送業務を委託する場合において,月末締めで代金を支払うこととしているが,月末時点で運送が完了していないもの(例えば,31日に出発して翌月1日に到着する運送)については,翌月末締切分に含めて構わないか。
【違反行為事例】
【想定される違反行為事例】
長期手形の交付について
83. 手形期間が120日を超える手形は割引困難な手形であるとのことだが,その理由・経緯は何か。また,どのような措置が採られるのか。
84. 受領した情報成果物に,下請事業者の責任による瑕疵等が発見され,やり直しが必要な場合にも,当初の受領日から60日以内に支払う必要があるのか。
【違反行為事例】
購入・利用強制の禁止について
85. 当社(広告会社)は,このたび,自社が企画したイベントチケットの販売促進を図ることとし,外注担当者を含めて全社員に販売目標数を定めて販売していたところ,一次下請事業者の取引先である二次下請事業者から当該イベントチケットを買わされたとの苦情を受けた。当社としては,どのような点に気を付ければよかったのか。
86. 放送局が放送番組の作成を委託するに当たり,放送局が自らのアナウンサーを起用するよう指示することは,購入・利用強制に当たらないか。
【違反行為事例】
【想定される違反行為事例】
不当な経済上の利益の提供要請の禁止について
87. 年末セールの販売活動の手伝いとして,下請事業者から無償で人員を派遣してもらうことを考えている。当該セールでは下請事業者の製品も販売するため,下請事業者にとっても利益があるものと考えるが,これは本法上の問題があるか。
88. あらかじめ知的財産権を親事業者に譲渡させることを通知し,情報成果物に係る知的財産権の譲渡対価が含まれるような下請代金の額を見積もってもらい,下請事業者の見積額で発注する場合には,買いたたき又は不当な経済上の利益の提供要請には該当しないと考えてよいか。
89. デザインの作成委託において,当初の発注内容は下請事業者に複数のデザインを提出させ,その中から1つを採用し親事業者に知的財産権を譲渡させるというものであったが,納品後,採用デザインだけではなく不採用デザインの知的財産権も譲渡させることとしたいがよいか。
90. 金型の発注に当たり,製造の過程で下請事業者が作成した金型の図面を無償で提供させることは本号の対象となるのか。
【違反行為事例】
【想定される違反行為事例】
不当な給付内容の変更及び不当なやり直しの禁止について
91. 情報成果物作成委託においては,下請事業者が納期を守らないことがよくある。この場合,発注内容を変更しなければ下請事業者が不利益を受けることがあり得るので,下請事業者との合意の上で納期を変更することは違反とはならないと考えてよいか。
92. 下請事業者との契約に当たり3年の瑕疵担保期間を契約しているが,当社のユーザーに対する瑕疵担保期間は1年である。この場合,本法上問題となるか。
93. 当社では,情報成果物の作成を委託するに当たり,給付を充足する条件を明確に書面に記載することが不可能なため,下請事業者と十分な協議をした上で,当初から何度もやり直しすることを見込んだ価格を設定している。この場合においても,3条書面に記載していない事項について,費用を負担しなければやり直しさせることが認められないのか。
94. 親事業者が発注を取り消す際には,下請事業者が当該発注に使用するために要した費用を全額負担する必要があるとのことだが,例えば,下請事業者が当該発注に使用するために機器と人員を手配している場合に,下請事業者に解約可能な範囲は解約してもらい,解約できずやむを得ず負担することとなった部分を負担すれば問題ないと理解してよいか。
95. 最終ユーザーへの保証期間が5年であれば,受領から5年後にやり直しを要求することも認められるのか。
【違反行為事例】
【想定される違反行為事例】
有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止について
96. 有償支給原材料の支払代金の決済については,下請代金との相殺によらず,別途支払わせる方法でもよいか。
97. 下請事業者の希望により親事業者が下請事業者に代わって原材料等を調達したときには,直ちに決済してもよいか。ただし,この調達分には下請事業者が独自に使用する分も含まれている。
【違反行為事例】
一括決済方式について
98. 信託方式(親事業者に対する下請事業者の債権を信託銀行に信託譲渡することにより下請事業者が信託受益権を取得し,下請事業者の要望に応じて信託銀行が当該信託受益権を投資家に販売することにより,下請事業者が信託銀行から金銭の支払いを受ける方式)による一括決済の方式は,本法又は独占禁止法上認められるか。
1. 建設工事の請負には本法の適用がないとのことだが,建設業者には本法の適用がないと理解してよいか。
A. 建設工事に係る下請取引には本法は適用されないが,例えば,建設業者が業として販売する建設資材の製造を他の事業者に委託することは製造委託に該当し,また,業として提供する建築物の設計や内装設計を他の事業者に委託することは情報成果物作成委託に該当する。
2. 外注取引先との取引について,商社が関与することとなった場合,下請事業者に該当するのは商社か,それとも外注取引先か。
A. @ 商社が本法の資本金区分を満たす発注者と外注取引先の間に入って取引を行うが,製造委託等の内容(製品仕様,下請事業者の選定,下請代金の額の決定等)に全く関与せず,事務手続の代行(注文書の取次ぎ,下請代金の請求,支払等)を行っているにすぎないような場合,その商社は本法上の親事業者又は下請事業者とはならず,発注者が親事業者,外注取引先が下請事業者となる。したがって,親事業者は商社と外注取引先との間の取引内容を確認し,本法上の問題を招来しないように商社を指導する必要がある。
A 商社が製造委託等の内容に関与している場合には,発注者が商社に対して製造委託等をしていることとなり,発注者と商社の間で本法の資本金区分を満たす場合には,商社が下請事業者となる。また,商社と外注取引先の間で本法の資本金区分を満たす場合には,当該取引において商社が親事業者となり,外注取引先が下請事業者となる。
3. 規格品,標準品の製造を依頼する場合,製造委託に該当するか。
A. いわゆる規格品,標準品であって,広く一般に市販されており,市販品としての購入が可能で,製造依頼が実質的には購入と認められる場合は該当しない。しかし,規格品,標準品であっても親事業者が仕様等を指定して下請事業者にその製造を依頼すれば製造委託に該当する。例えば,規格品の製造の依頼に際し,依頼者の刻印を打つ,ラベルを貼付する,社名を印刷するとか,規格品の針金,パイプ鋼材等を自社の仕様に合わせて一定の長さ,幅に切断するというような作業を行わせた場合等がこれに当たる。
4. 小売業者が納入業者からの商品の企画に関する申出に応じて商品の企画・仕様等について意見を述べた場合,これは製造委託に該当するのか。
A. 小売業者が納入業者からの商品の企画に関する申出に応じて商品の企画・仕様等について意見を述べた場合であっても,例えば,納入業者がこれを踏まえ自主的な判断で仕様等を決定・変更した上で再度小売業者に売り込みを行い,その結果,小売業者が購入を決定した場合など小売業者が仕様等を指定したとは認められない場合には,製造委託には該当しない。ただし,この場合であっても,小売業者が買い取った商品について納入業者に対して一方的に返品等を行うと,独占禁止法上問題となるおそれがあるので注意する必要がある。
5. 小売業者がメーカーブランドの商品(各メーカー等が自ら仕様等を決定し自社ブランドとして販売している商品)を発注し,納入業者が発注を受けてから生産する場合,これは製造委託に該当するか。
A. 小売業者のメーカーブランド商品の発注については,納入業者が発注を受けてから生産する場合であっても,当該メーカーブランド商品の汎用性が高く,かつ,自社用として変更を加えさせることがない場合には,実質的には購入と認められ,製造委託には該当しない。ただし,この場合であっても,小売業者が買い取った商品について納入業者に対して一方的に返品等を行うと,独占禁止法上問題となるおそれがあるので注意する必要がある。
6. 一般に,企業と弁護士,公認会計士,産業医との契約も,本法の対象となるのか。
A. これらの契約は,一般に企業が他に業として提供する役務でないので,役務提供委託に該当せず,本法の対象とはならない。
7. 財団法人,社団法人等の公益法人は,本法の対象となるのか。
A. 出資がなければ親事業者に該当せず対象とはならないが,公益法人であっても出資があれば本法の対象となる。
8. 無償で配布する商品カタログや販促用のポスター,チラシなどの作成を委託することは,本法の対象となるか。
A. 無償で提供する情報成果物の作成(カタログやチラシの原稿,ポスターの原画の作成等)又は物品の製造(カタログ,ポスター,チラシの印刷)を委託する場合には,本法の対象とならない。ただし,これらを自ら反復継続的に製造又は作成する場合は,情報成果物作成委託(類型3)又は製造委託(類型4)として本法の対象となる。
9. 当社は自社ホームページの一部を自社で作成し,一部の作成を外注に出しているが,これは本法の対象となるのか。
A. 通常,ホームページは自社の宣伝のために使用するものであるので,自ら使用する情報成果物に当たり,当該外注部分についてはそもそも貴社で作成する能力がないような場合には,貴社が当該外注部分の作成を業として行っているとは認められないことから,他の事業者に作成を委託しても「情報成果物作成委託」に該当しない(「情報成果物作成委託」の類型3についての考え方(11ページ)参照。)。ただし,ホームページ上で有償提供するコンテンツ(画像等)の作成を他の事業者に委託する場合には,当該コンテンツは業として提供を行う情報成果物であることから,情報成果物作成委託に該当する。
10. 自社で使用するソフトウェアについて社内のシステム開発部門で作成しているが,特殊な知識が必要な部分があり,その部分について専門のシステム開発会社の人に来てもらって社内で作業している場合には,本法の対象となるか。
A. 自社で使用する情報成果物の作成に際して,自ら作成できないものを外注する場合には「情報成果物作成委託」には該当しない。なお,それが労働者派遣法の対象となるような場合には当該情報成果物の作成はあくまでも貴社が自ら行っていることとなり,そもそも他の事業者に対して情報成果物の作成の行為の全部又は一部を委託しているとはいえないため,本法の対象とはならない。
11. 社内に調査部門がありマーケティングを行っているが,当該マーケティングの一環として行うアンケート調査等の一部を他の事業者に委託している場合には,本法の対象となるか。
A. 委託の内容により,考え方は異なる。すなわち,委託の内容がアンケート結果の入力・集計等の情報処理等の役務であるならば,質問の場合には貴社が他に提供するものではなく,貴社が自ら用いる役務の委託であるため,本法の対象とはならない(自ら利用する役務について他の事業者に委託することは,下請法上の「役務提供委託」には該当しない。)。
一方,委託先事業者の意見等を記載した報告書等の情報成果物の作成を委託しているものならば,当該情報成果物を自社で反復継続的に作成している場合には,本法の対象となる。
12. 取扱説明書の内容の作成とその印刷の委託を併せて行うというような,情報成果物作成委託と製造委託を同時に行った場合,下請事業者を画する資本金基準はどう判断すればよいのか。
A. 「3億円又は1千万円」の資本金基準を用いる取引(製造委託,修理委託並びに政令で定める情報成果物作成委託及び役務提供委託)と「5千万円又は1千万円」の資本金基準を用いる取引(政令で定めるものを除く情報成果物作成委託及び役務提供委託)が同時に発注された場合には,それぞれの取引ごとに,それぞれの資本金基準をもって本法の対象となるか否か判断される。すなわち,親事業者と下請事業者の資本金額によっては,一方の取引だけが本法の対象となるということがあり得る。ただし,これらが一体不可分の取引として発注された場合には,いずれかの資本金基準に該当すれば,当該取引は一体として本法の対象となることになる。
13. 映画等の制作においては,製作委員会方式が採られる場合が多いが,製作委員会名で映画制作をプロダクションに委託した場合には,製作委員会が親事業者となるのか。
A. 製作委員会が法人格を持つ場合には,出資金の金額が資本金基準の要件を満たせば,製作委員会が親事業者となるが,法人格を持たない場合には,製作委員会に参加している事業者が共同でプロダクションに制作を委託しているので,それぞれの参加事業者ごとに資本金基準を満たせば,それぞれの参加事業者が親事業者となる。なお,この場合,製作委員会名で3条書面(22ページ参照。)を交付することは差し支えない。
14. 商品の「設計図」は情報成果物に該当するとのことだが,半導体の回路の設計図,建築工事の工事図面のようなものまでも本法の対象となるのか。
A. これらの設計図,工事図面に従って,半導体,建築物が製造・建築されるものなら,当該設計図,工事図面は,半導体,建築物に化体してユーザーに提供されているものなので,情報成果物作成委託として本法の対象となる。
15. メーカーが,ユーザーへの製品の運送を運送業者に外注した場合には,本法の対象となるのか。
A. メーカーがユーザー渡しの契約で製品を販売している場合,運送中の製品の所有権がメーカーにあるときは,当該運送行為は製品の販売に伴い自社で利用する役務であるため,役務提供委託には該当しない。
本法の規制対象となる役務提供委託に該当するのは,他人の所有物の運送を有償で請け負い,他の事業者に委託する場合に限られる。
16. 景品の製造を委託した場合も本法の対象になるのか。
A. いわゆる景品は,商品に添付されて提供される場合を除き製造委託(類型1)には当たらないが,自家使用物品として当該景品を自社で業として製造している場合には,製造委託(類型4)に該当する。
17. 労働者の派遣を受けることは,本法の対象となるか。
A. 労働者派遣法に基づき労働者の派遣を受けることは,委託取引とは異なるので,本法の対象とはならない。
18. 放送番組に使用する脚本,オリジナルテーマ曲の楽譜の作成は情報成果物作成委託に該当するとのことだが,これらについては,脚本家や作曲家が著作権を持つことから本法の対象とはならないのではないか。
A. 脚本,オリジナルテーマ曲は,放送番組という情報成果物を構成する情報成果物であり,著作権の有無を問わず,情報成果物作成委託に該当する。
19. 親子会社間の取引にも,本法が適用されるのか。
A. 親子会社間の取引であっても本法上はその適用が除外されるものではないが,親会社が子会社の議決権の50%超を所有するなど実質的に同一会社内での取引とみられる場合は,従来から,運用上問題としていない。
20. 工場内における運送作業を外部に委託する取引は,「製造委託」と「役務提供委託」のどちらに該当するのか。
A. 運送は役務に該当する行為であるが,例外的に同一工場内における製造工程の一環としての運送(ライン間の仕掛品の移動等)を他の事業者に委託する場合には,製造委託に該当する。
21. 医療法人が患者の検査を行い,検査結果の解析を外部に委託する取引は,役務提供委託に該当するのか。
A. 治療行為の参考とするために行われる検査は,医療法人が自ら用いる役務であるので,役務提供委託に該当しないが,人間ドック,健康診断等の委託を受けて行う検査の場合には,その検査結果の解析を委託することは役務提供委託に該当する。
22. 当社では,海外で販売しているゲームソフトを国内向けに販売することがあるが,そのためにはまず当該ゲーム内で使用されている言語を日本語に翻訳する必要がある。この翻訳については外注しているのだが,これは情報成果物作成委託に該当するのか。なお,翻訳はペーパーの形で当社に納入される。
A. 翻訳文書は情報成果物であり,また,当該翻訳文書はゲームソフトを構成することとなる情報成果物であるので,情報成果物作成委託に該当する。
23. 放送番組に使用する番組のタイトルCG,BGM等の音響データの作成は情報成果物作成委託に該当するとのことだが,これらについては,プロダクションの人が放送局に来て,ディレクターの指示のままに作業をする場合には,情報成果物作成委託とはいえないのではないか。
A. 放送局がプロダクションに委託する業務の内容が,放送局においてディレクターの指示のままに作業をすることというものであれば,それは情報成果物の作成委託でなく,放送局が専ら自ら用いる役務の委託であることから,本法の対象とはならない(情報成果物作成委託にも役務提供委託にも該当しない。)。なお,それが労働者派遣法の対象となるような場合には,本法の対象とはならない。
24. いわゆる「取次ぎ」は役務提供委託に該当するか。
A. 直接的に取引当事者とならず,単に契約事務を代行するものであれば,本法の対象とはならない。
25. ソフトウェアを販売する事業者が,販売したソフトウェアの顧客サポートサービスを他の事業者に委託することは役務提供委託に該当するとのことだが,無償のサポートサービスの場合も含まれるのか。
A. 顧客に対するサポートサービスの提供は,直接的には無償に見えても対価は当該ソフトウェアの販売価格に含まれていると考えられるので, サポートサービスを他の事業者に委託することは役務提供委託に該当する。
26. 内航海運における定期用船契約や運航委託契約は,船舶の貸渡し又は運航を他の内航運送業者等に委託するものであり,貨物運送を委託する契約ではないが,運送委託として本法の対象となるのはなぜか。
A. 契約の名目が船舶の貸渡し又は運航の委託であっても,取引の実態が運送の委託であることから,役務提供委託に該当するものである。
27. 内航海運の用船契約は役務提供委託に該当するとのことだが,裸用船契約は含まれないと考えてよいか。
A. 裸用船契約は他の内航運送業者に対して運送を委託するものではないので,役務提供委託には該当しない。
28. 販売目的のソフトウェアを作成するため,コーディング作業等のシステム開発業務支援に係る恒常的な業務委任契約(特定の情報成果物の作成ではなく,親事業者の社内に常駐して様々な情報成果物の作成業務を行う。)を結ぶ場合があるが,役務の提供をさせていることから情報成果物作成委託に該当せず,本法の対象とはならないと考えてよいか。
A. コーディング作業はソフトウェアの作成行為そのものであり,形式的には業務委任契約により役務の提供を依頼している場合であっても,原則として情報成果物作成委託に当たる。ただし,それが労働者派遣法の対象となるような場合には,本法の対象とはならない。 なお,3条書面上の「給付の内容」を個別プログラムごとに記載できないという場合には,「システム(ソフトウェア)開発支援業務」等と記載すれば足りるが,この場合には,業務と同時並行的に親事業者のコンピュータに記録されることをもって瞬間瞬間に受領が発生しているとみなさざるを得ないので,1か月締切制度の場合には締切後30日以内に支払期日を定める必要がある。
29. 有償で販売するポスターの作成を(デザインと印刷の両方を同時に)委託することは従来製造委託と認識していたが,今後ともそれでよいか。仮に情報成果物作成委託にも該当するとした場合,@製造委託と情報成果物作成委託とでは資本金基準が異なるが,どのように適用されるのか,A3条書面は2枚出さなければならないのか,B当社は印刷についてしか代金を支払っていないが,デザイン部分について本法違反となってしまうのか。
A. デザインの委託は情報成果物作成委託,印刷の委託は製造委託に該当することとなり,各々の資本金基準に該当した場合,それぞれ本法の対象となる。3条書面は,まとめて記載できるのであれば2枚交付する必要はない。デザイン料については,3条書面上でデザインを委託していることを明確化した上で,その対価について下請事業者と十分協議した上で決定することが必要である(印刷とデザインを一体として対価を決定することは差し支えない。)。
30. 資本金4億円の事業者が資本金1億円の事業者に対して,商品の設計と製造を委託する場合,本法はどのように適用されるのか。
A. 製造委託部分については3億円基準で対象となるが,情報成果物作成委託に該当する商品の設計委託は,5千万円基準のため対象とならない。ただし,これらが一体不可分の取引として発注された場合には,これらの取引は一体として本法の対象となることになる。
31. 当社(資本金2億円)の業種はソフトウェア業なので,本法の対象となる下請事業者の資本金は1千万円以下と考えてよいか。
A. 製造委託,修理委託,プログラムの作成委託及び情報処理の委託については,資本金1千万円以下の事業者との取引が対象となるが,その他の情報成果物作成委託や役務提供委託については資本金5千万円以下の事業者との取引が対象となる。
32. 電話で注文をして,後日3条書面を交付する方法は問題ないか。
A. 電話のみによる発注は,書面の交付義務違反となる。緊急やむを得ない事情により電話で注文内容を伝える場合は,「注文内容について直ちに注文書を交付するので,これにより確認されたい」という趣旨の連絡をする必要がある。この場合,直ちに3条書面を交付しなければならないことは言うまでもない。
33. 具体的な金額の記載に代えて算定方法を記載する際には,どのような点に留意したらよいか。
A. 具体的な金額を記載することが困難なやむを得ない事情がある場合(例えば,試作品の製造を委託する場合,修理委託であって修理してみないと修理に要する費用が算定できない場合,一定期間を定めた役務提供委託であって当該期間に提供した役務の種類及び量に応じて代金が支払われる場合等。)であって,算定方法の形であれば正式単価として記載できる場合には,具体的な金額の記載に代えて算定方法を記載することが認められる。ただし,@算定方法は,下請代金の具体的な金額を自動的に確定するものでなければならず,A算定方法を定めた書面と3条書面とが別のものである場合においては,これらの書面の関連付けを明らかにしておく必要があり,また,B遅くとも最初の代金支払時までには,下請代金の具体的な金額を確定し,下請事業者に対して書面により通知しておく必要がある(ただし,3条書面の形での再発行は要さない。)。
34. 当社は,下請事業者に運送委託するに当たり,年間契約を結び,下請代金は単価表に従い毎月の運送実績に応じた額を支払うこととしたいが,本法を遵守するために特に気を付けるべき点は何か。
A. 契約書で1年間の運送を発注し,それに3条書面の必要記載事項がすべて記載されているのであれば,当該契約書を3条書面とすることが可能である。この場合,3条書面は発注後直ちに交付しなければならないので,契約書の締結までに時間を要する場合には,契約とは別に3条書面を交付する必要がある。下請代金の支払期日は,月単位の締切対象期間の末日から60日(2か月)以内の日としなければならない。
また,下請代金の具体的な金額が確定した場合には,当該金額を速やかに下請事業者に書面にて通知する必要がある。算定の根拠となる運送実績については,5条書類として記録・保存する必要があるが,下請事業者に対しても下請代金の具体的な金額と併せて通知することが望ましい。5条書類は,毎月の運送実績に応じて作成する必要があり,当月分の下請代金を支払い,その旨を5条書類に記録した後から2年間保存する必要がある。
35. 情報成果物作成委託においては,委託内容のすべてを3条書面に記載することは不可能だが,どの程度詳しく書かなければならないのか。
A. すべてを記載することは困難でも,下請事業者が3条書面を見て「給付の内容」をおおむね理解できる程度に記載することが必要である。 また,3条書面の「給付の内容」の記載は,親事業者として下請事業者に対しやり直し等を求める根拠となるものでもあるので,必要な限り明確化することが望ましい。
36. 発注時に書面に記載することができないことに正当な理由がある事項がある場合には,当初書面には「内容が定められない理由」と「内容を定めることとなる予定期日」を記載することになったが,どの程度詳しく書く必要があるのか。また,やむを得ず「予定期日」が守られなかった場合には,本法上問題となるのか。
A. 「理由」は,現時点で未定となっていることが正当化できる程度に明らかにし,「予定期日」は具体的な日が特定できるよう記述する必要がある。書面に記載する時点で合理的に予測できる期日を記載する必要があるが,結果的に「予定期日」が守られなくても,直ちに本法上問題となるものではない。
37. 継続的な運送委託において,契約書を3条書面とすることは可能か。それとも個々の運送を委託する度に3条書面を交付する必要があるのか。
A. 契約書の内容が,3条書面の具体的記載事項がすべて網羅(下請代金の額については算定方法を記載することも可)されていれば,個別の役務提供のたびに3条書面を交付する必要はない。
38. 下請事業者に知的財産権が発生する情報成果物作成委託において,当該知的財産権を譲渡させることについては後日契約書で明確化したいと考えているがよいか。
A. 委託した給付の内容に含んで知的財産権を譲渡させる場合には,3条書面にその旨記載し,知的財産権の譲渡対価を含んだ下請代金の額を下請事業者との十分な協議の上で設定して発注する必要がある。なお,委託した給付の内容に含まず,後日,当該知的財産権については譲渡対価を支払って譲渡させるという場合には,3条書面に知的財産権の譲渡についての記載は要しない。
39. 当社は,システム開発会社である。メーカーから改正後の本法に対応した発注システムの開発を請け負っている。下請法第3条の規定に基づく規則(下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則)第1条第3項の規定により,特定事項の「内容を定めることとなる予定期日」の記載が義務付けられているが,次のような記載は適法か。
@ 「○月○日まで」
A 「発注日から○日以内」
B 「納入日まで」
C 「納入月まで」
A. 「予定期日」は具体的な日が特定できるよう記述する必要がある。
@,Aは予定期日として具体的であり認められる。
Bは具体的だが,本当に納入日まで決まらないのであれば認められるが,そのような実態がない場合は認められない。また,当初書面において納入日を記載していない場合には認められない。
Cは,具体的な日を特定していないので,認められない。
なお,すべての委託について一律の記載をすることは,真に一律の時期に特定可能となるということであれば可能であるが,通常は認められない。
40. 下請事業者に委託する給付の内容は定まっているのだが,ユーザー側の都合により,ユーザーへの引渡代金は定まっていない。この場合,下請代金の額はユーザーへの引渡代金が定まった後で決定することになるが,本法上問題ないか。
A. 下請事業者への下請代金の支払は親事業者が責任を負うべきものであり,ユーザーへの引渡代金が未定であることは理由にならない。ユーザーへの引渡代金の決定時期にかかわらず,発注時に下請代金の額を決定し,受領後60日までに下請代金を支払う必要がある。
41. ユーザー側の都合により,下請事業者に委託する給付の内容が定まっておらず,下請代金の額も給付の内容に応じて変わることから決定できない。この場合,下請代金の額は給付の内容が定まった後で決定することになるが,本法上問題ないか。
A. やむを得ない。この場合,「給付の内容」,「下請代金の額」について速やかに決定し,決まりしだい補充書面を交付する必要がある。
42. EDIにより発注する場合,システム上,単価欄を空欄で発注することはできないようになっているが,どうしたらよいか。また,実際の単価ではないことを明記した上で,「0円」と表記して発注することは認められるか。
A. 下請事業者と十分協議を行い,0円が実際の単価を意味していないことを明示した上で発注することは問題ない。
43. 仮単価は禁止されたのか。
A. 仮単価を書くことが禁止されたわけではない。ただし,仮単価を書いた場合であっても,正式な単価が記載されたことにはならないので,「単価が定められない理由」と「単価を定めることとなる予定期日」を記載し,単価が決定した後には直ちに補充書面を交付しなければならない。
44. 交通費等の諸経費を下請代金に含めて支払うこととしている場合,交通費の額が不明であるため,発注時点では下請代金の額が確定できない。このような場合,3条書面には,交通費等の諸経費を含まない段階における下請代金の額と,交通費等の諸経費は親事業者が負担する旨が明記してあれば,算定方法による下請代金の額の記載として認められるか。
A. 認められる。この場合,「作成に要した交通費,○○費,○○費の実費は当社が負担します。」など,具体的に何に係る費用を負担するのかを明確にする必要がある。
45. 内航運送業者が船舶貸渡業者に貨物運送を委託するに当たり,運航委託契約書を3条書面とし,下請代金は毎月の荷主から収受する運賃実額から一定率を減じた額とする算定方法を採ることは本法上問題あるか。また,この場合,月末締め翌々月末払いは認められるか。
A. 本法上認められる算定方法は,提供する役務の種類及び量当たりの単価があらかじめ定められている場合に限られるので,荷主から収受する運賃実額から一定率を減じた額とする算定方法は認められない。したがって,運航委託契約による代金決定方法により発注する場合には,運航委託契約の締結時点で(又は1か月の支払対象期間の前日までに),あらかじめ契約期間(又は支払対象期間)中の運航における荷主の運賃単価を下請事業者に示す必要がある。しかし,運航委託においては,スポット的な運航があるため,この条件が満たされない場合がある。
この場合において本法を遵守するためには,個々の運航を給付の内容とし,個々の運航ごとに3条書面を交付することが考えられる(運航委託契約書は,通常,共通記載事項の書面となる。)。しかし,この場合には,算定方法により一定期間の役務を給付の内容とする場合と異なり,個々の運航の終了後60日以内に支払期日を定めることになるので,1か月締切制度の場合には締切後30日以内に支払期日を定める必要があり,月末締め翌々月末払いは認められないことになる(月末締め翌月末払いまでは認められる。)。
46. 知的財産権が親事業者・下請事業者のどちらに発生するのか不明確だが,契約において親事業者に帰属することとしている。この場合も3条書面に記載する必要があるか。
A. 下請事業者に帰属する知的財産権を「給付の内容」に含んで親事業者に譲渡させるのであれば,3条書面に記載する必要がある。
47. 3条書面は様式を問わないので契約書を3条書面とすることも可能と聞いたが,契約締結まで日数を要する場合,どのくらいまでなら「直ちに」交付したとみなされるのか。
A. 「直ちに」とは「すぐに」という意味である。親事業者には,発注した場合「直ちに」書面を交付する義務があるので,契約締結までに日数を要するのであれば,発注後,直ちに,別の必要事項を記載した書面を交付する必要がある。
48. 補充書面は,いつまでに交付する必要があるのか。
A. 当初書面に記載されなかった事項の内容が確定した後,「直ちに」交付する必要がある。
49. 長期継続的な役務取引の場合には,何十年も前に年間契約を締結し,その後1年ごとの自動更新としている場合があるが,3条書面を改めて交付する必要はないか。
A. 契約中,3条書面に記載すべき事項に変更がなければ,改めて交付する必要はないが,このような場合には,通常,契約上代金については別の書面で定めることとされていると考えられるので,この書面については代金改定時に随時交付する必要がある。
50. EDIにより発注する場合,3条規則に定める事項のうち,システム的に文字を入力・送信することが困難な場合があるので,記号(パターンコード)化可能なものは記号により通知することとしたいが,問題ないか。
A. 質問の場合,それぞれの事項においてそれぞれの記号が何を意味するのか(パターンコードの情報)をあらかじめ下請事業者に文書(又は電磁的方法)で通知しておけば,記号を使用することも可能である。
【違反行為事例】
@ 緊急を要するため,親事業者が下請事業者に口頭(電話)で発注し,その後,3条書面を交付しない場合
A 親事業者が下請事業者に対して,発注単価をコンピュータに登録してこれを帳票に印字する方法で書面を作成しているが,新規部品の製造委託の発注時に,既に単価が決定しているにもかかわらずコンピュータには未登録のため,結果として書面に単価が表示されることなく発注する場合
B 親事業者が下請事業者に対して,電子メールで発注することについて下請事業者の事前の承諾を得ることなく,書面の交付に代えて電子メールで発注する場合
C 親事業者は下請事業者に対して運送を委託しているところ,下請代金の額は,下請事業者の1か月間の運送実績に応じて定められることとなっており,下請事業者に委託した時点ではどれだけ運送するのか分からないので具体的金額を記載することができないとして,算定方法を記載することが可能であるにもかかわらず,当初書面に具体的金額も算定方法も記載せずに交付している場合
D 親事業者は下請事業者に対して,ユーザーから開発を請け負ったソフトウェアの一部のプログラムの作成を委託しているところ,委託した時点では,ユーザーの求める仕様が確定しておらず,正確な仕様を決定することができないため発注の内容及び下請代金の額を定めることができないことを理由として,これらが確定するまで,書面を一切交付しない場合
51. 給付内容を変更した場合には5条書類に記録しなければならないが,情報成果物においては,親事業者と下請事業者が個々に打合せしながら給付内容を確定していく場合がある。この場合,どの程度の変更から記録しなければならないのか。
A. 個々の作業指示をすべて記載する必要はないが,少なくともそれにより下請事業者に下請代金の設定時には想定していないような新たな費用が発生する場合には,その旨記載し保存する必要がある。
52. 当社は,製品を国内にも海外にも販売しており,海外では国内よりも安い販売価格でないと売上げが伸びないため,海外向け製品に用いる部品を国内向け製品に用いる部品よりも低い単価で発注することとしたいが,問題となるか。
A. 海外向けに限らず,国内においても特定の販売先に対して安く販売するという理由で下請事業者が納入する同一の部品について,他の販売先向けの製品に用いる部品よりも著しく低い単価を定めるのであれば買いたたきに該当し,本法第4条第1項第5号の規定に違反するおそれがある。
53. 作業内容を下請事業者に提示し見積もりを出してもらい,それを基に価格を決定したいと思うが,見積書が提出された後に,作業内容が当初の予定を大幅に上回ることとなった場合に,見積書を取り直さずに発注すると買いたたきとなるか。
A. 親事業者が下請代金の額を定める方法としては,見積り合わせ,話合い,入札等があるが,その価格の取決めに際し親事業者が一律に一定比率で単価を引き下げる,一方的に通常支払われる対価より低い単価で下請代金の額を定めるなどの場合には,買いたたきに該当し,本法第4条第1項第5号の規定に違反するおそれがある。
この質問の場合,下請事業者に見積書を提出させた段階より作業内容が増えたのにもかかわらず,下請代金の額の見直しをせず,当初の見積価格を作業内容が増えた場合の下請代金の額として定めたと解釈され,そのままにしておくと買いたたきとなるおそれがある。したがって,下請事業者から申出のあるなしにかかわらず,再見積りを取り単価の見直しを行う必要がある。
54. 当社の決算対策のため,発注単価を一律に引き下げても問題とならないか。
A. 個別の発注内容の違いを考慮することなく,すべての発注内容について一律に一定比率で引き下げた単価で発注を行った場合は,買いたたきに該当し,本法第4条第1項第5号の規定に違反するおそれがある。
55. 指値で下請事業者に注文を出しても問題とならないか。
A. 親事業者が,一方的に単価を指定するいわゆる指値により,通常支払われる対価より低い単価で下請代金の額を定めることは,買いたたきに該当し,本法第4条第1項第5号の規定に違反するおそれがある。
下請代金は,下請事業者から見積書を提出してもらった上で十分に話し合い,双方の納得のいく額とすることが肝要である。
56. 下請事業者に知的財産権が発生する情報成果物の作成を委託することを検討しているが,当該知的財産権の譲渡対価の設定が困難なため,知的財産権は譲渡させるが,その対価を含めない通常の取引価格と同じ価格で発注した場合問題となるか。
A. 情報成果物作成委託において給付の内容に知的財産権が含まれている場合,当該知的財産権の対価について,下請事業者と協議することなく,一方的に通常支払われる対価より著しく低い額を定めることは買いたたきに該当するものである。本件の場合,知的財産権の譲渡価格の設定が困難という理由で,一方的に情報成果物の価格に知的財産権の譲渡対価を含まないとすることは,買いたたきとして本法上問題となるおそれがある。
【違反行為事例】
@ 大量に発注することを前提にした単価による少量の発注
産業用機械の部品の製造を下請事業者に委託しているA社は,下請事業者に2,000個発注することを前提として下請代金の単価について交渉し合意したところ,実際には300個しか発注しなかったのに2,000個発注することを前提とした単価を適用した。
A 一律一定率の単価引下げ
配水機械部品等の製造を下請事業者に委託しているB社は,従来の単価から一律一定率で単価を引き下げて下請代金の額を定めていた。
B 親事業者の目標額を基準として一方的に定める買いたたき
a 道路貨物運送を下請事業者に委託しているC社は,下請事業者と協議することなく,自社の目標額をもって下請代金の額を決定していた。
b 電線等の加工を下請事業者に委託しているD社は,単価改定の際,下請事業者と協議することなく一方的に単価を決定した後,単価改定書を送付し,通常支払われる対価より低い金額で下請代金を定めていた。
C 親事業者による一方的な単価の引下げ
プライベートブランド商品の製造を下請事業者に委託しているE社は,下請事業者に対する発注単価の決定に当たり,個々の下請事業者と十分協議することなく,一部の下請事業者と協議して決めた単価を,その他多数の下請事業者の単価として決定していた。
D 短納期発注による買いたたき
自動車部品の製造を下請事業者に委託しているF社は,短納期発注を行う場合に,下請事業者に発生する費用増を考慮せずに下請代金の額を決定していた。
【想定される違反行為事例】
@ 親事業者の予算単価のみを基準とした単価引下げによる買いたたき
a 親事業者が,下請事業者と年間運送契約を結んでおり,双方に異議のない場合は自動更新されることとなっていたところ,年度末の契約の更新の直前に,人件費,燃料費等について大幅な変更がないのに,翌年度の契約書であるとして前年に比べて大幅に単価を引き下げた運送契約書を下請事業者に送付し,下請事業者と十分な協議をすることなく,一方的に下請代金の額を定める場合。
b 親事業者が,下請事業者との年間運送契約において荷物の積み下ろし作業は親事業者が行うものとしていたが,これを下請事業者が行うこととし,変更を通知したところ,下請事業者は,こうした作業を行うためには従来の運送料金では対応できないとして下請代金の改定を求める見積書を提出したにもかかわらず,一方的に親事業者の予算単価を基準として従来どおりに価格を据え置く場合。
A 知的財産権の譲渡対価の買いたたき
親事業者が,制作を委託する放送番組について,下請事業者の著作権を親事業者に譲渡させることとし,その対価が下請代金に含まれているものの,下請事業者と著作権の対価にかかる十分な協議を行わず,通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定める場合。
57. 納期前に納品された場合にどのように対処したらよいか。
A. 約束した納期前に納品されても親事業者には受け取る義務はなく,受取を拒んでも受領拒否とはならない。 下請事業者の要請に応じて納入された物品を受け取ることが望ましいが,その場合には,仮受領として納入された物品を納期まで保管し,3条書面に記載された支払期日に下請代金を支払えばよい(仮受領とせず受領した場合には,受領した日から起算して60日以内に下請代金を支払わなければならない。)。
58. 下請事業者が,正式な発注に基づかず見込みで作成してしまった場合には,その受領を拒否しても問題ないか。
A. 発注していないものについて受領を拒否することは問題ない。ただし,3条書面を作成せず,口頭発注にて下請事業者に一定数量を作成させている場合には,書面の交付義務違反にとどまらず,受領拒否にも該当する。
59. 当社は,いわゆるジャスト・イン・タイム生産方式の採用に当たり,本法上問題とならないよう,次のような方法を検討しているが,この他にどのような点に注意したらよいか。
ア 継続的な量産品であって,生産工程が平準化されているものについて,当社と取引先下請事業者双方の合意の上で導入する。
イ 3条書面は,事前に十分なリードタイムをとって交付する。この3条書面には,一定期間内において具体的に納入する日と,納入日ごとの納入数量を明確に記載する。
ウ ジャスト・イン・タイム生産方式による納入指示カードは,イの3条書面の納入日と納入日ごとの納入数量を微調整するために交付するものであるという考え方で運用する。
エ 納入回数及び1回当たりの納入数量を適正にし,かつ,無理な納入日(時間)の指示は行わないよう注意する。
オ ジャスト・イン・タイム生産方式の採用により輸送費等のコスト増が発生する場合には,下請代金について事前によく協議し,合意した上で実施する。
A. 貴社で採用を検討しているジャスト・イン・タイム生産方式においては,イの3条書面が,一定期間内における生産・納入を委託する3条書面に当たり,ウの納入指示カードにより,その内容を変更していることとなる。
いわゆるジャスト・イン・タイム生産方式においては,上記ア〜オの事項をすべて遵守することが必要となるほか,納入指示カードによる変更により,納入日が遅れたり,納入日ごとの納入数量が少なくなる場合には,それにより下請事業者に費用(保管費用,運送費用等の増加分)が発生した場合にそれを全額負担しなければ,受領拒否又は不当な給付内容の変更として問題になる。また,納入指示カードによる変更により,納入日が遅れ,下請代金の支払が遅くなることが考えられるが,それが納入時期の微調整にとどまる場合(例えば,当該発注期間の最終納入予定日が,次期発注期間の最初の納入予定日又は当該納入予定日より早い時点に変更された場合)には,ジャスト・イン・タイム生産方式においてやむを得ないものとしてこれを認めている。
なお,製品仕様の変更等親事業者側の一方的都合による発注内容の変更若しくは発注の取消し又は生産の打切り等の場合には,下請事業者が既に完成している製品すべてを受領しなければ,受領拒否として問題になり,仕掛品の作成費用や部品代を含む下請事業者に発生した費用を全額負担しなければ,不当な給付内容の変更として問題になる。
60. 役務提供委託には受領拒否がないということだが,契約期間中に親事業者から「もういらない」と言われても違反とならないのか。
A. 役務提供委託の場合は,下請事業者の給付を受領するという概念がないため,受領拒否には当たらないが,下請事業者が要した費用を負担せずに契約を打ち切ることは,「不当な給付内容の変更」に該当する。
【違反行為事例】
@ 生産計画を変更したことによる受領拒否
計測器等の部品の製造を下請事業者に委託しているA社は,下請事業者が製造委託を受けた部品について既に完成させていたにもかかわらず,自社の生産計画を変更したことを理由として発注の一部を取り消し,下請事業者の給付を受領していなかった。
A 在庫調整を目的とした受領拒否
自動車部品の加工を下請事業者に委託しているB社は,指定の納期に納品しようとした下請事業者に対して,売行き不振を理由として受領を拒否し,1〜2か月後に再納品させる方法を随時採ることにより,在庫の調整を行っている。
B 他社から納品されたため不要になったことを理由とする受領拒否
鉄鋼製品の製造を下請事業者に委託しているC社は,鉄鋼製品を販売先に緊急に納入する必要があったことから,下請事業者2社に急いで製造するよう発注した。そのため,下請事業者2社は,割高の原材料を手当てして納期に間に合わせようとした。しかし,C社は,1社から早く納入されたため,他の1社に対して,不要になったとして発注を取り消した。
C 仕様変更等を理由とする受領拒否
建築物の設計等を下請事業者に委託しているD社は,あらかじめ指定した納期に下請事業者が納品しようとしたところ,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに,ユーザーからの仕様等の変更を理由として,給付を受領しなかった。
D 販売先の売行き不振を理由とした受領拒否
寝具等の製造を下請事業者に委託しているE社は,販売先の売行き不振を理由として,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに,納期を延期し,あらかじめ指定した納期に下請事業者の給付を受領していなかった。
E 最終ユーザーの広告取りやめによる受領拒否
広告の企画・制作等を下請事業者に委託しているF社は,取引先から発注をキャンセルされたことを理由に,下請事業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず,あらかじめ定められた納期に下請事業者の給付を受領していなかった。
【想定される違反行為事例】
@ 放送番組における番組出演者の不祥事を理由とする受領拒否
親事業者が下請事業者に放送番組の制作を委託し,下請事業者は放送番組の作成を既に完了したところ,親事業者が指定した番組出演者に係る不祥事が発生したことを理由として当該番組を放送しないこととし,当該放送番組のVTRテープを受領しない場合。
A 製造計画変更による受領拒否
親事業者(物品製造業者)が,下請事業者に対して設計図面の作成を委託したが,自社製品の製造計画が変更になったとして当該設計図面を受領しない場合。
61. 下請事業者からの納入品が不良品であった場合,受領後6か月以内ならいつでも自由に返品できるのか。
A. 親事業者が受入検査を行い,いったん合格品として取り扱ったもののうち,直ちに発見することができない瑕疵があったものについては,受領後6か月以内であれば返品することができる。
また,親事業者が下請事業者に検査を文書で委任している場合,直ちに発見することのできない瑕疵や明らかな検査ミスのあるときは受領後6か月以内であれば返品することができる。
しかし,受入検査の結果,不良品とされたものは速やかに返品すべきで,返品せずそのまま放置しておけば6か月以内の返品でも本法違反となる。
62. 抜取検査でロット合格したが,ユーザーに渡った時点で使用上重大な瑕疵が見つかったため,販売店を経由して返品されてきた。納入後1か月を経過しているが下請事業者に返品することはできるか。
A. 親事業者は,ロット単位で抜取検査を行う場合,合格としたロットの中の不良品について返品することは認められない。ただし,@継続的な下請取引が行われている場合で,A発注前にあらかじめ,直ちに発見できる不良品について返品を認めることが合意・書面化されている場合であって,B当該書面と3条書面との関連付けがなされているときに,C遅くとも,物品を受領後,当該受領に係る最初の下請代金の支払時までに返品することは認められている。この場合,親事業者と下請事業者との間では,合格ロット内の不良品を返品することを前提に下請代金の額について十分な協議が行われる必要があり,これに反し,親事業者が一方的に従来と同様の単価を設定する場合は買いたたき(本法第4条第1項第5号違反)に該当するおそれがある。また,検査を行わないで返品したり,物品を受領後,当該受領に係る最初の下請代金の支払時を超えて返品することは,違法な返品として本法違反となるので注意する必要がある。
直ちに発見できない瑕疵であった場合,受領後6か月(一般消費者に6か月を超える保証期間を定めている場合は最長1年)以内に限り返品することが認められている。
【違反行為事例】
@ 受入検査を行わない場合に不良品が発見されたときの返品
衣服の製造を下請事業者に委託しているA社は,納入された衣服の受入検査を行っていないにもかかわらず,受領後に不良品を発見したとして返品をしていた。
A 受領後6か月を超えた後の返品
織物等の製造を下請事業者に委託しているB社は,納入された商品について直ちに発見できない瑕疵があったとして,当該商品を受領してから6か月を超えた後に返品を行っていた。
B 商品の入替え等により不要になったものの返品
衣料品等の製造を下請事業者に委託しているC社は,一部の下請事業者に対し,自己の店舗における商品の入替えや顧客からのキャンセルを理由に,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに,下請事業者から受領した衣料品等を引き取らせていた。
C 販売不振を理由とした返品
海産物加工食品の製造等を下請事業者に委託しているD社は,販売不振を理由として,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに,賞味期限の切れた製品を下請事業者に引き取らせていた。
63. 下請代金の支払として手形を交付しているが,下請事業者の希望により一時的に現金で支払うこがよくある。この場合,金利引きと称して手形割引料相当分を減額してもよいか。
A. 下請事業者との間で支払手段を手形と定めているが,下請事業者の希望により一時的に現金で支払う場合に親事業者の短期調達金利相当額を超えて減額すれば,その超過分は下請代金の減額として本法違反となる。
なお,一時的にではなく常に現金で支払うという場合には,支払手段を現金払いとして 3 条書面を交付する必要があるが,この場合において,3条書面に記載した下請代金の額から割引料相当額を差し引くことは下請代金の減額として本法違反となるので,これに見合う単価設定を下請事業者との十分な協議の上で行う必要がある。
64. 「合理的理由に基づく割戻金」として下請代金の減額に当たらないとされるボリュームディスカウントとはどのようなものか。
A. ボリュームディスカウントとは,親事業者が,下請事業者に対し,一定期間内に,一定数量を超えた発注を達成した場合に,下請事業者が親事業者に支払う割戻金のことである。 ボリュームディスカウントに当たるかどうかの判断に当たっては,割戻金支払の対象となる期間、発注数量,割戻金の水準等について考慮する必要があり,これまでの発注実績に比べて多く発注することで,下請事業者に相応の利益が生じるものである必要がある。例えば,直近6か月で10,000個の発注を行っていた場合に,割戻金支払の対象となる期間を1年とし,その間の発注数量を15,000個に設定する場合などはボリュームディスカウントと認められない。
65. 下請代金の支払に際し端数が生じた場合,当該端数を四捨五入の方法によって処理しても問題はないか。
A. 支払時点において,円未満を四捨五入することは問題ない。また,支払うべき下請代金の額に円未満の端数があった場合,これを切り捨てて支払ったとしても,下請代金の額を減ずる行為とはみなされない。例えば,下請代金の額が1,008,005円80銭だった場合,下請代金の額を1,008,005円とすることは問題ない。ただし,1,008,000円とするなど1円以上の単位で切り捨てる場合は,下請代金の額を減ずる行為となる。
66. 当社は,毎年上期(4 月〜9 月)及び下期(10 月〜3 月)の 2 回単価改定を行い,各期首に提供される役務から適用しているが,下請事業者との単価改定交渉が長引き,各期の半ばくらいの時点で合意することがある。下請事業者とは各期首に提供される役務から新単価を適用するという合意が成立しており,期首から適用しても問題はないか。
A. 新単価が適用できるのは親事業者と下請事業者との協議により単価改定が行われた時点以降に発注する分からである。したがって,この場合は新単価決定に係る合意日よりも前に既に発注した分に新単価を適用するわけであるから,下請代金の減額(遡及適用)となる。各期首から新単価を適用するのであれば,各期首に提供される役務が発注される時点までに新単価を決定しておくことが必要となる。新単価適用時期について下請事業者と合意が成立していることは下請代金の減額を正当化する理由とはならない。
67. 単価改定を行う場合,遡及適用に関してどういう点に気を付ければよいか。
A. 単価の引下げについて双方が合意した日(合意日)と新単価の適用を開始することとした日(単価改定日)が異なる場合には,合意したからといって単価改定日より前の発注について新単価を適用すると,下請代金の減額に該当する。また,下請事業者から見積書が出されただけでは合意したことにならないので注意が必要である。 なお,「○月納入分から新単価を適用する」というような交渉は,交渉が長引くことにより遡及適用となるおそれがあることから,「○月発注分から」という交渉を行うことが望ましい。
68. 下請事業者の了解を得た上で,下請代金を下請事業者の銀行口座に振り込む際の振込手数料を下請代金の額から差し引いて支払うことは認められるか。
A. 発注前に当該手数料を下請事業者が負担する旨の書面での合意がある場合には,親事業者が負担した実費の範囲内で当該手数料を差し引いて下請代金を支払うことが認められる。
69. 下請事業者の給付に瑕疵等があり,下請代金の支払日よりも前(受領後 60 日以内)に返品する場合には,下請代金を支払わなくてよいか。また,下請代金の支払後に返品した場合には,下請代金相当額を返却するよう求めてよいか。
A. 下請事業者の責任に帰すべき理由があり返品が認められる場合には,ともに本法違反とはならない。
【違反行為事例】
@ 新単価の遡及適用による減額
清掃等のビルメンテナンス業務を下請事業者に委託しているA社は,単価引下げの合意が得られた下請事業者に対し,単価引下げの合意日前に発注したものについても新単価をさかのぼって適用し,下請事業者に支払うべき下請代金から従来の単価と新単価との差額に相当する金額を差し引くことにより,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じていた。
A 金利引きによる減額
自動車の修理を下請事業者に委託しているB社は,下請代金の額が一定金額以上の場合,原則として手形払にしているが,現金での支払を希望する下請事業者に対し,自社の短期調達金利相当額を超える額を割引手数料として下請代金から差し引くことにより,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じていた。
B 「歩引き」と称して下請代金から一定の金額を差し引いて支払うことによる減額
繊維製品の加工等を下請事業者に委託しているC社は,「歩引き」と称し,下請代金から一定率を乗じて得た金額を差し引いて支払うことにより,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じていた。
C 原材料価格の下落を理由とした減額
機械器具の半製品の製造を下請事業者に委託しているD社は,下請事業者に対し,発注後下請事業者の使用する原材料の市場価格が下落したことから,下落分を値引きするよう要請し,一定額を下請代金から減じて支払っていた。
D 取引先からの代金の減額を理由とした減額
テレビコマーシャルの制作等を下請事業者に委託しているE社は,取引先からの代金の減額を理由として,下請事業者の責任に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じていた。
E 協力金等の徴収による減額
貨物運送,倉庫における保管業務及び清掃業務等を下請事業者に委託しているF社は,コスト削減を図るため,下請事業者に対して,下請代金の額に一定率を乗じて得た金額を負担するよう要請し,これに合意した下請事業者に対し,下請代金から「協力金」,「値引き」等の名目で下請代金の額に一定率を乗じて得た金額を差し引くことにより,下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,当該事業者に支払うべき下請代金の額を減じていた。
F 1円以上の単位の切捨て
自動車の修理・整備業務を下請事業者に委託しているG社は,一部の事業所において,支払時に 100 円未満の端数を切り捨てることにより,下請事業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じていた。
【想定される違反行為事例】
@ 一定額の代金支払を算定方法による代金支払に変更することによる減額
親事業者が,一定期間に運ぶ荷物の量にかかわらず一定額の代金を支払う契約を運送事業者と結んでいるところ,運ぶべき荷物が減少したため,実際の支払については荷物の量に応じた方式に基づいて算定することとし,当初の下請代金の額を下回る額を支払う場合。
A 無理な納期指定による減額
親事業者が,下請事業者に対してプログラムの作成を委託しているところ,作業の途中で当初指示した仕様の変更を申し入れ,下請事業者は,プログラマーの都合がつかないことを理由に断ったが,親事業者は一方的に仕様を変更し,下請事業者は残業してこの変更に対応しようとしたが納期に間に合わず,親事業者が納期遅れを理由として下請代金から減額を行う場合。
B 運送中の荷物が毀損したことを理由に下請代金から毀損額を上回る一定額を差し引くことよる減額
親事業者が,自ら請け負った運送を下請事業者に再委託し,運送中の荷物が毀損したので荷主から損失の補償を求められていると称して,損害額の算定根拠を明らかにしないまま,代金から毀損額を上回る一定額を差し引いている場合。
70. 下請事業者から当月納入分を翌月納入分として扱ってほしいと頼まれ,下請代金も翌月納入されたものとみなして支払ったところ,60日を超える支払遅延であるとの指摘を受けたが納得できない。
A. 本法の適用については,下請事業者との合意は問題とならない。下請事業者との合意の有無に関係なく,下請代金は支払期日までに支払わなければならない。
71. 当社は,常に一定の在庫を確保しておくため,下請事業者に対し,一定の在庫水準が常に保たれるように納入させ,このうち毎月当社が使用した分について,翌月末に支払っているが問題はないか。
A. このような方式(「コック方式」とか「使用高払方式」と呼ばれている。)の下では,下請事業者は,3条書面が交付されなくても,あるいは,納期が特定されていなくても,一定の在庫水準が常に保たれるように納入しなければならないので,必然的に親事業者の書面の交付義務違反(書面の不交付,交付遅れ,記載事項の不備)や支払遅延が発生するおそれが強い。したがって,このような方式は,基本的には本法上認められない。
72. 当社では,下請取引は商社を経由して取引を行っているが(商社が行うのは事務手続の代行のみで,製造委託等の内容には全く関与していない。),下請代金は,支払期日までに商社に対して支払えばよいか。
A. 商社が本法の資本金区分を満たす発注者と外注取引先の間に入って取引を行うが,製造委託等の内容(製品仕様,下請事業者の選定,下請代金の額の決定等)に全く関与せず,事務手続の代行(3条書面の取次ぎ,下請代金の請求,支払等)を行っているにすぎないような場合,その商社は本法上の親事業者又は下請事業者とはならず,発注者が親事業者,外注取引先が下請事業者となる。したがって,下請代金が支払期日までに下請事業者に支払われていなければ,貴社が支払遅延となるので,商社を経由して下請代金を支払う場合は,あらかじめ商社から下請事業者にいつ下請代金が支払われるのか確認し,支払期日までに下請事業者に下請代金が支払われるように商社との間で事前に取決めを行っておく必要がある。
73. 金型の製造委託においては,下請事業者が作成した金型を親事業者が占有しない場合があり,親事業者が納入(受領)の時点を確認できないことから,金型そのものではなく,最初の試打ち品の受領をもって金型の受領とみなすことは可能か。
A. 金型の製造委託において,親事業者に占有が移転することを前提とする金型については,原則どおり金型の受渡しが受領である。また,親事業者(完成品メーカー)が金型を占有しない場合であっても,下請事業者(金型メーカー)から親事業者以外の事業者(部品メーカー)に納入される場合には,親事業者が3条書面により金型の「受領場所」を部品メーカーと指示しているのであり,当該金型が部品メーカーに納入された時点が受領となる。しかし,下請事業者(部品メーカー)が製造した(又は金型メーカーに再委託して受領した)金型が他に納入されず,下請事業者の元に留まる場合には,親事業者が金型をいつ受領したのかが明確でないので,あらかじめ親事業者と下請事業者との間で,当該金型を使用した最初の試打ち品を受領した時点で金型を受領したこととすることを合意している場合には,当該時点を金型の受領日とみなすことは本法上問題とはならない。この場合,3条書面には,金型そのものではなく試打ち品を納入すべきことを明記し,当該試打ち品の「納期」及び「受領場所」を記載する必要がある。
74. 情報成果物作成委託においては,3条書面上の納期日より前であれば,親事業者が委託した情報成果物を支配下に置いても,一定の水準を満たしていることを確認した時点で受領したとすることを認めるとのことだが,検査終了後に受領することを認める趣旨と理解してよいか。
A. 情報成果物の場合,外見だけでは委託内容の確認ができないことから,情報成果物の作成の過程で,親事業者が一時的に成果物を支配下に置いて,その内容を確認することを認めたものであって,検査終了後に受領することを認める趣旨ではない。
75. 情報成果物作成委託において,受領前に,委託した情報成果物が一定の水準を満たしていることを確認したい場合には,下請事業者に対し,3条書面に記載した納期日より前に委託した情報成果物を持って来るよう指示する必要があるが,本法上問題ないか。
A. あらかじめ親事業者と下請事業者との間で,親事業者が支配下においた当該情報成果物が一定の水準を満たしていることを確認した時点で,給付を受領したこととすることを合意している場合には,当該確認のために親事業者が当該情報成果物を一時的に支配下においても,そのことをもって直ちに受領したことにはならない。したがって,当該確認を行うために,下請事業者に対し,3条書面に記載した納期日より前に委託した情報成果物を一時的に持って来るよう依頼することは問題ない。なお,この場合,情報成果物を一時的に持って来るべきことまで3条書面に明記する必要はない。
76. 受領後に情報成果物の検査をする場合に,検査期間が60日を超える場合があるが,検査終了後に問題がないことを確認した上で下請代金を支払うこととして問題ないか。
A. 本法上,親事業者は,検査するかどうかにかかわらず,情報成果物の受領後60日以内に定めた支払期日までに下請代金を支払う必要がある。なお,Q76のように,委託した情報成果物が一定の水準を満たしていることを確認した時点で受領したこととすることを下請事業者と事前に合意している場合には,確認した時点が支払期日の起算日となる。ただし,当該情報成果物が3条書面に記載した納期日に親事業者の支配下にある場合には,内容の確認が終了していなくても当該3条書面上の納期日が起算日となる。
77. プログラムの作成委託において,給付の内容を確認するため,プログラムの納品に併せて下請事業者に最低限の証拠資料(単体テスト結果報告書等)を提出させることとし,プログラムの納品時に証拠資料の提出がない場合には,証拠資料の提出後にプログラムを受領したこととしたいがよいか。
A. あらかじめ親事業者と下請事業者との間で,親事業者が支配下においたプログラムが一定の水準を満たしていることを確認した時点で給付を受領したこととすることを合意しており,プログラムの納品に併せて当該確認を行うための証拠資料の提出を求めている場合において,証拠資料の提出が遅れた場合に,証拠資料の提出後にプログラムを受領したこととしても問題はない(ただし,3条書面に記載した納期日にプログラムが親事業者の支配下にある場合には,内容の確認が終了していなくても3条書面上の納期日が支払期日の起算日となる。)。なお,この場合には,委託した給付の内容に証拠資料の提出を含むこととし,3条書面にその旨記載して発注するとともに,証拠資料の作成の対価を含んだ下請代金の額を下請事業者との十分な協議の上で設定して発注する必要がある。
78. 受領した情報成果物に,下請事業者の責任による瑕疵等が発見され,やり直しが必要な場合にも,当初の受領日から60日以内に支払う必要があるのか。
A. 支払期日が到来する前に瑕疵等が発見され,やり直しをさせる場合は,当初の受領日から60日以内に下請代金を支払う必要はない。この場合,やり直し後の情報成果物の受領日が支払期日の起算日となる。
79. 携帯電話の待受け画面の画像や携帯電話で提供するコンテンツの作成委託については,使用回数に応じて代金を払うこととしており,受領後60日以内に代金を支払う慣行となっていないが,本法上問題となるか。
A. 受領後60日以内に定めた支払期日までに下請代金を支払う必要があるので,支払遅延として本法違反となる。このようなコンテンツの代金は,コンテンツの作成に係る対価と著作権等の知的財産権に係るロイヤルティの2つで構成されていると考えられるので,本法を遵守するためには,例えば,コンテンツの作成に関する費用を下請代金として受領後60日以内に支払うこととし,事後にアクセス数や使用回数に応じてロイヤルティを支払う方法とすることが考えられる。
80. 役務取引はすぐに現金払いされることが多いのに,本法の対象となることにより,役務を提供した後60日後の支払とされたり,手形払いとされるなど支払条件の悪化が懸念される。このようなことは,本法上どのように考えられるのか。
A. 親事業者が本法の適用を契機として,一方的に支払条件を悪化させることは,独占禁止法上の優越的地位の濫用に該当するおそれがあるとともに,本法上も,支払条件の悪化を見込んだ対価を下請事業者と十分な協議の上で設定しなければ,買いたたきに該当するおそれがある。
81. 運送委託において,下請事業者からの配達報告が届いた時点を「役務を提供した日」としてよいか。
A. 「役務を提供した日」とは,当該役務が完了した日であり,報告書の届いた日ではない。
82. 期間を定めて運送業務を委託する場合において,月末締めで代金を支払うこととしているが,月末時点で運送が完了していないもの(例えば,31日に出発して翌月1日に到着する運送)については,翌月末締切分に含めて構わないか。
A. 役務の場合は,個々の役務が完了した日が支払期日の起算日となることから,当該ケースの場合は翌月末締切分に含めて構わない。
【違反行為事例】
@ 支払制度の不備による支払遅延
ソフトウェアの作成を下請事業者に委託しているA社は,下請代金の支払において,毎月末日検収締切,翌々月25日支払制度を採っているため,下請事業者の給付を受領してから60日を経過して下請代金を支払っていた。
A 手形払から現金払に変更することによって生じた支払遅延
音楽,映像ソフトの製造等を下請事業者に委託しているB社は,毎月末日納品締切,翌月16日現金又は手形支払の支払制度を採っていたところ,手形払に係る経費の削減等を図るため,下請代金を手形の満期相当日(90日後)に現金で支払う方法(期日現金払)に変更したことから,下請事業者の給付を受領してから60日を超えて下請代金を支払っていた。
B 検収遅れ等による支払遅延
電気機械器具部品及び製品の組立・加工を下請事業者に委託しているC社は,毎月末日納品締切,翌月末日支払とする支払制度を採っていたが,検査完了をもって納品があったものとみなし,当月末日までに納品されたものであっても検査完了が翌月となった場合には翌月に納品があったものとして計上していたため,一部の下請代金の支払が,下請事業者の給付を受領してから60日を経過していた。
C 使用高払方式による支払遅延
電極材料の製造を下請事業者に委託しているD社は,一部の材料について,緊急時の受注に対処できるようにするため,常に一定量を納入させこれを倉庫に保管し,同社が使用した分についてのみ支払の対象とする使用高払方式を採っていたため,納入されたものの一部について支払遅延が生じていた。
D 事務処理遅れによる支払遅延
合成樹脂の成形加工等を下請事業者に委託しているE社は,下請代金の支払制度を毎月20日納品締切,翌月20日支払としているが,締切日間近に納品されたものの事務処理が20日過ぎになることがあり,この場合,翌月の締切対象とされ下請代金が翌々月20日に支払われていたため,一部の下請代金の支払が遅延していた。
E 納期前納入品を受領していたことによる支払遅延
プリント基板等の製造を下請事業者に委託しているF社は,下請取引に当たり,毎月末日納品締切,翌月20日支払の支払制度を採っているが,下請事業者から指定納期の属する月より前に納品があった場合にはその時点で受領しているにもかかわらず,当該物品に係る買掛金を指定納期の属する月に計上していた。このため,指定納期の属する月より前に納品された分について支払遅延が生じていた。
F 請求書が提出されないこと等を理由とした支払遅延
商品のデザイン等の作成を下請事業者に委託しているH社は,一部の下請事業者に対し,毎月末日納品締切,翌月末日支払の支払制度を採っているところ,伝票処理の遅れや下請事業者からの請求書の提出遅れを理由に,下請事業者の給付を受領してから60日を超えて下請代金を支払っていた。
【想定される違反行為事例】
@ 放送日を支払起算日とすることによる支払遅延
親事業者が,放送番組の制作を下請事業者に委託し,放送日を起算日とする支払制度を採っているところ,放送が当初の予定日より遅れるなどして受領日と放送日との間隔が開くことにより,納入後60日を超えて支払が行われる場合。
A ユーザーからの代金未払を理由とした支払遅延
親事業者が,下請事業者に対してユーザー向けソフトウェアの開発を委託しているが,ユーザーからの入金が遅れていることを理由として,下請事業者に対して,あらかじめ定めた支払期日に下請代金を支払わない場合。
83. 手形期間が120日を超える手形は割引困難な手形であるとのことだが,その理由・経緯は何か。また,どのような措置が採られるのか。
A. 公正取引委員会及び中小企業庁は,昭和41年以降,支払手形の手形期間を繊維製品に係る下請取引においては90日以内,その他の下請取引については120日以内にするように指導してきた。 現在では,上記手形期間以内の手形を交付することが商慣習になっており,公正取引委員会及び中小企業庁は,現在,上記手形期間を超えるいわゆる長期手形は,本法第4条第2項第2号の規定(割引困難な手形の交付の禁止)に違反するおそれがあるものとして取り扱い,すべて上記期間内に改善するよう指導している。
84. 受領した情報成果物に,下請事業者の責任による瑕疵等が発見され,やり直しが必要な場合にも,当初の受領日から60日以内に支払う必要があるのか。
A. 支払期日が到来する前に瑕疵等が発見され,やり直しをさせる場合は,当初の受領日から60日以内に下請代金を支払う必要はない。この場合,やり直し後の情報成果物の受領日が支払期日の起算日となる。
【違反行為事例】
@ 道路貨物運送を下請事業者に委託しているA社は,下請事業者に対し,手形期間が120日を超える手形を交付していた。
A 衣料品の製造を下請事業者に委託しているB社は,下請事業者に対し,手形期間が90日を超える手形を交付していた。
85. 当社(広告会社)は,このたび,自社が企画したイベントチケットの販売促進を図ることとし,外注担当者を含めて全社員に販売目標数を定めて販売していたところ,一次下請事業者の取引先である二次下請事業者から当該イベントチケットを買わされたとの苦情を受けた。当社としては,どのような点に気を付ければよかったのか。
A. 親事業者が下請事業者に対し物品等を販売する場合,外注担当者などの取引に影響を及ぼす者が購入を要請することは,事実上,下請事業者に対し購入を余儀なくさせることとなるので,購入・利用強制として本法上問題とされるおそれがある。したがって,今後,外注担当者等を通じて販売しないようにすべきであり,とりわけ販売目標数(ノルマ)を定めること等は問題を生じやすいので留意する必要がある。
86. 放送局が放送番組の作成を委託するに当たり,放送局が自らのアナウンサーを起用するよう指示することは,購入・利用強制に当たらないか。
A. 貴社が放送番組の作成を委託するに当たり,放送番組の質を確保するために,有償で自らのアナウンサーを起用させたり,自らのスタジオを使用させることは,購入・利用強制には該当しない。ただし,このことが発注時には明確にされておらず,この費用を負担しない(又は対価に反映させない)場合には,不当な給付内容の変更(又は買いたたき)に該当するおそれがある。
【違反行為事例】
@ 取引先の製品の購入先の紹介要請
自動車の部品のプレス加工を下請事業者に委託しているA社は,購買担当者を通じて,自社の取引先である自動車メーカーの製品の購入先を紹介するよう下請事業者に要請したため,下請事業者の中には購入先を紹介することができず,自ら自動車を購入することを余儀なくされた者もあった。
A 親事業者の指定する物の購入要請・役務の利用要請
a 食料品の加工を下請事業者に委託しているB社は,自社製品の売上げを増やすため,外注担当者を通じ下請事業者に対して当該製品の購入を要請していた。
b 番組の制作を下請事業者に委託しているC社は,自社が開催する有料イベントの売上を増やすため,下請事業者に対して当該イベントの入場チケットの購入を要請していた。
c 自動車の修理を下請事業者に委託しているD社は,外注担当者を通じ下請事業者に対して自社が取り扱っている損害保険の利用を要請していた。
【想定される違反行為事例】
@ 取引先の製品の購入先の紹介要請
広告会社である親事業者は,購買担当者を通じて,自社の取引先の映画チケットの購入先を紹介するよう下請事業者に要請したところ,下請事業者は購入先を紹介することができず,自ら映画チケットを購入することを余儀なくされる場合。
A 自社の関係会社・親会社の商品の購入要請
親事業者は,下請事業者に対して放送番組の作成を委託しているところ,自社の関連会社が制作した映画等のイベントチケットの購入を数百枚単位であらかじめ下請事業者ごとに枚数を定めて割り振り,下請事業者に購入させる場合。
B 親事業者の指定する役務の利用の協力要請
a 親事業者は,物品の製造委託をする際に,3条書面に代えて,インターネットのウェブサイトを利用した方法としたところ,下請事業者に対して,既に契約しているインターネット接続サービス提供事業者によっても受発注が可能であるにもかかわらず,自ら指定するインターネット接続サービス提供事業者と契約しなければ,今後,製造委託をしない旨を示唆し,既に契約しているインターネット接続サービス提供事業者との契約を解除させ,当該事業者と契約させる場合。
b 親事業者は,下請事業者に対し,自ら指定するリース会社から工作機械のリース契約を締結するよう要請したところ,下請事業者は既に同等の性能の工作機械を保有していることから,リース契約の要請を断ったにもかかわらず,再三要請し,リース会社とのリース契約を締結させる場合。
c 親事業者が,船舶貸渡契約を結んでいる貸渡業者に対して自社に出資している保険会社が扱っている船舶保険への加入を要請したところ,貸渡業者は既に別の保険会社の船舶保険に加入しているため,断りたいにもかかわらず,度々要請し,貸渡業者に親事業者の薦める保険に加入させる場合。
d 広告会社である親事業者が,下請事業者である広告制作会社に年始の名刺広告への参加を要請したのに対して,下請事業者は名刺広告の効果を把握するために参加したが,効果が乏しく,翌年以降は参加しない旨を親事業者に伝えていたにもかかわらず,翌年から年末になると参加を前提として申込書を送付し,再三参加を要請することにより,当該名刺広告に参加することを余儀なくさせる場合。
87. 年末セールの販売活動の手伝いとして,下請事業者から無償で人員を派遣してもらうことを考えている。当該セールでは下請事業者の製品も販売するため,下請事業者にとっても利益があるものと考えるが,これは本法上の問題があるか。
A. 下請事業者の金銭・労働力の提供が下請事業者の直接の利益につながることの根拠を明確にしないで提供を要請することは,本号に該当するおそれがある。よって,例えば,下請事業者が本件セールに手伝いとして人員を派遣することでどれだけの利益が見込めるか,合理的根拠を示して明らかにし,それが派遣することによって発生する不利益を上回ることを明確に示して,下請事業者の同意を得て人員を派遣させれば,不当な経済上の利益の提供要請には該当しないが,そうでなければ本法違反のおそれがある。
88. あらかじめ知的財産権を親事業者に譲渡させることを通知し,情報成果物に係る知的財産権の譲渡対価が含まれるような下請代金の額を見積もってもらい,下請事業者の見積額で発注する場合には,買いたたき又は不当な経済上の利益の提供要請には該当しないと考えてよいか。
A. 該当しない。この場合,3条書面には,知的財産権を譲渡する旨記載する必要がある。
89. デザインの作成委託において,当初の発注内容は下請事業者に複数のデザインを提出させ,その中から1つを採用し親事業者に知的財産権を譲渡させるというものであったが,納品後,採用デザインだけではなく不採用デザインの知的財産権も譲渡させることとしたいがよいか。
A. 当初の発注内容にない不採用デザインの譲渡を下請事業者に無償で要求することは,本号に該当するおそれがある。この場合,親事業者と下請事業者は双方よく話し合いの上,不採用デザインの知的財産権に係る譲渡対価を決定する必要がある。
90. 金型の発注に当たり,製造の過程で下請事業者が作成した金型の図面を無償で提供させることは本号の対象となるのか。
A. 金型の製造委託を行った際に,3条書面上の給付の内容に金型の図面が含まれていないにもかかわらず,金型の納入に併せて当該図面を納品するよう要請した場合には本号の適用を受けることとなる。金型と併せてその図面を提供させたいという場合には,別途対価を支払って買い取るか,又はあらかじめ発注内容には金型の図面を含むことを明らかにし,当該図面を含んだ対価を下請事業者との十分な協議の上で設定して発注する必要がある。
【違反行為事例】
@ 親事業者による協賛金等の要請
自動車の修理を下請事業者に委託しているA社は,自社の催事に対する協賛金の提供を下請事業者に要請していた。
A 労務提供の要請
貨物運送を下請事業者に委託しているB社は,下請事業者に対し,当該下請事業者に委託した取引以外の貨物の積み下ろしの役務提供を要請していた。
【想定される違反行為事例】
@ 親事業者の決算対策のための協賛金要請
a 親事業者が,年度末の決算対策として,下請事業者に対して協賛金の提供を要請し,親事業者の指定した銀行口座に振込を行わせる場合。
b 親事業者が,事前に協賛金を提供させる具体的な目的やその算出根拠を明確にすることなく協賛金を提供させるような場合。
A 発注内容にない労務提供
a 親事業者が,船内荷役,清掃等の作業は契約により荷主又は親事業者の負担であるとされているにもかかわらず,下請事業者である船舶貸渡業者にその一部を手伝わせる場合。
b ソフトウェアの作成を下請事業者に委託している親事業者が,下請事業者の従業員を親事業者の事業所に常駐させ,実際には当該下請事業者への発注とは無関係の事務を行わせている場合。
B 発注内容にない設計図等の譲渡
a 親事業者が,下請事業者に金型の製造を委託しているところ,外国で製造した方が金型の製造単価が安いことから,下請事業者が作成した金型の図面,加工データ等を外国の事業者に渡して,当該金型を製造させるため,下請事業者が作成した図面,加工データ等を,対価を支払わず,提出させる場合。
b 親事業者が,下請事業者にデザイン画の作成を委託し,下請事業者はCADシステムで作成したデザイン画を提出したが,後日,委託内容にないデザインの電磁的データについても,対価を支払わず,提出させる場合。
91. 情報成果物作成委託においては,下請事業者が納期を守らないことがよくある。この場合,発注内容を変更しなければ下請事業者が不利益を受けることがあり得るので,下請事業者との合意の上で納期を変更することは違反とはならないと考えてよいか。
A. 下請事業者の要請により給付内容を変更することは,不当な給付内容の変更には該当しない。
92. 下請事業者との契約に当たり3年の瑕疵担保期間を契約しているが,当社のユーザーに対する瑕疵担保期間は1年である。この場合,本法上問題となるか。
A. ユーザーに対する瑕疵担保期間が1年を超えない場合は,下請事業者の給付に瑕疵がある場合に親事業者が費用を負担せずにやり直しを求めることができるのは受領後1年までである。下請事業者との間でそれ以上に長い瑕疵担保契約を締結することは直ちに問題となるものではないが,契約の定めにかかわらず1年を超えてやり直しをさせることは本法違反となる。
93. 当社では,情報成果物の作成を委託するに当たり,給付を充足する条件を明確に書面に記載することが不可能なため,下請事業者と十分な協議をした上で,当初から何度もやり直しすることを見込んだ価格を設定している。この場合においても,3条書面に記載していない事項について,費用を負担しなければやり直しさせることが認められないのか。
A. 当初から下請事業者と十分な協議の上で何度もやり直しすることを見込んだ価格を設定している場合に,当初の想定の範囲内でやり直しをさせることは問題ないが,それを理由に3条書面に記載されていない事項について無制限にやり直しをさせることができるものではないので,下請代金の額の設定時に想定していないような費用が発生するやり直しの場合には,下請事業者と十分な協議をした上で合理的な負担割合を決定し,それを負担する必要がある。
94. 親事業者が発注を取り消す際には,下請事業者が当該発注に使用するために要した費用を全額負担する必要があるとのことだが,例えば,下請事業者が当該発注に使用するために機器と人員を手配している場合に,下請事業者に解約可能な範囲は解約してもらい,解約できずやむを得ず負担することとなった部分を負担すれば問題ないと理解してよいか。
A. 結果として下請事業者が負担することとなった費用を親事業者がすべて負担すれば,不当な給付内容の変更には該当しない。
95. 最終ユーザーへの保証期間が5年であれば,受領から5年後にやり直しを要求することも認められるのか。
A. 最終ユーザーへの保証期間が5年であり,下請事業者との間でも事前に受領から5年の瑕疵担保期間を定めているのであれば,その期間内に下請事業者の給付に瑕疵があることが判明した場合に,費用を負担せずにやり直しを要求しても違法ではない。
【違反行為事例】
@ 取引先からの発注内容の変更による不当な給付内容の変更
貨物の運送等を下請事業者に委託しているA社は,取引先からの発注内容の変更を理由として,下請事業者に対する発注内容を変更したが,下請事業者が当該発注内容の変更のために要した費用を全額負担していなかった。
A 需要予測の見込み違いによる不当な給付内容の変更
広告物の制作等を下請事業者に委託しているB社は,販売予測の見込み違いを理由に発注内容の変更を行ったが,下請事業者が当該発注内容の変更のために要した費用を全額負担していなかった。
【想定される違反行為事例】
@ 発注取消による不当な給付内容の変更
a 親事業者が,下請事業者に部品の製造を委託し,これを受けて下請事業者が既に原材料等を調達しているにもかかわらず,輸出向け製品の売行きが悪く製品在庫が急増したという理由で,下請事業者が要した費用を支払うことなく,部品の発注の一部を取り消す場合。
b 親事業者が,下請事業者に清掃を委託し,下請事業者は清掃に必要な清掃機器及び人員を手配したところ,親事業者が発注を取り消し,下請事業者が要した費用を負担しない場合。
A 親事業者・最終ユーザーの担当者の確認後に納品されたものの不当なやり直し
a 親事業者が,テレビ番組の制作を委託していた下請事業者に対して,いったん親事業者のプロデューサーの審査を受けて受領された番組について,これの試写を見た親事業者の役員の意見により,下請事業者に撮り直しをさせたにもかかわらず,撮り直しに要した下請事業者の費用を負担しない場合。
b 親事業者が,定期的に放送されるテレビCMの作成を下請事業者に委託したところ,完成品が納入された後,放映されたテレビCMを見た広告主の担当役員から修正するよう指示があったことを理由として,親事業者は,下請事業者に対して,いったん広告主の担当者まで了解を得て納入されたテレビCMについて修正を行わせ,それに要した追加費用を負担しない場合。
B 親事業者の仕様変更による不当な給付内容の変更
親事業者が,既に一定の仕様を示して下請事業者にソフトウェアの開発を委託していたが,最終ユーザーとの打ち合わせの結果仕様が変更されたとして途中で仕様を変更し,このため下請事業者が当初の指示に基づいて行っていた作業が無駄になったが,当初の仕様に基づいて行われた作業は仕様変更後に納入されたソフトウェアとは関係がないとして当該作業に要した費用を負担しない場合。
C 親事業者の指示不明確による不当な給付内容の変更
親事業者が,下請事業者に対してソフトウェアの開発を委託したが,仕様についてはユーザーを交えた打合せ会で決めることとしていたが,決められた内容については書面で確認することをせず,下請事業者から確認を求められても明確な指示を行わなかったため,下請事業者は自分の判断に基づいて作業を行い納入をしようとしたところ,決められた仕様と異なるとして下請事業者に対して無償でやり直しを求める場合。
D 検査基準の変更によるやり直し
親事業者が下請事業者に対して金型の製造を委託しているところ,従来の基準では合格していた金型について,検査基準を一方的に変更し,下請事業者に無償でやり直しを求める場合。
E 親事業者の担当者変更による不当な給付内容の変更
親事業者が下請事業者に対してデザインの作成を委託したところ,親事業者の担当者が人事異動により交代し,新しい担当者の指示により委託内容が変更され追加の作業が発生したが,それに要した追加費用を親事業者が負担しない場合。
96. 有償支給原材料の支払代金の決済については,下請代金との相殺によらず,別途支払わせる方法でもよいか。
A. 別途支払わせる方法でもよいが,支給した有償支給原材料の代金を,これを用いて製造した製品の下請代金よりも早く支払わせてはならない。
97. 下請事業者の希望により親事業者が下請事業者に代わって原材料等を調達したときには,直ちに決済してもよいか。ただし,この調達分には下請事業者が独自に使用する分も含まれている。
A. 下請事業者の希望により下請事業者に代わって親事業者が原材料等を調達した場合であっても,委託に係る下請事業者の給付に必要な分については,早期決済は禁止される。なお,下請事業者が独自に使用する分は下請取引と関係がないので,その分については,本法は適用されない。
【違反行為事例】
○ 加工期間を考慮しない決済方法を採ったことによる有償支給原材料の早期決済
ヒューム管等の製造を下請事業者に委託しているA社は,下請事業者に有償で原材料を支給しているが,原材料を加工して納品するまでの期間を考慮せずに,当該原材料を使用した物品が納品される前に当該原材料の対価を下請代金から控除するなど,当該原材料を使用した物品に係る下請代金の支払期日よりも早い時期に下請代金から当該原材料の対価を控除していた。
98. 信託方式(親事業者に対する下請事業者の債権を信託銀行に信託譲渡することにより下請事業者が信託受益権を取得し,下請事業者の要望に応じて信託銀行が当該信託受益権を投資家に販売することにより,下請事業者が信託銀行から金銭の支払いを受ける方式)による一括決済の方式は,本法又は独占禁止法上認められるか。
A. 問のような信託を用いた一括決済方式は,「下請代金支払遅延等防止法第3条の書面の記載事項等に関する規則」にいう「ファクタリング方式」に該当すると考えられるので,制度自体が本法又は独占禁止法上禁止されるものではないが,実施に当たっては「一括決済方式が下請代金の支払手段として用いられる場合の下請代金支払遅延等防止法及び独占禁止法の運用について」(昭和60年12月25日事務局長通達第13号。132ページ,資料9参照)及び「一括決済方式が下請代金の支払手段として用いられる場合の指導方針について」(同日付取引部長通知。133ページ,資料10参照)に則った形で実施される必要がある。
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